動物病院に勤務しいてる時には、多くの飼い主様が飼っている犬の皮膚にしこりが見つかったと、心配になってご相談に来ることもよくあります。
正直な話、よくこんな小さいしこりを見つけるなぁと思うこともよくあります。
飼い主様の注意力というのはどんな名医よりも優れているなとよく思いました。
一口にしこりと言っても、本当のイボのようなものから、腫瘍の可能性も否定できないものまでいろいろありますが、基本的にこれらのものをどうにかするのであれば、切除するしかありません。
今回は、こういった体表にできた小さなしこりの対応法について、ご説明させていただきます。
同じ体表のしこりでも、いわゆる乳腺腫瘍に関しては、こちらを参考にしてください。
放っておく
体表にできたしこりの中には、放っておいても何ら影響がないものものあります。
ご自宅で処置をしなくてもいいものかどうか、簡易的に見分ける方法はしこりをつかんでみるといいと思います。
もししこりが皮膚と一緒に持ち上がったり、簡単に移動できたりする場合や、皮膚の下にあったとしてもそれがころころと移動するようであれば、問題になるようなしこりであることは滅多にありません。
このようなしこりは実害がなければ放置するのも手だと思います。
反対に、しこりが下の筋層とくっついている場合は、あまりいいものではないことがありますので、往診なので定期的に大きさなどをチェックしていく方がいいと思います。
切除する
先に書いたように、簡単に動くようなしこりの場合は、局所麻酔で摘出することも可能です。
もちろん大きさにもよりますが、往診にてご自宅で摘出することも可能です。
簡単に摘出できないケースとしては、顔周りにしこりがある、よく動く猫、心臓などが悪い動物などは、局所麻酔での処置はあまり適応とはなりません。
局所麻酔ですので動物が動いてしまったり、興奮して心臓などの症状が悪化するケースがあるからです。
以前には、大型犬から30㎝大のしこりを局所麻酔で摘出したこともありますが、動物自体がじっとしていてくれれば、かなりの大きさでも局所麻酔で対応することは可能です。
縛って様子を見る
このやり方は個人的にはあまりお勧めではないのですが、念のため対処法としてはあるので書いておきます。
しこりを上に引っ張って根元を糸でしっかりと縛り、しこりが干からびて壊死してくるのを待つ方法です。
炎症や痛みが起こるケースや、最悪、感染を引き起こすケースもあるので、簡易的な方法ではありますが、十分注意が必要です。
まとめ
しこり=すぐ悪いものというわけではありませんし、通常の動物病院でなければ対応ができないのかというと、そういうことでもありません。
特に犬の高齢期にはこういったしこりがよくできますので、慌てずに往診などを活用し、検診を行った方がいいと思います。