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2020-02-20

不規則な生活を強いられることの多い現代社会。

ぼくも含めてですが、仕事が終わるのが遅くなると、どうしても夜の食事の時間が遅くなりがちです。

深夜にものを食べた翌日は、吐き気まではいかないまでも、ちょっと胃もたれがある感じがします。

こういった胃のもたれや、むかつきは人間だけでなく、ペットでも見られると考えられており、健康な個体でも嘔吐が見られることがります。

今回ご説明したいのは、特に健康体の犬で多い嘔吐についてです。

様々な要因が嘔吐にあるのですが、今回はよくある理由についてご紹介させていただきます。

特発性胃運動低下症

特発性胃運動低下症はその名の通り、何の理由もなくただただ胃や腸の蠕動運動が低下しているため、食渣が胃の中に長時間停滞する病気です。

胃には炎症も潰瘍も存在しません。

普段は元気で健康には何の問題もないのですが、食事をとった数時間後に間欠的な嘔吐が見られるのが特徴で、吐物の内容はその前に食べた食事が混ざっています。

血液検査、レントゲンなどの様々な検査ではあまり特徴的な異常は見られません。

経験的に少し太り気味な体型にもかかわらず、食事に対しての興味が低いような犬に多いように思えます。

治療は嘔吐の頻度が多いときだけ、制吐剤や腸の蠕動を促す薬を使用しますが、完全に嘔吐がなくなることはあまりありません。

食事の内容を変更すると症状が改善することもあると言われていますが、もともと食欲に乏しい性格をしている犬が多いため、食事の変更もあまりうまくいきません。

ただ、嘔吐以外はいたって問題が見られないため、はたして病気なのかどうか迷うことも多く、無治療で経過を見ていただくこともよくあります。

胆汁嘔吐症候群

胆汁は食物が十二指腸を通過すると胆嚢から分泌され、食物の消化を助けます。

長時間の空腹時には胆嚢内に貯留していた胆汁が、消化管の中に食物がないのにもかかわらず十二指腸内に分泌されることがあります。

分泌された胆汁は十二指腸を逆流し胃内に流入します。

胃内はもともと強い酸性の環境にあるのですが、胆汁が混ざることで胃内の酸性度が大きく変化し、これによって嘔吐が引き起こされます。

主に夜中から明け方にかけて単回の嘔吐が見られ、吐物は固形物のない黄土色のものが普通です。

嘔吐のほかには食欲、元気にはほぼ影響がないことが多く、治療はほぼ必要ありません。

経験上、やせ形のトイプードルに最も多くみられると思います。

予防法として、夜の遅い時間帯に少量の食事を与えると嘔吐の頻度は減ります。

それでも頻度の多い場合には、胃薬などを使用して胃の粘膜を保護するといいと思います。

始めて起こる場合は飼い主様も心配になることが多いのですが、そのうち飼い主様自体が慣れてしまうので、診察をしていてもあまり話題になることもありません。

まとめ

本日ご紹介した病気は、よくご相談を受ける病気の中でもあまり対応が必要のないものの代表です。

ただ、まれに大丈夫だと思っていても隠れた疾患が見つかることもあるので、とりあえず1回は受診されることをお勧めします。

2020-02-13

犬という生き物は、猫やその他の動物に比べると、口を大きく開けることが多い動物だと思います。

診察をしているとそんな犬が、「犬が口を開かなくなった」とか「急に食事をぽろぽろと落とすようになった」、「口を触ると嫌がるようになった」などを心配されてご来院される飼い主様も多くいらっしゃいます。

たいていの場合、一時的なものか、もしくは歯周病などの問題であったりするのですが、たまに明らかに口を触られること自体を嫌がる犬もいます。

こういった場合、たまにある病気として「咀嚼筋炎」というものがあります。

今回はこのあまり聞いたことがない病気についてご説明したいと思います。

咀嚼筋って?

咀嚼筋はその名の通り、モノを食べるときに咀嚼する際に使用される筋肉です。

4つの筋肉からなるのですが、ざっくり言うと歯をぐっと食いしばった時に膨れる筋肉とこめかみの筋肉、それと顎を前後に動かす筋肉になります。

咀嚼筋は体のほかの筋肉よりもエネルギーを生み出すミトコンドリアの量が多く、持続的な運動に耐えることが出来ます。

そうでなければ、一口100回噛むなんて言う医療指導ができるわけがないと思います。

咀嚼筋炎とは?

咀嚼筋炎とは免疫異常によって、自己の免疫システムが咀嚼筋を攻撃することによって起こります。

咀嚼筋炎を患った犬は、顔の頬の近辺の痛みから、食欲不振、元気がなくなるなどの症状見られるようになります。

口を開くのを嫌がるだけでなく、頭を撫でられるのを嫌がなど、顔周りに人間の手が来ることを極端に嫌がることが多くなります。

始めは咀嚼筋自体は腫脹しているのですが、症状が進むと筋肉の萎縮が進み、こめかみのあたりの筋肉が削げ落ち、頭蓋骨の形がよくわかるくらい、筋肉が痩せていきます。

症状が進行した犬はあまり痛みを訴えることはかえってない反面、口はかなり開きずらくなっていることが多いのですが、この時点で動物病院に連れてくる飼い主様が多いと思います。

検査の方法は?

確定的な検査の方法は、筋電図と呼ばれる筋肉の電位を見る検査と病理検査になりますが、筋電図は汎用される検査機器ではないのと、病理検査は犬への負担が大きいため、あまり一般的ではありません。

セカンドセレクトも含めですが、一般的な動物病院では、特徴的な筋肉の萎縮と筋炎にかかわる血液検査の結果から推測していきます。

ただし、血液検査は病状の進行がかなり進んでいた場合は、見かけ上、特に問題がないような結果になるため、判断には注意が必要です。

治療法について

基本的には免疫を抑制するために治療薬を使用します。

ステロイドが代表的な治療薬で、補助としてその他の免疫抑制剤を使用していきます。

教科書的には予後は良いとされていますが、咀嚼筋炎を患う犬は大型犬が多く、また大型犬はステロイドが持つ副作用への耐性が弱いため、割と多くの犬で副作用が多くみられます。

ステロイドの副作用は注意して投与すれば、軽微~中程度の問題で抑えることが出来るのですが、排尿の量が異常に増えるため、自宅での管理は割と大変になるとおっしゃる飼い主様が多いと思います。

いずれにしても生涯的な投薬が必要になるため、定期的に病状もしくは副作用を把握するための定期検査が必要となるため、それなりの負担が生じることがどの犬種おいても避けられないと思います。

まとめ

セカンドセレクトでは多くの免疫不全、免疫異常を患った動物たちが来院します。

こういった病気は病状が安定しているのか、そうでないのかわかりずらいこともあるため、何かご心配なことがありましたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-02-07

インフルエンザが流行るこの時期、意外とよく聞く言葉「人畜共通伝染病」。

その名の通り、人間と動物たちの種の垣根を超える伝染病のことです。

真っ先にインフルエンザやコロナウイルスなどの恐ろしい伝染病を思いつくかもしれませんが、身の回りのペットからも伝染することがある病気はいくつもあります。

そういった病気の中でも割とよく見られ、かつ動物病院の中で飼い主様に伝染していることが判明する病気が「皮膚糸状菌症」です。

今回はこの皮膚病についてご説明したいと思います。

皮膚糸状菌症とは?

皮膚糸状菌とはカビの一種のことで、その感染により皮膚に様々な病変を作ります。

一言にカビいっても様々な種類があるのですが、皮膚糸状菌とは病原性のあるカビの代表格になります。

病原性のあるとは言いつつも、元来カビの類は感染してもほとんど症状は出さないことが多いと言われています。

たとえば人間の水虫の原因と言われている白癬菌もカビの一種なのですが、日本人の女性の3人に1人は足先からこのカビが検出されます。

ただ、実際に3人に1人の女性が水虫を患っているかと言われれば・・・けっしてそういうわけではありません。

カビの症状が出るような場合には、感染された動物に何かしらの原因があることが多く、皮膚糸状菌症も同様に動物側に何かしらの原因があることが多いと言われています。

ちなみに猫は皮膚糸状菌症のキャリアであることが多く、特にペルシャ猫を代表とした多くの長毛種の猫は、症状は出さないのにもかかわらず、皮膚糸状菌が検出されます。

検査方法はたいていの場合、顕微鏡で検査を行い菌糸を見ることが多いのですが、なかなか見られないことも多いため、培養試験を行うこともあります。

ただ、検査結果が出るまで2週間から4週間程度かかるため、たいていの場合は疑わしくは治療することが多いと思います。

猫の皮膚糸状菌症

猫の皮膚糸状菌症は滅多に症状は出ないのですが、子猫には比較的多くみられます。

耳の根元や耳介の外側、四肢の関節のあたりなどに円形状の脱毛が見られます。

また足先や足裏にもガビガビしたかさぶたのようなものがこびりつくことも多く、その手足で顔周りを掻くため、症状の進んだ猫の場合は顔全体が脱毛したりします。

多くの場合は多少の赤みはあるものの、あまり痒がらず、子猫の場合は軽症であれば成長とともに自然治癒をすることもあります。

一方で、多頭飼育や何かしらの原因で免疫力が低下している猫の場合は積極的な治療を行わないと、病巣が拡大することがほとんどです。

皮膚糸状菌は、皮膚そのものというよりは被毛に付着していることが多いため、まず患部の剃毛が必須となります。

そのうえで抗真菌薬を外用もしくは内服で投与していきます。

ここ数年で日本で認可された犬や猫用の抗真菌剤も販売されるようになったため、猫の皮膚糸状菌症は比較的治療しやすくなったとは思いますが、それでも完治までには割と長い時間がかかることがほとんどです。

犬の皮膚糸状菌症

犬の場合も猫と同様に、症状が出ずに自然治癒することがほとんどだと言われています。

ただし、犬の場合はアレルギー性皮膚炎などの皮膚の免疫力を低下ささせる様々な要因が猫に比べると多く存在しているため、実際は割と多くの犬で症状が見られることがあります。

症状の出方はあまり典型的なものはないのですが、一般的には「リングワーム」と言われる赤い円形状の皮膚炎が全身性にみられます。

リングワームの多くはその周辺が赤くただれており、中心部は治癒しているかのように見えるリング状の病変です。

また爪周囲にも感染をして、爪周囲炎と言われる病変も作ります。

犬の皮膚糸状菌症は猫の場合と異なり、大抵の場合は基礎疾患が存在することが多いため、治療には基礎疾患の治療を行うことが必要となるケースが多いと思います。

したがって剃毛や抗真菌剤の使用だけでなく、アレルギーや甲状腺機能低下症などの代表的な皮膚疾患の治療も同時に行うほか、スキンケアも常時行う必要があります。

カビの存在が消失しても、たいていの場合は基礎疾患は治らないことが多いので、結局のところ治療は継続的に行わないといけないことも多いのも特徴です。

ウサギの皮膚糸状菌症

ウサギの皮膚糸状菌症もほとんどの場合は症状を出さないのですが、高齢や何かしらの疾患で衰弱したウサギにみられることがほとんどです。

教科書的には自然治癒がほとんどと言われていますが、実際に衰弱したウサギがその状態から離脱できることはまれなため、対応法はほとんどありません。

感染経路は他の動物からがほとんどと言われているため、もし高齢や何かしらの疾患で弱っているウサギの飼い主様で、他に犬や猫を飼われている場合は、隔離するのが最も効果的です。

ちなみに犬はハリネズミからもらうことも多いため、犬はハリネズミとも隔離したほうがいいと思います。

もし人間が感染したら・・・

皮膚糸状菌症は人間にも感染します。

特に皮膚病を患っている猫と同居している小さな子供や女性の方に皮膚病変が見られることはよく見かけます。

また先ほども書いた通り猫は症状を出さないことが多いので、皮膚病がない猫でも一緒にベッドで寝ているような女性は気を付けた方がいいと思います。

診察中に飼い主様の腕をみて獣医師が気づくケースも多く、「どうしたらいいですか?」とよく聞かれるのですが、とにかく皮膚科に受診するようにしてくださいとお伝えしています。

当たり前の話ですが・・・。

まとめ

皮膚糸状菌症と似たような皮膚病は数多くありますし、一般的な皮膚病は次の日に治るようなものでもありません。

治癒に至るまでは長期間かかることも多くあるため、あせらずじっくり治療することが必要だと思います。

2020-01-29

眼の異常というのは、他の異常に比べると意外とわかりやすいと思います。

人間も同じですが、ペットでも目に何か違和感を感じると目を細めてしまったり、開かなくなったり、時には涙や目やにが多く出るようなこともあります。

そういった目に異常を起こす病気の中でも、ひときわ目立つ病気としては「ホルネル症候群」と言われるものがあります。

あまり聞きなれない病気かもしれませんが、今回はこのホルネル症候群についてご説明したいと思います。

ホルネル症候群とは?

眼や鼻、耳などの顔にある感覚器は、その情報を脳につたる役目をしています。

したがってより多くの情報が得られるように、感覚器の運動能力も脳から直接出る神経によって統制されています。

眼であれば、瞼を閉じる、瞳孔が開くなどの調整も脳から直接出る神経によって、無意識のうちにできるようになっています。

ホルネル症候群は脳から出た目の運動を統制する神経のどこかに障害があるために出る症状の総称になります。

神経的な統制が取れなくなってしまうため、一般的なホルネル症候群の症状は瞼が垂れ、瞬膜が露出し、瞳孔が縮瞳します。

ホルネル症候群の原因

脳からでた神経は脊髄の中を通り、首のあたりから分岐してから大きく迂回し、首の動脈と並行して顎の下から入って目につながります。

ホルネル症候群はこの神経のどこに障害があっても症状が発生します。

例えば脳に腫瘍や梗塞が起こり神経に障害が出ることによって起こることもあれば、事故やけがなどで首の付け根あたりを損傷しても症状が出ます。

実際にはこれらの原因はどちらかといえばまれであり、一般的に起こりやすいのが中耳炎や内耳炎を起こし、その炎症が耳のそばを通過する神経の方に影響を与えるか、特発性と言って原因がよくわからないタイプかどちらかになると思います。

中耳炎や内耳炎から発生する場合は原因の追究はしやすいのですが、特発性の場合はMRIやCTなどを使用しても損傷している神経の個所は特定することはできません。

特発性のホルネル症候群は犬でも猫でも見られることがありますが、犬の場合は特定の犬種に多く、ゴールデンレトリバーには多く発生すると言われています。

治療と予後は?

もし何らかの明らかな原因が存在している場合は、その原因を取り除く治療を行います。

内耳炎や中耳炎であればその治療、頸部の損傷であればその治療、難しいとは思いますが脳が原因であればその治療を行います。

予後はその基礎疾患の重度にもよりますが、たいていの場合は症状は完全に消失しないことが多いと思います。

原因不明の特発性の場合は基本的には無治療で様子を見ていくか、ステロイドを2週間程度使用して経過を観察するかどちらかの方法になります。

正直予後はまちまちで、2~3週程度で治まる場合もあれば、半年ぐらいして突然治まることもあります。

後遺症として症状が残ることもあるのですが、ほとんどの場合、日常生活には影響が出ることほとんどないので、気長に待つしかありません。

まとめ

眼という感覚器は緻密であるがゆえ、再生がききません。

何かしらの異常があった場合はあまり様子を見ず、早めに受診していただくようお勧めします。

2020-01-23

犬を病院に連れてくる理由の中で意外と多いのが、発咳だと思います。

理由は違うのですが、犬種や性差、年齢にかかわらず、犬はよく咳をする動物です。

咳の理由としては、感染を起こしたものや、老齢性のもの、心臓からくる咳など色々ありますが、今回は幼い犬で割とよくみられる気管支炎、「ケンネルコフ」についてご説明したいと思います。

ケンネルコフとは?

ケンネルコフは犬伝染性気管気管支炎と言って、特定のウイルスや細菌によって引き起こされる気管支炎のことを言います。

原因となるものは犬アデノⅡ型ウイルス、パラインフルエンザ、ボルデテラ菌があげられます。

ペットショップやブリーダーなどから譲渡されたすぐの仔犬に特に多くみられるのですが、まれに成犬でも感染した犬との接触により症状が出ることがあります。

フェスなどの何かしらの犬の集会や、ペットホテルなどから帰宅した後に咳をしているようであればこの病気を疑ってもいいかもしれません。

基本的には発咳、咳の後のえずき程度の症状であり、全身に症状が波及することはあまりありませんが、咳の具合はかなり重度です。

人間の咳と同様に咳が一度で出すとなかなか止まらず、またよく吠えるような犬は1か月以上も咳が続く場合もあります。

また、幼犬や何らかの疾患を持っていた場合は、細菌の2次感染を引き起こすこともあるため、肺炎を引き起こすこともあるため、食欲不振や体重減少が見られた場合は注意が必要です。

治療法と予後は?

基本的には無治療でも自然に治癒することがほとんどです。

ですので安静が出来るような環境を整えていただき、十分栄養を取らせることをお勧めしています。

咳による生活の質の低下が目立つようであれば、去痰剤や鎮咳薬を使用します。

抗生剤の有効性は疑問視されている一方で、ぼくも含めてほとんどの獣医師が抗生剤を処方しますが、可能な限り短期間の処方にとどめるようにしています。

問題は他の細菌などの重感染が起こり状態が著しく低下した時です。

大抵の場合、重度の気管支炎か肺炎を患っていることが多いため、入院治療を余儀なくされます。

とはいいつつも10年以上前はペットショップやブリーダーの厩舎は劣悪な環境であることもあったのですが、ここ数年で大きく環境は改善し、実際には肺炎まで患っているような仔犬に出会うことはほとんどありません。

成犬の場合もめったなことでは肺炎まで進行することはないので、予後は悪い病気ではないと思います。

ボルデテラ菌以外は混合ワクチンに含まれているため、成犬でワクチンをしっかり接種していれば感染を防ぐことはできるのですが、アデノⅡ型ウイルスは他のワクチンウイルスよりも抗体が上がりにくく、ワクチンを接種していても免疫力がしっかり上がらないこともあります。

ワクチンを接種しているからと言って過信せず、体調の悪そうなときには多くの犬が集まるようなところには連れていかない方が無難だと思います。

犬のインフルエンザって?

余談の話になるのですが、ケンネルコフの原因ウイルスとして、パラインフルエンザというウイルスがありますが、インフルエンザウイルスとは全く異なるものです。

犬にも犬インフルエンザウイルスがあることはこの10年ほど前から知られるようになり、おととしにはアメリカで大流行しました。

症状は人間のインフルエンザの症状とほとんど同じですが、今のところ犬から人へ伝搬することはないと考えられています。

ただ、インフルエンザウイルスは変異を起こしやすいウイルスのため、未来永劫大丈夫かと言われると・・・疑問の余地はあります。

ちなみに数年前に新種の犬インフルエンザが中国で見つかりました。

最近なにかと話題の新種のコロナウイルスも中国ということでしたが、国土の大きい国は疫学的な問題が大きいため、大国から発生した新種のウイルスの話を聞くと少し怖い感じがします。

まとめ

仔犬の空咳は一番最初に動物病院に犬を連れていく理由のTOP3に入ると思います。

飼い始めてすぐは何かと心配だとは思いますが、大事に至ることはあまりありません。

人間の風邪と一緒なので、とにかく安静にさせて食事をとらせることをまず行い、それでも治りが悪ければご来院ください。

2020-01-15

医療の技術は日進月歩という話はよく聞かれる言葉だと思います。

20年以上臨床現場にいると、特に医療機器の進歩はよく感じます。

CTやMRIなどといった検査機器は、僕が学生の頃は大学病院にすらなかったのですが、今では都内であれば簡単に検査を受けることができます。

普通の動物病院でも、レントゲンや血液検査の機器の性能は向上し、以前であれば時間のかかった検査も、迅速に出すことができます。

そういった検査機器の中でも、性能が上がったと特に感じるのはエコー検査機器です。

以前では画像の解像度も悪く、かなり客観性に乏しい機器だったのですが、解像度も上がり、ドプラーと呼ばれる機能が標準化されているので、どこの病院でも大概の心臓病は診断がつくようになりました。

エコー検査機器の発達により、ここ数年で「肺高血圧症」という病気の診断が多くなってきました。

高血圧という言葉を聞いただけでもあまりよい病気でないような印象ですが、今回はこの病気についてご説明したいと思います。

肺高血圧症とは?

肺高血圧症とはいわゆる高血圧症ではなく、肺を流れる動脈の血圧が上がる病気のことを言います。

猫よりは犬の方が発生率は高いと言われていますが、犬に比べると猫の方が圧倒的に検査もしにくいため、もし検査が簡易的に行えられれば少し違ってくるかもしれません。

肺動脈の血圧が上がる理由はいくつかあるのですが、教科書的にもっともメジャーな原因はフィラリア症に感染して2次的に発生するケースです。

ただここ数年ではフィラリアの感染率は非常に低く、特に都内ではほとんど見られなくなりました。

【犬フィラリア症】知っているようで知らないこの病気。結局どんな病気?

今のところ臨床的に多いのは、高齢な小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症による合併症や慢性気管支炎、または特発性と言われる原因があまりはっきりとしないものだと思います。

始めのうちは倦怠感やパンティングが多くみれらる程度なのですが、症状が進むと発咳、ふらつきや場合によっては失神などもみられるようになります。

安静時でもうまく肺でのガス交換が出来なくなるためチアノーゼが目立つようになり、最悪のケースでは喀血なども起こり、死に至ることもあります。

診断方法は?

肺高血圧症の診断はかなり難しく、人間でもいくつかの検査項目を満たして初めて診断がつきます。

また、肺動脈の血圧を計測するには、血管から直接カテーテルを挿入して計測するのですが、一般的な動物病院では実施は不可能な検査です。

したがって確定診断までは下せないものの、エコー検査にて診断をつけることがほとんどです。

肺高血圧症になると、肺動脈とつながっている心臓の右側部分に異常な肥大が見られるようになります。

また心臓内にある弁にも異常が見られ、心臓内で血液の逆流が見られるようになるため、その逆流速度を測定して診断をしていきます。

ぼくが獣医になりたての頃は、エコー検査機器もそれほど発達もしていなく、血流の速度を調べるドプラー機能があるエコー検査もそれほどメジャーではありませんでした。

ただ、今ではドプラー機能がないエコー検査機器しかもっていない動物病院はほとんどないので、こういった血流速度の計測は一般的な動物病院でもできます。

具体的には三尖弁、肺動脈弁という心臓の弁付近の逆流する血液の速度を測定し、一定以上の逆流が見られた場合に肺高血圧症と診断します。

ただ実際には、肺高血圧症は併発疾患がとても多いので、エコー検査だけでなく、レントゲン、血液検査、血圧測定、心電図なども必要です。

治療法について

今のところ、「これだ」というガイドラインは存在しません。

ぼくも含めた一般診療に従事する獣医師は、循環器の権威と呼ばれている獣医師の治療法を模倣しながら行っています。

人間と同様、併発疾患の治療を行いつつ、経過を見ていくことがほとんどです。

肺高血圧症の治療が必要となった場合は「シルデナフィル」という薬を使用します。

これは血管を拡張させる作用がとても強い薬で、肺高血圧症の薬としてはとても効能が高いのですが、使用していくにはいくつか問題点があります。

まず一つはとても薬価が高いということです。

シルデナフィルは商品名を「バイアグラ」といい、小型犬に使用したとしても1日1000円前後の薬価になることがほとんどです。

セカンドセレクトでは高価な薬の場合、個人輸入をして治療費を抑えてもらうことが多いのですが、薬の性質上、個人輸入のサイトも怪しげなサイトが多すぎて、どのサイトがいいのかは判断しずらいことも問題点です。

いちおう、処方にはジェネリックを使用しているのですが、それでも薬価は高いので、治療の際にはいつも難儀します。

また肺高血圧症と併発している疾患も、肺高血圧症の治療をしないといけないという時にはかなり病状が進行していることも多いので、症状をコントロールしずらいことも多くあります。

結局のところ、病気としてはあまりいい病気ではないので、念密な治療計画が必要になります。

まとめ

検査機器などの進歩によって、新しい病気が発見でいるということは、新しい悩みが生まれるということでもあると思います。

セカンドセレクトはできる限り、ペットだけでなく、飼い主様のご負担を軽減できるような治療を進めていきますので、もしご不安な点がございましたらいつでもご相談ください。

2020-01-06

猫という生き物は動物の中でも繊細な生き物です。

見知らぬ環境やモノに対しての警戒心は強く、一度警戒すると1週間以上も飲まず食わずでずっと隠れることもあります。

こういった猫の特性から、動物病院で猫を預かるときにはその周囲の環境に気を配るようにしています。

ただ残念ながら、色々な工夫をしていても、預かり期間中はほとんど食事をとらないという猫は、種類、性差、年齢を問わず割と多くいると思います。

大抵の場合は帰宅後に食欲が回復することがほとんどですが、たまにそういったストレスによる絶食がきっかけで、急激に調子を崩すことがあります。

今回ご説明する病気は「肝リピドーシス」というものです。

猫をペットホテルに預けた後などで見られることがまれにある病気です。

ペットホテルで預けることのある猫の飼い主様がいらっしゃいましたら、ご参考にしてただければと思います。

肝リピドーシスとは

肝リピドーシスは何らかの原因により、肝臓の細胞の中に大量の脂質が蓄積されておこる急性肝障害です。

猫でよく見られる病気なのですが、なぜ肝細胞に脂肪が蓄積されるかはわかってはいません。

肝リピドーシスは特に太った猫が環境の変化、食事の変更、何らかのストレスにより採食が長期間中断され起きてしまう場合と、他の病気によって2次的に引き起こされる場合とがあります。

併発する疾患は糖尿病、膵炎が多いとされていますが、どちらの病気も食欲不振が目立って起こる病気です。

猫はたんぱく質の必要量が他の動物よりも多く、たんぱく質の不足は様々な不具合を引き起すことが知られています。

こういったことから肝リピドーシスは何らかの栄養源、特にたんぱく質やアミノ酸の欠乏と猫特有の脂質異常により引き起こされると考えられています。

同時に併発する病気がなければ肝リピドーシスは予後はいい病気ではあるのですが、そのまま放置していると死に至ることもあるため、早めの段階から治療に進むことが必要です。

症状としては当然ながら食欲不振、著しい活動性の低下がみられ、併発疾患があればその病気にみられる症状が出ます。

また著しい肝障害が起こるため、黄疸もよく見られます。

タンパク、アミノ酸の欠乏や脂肪の代謝の異常は、全身的な代謝の異常を同時に引き起こすため、問題になっているのは肝機能の低下だけではなく、体液バランスの異常や貧血なども引き起こされていることもあります。

症状が進むとほぼ昏睡状態に陥ります。

個人的な意見ですが、ぼくたち獣医師にとって一番困るのは、どちらかといえば健康な肥満猫が肝リピドーシスになってしまうケースです。

理由としては食欲不振のある猫の診療をしている場合、併発疾患がある場合はたいてい肝リピドーシスを同時に起こしていることがほとんどなので、早期の段階から肝リピドーシスの治療を開始します。

一方でホテル等で預かり中もしくは後に起こるケースは予想が立てずらいことが多いと思います。

ただ単に環境の変化などによる食欲不振かと思っていても、気づいた時点では割と症状が重篤化していることもあるからです。

ですのでセカンドセレクトでは、猫を預かる際にはまめに体重を計測し、体重の減少が見られないかをチェックしています。

肝リピドーシスでは短期間で著しい体重の減少もみられるのが一般的です。

肝リピドーシスはわかりにくい病気

肝リピドーシスは診断が難しい病気だと思います。

先ほどもご説明した通り、何らかの病気がすでにあった場合は、肝リピドーシスが高確率で併発しているため、それ前提で治療が進められます。

併発疾患がなかった場合でも、血液検査では肝臓に関する値には異常値が見られるのですが、他の病気でも同じような異常値が見られることが多く、見分けはつきません。

何らかの方法で肝臓の細胞を直接採取し、病理診断を行うことが望ましいとされていますが、一般的な動物病院では病理診断は外部検査を利用するため、結果がわかるまで1週間程度かかります。

それまでに無治療であれば猫の状態は末期的に低下します。

また肝リピドーシスを患っている猫には止血異常が見られることが多いため、肝臓から細胞を安全に採取するのも容易ではありません。

個人的な意見で言えば、肥満の猫が何らかの環境の変化などの後に食欲不振が見られた場合は、検査結果によらず肝リピドーシスを疑い治療を開始するのが得策だと思っています。

併発疾患としては糖尿病、膵炎、甲状腺機能亢進症があるのですが、こういった既往歴がある猫が食欲不振が見られた場合は、肝リピドーシスを起こしている可能性が高いので、なおさら早急な治療が必要です。

肝リピドーシスの治療

肝リピドーシスの治療はとにかく高タンパクでかつ低脂肪の食事を給餌させるのが先決です。

問題なのは食欲が低下している猫に食事をとらせることは非常に難しいことです。

教科書的には経鼻カテーテルなどを通して食事をとらせることがよく書かれています。

場合によっては胃ろうなどのチューブを設置し、自宅でも給餌をしっかりと行うことを推奨しています。

個人的な経験則として、肝リピドーシスにかかる猫はストレスに対する耐性があまりないので、できればストレスの多い行為は避けたいと考えています。

ストレス誘発による神経や内分泌の影響は無視できないこともあり、手厚い治療をすればするほどドツボにはまることもよくあります。

そのためセカンドセレクトでは給餌は可能な限り、シリンジなどを使用して口から強制給餌を行っています。

人も猫も慣れてくれれば、問題なく必要量を与えることは多いと思います。

ただ、猫によっては、口から強制的に何かを入れられると、よだれが多量に出てきたり、飲み込まず口から流れ出すようだったりとかえってストレスが大きくなる猫もいます。

そういった場合には経鼻カテーテルを考えます。

次に問題なのは、給餌以外の治療がどれくらい必要になるかです。

症状が進んでいる場合には、肝臓の治療だけでなく、電解質の補正や脂溶性ビタミンの投与、場合によっては輸血なども必要になります。

また腸の蠕動運動も低下しており、せっかく給餌した食事を嘔吐してしまうこともよくあります。

これらは食事を給餌しているだけでは回復しないため、集中的な治療が必要となり、併発疾患がなくても、入院による治療を余儀なくされることが多いと思います。

飼い主様によっては最初の原因がストレスであった場合、入院によりさらにストレスが与えらることを心配し、入院を避けたいと考える方もいます。

セカンドセレクトではそういった飼い主様のご希望に添えるよう、往診も含めた在宅での治療のケアもご相談させていただいています。

ご自宅でできる治療はかなり少ないのですが、猫のストレス回避と治療の強度のバランスを見ながら治療を進めていきますので、万が一の場合にはお気兼ねなくご相談ください。

まとめ

ストレスで起こる病気は人間でもいっぱいありますが、中には重篤な病気も含まれます。

特に猫のようなストレスに対する耐性が低い動物の場合は、普段からいろいろ気を付けないといけないことも多いと思います。

セカンドセレクトは猫の専門病院ではありませんが、敏感な動物たちが可能な限りストレスなく治療できるように工夫していますので、何かあった際にはいつでも安心してご来院ください。

2019-12-27

医学がどんなに進んだとしても、悲しい話ですが原因も治療法も解明できない病気というのはまだまだたくさんあります。

もちろんそれは獣医学でも同じ話であり、普段診察をしていても病名はついていているが、まだよくわかっていない病気に遭遇することは日常よくあることです。

今回ご紹介したい病気はそんな病気の中でも「アロペシアX」と言われる皮膚病です。

アロペシアXは動物病院でも比較的よく見かける病気なのですが、今のところ確定的な検査方法と治療法はありません。

セカンドセレクトでも数多くのアロペシアXを患ったペットがやってきますが、運良く治癒した仔もいれば、治らなかった仔もいました。

この記事ではアロペシアXの治療の流れをご説明したいと思います。

アロペシアXとは?

「アロペシア」とは脱毛という意味です。

「X」は怪人XのX。

つまり原因不明の脱毛症ということです。

おそらく内分泌疾患の一つであると考えられており、何かしらのホルモンの分泌異常が関与しているであろうと推測されています。

病気自体はかなり昔から報告があるため、色々な獣医師たちが検査や治療の仮説を立てました。

とある獣医師はあるホルモンの分泌が過剰なため起こると提唱したり、また他の獣医師は別のホルモンの原因を提唱しました。

結果として、色々な獣医師が色々な病気の名前を仮でつけてしまったので、アロペシアXにはいろいろな名称がついています。

今のところ、アロペシアXというのが最も一般的な病名であり、四肢や顔面以外に起こる広範囲な脱毛で、他に検査上や臨床上の異常が見当たらない脱毛といったような定義がされています。

とにかくポメラニアンに多くみられるため、ポメハゲとも呼ばれることもありますが、ポメラニアン以外にも起こります。

セカンドセレクトでも、ポメラニアンやパピヨン、トイプードル、シェルティーなどの人気犬種で発症している仔達を治療しています。

脱毛自体は尾や腰、もしくは頚部あたりの脱毛から始まりますが、特徴的なのは全体的に毛質にも腰がなく、つややかさが失われています。

皮膚は少し脂っぽいのに、被毛はカサカサした感じです。

脱毛は緩やかに拡大し、最終的には顔や四肢のみに発毛が見られます。

皮膚はつるっとした感じになりますが、色素沈着が見られることも多く、だいたいは黒ずんだ色になります。

かゆみや赤みが見られることはほとんどありませんが、たまに細菌感染を起こして湿疹ができると少し痒がります。

ただ、脱毛以外には犬自体の様子は変わることなく、食欲や活動性、寿命などは他の犬とほとんど変わりません。

診察の流れ

基本的には特徴的な脱毛から簡易的に診断はつくのですが、一応念のために検査をお勧めしています。

検査の内容は一般的な血液検査に加え、内分泌の検査を行います。

教科書的には脱毛以外の異常が見られないことと書かれているのですが、実際には併発疾患(かどうかは不明)が見られることもあり、アロペシアXと同時に治療をしないといけないこともあります。

また季節性が若干あることもあり、夏になると症状が緩和するような犬もいるため、検査で異常が見られなくても、念のため症状が強く出ている冬で再度検査を行うこともあります。

ただし、先述した通り、これといった特異的な検査結果を得ることはほとんどないので、検査に異常がないことを確認するための検査という内容になります。

治療は?

どちらかといえば治療薬というよりはサプリメントに近いものを使用し様子を見ていきます。

サプリメントと言えども、2か月から3か月程度与えていると発毛が見られることもあります。

ただ、一度効果のみられたサプリメントを別の仔に使用しても効果が出てくるとは限らないので、一つのサプリメントを3か月程度使用してみて、効果が見られなければ別のサプリメントを使用するというようなことを続けていきます。

サプリメントはアロペシアXに対して有効性を認めたという報告があるものから、コラーゲンやω3製剤、ビタミンやビオチンなどの栄養サプリメントなど様々あります。

どれがいいというわけではないので、慌てず一つ一つ試してみることをお勧めしています。

また文献によっては脱毛があった場所を手術によって切開したり、外傷によって傷がついた皮膚からは、発毛が見られるという記述もあるので、トリミングなどの際にマッサージやブラシなどで皮膚を刺激することもお勧めしています。

獣医師がいうのもなんですが、命にかかわるものではないので気長に毛が生えてくるまで待つのがいいと思います。

まとめ

原因も検査方法も治療法も何もかも不明の病気は、獣医医療ではたまに見かけることがあります。

人間の医療もそうですが、医療の進歩とともに奇病、難病と言われていたものもちゃんと治療できるようになった病気はいくつもあります。

いつかはこの病気も解明され、治療薬が開発されることを祈っています。

2019-12-21

あまり肯定はしたくないのですが、最近になってちょくちょく「若いころと違う」ということを実感するようになりました。

まだ目などの感覚器の衰えは感じないのですが、電話番号や人の名前が一発で覚えられなくなったり、いつもと違う運動をするとすぐに筋肉痛になってしまったり、食べ過ぎるとすぐお腹に脂肪がついたり・・。

年齢を重ねていくと経験値が増えていくのでもちろんいいこともあるのですが、今後さらに年齢を重ねた時にできないことがいくつも出てくると思うと少し悲しい気持ちになります。

少し強引な出だしになってしまいましたが、ペットの年齢によって選択される治療は大幅に変わってくることがよくあります。

同じ治療でも高齢の動物たちにとっては非常に負担のかかることがあるからです。

高齢になって腫瘍が見つかったら・・

高齢になって手術が必要な大きなけがをしてしまったら・・

高齢になって○○になったら・・

ペットが若くて元気な時には全く想像もしていなかったことでも、難しい判断をしないといけない時がやってくる確率はみな等しく同じです。

本当は治療をした方がいいのはわかっているが、高齢だからこそかかる負担やリスクが心配で踏み込めないという場面は、普段診察をしていてもよくあるシチュエーションです。

セカンドセレクトでは今までも高齢になったペットの診療についてのブログを書いてきました。

過去記事を以下に貼っておきます。

高齢犬・高齢猫のリンパ腫。年老いたペットに抗がん剤治療は可能?やった方がいい?リスクは?

乳腺腫瘍ができたと言われたがどうしよう・・・手術ができない老齢のメス猫・犬

【高齢犬】手術できない年齢で会陰ヘルニアになってしまったら・・。セカンドセレクトからの提案

今回の記事では高齢になった時に起こった椎間板ヘルニアについてです。

10年以上前に一大ブームとなったミニチュアダックスフンドが、令和の時代には高齢犬の代表格になってきました。

セカンドセレクトにも多くの高齢になったミニチュアダックスフンドが通院されていますが、その犬たちの大きな問題が椎間板ヘルニアです。

もともとミニチュアダックスフンドは椎間板ヘルニアの好発犬種なのですが、その治療法はもっぱら温存療法か手術かの選択になります。

どちらを取るべきかはその時の症状で決断していくのですが、高齢になったミニチュアダックスフンドが手術を適応するべき症状になった時に手術を選択するかどうか、多くの飼い主様が悩まれています。

今回の記事がご参考になれば幸いです。

手術を考えるべき椎間板ヘルニアの症状とは

以前からある基準ですが、椎間板ヘルニアはグレードがⅠからⅤまであります。

グレードⅠは疼痛のみの症状で、グレードⅢあたりから顕著な後肢の麻痺が見られ、グレードⅣで排尿麻痺、グレードⅤでは痛覚の麻痺が見られます。

一般的に後肢の歩行不全が見られるグレードⅢまでは内科治療もそれなりに有効ですが、排尿麻痺が見られるようなグレードⅣ以降からは内科的な温存療法の治癒率は著しく低下します。

グレードⅤでは外科手術以外での治療の有効性はほとんど認められないと言われています。

ちなみに、よく言われている48時間以内に手術しないと治癒が見込めないというのはグレードⅤの深部痛覚が消失した症例での話です。

これはあくまでも個人的な見解にはなりますが、20年程度前であれば普通の一般診療を行う動物病院では椎間板ヘルニアの手術はあまり行われていなかった記憶があります。

なので、椎間板ヘルニアの手術を積極的に勧めるのはグレードⅣからのことが多く、早期からの手術を提案するのは外科治療を積極的に行う2次診療の病院ぐらいでした。

その後、ミニチュアダックスフンドの空前のブームが起こり、椎間板ヘルニアを患って来院する犬の頭数も莫大に増加していきました。

そのため、椎間板ヘルニアの手術が執刀可能な獣医師の数も増え、また手術が安全に行える手術器具も導入されるようになったため、今では普通の町の動物病院でも行えるような手術になっています。

結果として以前よりも早い段階で手術を推奨する獣医師が増え、現在では歩行不全が見られるグレードⅡからⅢの段階で内科治療よりも外科治療を進める動物病院が大多数を占めるようになりました。

手術後の治癒率自体はここ数年ではほとんど変化はなく、また病院によって差が出てくることもほとんどなくなりました。

違いとしたら、術創の大きさ程度だと思います。

ちなみに椎間板ヘルニアの手術の料金は、都内であれば入院とMRI検査が込みで30万円前後が相場になります。

入院自体も3~5日前後が普通です。

ぼく自身は椎間板ヘルニアの手術の執刀経験は、平均的な獣医師よりも多いとは思います。

ですが手術を勧めるのはグレードⅢで内科治療を行ってもあまり効果が見られなかった場合からです。

おそらく今の現状と比べると、他の獣医師よりも少し古典的な判断にはなっていると思います。

理由としては、手術をしても再発する犬は再発しますし、手術をした犬が高齢になった時に背が丸く曲がってしまうことが多いと思うからです。

実際どれくらいの人が手術を決断する?

当然のことながら実際に手術を検討する飼い主様の割合は、犬の年齢によります。

外科手術を考える飼い主様の割合は、通われている動物病院によってもまちまちだと思います。

極端な話、整形外科を専門に行っているような病院に通われている飼い主様であれば、年齢にかかわらず積極的に手術を検討するでしょう。

一方でセカンドセレクトは町によくある普通の動物病院です。

ですので通われている飼い主様も、一般的な平均的な意識で治療に臨まれることが多いと思います。

もし飼っている犬が椎間板ヘルニアになり、手術をしないといけない状態になった時、犬の年齢が10歳未満であればほぼ100%の飼い主様が手術を検討します。

10歳が一つの分かれ目となり、手術を積極的に考える飼い主様と考えない飼い主様の比率が7:3ぐらいの比率になります。

それから年齢が1歳重ねるごとに1割~2割ぐらいづつ変化していきます。

例えば11歳の犬であれば、積極的に手術を検討する飼い主様は半分程度になり、13歳であれば2~3割程度、15歳であれば1割未満の飼い主様しか手術を望まれません。

もちろん犬の一般状態や、排尿麻痺の介護が容易な環境なのかどうかにも変わってはいきますが、全体的な印象としてはそんな感じだと思います。

まとめ

人間と犬や猫ではもともとの余命が全く異なるため、どこまで積極的な治療をすることがいいことなのかという答えを探すことは容易ではありません。

セカンドセレクトでは最近そういった悩みを抱える飼い主様のご来院が非常に増えてきています。

もし今悩まれている飼い主様が偶然この記事を読んで、少しでも参考になればと願っています。

2019-12-15

ペットを飼っていると、いきなり調子を崩すということは多くの飼い主様が経験していることだと思います。

子供同様、ペットはうまく自分の症状を表現することが出来なため、たまにどこに原因があるのか苦慮することもあります。

「食欲がいつもよりない」、「ダルそう」、「熱っぽい」など具体的にかけるような、いわゆるハキがなくなる病気については、色々な可能性が考えられます。

そのため、人間であれば不要かもしれないような検査の回数も必然的に多くなってしまうことが動物の治療の難点です。

さらにはそういった病気の中でも、検査をしてもはっきりとした原因が断定できない病気もあります。

今回はそんな病気の中で、個人的には割と増加しているような気がする「免疫介在性関節炎」についてご説明したいと思います。

免疫介在性関節炎って?

免疫介在性関節炎はその名の通り、免疫異常によって起こる関節炎です。

体重負荷や加齢、運動負荷などで起こる関節炎でも炎症は起こるのですが、免疫介在性関節炎は自己免疫が自分の関節を攻撃し、炎症を引き起こす関節炎です。

したがって炎症の度合いは非常に強く、全身に影響を与えることが多いと思います。

教科書的には関節軟骨にただれたような病変を残すびらんタイプと、肉眼的にみても関節面は割と滑らかなままな非びらんタイプに分かれるのですが、正直、町の動物病院でどちらかを見極めるのはとても難しいと思います。

関節炎とはいっても、初期段階ではびっこなどが見られることはほぼなく、なんか最近動きが悪い、震える、食欲もいまいちなどの症状で来院することがほとんどです。

犬種的にはトイ・プードルやミニチュア・ダックスフンド、コーギーなどの最近の人気犬種でよく見られるため、とにかくこの病気を患っている犬は多くなったと思います。

関節炎ができる場所は、手首やかかとのくるぶし、足先に多いと言われています。

またある程度の体重のある動物の膝関節に炎症が起こると、2次的に前十字靭帯の断裂が起こることもあります。

大型の犬の場合、前十字靭帯断裂は手術適応症例になるのですが、見た目から免疫介在性関節炎が原因なのかどうかを判断するのは困難なため、より慎重な判断が必要になることもあります。

一方で猫での発症はそれほど多くはないと思いますが、先ほども書いた通り、見た目の症状がはっきりしないうえ、猫特有の性質もあるので、感度の良い検査方法があったら診断がつけられる猫は多くなるかもしれません。

また一部の犬の免疫介在性関節炎では髄膜炎を併発していることも多く、頭をなでられたり、首を痛がったりすることもあります。

【ステロイド反応性髄膜炎】突然首を痛がる。発熱と震え。異常にCRPが高い若い犬は要注意。

検査方法は?

関節が腫れてくるまでの症状になった時には免疫介在性関節炎の診断は非常につきやすいのですが、びらんがあるかどうかまでは、より症状が進行しないとレントゲンでもわかりません。

CTやMRIなどの画像診断や、関節鏡検査などの感度の良い検査であれば、もっと早い段階から診断はつくかもしれませんが、普通の動物病院ではまだ一般的な検査ではありません。

セカンドセレクトも含めてですが、特異的な病気を疑う所見がなく、発熱があり、炎症性タンパクと呼ばれるCRPの値が高くなっているようであれば、免疫介在性関節炎を疑います。

免疫介在性関節炎により、関節軟骨にびらんが見られるようになった場合、いわゆる「関節リウマチ」と呼ばれるようになります。

関節リウマチは犬の場合、発生頻度はかなり少ないのですが、かなり厄介な病気の一つです。

なぜなら、関節リウマチなのか、その他の免疫介在性関節炎なのかははっきりさせる検査はありません。

そのため人間のリウマチの診断基準を模倣した「犬の関節リウマチ診断基準」に照らし合わせ、それに何項目当てはまるかでリウマチなのかどうなのかを決定するしかその方法はありません。

また、基本的には関節リウマチとその他の免疫介在性関節炎では治療法はほとんど一緒なのですが、予後が違うことが臨床上では非常に重要です。

人間でもそうですが、関節リウマチについては進行性の病気であり、適切に治療をしたとしても症状は緩慢に進んでいきます。

最終的には関節の完全なる変形が見られるようになってしまい、日常生活においても多くの影響を残すことになります。

治療法は?

もっぱらステロイドによる免疫抑制治療がメインになります。

よく知られていることですが、ステロイドは長期間使用すると副作用が出やすい薬ですが、その他の薬剤に比べると即効性も効果も非常に高いうえ、安価な薬のため、獣医領域では使用頻度はかなり高いと思います。

病状はステロイドにはよく反応し、2~3日以内で見た目の症状は大幅に改善することがほとんどです。

一般的にステロイドには年間の許容推定量があるのですが、その量まで緩やかに減薬していく方法がよくとられます。

減薬していく中で、十分効果が得られなかったり、再発が見られたりした場合には、その他の免疫抑制剤を使用していきます。

また、関節リウマチによって関節の変形が見られている場合には、断続的な疼痛が見られるようになるため、強力な鎮痛剤が必要になります。

薬の種類は色々あるのですが、動物によってどの薬が合うのかは実際には投薬してみないわからないこともあり、症状の改善に至るまで治療が長引くケースもあります。

いずれにしても生涯にわたり十分注意して観察していかないといけないため、飼育環境の改善や食事の改善、特に栄養管理もしっかり行わないといけないと思います。

まとめ

関節の病気にかかわらず、ペットがちょっとしたハキがなくなったと感じることはよくあると思います。

こんな症状で動物病院に行ってもいいのかな?と躊躇する飼い主様も多くいらっしゃいますが、病気は何でも早いうちに対応することに悪いことはないので、お気軽にご相談ください。

2019-12-09

仕方がないことですが、生き物はすべてどんどん年を重ね、老いるごとに変化をしていきます。

筋量や持久力などの運動能力の衰えや、代謝機能の低下、回復力の低下など、さまざまな点で若い個体よりも能力が低下していきます。

また外見の変化もみられるようになり、白髪になる、腰ががってくる、しわが多くなるなどが代表的な変化だと思います。

こういった外見上の変化のうち、白内障とは違った理由で、眼球が白くなってくることがあります。

これは核硬化症と言って、中高齢以上の犬でよくみられる老齢性の変化です。

診察をしていても割と心配される飼い主様が多いので、今回ご紹介する記事がご参考になれば幸いです。

そもそも白内障って何?

白内障は文字通り、目が白くなる病気ですが、正確には目の水晶体と呼ばれる目のレンズが白く濁り、視力が低下する病気です。

水晶体が白くなる原因は、水晶体に含まれるたんぱく質が変性して白く濁るからなのですが、実際のところはなぜたんぱく質が変性するかはわかっていません。

糖尿病や高脂血症などがはく白内障を引き起こす要因にはなりますが、若年性のものもあり、実際のところはまだ研究段階と言ったところです。

これはペットでも同じことが言え、犬は多く、猫はまれで、犬種によって発生頻度は異なりますが、ほぼ人間の医療を模倣しながら治療を進めています。

じゃぁ核硬化症って?

