ペットを飼っている方であればご存知の方も多いと思いますが、犬や猫も人間と同じような病気をします。

そういった病気の中の代表格と言えば腫瘍ではないでしょうか。

統計学的にはペットのできる悪性の腫瘍の中でも一番多いのは乳腺腫瘍、次に多いのが悪性リンパ腫だと言われています。

以前も記事に書いたのですが、高齢になってからの乳腺腫瘍は意外と厄介なもの。

基本は外科的な対応が唯一の治療になります。

乳腺腫瘍ができたと言われたがどうしよう・・・手術ができない老齢のメス猫・犬

一方リンパ腫は手術でなく抗がん剤治療が一般的な治療法です。

リンパ腫における抗癌治療の奏効率は他の腫瘍よりも比較的に高いため、リンパ腫が発見された場合、多くの獣医師が積極的な治療を進めてくるとは思います。

ただ、もしその時のペットの年齢が非常に高齢だったら・・・。

今回はそんな高齢になったペットにリンパ腫が発見されたときの選択肢についてご説明したいと思います。

リンパ腫の治療をするときに考慮に入れた方がいい年齢とは?

かなり古い表現だと思いますが、もしリンパ腫と診断をされたときの平均余命は、何もしなければ1か月、ステロイド治療なら3か月、抗癌治療であれば1年と言われています。

したがって単純に考えるのであれば、元気であった時の余命が1年以上残されているのであれば、リンパ腫の場合は積極的な治療を考えてもいいと思います。

一般的な平均余命とはネコ、小型犬であれば13歳、中型犬であれば11歳、大型犬で9歳と言われていますので、リンパ腫に対し、抗がん剤の治療を検討したほうがいいだろうと考えられるのはそこからマイナス1歳ということになります。

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ただし犬種によっても、またそのペットの置かれている状況によっても変わってくるので、必ずしも上記の余命とはなりませんが、抗がん剤の治療の際には平均余命は頭の中に置いておくべき事項だと思います。

高齢なペットに抗がん剤治療を行う際のデメリット

これも一般的な話にはなりますが、抗がん剤の副作用は人の場合は70~100%の確率でみられるのに対し、犬や猫の場合は30~50%と言われています。

抗癌治療を行う際の副作用は多岐にわたりますが、実際に重大な副作用が出るケースは、獣医医療では確かにまれだと思います。

ただ個人的な経験上、抗がん剤投与後の食欲不振や活動量の低下は、高齢なペットの方が若い個体よりも頻発すると思います。

また、抗がん剤の投与前には血液検査などで抗がん剤の副作用を観察するのですが、高齢な場合、一度見られた副作用が元に戻るまでは少々時間がかかるため、当初のスケジュール通りにはいかないこともあります。

ただ、高齢だからより深刻な状況になりやすいかと言われると、それほどの違いはないと思います。

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抗がん剤治療を選ばなかったら?

そうは言いつつも、抗がん剤の治療を提示されたときに、年齢というのは飼い主様にとって非常に強い要因にはなると思います。

実際、抗がん剤治療を望まれる飼い主様は年齢とともに反比例するのは事実としてあり、そのほかの代替治療を望まれるケースは比例して多くなります。

また、年齢だけでなく、明らかにリンパ腫のステージが進んでいた時や、リンパ腫の中でも極めて悪性度の高いものであった時などは、やはり抗がん剤の治療を選択しないケースもあります。

こういった治療を往診で行うケースも多くあり、極力ペットの負担を軽減できるような方法で治療を進めていくことが多いと思います。

【積極的な治療】VS【緩和治療】もしくは【延命?】もしペットが難病にかかったら?動物カウンセラーの勧め。

まとめ

何を選択するのがよかったのかを、選択するときにわかっていればいいのですが、そうではないところがとても悩むところです。

何が正解というわけではないので、結局のところやってよかったかどうかは、担当した獣医師の導き方次第となると個人的には思います。

ペットが高齢になってリンパ腫と診断されたら・・・当然色々なお悩みがあると思いますので、そういった時にはお気兼ねなくご連絡ください。

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