当然ですが、どんな小さな動物でも、時には意外と出血をします。

目に見えるところの出血ならばまだいいのですが、目の見えないところ、例えば鼻からの出血は場所もわからないうえ、意外と止まりずらいこともあるので結構慌ててしまいます。

実際に鼻出血はしばしば獣医師を悩ます疾患です。

なぜならどこから出血したのが調べるのが非常に困難だからです。

人間と異なり、鼻の構造は非常に複雑で、またマズルが長いため、奥まで観察することは不可能です。

またレントゲンによって鼻の異常を鑑別することもほぼ不可能です。

したがって、鼻から出血する理由は経験則からいくつかの場合しかないため、それに対しての対症療法を行うことが多いと思います。

今回はそんなペットから出た鼻血についてご説明したいと思います。

外傷性の鼻出血

ぶつかった衝撃で鼻血が出ることはあまり多くないと思います。

たいていの場合は同居の犬や猫に噛まれたもしくは引掻かれたなどのケースが多くあります。

安静にしていれば出血はいずれは止まりますので、慌てずに安静にしておく方がいいと思います。

出血が止まれば基本的に治療はいりませんので、様子を見ていただいて結構です。

歯根の疾患からの出血

6169712455_54677910c2

一番多い理由が、鼻というよりは歯の根っこが化膿したり炎症を起こしたりして起こるケースです。

特に犬歯の根は深く、鼻の粘膜に隣接しているため、犬歯の病気はよく鼻出血をともないます。

口の中をみて歯石が多くついていて、特に犬歯周囲の歯茎が上がっていまっている場合はかなり可能性が高いと思います。

この場合は抜歯をすることが根治につながるのですが、全身麻酔が必要です。

全身麻酔を投与することはしばしば困難な場合も多く、そのため抗生剤や抗炎症剤を使用して炎症を抑えるような治療にとどまることもあり、長期的な投薬になることもあります。

猫の鼻出血

猫で多いのが高血圧からくるケースが多く、腎不全が根底にあるケースが多いと思います。

猫の腎不全はよくある疾患で、高血圧症を引き起こすため、鼻からの出血を引き起こすケースもあります。

また感染症からくる慢性的な鼻炎からも出血があるケースもよくあります。

これらの場合は根治は難しく、また食欲などが落ち、体力もかなり弱っていることがほとんどなので、補助治療も同時に行う方がいいと思います。

33337482556_7e0fe39601

猫の鼻出血はほとんどの場合、高齢猫に見られる疾患で、根治的な治療が不可能であることが多いため、とにかく体力を落とさないようにして経過を診るのが基本的なスタンスとなります。

鼻腔内腫瘍からの出血

犬でも猫でもある程度の年齢になると鼻の中に腫瘍が存在していることもあります。

その場合MRI、CTで診断をつけ、可能であれば抗がん剤、放射線などの治療となりますが、しばしば不可能な場合もあります。

223220955_d39c2ebad0

鼻の腫瘍の場合、その腫瘍が大きくなると脳を圧迫することもあり、痙攣を引き起こすケースもよくあります。

初期段階では外見上からみても判断できないのですが、鼻出血があった場合、同時に目の疾患、出血している鼻と同側側の目が腫れているとか、赤くなってた場合は注意が必要です。

止血異常からくる出血

稀にあるのが止血異常からくる鼻出血です。

止血異常は遺伝的な疾患からくることもあるのですが、それよりも多いのが、血小板が自分の免疫によって減少してしまう病気がほとんどです。

この血小板減少症はどの犬種でも比較的なるのですが、白眼の部分や歯茎の部分に点状の出血が見られたり、内股などに内出血の後があった場合は早めに獣医師に診せた方がいいと思います。

まとめ

bandage-707462__480

犬猫の鼻血は、人間の子供のように原因がなく特発的になることはあまりなく、たいていの場合は何かしらの疾患のついでに出るケースが多いと思います。

ですので鼻出血が見られた場合はできるだけ早く受診したほうがいいのですが、興奮して出血がさらに強まるようであれば、往診などを利用していただくといいと思います。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう