以前から一定数はいたのですが、最近はよくご自宅で犬や猫を出産させ子供を作ろうとしている飼い主様が多くなってきたと思います。

自分の愛犬や愛猫と血がつながっている子孫を迎えることは非常に喜ばしいことだとは思いますが、色々な知識をつけておかないとかなり大変なことも多くあると思います。

今回はそんな自宅で出産した場合、特に犬で気を付けておきたい新生児の奇形、口蓋裂についてご説明したいと思います。

口蓋裂とは?

哺乳類は胎児期に、母親のおなかの中で体を成長させていくのですが、顔面の骨格は左右のパーツがいくつかの突起で癒合しながら作られていきます。

この時に何らかの原因で癒合がうまくいかず、本来結合するべきところが裂けて穴が開いてしまうことがあります。

そうした癒合不全の中で、口蓋裂は上顎の癒合がうまくいかず、鼻腔内と口腔内がつながってしまう奇形です。

原因は胎児期における母親の栄養不良などが考えられていますが、原因はわかっていません。

特に短頭種のような頭が大きい犬種での発生率が高くなっているため、そういった遺伝的な背景があると思われます。

口蓋裂になると・・

口蓋裂は口腔内にできる奇形のため、一見普通の新生児と変わりません。

最初のうちは体格も普通で、母乳を吸うようなしぐさをしているのですが、口蓋裂があるためうまく吸えないため、体重の増加が見られなくなります。

また飲んだミルクが鼻から出てきたり、くしゃみなどが出やすくなります。

人工哺育などに切り替えても十分量のミルクを与えることも困難なので、どんどんと衰弱をしていきます。

また無理やりミルクを飲ませようとすると、鼻腔と口腔がつながっているため誤嚥させてしまうこともあり、肺炎を起こして亡くなることも多いと思います。

そういった意味では新生児にとって致命的な奇形の一つになります。

手術はいつ行うべき?

可能な限り早めに手術を行うことが望ましいとはどの教科書にも書かれていることなのですが、実際には生まれてすぐに手術というわけにはいきません。

安定した麻酔がかけられるまでには最低でも2~3か月はかかるので、その月齢に達するまでは何とか成長を祈るしかありません。

口蓋裂が存在していたとしても十分に成長がある場合には6か月ぐらいまで様子を見ることもあるので、タイミングは常に仔犬の状況次第だと思います。

手術は基本的に口腔内の粘膜をつなぎ合わせて行いますが、基本的に口の中の粘膜は皮膚のように伸びるわけではないので、一部切開を入れてわざと口腔粘膜を剥離して移動させて縫い合わせます。

しっかり縫合していたとしても、口腔内は舌や食塊などの刺激が常にあるため、再縫合が必要になることも多くあります。

完全に癒合が済むまでは2週間程度はかかるため、その間可能な限り縫合部位に刺激が加わらないように注意していく必要があります。

術後の予後は良く、十分に採食が可能になるため、体重の増加が著しく増えることを確認しながら成長を見守っていきます。

まとめ

口蓋裂は自宅で出産を行った場合、一番気を付けないといけない奇形になります。

これって?と思うようなことがあれば、写真などをメールで送っていただければご相談に乗れると思いますので、お気兼ねなくお問い合わせください。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう