寒い冬も終わり、春先は何かとやることは多くなりますが、それは犬も同じことです。
この時期にやらないといけないと言えば、混合ワクチン接種に加え、フィラリアの予防薬や狂犬病のワクチンなどやることはたくさんあります。
この30年でフィラリアの予防は劇的に変化し、予防が簡単に安価で行えるようになったため、フィラリアに感染した犬は特に都心部ではかなり少なくなりました。
フィラリアの予防薬は1か月に1回飲ませたり、背中に塗布したり、注射したりなど色々な形態がありますが、共通していえるのは、投薬開始前に事前の検査が必要ということです。
今回はフィラリアシーズンに先立ち、フィラリアの予防薬の検診の際に行いたい健康チェックについてご説明したいと思います。
フィラリアの抗体検査
ほとんどの飼い主様が、フィラリアの予防薬を投薬する前に行うと思います。
血液をごく少量採血して行います。
5分程度で終わる簡単な検査ですし、検査料金も安価ですので、できればやってほしい検査です。
一般的な血液検査
フィラリアの検査と同時に行って欲しい検査の一つとして、一般的な健康診断を兼ねた血液検査をお勧めします。
検査できる項目は、ほぼ人間と同等で、血糖値や肝臓、腎臓の機能だけでなく、コレステロール、中性脂肪、タンパクの値など、生活習慣にかかわるようなところも計測できます。
この時期に1年に1回は検査しておくと安心だと思います。
ワクチンの抗体価の検査
ワクチンを接種すると、免疫力がつき抗体と呼ばれる物質が体の中で作られます。
抗体価とはこの血液中に含まれる抗体の量のことで、量が多ければ多いほど免疫力がついているということを意味します。
ここ10数年で、ワクチンは数年に1回でいいという考え方が浸透してきましたが、少し不足した情報だと思います。
確かにワクチンを1年に1回接種しないといけないというのは慣例のようなもので、制作会社が作っているワクチンの使用添付書にも摂取する期間は明記されていません。
ですが、あまりにも長期的にワクチンを接種していないと、一度得た免疫力が下がってしまい、感染源に暴露されたときには身を守るすべはありません。
ただ、ワクチンの副反応に対する関心も高まりつつあり、できるだけワクチンの接種回数を減らしたいという飼い主様も増えているのが現状です。
そういった方には以前までワクチンの抗体価検査をお勧めしていたのですが、検査代も高く、検査に数日要するため、あまり一般的な検査ではありませんでした。
ただつい最近になって、簡易的な検査キットが販売されるようになり、30分程度でワクチンの抗体価を調べることができるようになりました。
ごく少量の血液で検査が可能なので、フィラリアの検査と含めて行い、十分な免疫が得られているようであれば、その年は予防接種を行わないようにするのが、動物にとって最も負担のないケアだと思います。
まとめ
これら上記のことは、往診で行うことができます。
春先にわざわざ混雑している病院に行かなくても、往診であればほぼ予約診療のようなものなので、待ち時間のわずらわしさもほとんどありません。
春先のルーチンなことだからなおさら、往診という選択肢を選んでみてはどうでしょか?