動物病院は人間の病院とは違い、ペットが一人でやってくることはありません。

往診専門の動物病院は、動物病院にペットを連れて行かなくてもよいという点では様々なメリットを受けることが出来ます。

一方で、往診専門の動物病院を開業していながらたまに経験することなのですが、ご自宅にお伺いし、診察させていただくときに、内心青ざめてしまうことがあります。

長年やっていると、どんなに「テンパった」状態でも表情に出さず、飼い主様とペットに対応することもできるようになりますが、冷や汗が止まらない経験は今でも忘れられません。

今回は往診を行っている獣医師として、通常の動物病院では深刻な問題にならないことでも、往診専門の動物病院ではちょっとのことでも問題になるようなことをお話したいと思います。

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動物が捕まらない!!

まだ笑えるレベルなのですが、自宅にお伺いして診察しようとしても、動物が捕まらないということが稀にあります。

特に本気で逃げる猫を捕まえることはほぼ不可能なのですが、意外とウサギも捕まりません。

まさしく脱兎のごとくです。

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当然捕まらなければ診察もできないので、お伺いし問診だけとって終了となりました。

猫やウサギの往診の場合は、事前にキャリーなどに入れていただけるととても助かります。

電話で聞いていた話と違う

ある程度は仕方がないことなのですが、飼い主様から得らる情報は非常に正確な場合もあれば、全く正反対であることも多くあります。

往診による治療では、緊急的な症例に対しての治療の選択は限られてしまうため、事前にご説明していただいていた状況よりもかなり悪かった場合、可能な処置がかなり限定されてしまいます。

特に呼吸器に疾患をおこしている犬や猫などは、保定をしただけで意識を失うこともあるので、往診中に緊急処置が必要な場合に陥った場合、何もできないケースもあります。

逆に大人しくて全く動かないと言われていた犬や猫が、触れないぐらい興奮していることもあるため、往診医にとってはしばしば悩みの種になります。

処置中に体調を崩した

かなり最悪のケースなのですが、処置中に状態が悪化した場合、通常の動物病院であればすぐさま酸素吸入を行ったり、血管確保をして静脈点滴を行ったりすることが可能ですが、往診では不可能なため、状況がさらに悪化するケースもあります。

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もともと調子が悪い動物であれば、体をおさえたりする行為も最低限に気を使いながら行いますが、一見は元気があるように見える動物は、ある程度の力で押さえないといけないので、どの獣医師、看護師でも処置中に動物の状態が悪くなる可能性はあります。

残念ながら、ぼくの個人的な経験でも数例あります。

避けられないことはあるとは言いつつも、プロとして臨んでいるものなので言い訳の仕様もありませんでした。

誤診をしてしまった

検査という点では、往診専門の動物病院では通常の動物病院ほどは融通がきかないため、触診や聴診などの基本的な診療で病名を推測していきます。

もちろん、経験と誤診の確率は反比例だとは思いますが、それでも経験のないような症状や難解な症例であれば、検査をせず診断を下すことは非常に困難なときもあります。

基本的にはこういった誤診を避ける一つの方法は、往診では対応が難しい疾患なのかどうなのかを見極めることだと思いますが、それすらもできなかった場合には、病状が悪化し、事態がより深刻化する可能性もあります。

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診断を誤ってしまった時には速やかに、設備が整った病院に転院するのがよりよい選択だと思いますので、そういったケースでは、獣医師の方から真摯に申し出るべきだと思います。

かかりつけの先生と意見が割れてしまった

正直な話、これはたまにあるケースです。

特にある程度の病状が進行し、通院が負担になることを避けるため、往診を依頼されているような場合、獣医師によっては見解が異なることもあります。

ただ、個人的には見解が異なったからといっても、決してどちらかが誤ったことをしているということではないので、いわゆるセカンドオピニオンとして、取り入れてい頂けるといいと思います。

まとめ

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往診医だけではないと思いますが、特に往診治療中に予期せぬハプニングはできるだけ避けたいというのが本音です。

もちろん、今回の記事に書いているようなことは滅多に起こることではありませんが、個人的な経験としてあるので「0」ではありません。

そのうえでも、往診治療で得られる恩恵は、非常に大きいとは思うので、記事を読んでこれはどうなんだろうと言ったことがあれば、いつでもお問い合わせください。

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