猫はよく毛づくろいをする動物です。
一説には猫のような肉食動物の唾液には、被毛への殺菌成分とトリートメント効果が含まれているので、基本的にシャンプーなどはする必要がないと言われています。
ただ、チンチラなどの長毛種は猫自身が毛づくろいを行っていたとしても、すぐに毛玉ができてしまうため、常に飼い主様がブラッシングをする必要があります。
一度できてしまった毛玉は放置していると、さらに巨大な毛玉になってしまい、どうすることもできなくなってしまいます。
今回は、できてしまった毛玉をどのように取ればいいのか、往診医としてご説明したいと思います。
ご自宅で毛玉を取る際の注意点
ご自宅で毛玉を取る際に、たいていの飼い主様がハサミを使って、毛玉の根下を切ろうとします。
猫の皮膚は非常に伸びるため、毛玉を引っぱる時に皮膚も引っぱり上げられるため、ハサミで皮膚も同時に切ってしまう事故がよく起こります。
薄皮一枚で済むことが多いのですが、場合によってはかなり深く切ってしまう方もいらっしゃいますので注意が必要です。
また、バリカンで毛玉を刈るときに、バリカンの刃が長いものを使用すると、皮膚が巻き込まれてしまうので同様に注意が必要です。
特に高齢の猫の場合は、皮膚が特に薄く、ハサミやバリカンの刃に巻き込まれやすいので、慎重に行うべきです。
興奮して暴れる猫の場合
ご自宅で毛玉を取ろうとすると暴れてどうにも手が付けられない猫も多くいます。
普段は大人しくてもいざやろうとすると豹変というのは、特に長毛種のでは多いと思います。
こういった猫の場合、無理して1人でやろうとすると、猫だけでなく飼い主様も思わね怪我を負う場合もあるため、初めから1人でやるのは避けた方がいいと思います。
猫の取り扱いは、チームプレイが基本です。
理想は3人一組になって、片方が毛玉をとる役、片方が猫をおさえる役をやります。
そのうえで猫にはエリザベスカラーを装着し、抑える人はバスタオルで猫を包み、前足を肩口からしっかりと両手で押さえます。
後肢はどうしてもフリーになってしまいますので、必要とあらばもう一人が後肢を抑えるのがよいと思います。
そして猫を横倒しにして、毛玉を取る役の人が毛玉を取ります。
この時気をつけないといけないことは、決して毛玉を引っ張らないことです。
引っぱると皮膚がケガする確率が格段と増えますので、焦らず、一日で終わらせようと思わず少しづつ行ってください。
とにかく、興奮している猫を強引に押さえつけて何かをすることは困難ですので、決して無理をしないのが、最大のコツです。
どうしても触れない猫の場合
中には触ることすら許されない猫もいます。
さすがにこういった場合は獣医師の出番だと思います。
ただ、獣医師だからと言って、猫を十分に抑えられるかというと、そうではない時もよくあるので、どうしてもの場合は鎮静薬を使用します。
鎮静薬とは言いつつも全身麻酔薬に相当するものなので、事前の準備は手術と同様のことを行います。
麻酔薬のリスクはありつつも、かえって麻酔薬を使用したほうが、安全に行える場合も猫の場合は多いので、このような時はよく獣医師と相談されるといいと思います。
まとめ
猫の毛玉は飼い主様にとっては厄介極まりないものだと思いますが・・・。
たまに全身鎧のように毛玉に覆われている猫の診察をすることがありますが、できればそうなる前には処置をしたあげたいものだと思います。