この時期は犬や猫にとっての伝染病や寄生虫の予防のシーズンです。
かかりつけの病院から色々なDMも届き、そろそろ病院に行かないといけないなぁと思っている飼い主様も多くいらっしゃると思います。
その一方で若いペットでも、うちの犬は散歩に行かないからとか、うちの猫は室内飼いだからという理由で予防接種などを行わない飼い主様も多くいらしゃいます。
特に都心では高層マンションに住んでいるのでという理由で、予防を一切していない飼い主様もいらっしゃいます。
今回は室内飼いのペットには本当にワクチンやフィラリアなどの予防は必要ないのかをテーマに、一獣医師としての記事をご紹介したいと思います。
狂犬病ワクチンは必要ない?
ほとんどの皆様がご存知の通り、犬において狂犬病ワクチンは接種が義務付けられているのですが、その一方で日本には半世紀以上狂犬病の発生はありません。
したがって、狂犬病ワクチンは不要と考える飼い主様も多くいらっしゃいます。
法律上の強制力はないものの、やはり規則として義務付けれらてしまっているので、例外なく狂犬病ワクチンは接種しないといけません。
また、狂犬病ウイルス自体は多くの動物種に感染する恐れがあるので、日本に狂犬病ウイルスが侵入する恐れはあるということをおっしゃっている先生もいらっしゃいます。
・・・実際のところは?と言われれば、室内で飼われている犬だとしても獣医師として狂犬病ワクチン接種は啓蒙せざる得ないのですが、個人的に高齢の犬や何か疾患のある犬では狂犬病猶予書を発行し手続してもらっています。
理由は規則だからというただそれだけのくだらない理由からなのですが、獣医師としても頭の痛い問題です。
https://www.secondselect.vet/1151
混合ワクチンは必要ない?
犬では5種から9種、猫では3種から5種の混合ワクチンが主流です。
こういったワクチンで予防できる病気は、外に行くことがなければ感染する恐れはありません。
ですので、外に出る、どこかに預けるようなことがあるのであればワクチンは接種するべきだと思いますし、そういった機会が全くないのであれ接種する必要性はほぼありません。
無論、糞便にて感染するようなタイプのものは犬や猫の体外でも長時間感染力を持続できるため、そういった糞便がついたものをあやまって自宅に持って帰ってしまい感染・・・というケースも考えられなくはないですが、ほとんどないと思います。
個人的な意見としては室内飼いのみであれば、混合ワクチン接種はそれほど積極的に考えなくてもいいと思います。
フィラリア予防は必要ない?
犬ではメジャーな予防となりますが、春先から秋にかけての蚊が生息している期間には、蚊から感染するフィラリアの予防薬を月に一回投薬します。
うちの犬は散歩をしないからと言って予防をしない方もいらっしゃいますが、個人的にはお勧めしません。
混合ワクチンで予防できるウイルスは一部のウイルスを除き犬→犬、猫→猫と感染します。
一方フィライリアは犬→蚊→犬と中間生物が入ります。
こういった病原菌を媒介する生き物がいるような病気の各庵を完全に防ぐことは難しく、直接感染よりも感染する可能性は格段に格段に高くなるからです。
また、フィラリアの予防薬の利便性もよく、値段も安いため、感染リスクの割には予防は非常にしやすいというのも、室内飼いの犬でも予防してもらいたい理由です。
ノミやダニの予防は必要ない?
ノミやダニの予防も基本的には混合ワクチンと一緒です。
人やペットに害を与えるノミやダニは基本的には野外に生息しているため、室内のみの飼育であれば
感染する機会はありません。
人間の衣服について自宅に持ち込むリスクもありますが、極めて低いと思います。
ただもしご自宅に庭がある場合には、庭に飲みやダニが生息している場合もあるため、ノミやダニに感染する機会は増えると思うので、室内飼いとはいえども予防はしたほうがいいと思います。
まとめ
室内のみで飼育しているのかどうかにかかわらず、どんなペットにも感染する機会は「0」ではないですし「100」でもありません。
こういったワクチンや予防薬は健康保険と一緒です。
絶対に病気になることが前提ではなく、万が一病気になったらを考えて保険は加入します。
ワクチンや予防薬も万が一に備えてというものになるので、室内でのみ飼育されていてももし心配であれば、できる限りの予防はしてあげた方がいいと思います。