犬の神経症状をともなう病気の中でも、椎間板ヘルニアはかなりメジャーな病気だと思います。
特にMダックスを飼われている飼い主様では、知らない人はいないと言っても過言ではありません。
ネットなどで調べると、その治療法は何がいいのか・・手術を勧める病院もあれば、手術は絶対にダメ、鍼などが効果的だなどなど色々な意見があって、どれが正しいのか迷ってしまいます。
ぼく自身は、年間を通してかなりの椎間板ヘルニアの手術を行いますが、必ずしも手術が最良な手ではないと思っています。
今回はそんな椎間板ヘルニアにかかってしまった犬で、特に高齢な犬が症状を発症した場合にどのようなケアができるのかご説明したいと思います。
まず慌てないこと
ミニチュアダックス代表とする、椎間板ヘルニアの好発犬種は、ちょっと目を離したすきにいきなり後肢が麻痺しているなんてことがよくあります。
椎間板ヘルニアは大抵あまりにも突然発症するので、多くの飼い主様が慌てて来院されます。
ネット上では48時間の神話のようなものがあり、椎間板ヘルニア=即手術しないといけないという誤解をされている飼い主様がよくいらっしゃいます。
ぼくの個人的な意見では、10歳をけるような犬の場合は、手術という選択は慎重に行った方がいいと思いますし、12~13歳を超えるようであれば、いつも手術はあまりお勧めしていません。
冷静な話として、余命が迫っている中では手術で得られる恩恵があまりにも少ないのと、小型犬であれば介護はそれほど大変ではないからです。
そしてなにより、犬本人は後肢が麻痺を起こしていても何ら不自由なく暮らすことができるからです。
自分の犬が椎間板ヘルニアになったら・・・まず慌てないことです。
後ろ足は必ず使わせるように意識すること
先ほども書きましたが、後肢が麻痺を起こしても、犬はそれほど不具合なく生活することができます。
むしろ、後ろ足を使って何か行おうとする方が億劫なため、放っておくとどんどん後ろ足が退化していきます。
ですので飼い主様が意図的に後肢を使わせてあげることが大切なのです。
やり方としては、ご飯を食べさせるときは必ず四つ足で立って食べさせるようにします。
また、一日何回か起立をさせておく時間を作ってあげてください。
人の手で補助するのが難しいのであれば、ネットなのでもバランスボールを購入することができますので、そういったものをご利用してみるのもいいと思います。
麻痺が残っていたとしても、何とか歩行ができる犬とできない犬の違いは自分でバランスをとって立てるかどうかです。
立つことさえできればほとんどリハビリは成功したも同然です。
立てる犬はほぼ歩くとができるようになります。
ですので、難しいことはいりませんので、まず起立させること、これを目標に頑張ってください。
マッサージをしてあげる
マッサージとは言いつつも難しいことは何一つありません。
後肢の指の股と股の間を少し強めに押してあげるだけで結構です。
テレビを見ながらでも構いませんし、左右同時でなくても結構です。
とにかく毎日継続して行っていただければ、かなりのリハビリ効果が期待できます。
鍼、レーザー、プール、サプリメントなどなど
基本的には余力があったら行うということでいいと思います。
特に高齢の犬はすぐ気持ちがなえてしまうので、様子をみながら行いましょう。
頑張りすぎないことが最重要です。
これらの治療の効果は別の記事で書いていますので、よかったら読んでみてください。
https://www.secondselect.vet/738
https://www.secondselect.vet/742
まとめ
椎間板ヘルニアは大抵突然起こり、慌てて病院に行って、手術をしないといけないような一種の自己脅迫のような状況になってしまいがちです。
ただ年齢を重ね、老齢になってでてくる衰えも、結局のところ椎間板ヘルニアと同じような症状であることを考えるのであれば、無理をして手術をする選択は決して取らなくてもいいのではと個人的には思います。
もし、介護含めリハビリなど往診という形でお付き合いできるのであれば、できる限りの協力をしたいなと常々思います。