目は口ほどにモノを言うといいますが、人間だけでなく犬や猫の目はとても目立つ場所にあります。

その瞳の色は、人間以上に色々な色がありますが、年齢とともに瞳に色素が沈着していくことがあります。

ほとんどの場合は単なる色素なのですが、たまにメラノーマという癌が潜んでいるケースもあります。

今回はそんな眼のメラノーマについてご説明したいと思います。

メラノーマとは?

すでにご存じの飼い主様もいらっしゃると思いますが、メラノーマはメラニン細胞という色素を作る細胞が癌化した腫瘍です。

人間のメラノーマでよく思いつくのが、皮膚にできるメラノーマだと思います。

よく足の裏にほくろができると要注意といわれますが、非常にたちの悪いものとしてのイメージがあると思います。

動物の場合はメラノーマは皮膚に発生する場合もありますが、口腔内や眼球内で発生するケースの方が遭遇する機会が大きく、発生した場所によって予後は大きく異なります。

【口腔内の腫瘍】口の中にできる悪性の腫瘍。顎を切り落とすしかない?予後や治療法など。

眼のメラノーマの場合、最も厄介な点は眼の中にできた黒い色素が、良性のメラノサイトーシスと呼ばれるものか、悪性のメラノーマか判断することができないところです。

他の腫瘍と違い、切除したものを病理検査することで腫瘍の悪性度が判定できるのですが、腫瘍の摘出はすなわち眼球の摘出を意味することになるため、多くの飼い主様が積極的に摘出をするべきかどうか悩まれます。

一般的には眼球内の腫瘤により、炎症が起こったり、眼圧が上昇するなどの症状がある場合は早めに眼球摘出を行う方がいいのですが、たいていの場合、無症状に近く、また進行も大体は緩慢なため、数か月から数年にわたり経過を見ることもあります。

犬の眼のメラノーマ

犬の目のメラノーマは眼の中で起こる腫瘍としてはその発生率は非常に多いと言われています。

基本的にメラノーマは進行が早く、周りの組織に浸潤していくスピードが速いため、転移も頻繁に起こりますが、犬の眼のメラノーマは転移する可能性はかなり低いとされています。

したがって眼球摘出により、予後は比較的によいため、多くの獣医師が手術を推奨します。

セカンドセレクトでも手術はお勧めしていますし実施可能ですが、犬の場合は義眼の設置が可能なため、義眼の設置をご希望される飼い主様には眼科専門病院をご紹介しています。

猫のメラノーマ

猫の目のメラノーマは前述したとおり、良性のメラノサイトーシスと見極めるのがとても難しいと思います。

特に猫のメラノーマは眼の瞳のところにポツンとシミのように見えるのことが多いのですが、成長とともに色素がつき、目立つこともあるので正常なものとの判断が全くつかないこともあります。

また眼の瞳・・虹彩の色素は最初のうちは良性でも、進行すると悪性に転化することもあるため、いつの時点で手術を行うかはとても悩みどこになります。

手術の判断として、悪性に転化したとしても、初期段階に手術を行えばほとんど転移をしない一方で、ぎりぎりまで手術をせず経過を見て、進行した段階で手術をすると、転移する確率が極めて高くなります。

セカンドセレクトでは明らかな症例は別として、いつの段階で手術をするべきかは飼い主様としっかりご相談させていただきながら進めています。

実際にはケースバイケースの対応になることが多いと思うので、目のシミが気になり始めたらご相談ください。

まとめ

眼のメラノーマは、治療=手術=眼球摘出となるので、つねに苦渋の選択になります。

手術自体はいつでも可能ですが、なにがなんでもすぐ手術ということにはなることはないので、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう