一般的に終末医療という言葉の中には、色々な治療が含まれています。
特に動物の医療では、終わりを迎えようとしている動物に対し、積極的な治療を行うケースもあれば、自宅でただ看取ってあげるという飼い主様もいらっしゃいいます。
往診を行っているセカンドセレクトでは、ご自宅で色々なご家庭でのご相談を受けることも多くあるのですが、どんな方法でも飼っているペットには無理をしてほしくないというのがほとんどの飼い主様の願いだと思います。
今回はそんな治療法の選択肢の中で、自宅での皮下点滴を行うという選択をした飼い主様への、ちょっとした注意点をご説明しようと思います。
浮腫がないかどうか
心臓病や腎臓病、腫瘍などの疾患でよくあるのですが、四肢の末端などがむくんでいる場合があります。
こういった場合は、循環不全を起こしていることが多く、皮下点滴を行った後に、過剰に循環血液量が増えてしまうため、思わぬ状態の悪化を招くことがあります。
自宅で補液する際に、最も気を付けないといけないポイントです。
呼吸は安定しているか
皮下点滴により過剰な循環量になると、肺に負担がかかってくることが多くあります。
特に心臓病や、腎臓病では血圧自体が上がっていることが多く、肺への負担をかけやすいやめ注意が必要です。
動物が寝ているときの呼吸の回数をまめに測ることが良いとされ、1分間で30回以上の呼吸の回数であれば、獣医師と相談したほうがいいでしょう。
吸収は十分か
動物の一般状態が落ちていると、皮下点滴を吸収する力も落ちてしまいます。
結果として、背中に入れた皮下点滴の薬剤が、胸のあたりや前足のほうに垂れ下がり、むくんだような状態になります。
皮下点滴を行ったあとにまだ薬剤が、こういった皮下に残っている場合は、追加の点滴を行うのはやめ、吸収しきったら行うようにしてください。
食事を取らせているか
自宅で行う皮下点滴の場合は、水分を取らせることはできますが、その他の栄養源を補給することはできません。
特に猫のような肉食動物は、経口的にたんぱく質を摂取しておく必要があるため、嘔吐などがなく給餌ができるような状態であれば、積極的に行うようにしてください。
個人的な意見で言えば、経口食のほうが皮下点滴を行うよりも適切に水分などが取れるため、給餌ができる限りはそちらのほうに労力を費やした方がいいと思います。
過度にストレスになっていないか
一番気をつけないといけいないことは、皮下点滴が動物にとって過度なストレスになっていないかどうかです。
自宅での皮下点滴の最大のメリットは、通院の負担やストレスを軽減させることです。
もし動物が過度なストレスを感じているようであれば、皮下点滴による治療は破たんしていると考えたほうが良く、別の方法を取るべきだと思います。
まとめ
以上の注意点以外にも、皮下点滴をする際の注意点は色々あります。
ただしそれはあくまでも獣医師レベルの話なので、往診などを利用し適切に皮下点滴が行えているかどうか、定期的にチェックをしたほうがいいと思います。
自宅で治療するからこそ、プロの目線をたまに入れておくのが、最終的には動物の負担を軽減することにつながるのではないでしょうか?