動物病院で診察しているとたまに困ることがあるのですが、「なんか元気がないんです」という主訴でいらっしゃる飼い主様がいます。
食欲は特に問題がない、吐き気や下痢もない、でも元気がない・・・こんなとき正直いうとどうしましょうと困ってしまうことがあります。
大抵病院の中では異常を発見することができないからです。
こういった症状こそ往診が適しているのでは?と思っていますので、今日はそんな症状があったら往診を勧める理由についてご説明させていただきます。
動物病院に連れて行くストレスがない
ぼくの経験則なのですが、こういった症状を出す仔は割りと繊細な性格を持っている犬がとても多いと思います。
動物病院に来るだけで、かえって調子を崩してしまうことがあるくらいの犬もいるので、自宅で基本的な触診、聴診をおこなえ、ある程度の検査までできる往診は、犬の負担を限りなく少なくする一つの方法だと思います。
自宅での本来の様子が診れる
ペットの自宅での様子と動物病院での様子は基本的に違います。
動物にとって動物病院の中の雰囲気は、非常に非日常的なものであり、たいていの動物が臨戦態勢を取ります。
結果として、ちょっとした元気のなさは、動物病院の中では消えてしまうため、獣医師が元気がないという飼い主様の稟告を判断することは非常に難しくなります。
往診に行くとたまに思うのですが、元気がないと飼い主様が言っている犬は、本当に元気がなかったんだなと思います。
「当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、それくらい動物病院に連れてこられた犬たちは、自宅と全く違う様子を見せます。
自宅で感じる飼い主様の不安な点を、往診であれば獣医師が把握することも可能なので、動物病院の中ではわからなかった、隠れいている疾患に気づく可能性も高いと思います。
自宅での何らかの問題に獣医師が気づくことがある
動物の病気を見るうえで、自宅の環境や雰囲気は非常に重要です。
特に飼い主様には普通のことであったとしても、実は誤った環境や習慣だったということは結構あると思います。
動物病院の中で飼い主様の会話を聞くときに、特にこの辺りは注意して聞くのですが、あとからやっぱりということは色々出てきます。
獣医師が飼い主様から話を聞きだす時には、飼い主様やそのかってらしゃしゃる環境を想像しながら話を進めていくので、実際にその飼ってらっしゃらる環境を実際に目で見るメリットは非常に大きいと思います。
まとめ
ぼくが思うに、往診の最大のメリットは、治療においてのストレスを軽減することができるということと、自宅での様子を直接診ることができることだと思います。
この2点が治療に与えるメリットは大きいと思いますので、ちょっと調子が悪いかなと思ったら、往診と言う選択肢を頭の中に入れておくと良いかもしれません。