猫が高齢になるとなりやすい病気がいくつかあります。
まずは腎不全。
そして便秘、歯周病。
これらの病気は、猫の一般状態も落ちることが多いため、飼い主様も気づきやすく、わりと動物病院に連れいていく機会も多いと思います。
その一方、老猫の病気の代表格である甲状腺機能亢進症は、あまり見た目に病気的な症状が出にくいため、それに気がつく飼い主様は多くはありません。
今回はそんな甲状腺機能亢進症についてご説明いたします。
甲状腺機能亢進症とは?
甲状腺とは首ののどぼとけの近くにある分泌腺で、いくつかのホルモンを分泌します。
甲状腺ホルモンは全身の代謝をつかさどるホルモンです。
猫は高齢になると甲状腺が過剰に働くようになり、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになります。
過剰な甲状腺ホルモンは、過剰な代謝の亢進を引き起こすため、見た目とても元気で活発な老猫になります。
ここがとても問題で、病気だからこそものすごく元気な状態を、健康状態が全く問題がないと認識してしまうため、初期段階で受診されることはありません。
過剰に代謝が促される状態が常時続くようになると、食欲の異常亢進に反比例するような体重の減少、被毛の状態がパサパサになる、内臓面では肝臓や心臓といった臓器に影響が出てきます。
治療法について
過剰な甲状腺の機能を抑える薬を投薬するのが基本的な治療法になります。
薬自体の副作用はあまりないのですが、代謝が普通の老猫になるので、飼い主様によってはかえって不健康になったと思ってしまう方もいらっしゃいます。
また代謝がいいので体中の循環も非常に良い状態となり、投薬が循環能力が落ちるため、隠れた腎不全が出てくることもあります。
こういった副作用は投薬を中止するとすぐに改善されますので、食欲や活動性を見ながら薬の量は調整していきます。
手術で過剰な甲状腺を切除するという方法もありますが、あまり一般的ではありません。
手術のリスクが高いうえ、甲状腺の機能が過剰に抑えられてしまった場合、甲状腺機能低下症という病気になってしまうからです。
また最近では、甲状腺機能亢進症をある程度コントロールできる処方食もあるため、初期段階で発見できた場合は、投薬ではなく食事療法を積極的に行うケースもあります。
往診動物病院を活用しよう!
先ほど書いた通り、甲状腺機能亢進症は初期段階では気づくことがほとんどないため、シニアになったら定期的に検査をすることをお勧めします。
検査は血液検査になりますので、往診での検診でも簡単に判明します。
また、実際に甲状腺機能亢進症を患っている猫の大部分は、動物病院に行くのがかなり苦手であり、移動のストレスも非常に強くかかります。
甲状腺機能亢進症は薬を飲んで治すのではなく、病気をコントロールするのが治療法であるため、長期的な検診、定期的な検査が必要です。
そういった意味では、往診で甲状腺機能亢進症を管理するのは、非常に理がかなっていると思います。
まとめ
往診に適している病気や利用法は色々ありますが、こういった老齢性の疾患のほとんどは、通常の動物病院よりも往診で行った方が色々なメリットを享受することができます。
飼われているペットがシニアになった時、往診の動物病院をかかりつけの1つにするのも悪くないと思います。