眼球のレンズは薄い膜で覆われており、その膜の下でレンズの細胞となるものが終生作られています。

したがってレンズは年輪のように、中心部は古いレンズの細胞が、外層は若い細胞になります。

中心部の細胞はある程度年月がたつと、レンズ自体の圧によって周りの若い細胞よりも硬くなっていきます。

この現象をレンズの中心部=核が硬くなっていくので、核硬化症と言います。

核硬化症という名前は、目に関する言葉が全く入っていないように見えるので、かえって何かひどい病のように思えますが、病気ではないのでそれほど心配する必要はありません。

正確な表現ではありませんが、肉眼での見え方としては白内障にみられるようなレンズにひび割れたような線は見えず、均一にぼやけた感じで白くなっている感じになります。

治療は?

むろん、病気ではないので治療の必要性はありません。

核硬化症によって視力が低下することもありません。

ですが、大抵は核硬化症は中高齢の犬によく起こる老齢性の変化なので、視力自体は人間と同様、年齢とともに低下していると思われます。

また、核硬化症が見られるあたりから、初期の白内障も始まっていることも多いので、白内障自体の治療を行う必要があるときもあります。

いずれにしても、核硬化症が見られた時点で、年齢による衰えは眼だけでなく、様々なところで見られるようになりますので、全身的な健康チェックをしてみるのもいいかと思います。

まとめ

セカンドセレクトの一つの特徴として、他の動物病院よりもやや年齢を重ねたペットが多くご来院されています。

もちろん、そういったペットの高齢化に合わせた治療やサービスも充実していますので、何かお困りの際はいつでもご相談ください。

2019-12-02

ぼくが小学生のころ、ウサギと言えば学校で飼育している動物のイメージでした。

それがここ15年でだいぶと状況は変化し、いまではペットとしての不動の人気を得たと言っても間違いではないかもしれません。

その反面、いまだにウサギを診察していない動物病院は比較的多いため、多くのウサギの飼い主様の悩みの一つになっています。

セカンドセレクトは特にウサギを専門に診察しているわけではありませんが、様々な病気にご対応することは可能です。

今回ご説明させていただく病気は「ウサギの子宮疾患」です。

メスのウサギでは頻発する病気なので、ご参考にしていただければと思います。

ウサギの子宮疾患とは?

ある統計によれば、未避妊のメスのウサギが3~4歳を越えると50%程度の確率で子宮の病気になると言われています。

子宮の病気の中では子宮の腺癌が最も多く、ついで過形成や子宮内膜の静脈瘤も多いとされています。

犬や猫で多い、子宮蓄膿症や子宮水腫の発生も多くみられるとの報告がありますが、ぼく自身はウサギでは見たことはありません。

どんな症状?

大抵の場合、血尿が見られることで初めて病気に気づくことが多いと思います。

血尿の具合は持続的に少量混じることもあれば、大量に鮮血が見られることもあります。

出血の量によっては、一時的に貧血や血圧の低下を招くことがあり、食欲不振や活動性の著しい低下がみられることもあります。

検査方法は?

犬や猫、人間もだとは思いますが、子宮の病気はエコー検査によって診断することが普通です。

ウサギの場合もエコー検査によって診断をつけるのですが、その感度は他の動物に比べると著しく低くなります。

理由は様々なのですが、草食動物特有の腸の構造と、他の動物に比べると腹腔内脂肪が多いため、エコー検査では診断がつかないことも多くあります。

そのような場合、セカンドセレクトでは貧血がないかどうか血液検査を行い、貧血がある場合は子宮疾患と仮診断を行い治療を進めていきます。

貧血もなく、ウサギの状態も安定しているのであれば、抗生剤や止血剤を使用しながら、持続的に血尿が起こるかどうか判断していきます。

血尿が一過性の場合は膀胱からの出血と判断し、経過を観察していきますが、持続的な血尿が見られた場合は、子宮の疾患として治療を進めることをお勧めしています。

治療法は?手術のリスクについて。

残念ながら治療法は外科手術により、子宮と卵巣を摘出するのが唯一の方法です。

手術の主義自体はそれほど煩雑ではなく、子宮疾患の原因が悪性の腺癌だったとしても、比較的予後はいいとされています。

ぼく自身は過去に子宮の腺癌が肺に転移しているウサギを診たことはありますが、それほど高頻度ではないと思います。

問題はウサギの外科手術は、他の動物に比べると様々な点においてもともとリスクが付きまとうところだと思います。

まずは麻酔の方法です。

犬や猫、フェレットであったとしても気管に専用のチューブを挿管し、人工呼吸につなぐことができるため、麻酔の調節が非常に簡単に行えます。

ウサギの場合、咽頭の構造上、気管挿管がは困難なため、呼吸は人の目で管理するしかないので、麻酔による事故が他の動物に比べ高頻度で起こります。

また、ぼく自身はないのですが、胃や盲腸にガスをため込み易いため、開腹時に胃腸を傷つける事故が多いと言われています。

ウサギの消化管は非常に薄いため、一度傷つくと治癒せず、最悪の状態を迎えることもあります。

その他にも術前や術中の出血により貧血などがあった場合、事実上輸血が困難であることもリスクを大幅に上げる要因になるところもウサギの手術の問題点です。

このようなリスクはあるのですが、大量の出血を伴うウサギの子宮疾患の場合は、やはり手術を起こった方がリスクが少ないというのが大多数の意見であることは事実です。

セカンドセレクトでも以上のことをお伝えしながら、慎重に治療を進めています。

まとめ

ウサギは他の動物に比べても特に繊細な動物です。

治療をしてもストレス的な要素もあってか、なかなか快方に向かわないこともよくあります。

セカンドセレクトでは、そういった動物のためにも往診診療も行っています。

もちろん手術は病院で行うしかありませんが、その後の経過などはご自宅での診療にてご対応も可能です。

もしこの記事を読んでみて、もしかしたら・・と思うようなことがあれば、いつでもご相談ください。

2019-11-26

よく人でも胸焼けなんて言葉を使いますが、胃の内容物が喉のところまで上がってくる感覚は、ほとんどの方が経験したことのあるものだと思います。

実際に吐くところまではいきませんが、胃酸の何とも言えない後味は、決して快いものではないと思います。

こういった症状が頻繁に起こる場合、人間では胃食道逆流性疾患とか逆流性食道炎という病名がつき、たまに生活の改善と内服の投薬を医師から指示されることがあります。

ペットの世界でもこういった胃食道の逆流性疾患はあることが知られていますが、症状があいまいなため、動物病院に連れて行った方がいいか悩まれる飼い主様も多くいらっしゃると思います。

今回の記事ではこの胃食道逆流性疾患をご説明したいと思っています。

胃食道逆流性疾患の原因

食道は強い蠕動運動の能力をもち、口から入った食べ物を胃へと運びます。

食道は上部と下部で筋肉の種類、性質が異なり、胃に近い食道は非常に強い力で収縮しながら胃の入り口部分と結合します。

この力によって胃からの内容物の逆流を阻止することができます。

余談にはなりますが、この食道の能力は麻酔をかけると減弱するのですが、それでもある程度の絞扼力が残ってしまうので、しばしば内視鏡によって異物を取り除くときの弊害になることがあります。

人間では暴飲暴食や不規則な食生活により、胃が膨満しがちになり、下部の食道に胃内の圧が加わることにより食道の収縮力が失われてしまい、症状が発現すると言われています。

動物の場合はこれといったことは言われてはないのですが、膵炎などの疾患があったり、肥満などの体型的な問題などが原因とされていますが、はっきりとした原因が判明することは少ないと思います。

巨大食道症など重大な基礎疾患により引き起こされることもありますが、その場合にはそのほかの症状の方が目立って見えるため、診断はつけやすくなります。

個人的にはもともと動物は四つ足のため、生理的にあるような胃の内容物のちょっとした逆流でも人間よりも症状が強くなるのが一つの要因では?とは思っていますが、あくまでも個人的な意見ではです。

胃食道逆流性疾患の症状

一言で言うとパッとしません。

実際に胃の内容を吐き出すところまでいかないことも多く、ぺろぺろ舌なめずりの回数がやたら増えるなどの症状が見られます。

一過性の食欲不振などもみられることもありますが、見かけ上はほとんど変わらないこともよくあります。

気持ち悪そうな表情は、食後すぐに出ることもあれば、空腹時にみられることもあるので、症状にあまり一貫性はないと思います。

実際、内視鏡などで食道を観察しても異常は全く見られないことがほとんどで、治療を行うべきかどうか悩むケースもよくみれます。

人間では成人の場合、軽度の逆流性疾患であれば5割近くの方が経験をしていますが、ほとんど治療は必要としません。

犬や猫の場合も同様で、頻度や症状の重さもはっきりとしないケースも多いため、食事の内容を変更したり、いくつかの薬剤を試験的に投与して様子を見ていきながら、症状の改善があったかどうかで診断を下すこともあります。

治療法は?

