動物病院に来院される代表的な理由としては、皮膚に何かしこりが見つかったというものがあげられます。

セカンドセレクトでも来院理由が「しこりができた」というケースは頻繁にありますが、その大多数は特に問題がないものになります。

今回は特に様子を見てもいいしこりの中で、ダントツでご質問の多い「皮膚組織球症」についてご説明したいと思います。

皮膚組織球腫とは?

動物の免疫を担当する細胞には色々な種類がありますが、組織球はそういった免疫担当細胞の中の1つです。

一般的にはマクロファージと呼ばれることも多く、体の中に入ってきた細菌やウイルス、異物を貪食して体を守ります。

皮膚組織球症は特に若い犬で多く見られる腫瘍で、この組織球が腫瘍性の増殖をおこし、皮膚に平べったいボタンのような形をした腫瘍を形成します。

特に頭や四肢にはよくできます。

腫瘍の増殖速度はかなり早く、最初に発見してから1週間程度で2~3㎝程度の大きさになることがよくあります。

少し赤みを帯びた色をしており、腫瘍の表面は毛が抜け、たまに傷がついたり、潰瘍のようになったりします。

ただ、増殖の程度は非常に速いのですが、基本的には良性の腫瘍です。

2~3㎝以上になることはめったにないので、それほど心配をしなくてもいいと思います。

ちなみに組織球腫でも悪性のものもあり、こちらは超がつくほどの厄介な腫瘍です。

【悪性組織球種】バーニーズと言えばこれ。予後や治療法は?

検査や治療法は?

皮膚組織球腫は見た目からも割と簡単に判断できるのですが、簡易的な針生検による細胞診で診断はつきます。

一般的には無治療でも2~3週間で自然消失するといわれていますが、セカンドセレクトでは炎症を抑えるような軟膏などを付けていただきながら様子を見ていただいています。

はじめのうちは表面が赤くなっているのですが、だんだんと色が落ち着き、そして次第に腫瘍の大きさは縮小していきます。

完全に無くなってしまうことがほとんどですが、乾燥して干からびたような極小のしこりが残ってしまうことがあります。

いずれにしても無害ではあるのですが、腫瘍の大きさが中々小さくならない、犬が気にしてなめたり、かんだりするなどの不具合がある場合には外科的に摘出します。

摘出後は基本的には良好で、再発、転移はありません。

まとめ

動物の体にしこりを見つけると、だれでも「ぎょっ」とするものだと思います。

もし自宅で犬を撫でているときに何か触れた・・・しこりを見つけた!というような時には、いつでもお気兼ねなくご相談下さい。

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