こんにちは、セカンドセレクト獣医師の斉藤です。

ここ数十年で日本は高齢化社会と呼ばれ続けていますが、ペットの世界でもだいぶ高齢化が進んでいます。

以前に比べて長く元気に生きていけるようになった反面、高齢がゆえの病気もだいぶ多くなりました。

高齢になって起こる病気の代表としては「癌」の存在は、人間でもペットでも同じことです。

セカンドセレクトのブログでも何かと色々癌についてご説明していますが、今回は口の中の癌についてご説明したいと思います。

以前ご紹介させていただいた良性の腫瘍、エプリースとは違い、口腔内に発生した悪性腫瘍はとても予後の悪いものが多いと思います。

【エプリース】口の中のしこり!?意外とドキッとする良性の腫瘍。 

腫瘍が発生する部位としては口の中という場所はめずらいしい場所ではなく、また犬猫、品種による差がないため、すべてのペットに等しく発生する可能性があります。

今回はそんな口の中の悪性腫瘍についてご説明したいと思います。

口の中にできる腫瘍とはどんなもの?

口の中にできる悪性の腫瘍は大きく分けて3つあります。

扁平上皮癌と呼ばれる癌は犬でも猫でもよく見られます。

扁平上皮癌は歯肉より発生し、見た目はぼこぼことした表面をしていて、割と出血を多く伴って増殖していきます。

犬よりも猫の方が悪性度が高いとされていますが、口の奥の方で発生した場合はいずれにしても予後が悪く、発生した場所によって、選択するべき治療が変わっていきます。

また犬で多くみられる腫瘍として、繊維肉腫と呼ばれるものがあります。

表面はなめらかで、歯肉にへばりつくような感じで増殖します。

扁平上皮癌よりも悪性度は高く、鼻腔や眼窩まで到達することもあり、病変部の大きさによっては頭蓋を圧迫し、痙攣などを起こすこともあります。

悪性黒色腫、いわゆるメラノーマも口の中にはできやすい腫瘍だと言われています。

犬にできやすいこの腫瘍は、他の口の中にできる腫瘍に比べて転移することがよくあり、近くのリンパ節の増大を伴って増殖します。

高確率で肺に転移も起こすので、予後はとても悪い腫瘍です。

治療法は?

口の中の腫瘍の治療法に関して言えば、外科的な手術が唯一の治療となります。

抗がん剤はほとんど効果がありません。

ただしその唯一の治療法である外科的な手術というのが大きな問題となります。

通常、腫瘍を摘出するには、腫瘍と正常の組織の境界を切開するのではなく、正常な組織を含んだ広範囲の場所を摘出します。

特に口の中にできるような悪性度の高い腫瘍は、広範囲の切除部位を必要とする一方で、口の中には大きく切除できるような組織はありません。

したがって手術の方法はもっぱら、発生した腫瘍ごと顎の骨を切除するというものとなります。

CTによって切除する範囲を決めていくのですが、不幸にも腫瘍の増殖が強い場合は、顎を半分以上切除する必要も出てくるため、腫瘍が取りきれたしても、術後の生活には大きな障害が残ることがあります。

とくに顎を切除した後の猫の予後はとても悪く、介護に多くの時間を割く必要が出てきます。

飼い主様によってはその点で躊躇される方が多く、手術を選ばないという選択をする方もいらっしゃいます。

メラノーマ以外の腫瘍の進行は緩慢であることが多く、腫瘍の発生に気づいて数か月から1年以上の単位で通常の生活を送ることが出来ることもあります。

ただ最終的には腫瘍によって、口が閉じることが出来ず、また嚥下も困難になり衰弱していきます。

口の周りもよだれや最近の感染を起こし、やはり介護に多くの時間が割かれることになります。

したがって口の中の腫瘍に関しては、発見したらできるだけ早めに腫瘍の病理検査を行い、上記の腫瘍であった場合は早期に手術を行うのが理想だと思います。

ちなみに口の中の腫瘍は放射線治療が有効とされています。

以前よりも放射線治療ができる施設も増えているのですが、まだまだハードルが高いのが実情です。

セカンドセレクトでのご対応法

先ほど書いた通り、口の中の腫瘍に関しては早めに病理診断を行うことが先決です。

場所によっては無麻酔で簡易的に行うこともできます。

口の中の腫瘍に対する外科手術はセカンドセレクトでも行うことはできますが、発生した場所、腫瘍の浸潤具合によっては専門病院を紹介することもあります。https://www.secondselect.vet/2522

個人的な経験上、口の中の腫瘍は割と大きくなってから飼い主様が気づくケースがほとんどです。

ですので口の中のにしこりを見つけたら、様子を見ずにとりあえずご相談ください。