できる限り、胃に負担をかけないようにするため、食事を頻回していただくことをお勧めしています。

これは胃内の圧をあげないようにするためと、空腹の時間を可能な限り減らし、過剰な胃酸の生成や十二指腸の内容物が逆流しないようにするために役に立つと思います。

食事の内容の変更だけでは症状の改善がない場合は、胃酸の生成を抑える薬を使用します。

また胃の内容をスムーズに腸へ移動させるため、胃腸の蠕動運動を促す薬も併用していきます。

血液検査などで慢性的な膵炎を引き起こししている場合には、過剰な膵臓の働きを抑えるためにタンパク分解酵素阻害薬を使用することもありますが、効果はいまいちのことも多い感じです。

よほどひどい場合にはステロイドのような抗炎症作用のある薬も使用しますが、胃炎を引き起こすことも多いので、使用は極力控えた方がいいと思います。

結局のところ、症状もはっきりとしないため、治療を開始してすっきりよくなったという感じも得られないことも多いので、普段の生活の中で色々変化をつけながら様子を見ていくことがほとんどです。

まとめ

胃食道逆流性疾患は命にかかわるような症状になることは少ないのですが、気持ち悪そうにしている犬や猫の姿を見ていると何とかしてあげたい気持ちになってきます。

この記事を読んで、そういえばうちの犬や猫も・・・と思い当たることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

2019-11-21

自分のペットが突然に活動性を失ったり、食欲がなくなったりすると慌ててしまうことも多いと思います。

こういった場合、心当たりもなく、動物病院に連れていこうか迷っていると、どんどん症状が重くなることがあります。

下痢や吐き気などの特徴的な症状と異なり、食欲不振などの不特異的な症状は、初期段階では飼い主様だけでなく、多くの獣医師を悩ますことが多く、実際に自分も診断に至らなかったことたびたびもあります。

今回はこういった悩ましい病気の中でたまに見かける病気、心タンポナーゼについてご説明したいと思います。

心嚢水って?心タンポナーゼとは?

心臓は強い心臓の筋肉の力で全身に血液を送り続けています。

心臓が効率よく血液を送り出せるよう、筋肉の発達だけでなく、哺乳類の心臓の内部は非常に機能的に発達しています。

また心臓の外部でも心臓がスムーズに動けるように分化した機能が色々とあるのですが、その一つが心膜や心嚢水になります。

心膜は心臓を包み込む薄い膜ですが、1枚の膜が2重に折り重なったもので、折り重なった内部の空間に液体を少量含ませています。

この液体は心嚢水と呼ばれ、普段は心臓がスムーズに動くための潤滑油として機能しています。

心嚢水は正常な犬や猫でも少量存在しているのですが、レントゲンやエコー検査で見えることはほとんどありません。

特にエコー検査で心嚢水の貯留が明らかに見えるときは、異常な心嚢水の貯留があると判断されます。

心膜や心臓を一番外側で包む心嚢は非常に強い膜であまり伸縮性がありません。

心嚢水が異常に貯留してくると、その圧によって心臓がうまく拡張できなくなるため、心不全を特徴とした様々な症状が出始めます。

このような状況を心タンポナーゼと言います。

原因は?

心嚢水の異常な貯留はほとんどの場合、出血性によることが多いとされています。

出血性の心嚢水が溜まる理由としては腫瘍が原因であること多くあります。

大抵の場合、心臓の右側に腫瘍が発生することが多く、エコー検査によって判断がつけられることもあります。

腫瘍の種類は悪性度の高いものから、進行が緩やかなものまでいろいろありますが、腫瘍の種類を簡易的に調べる方法はなく、あくまでも外科的に切除した腫瘍に対して病理検査を行うしかありません。

また腫瘍性以外でも何ら理由なく起こる出血性心嚢水もあり、中高齢の大型犬ではたまに見かける症例です。

その他、まれなタイプの心嚢水の貯留としては感染性のものがあげられますが、正直なはなし、自分はいまだに診たことはありません。

心タンポナーゼの症状

異常に貯留した心嚢水の最大の問題点は、心臓の拡張を抑制することです。

極少量であれば目に見えての症状はあまりないのですが、心嚢水の増加に伴い、活動性の低下、食欲不振などが見られます。

さらに心嚢水がたまり、心膜を含めた心臓の径が大きくなると、発咳や食道圧迫による嘔吐が見られるようになります。

いよいよ心嚢水が限界まで溜まり、心臓の内圧以上の圧が心嚢に発生した場合、顕著な心不全の症状を引き起こします。

胸水や腹水は一般的によくみられる症状であり、心拍出量の低下からの失神や呼吸困難が見られるようになります。

治療について。外科手術は適用?

心嚢水が貯留し、心タンポナーゼを起こした犬や猫には有効な薬はありません。

経皮的に長く細い針を差し込み、直接心嚢内に針を刺入させ心嚢水を吸引するしかありません。

心嚢水はまた徐々にたまり始め、再度心タンポナーゼを引き起こすに至るまで早ければ1週間程度、場合によっては半年以上開くこともあります。

多くの獣医師の経験則から、2,3回心嚢水除去を行い、症状が鎮静化すればよし、鎮静化しなければ外科的に心嚢膜を切開する方法を選択します。

心嚢膜を切除したすることで、心嚢水をより広い胸腔内に漏出させ、胸腔から自然吸収させることで心嚢水の過剰な貯留を防ぎます。

腫瘍が認められたケースでも、心臓の右側に限局していれば手術は可能だと言われています。

セカンドセレクトでは胸腔内外科は現在のところ、対応可能な動物病院をご紹介しています。

まとめ

心タンポナーゼが起こった際は緊急対応が必要になります。

心嚢水除去はいつでも可能ですので、この記事を読んで「ひょっとして・・」と思った飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもご来院ください。

2019-11-15

以前ほどではなくなったのですが、動物病院で診療をしているとたまに先天性の疾患に出会うことがあります。

これらの病気では、犬種や猫種による遺伝的な背景があるものや、突発的に疾患をもって生まれてくる動物たちもいます。

そしてそれらの病気の中ではすでに重篤な症状が出ているものもあれば、全く気付かないものもあり、こういった気が付かれない病気は、何かの検査をした時にたまたま見つかることもあります。

今回はそういった病気の中でも代表的な病気、「門脈体循環シャント」についてご説明したいと思います。

門脈体循環シャントとは?

肝心という言葉がある通り、肝臓は臓器の中でも非常に重要で、かつ多岐にわたる働きをしている臓器です。

その重要な肝臓の働きの一つに、解毒作用というものがあります。

日常生活の中で体の中では全身の細胞が代謝をする過程で、不要な物質が発生します。

また食事をとると胃腸から食べ物が吸収されるのですが、食べ物は分解される過程で、栄養素だけが吸収されるのではなく、毒性のあるものでも同時に吸収していきます。

こういった体にとって不要もしくは有毒な物質は肝臓に送られて、有用なものに作り替えられたり、無毒化されます。

具体的に言うと、腸や膵臓や脾臓と言った内臓から出た血液は、肝臓の付近で門脈と言われる細い血管の束になって肝臓に送られます。

門脈を介して運ばれた血液は肝臓を通り、最終的には心臓に戻され、肺から酸素を供給され、再び全身に血液が供給されます。

門脈体循環シャントとは、本来肝臓を経由しないといけない血管の一部が肝臓を通らず、肝臓から心臓につながる血管に直接流れ込む疾患です。

肝臓によって有用化、無毒化されなかった物質が直接心臓から全身へ送られてしまうため、様々な症状が出てしまいます。

門脈体循環シャントの症状は?

門脈体循環シャントによって症状が出る多くの場合は1歳以下の若齢犬が多いと言われています。

見た目は明らかな発育不全があり、兄弟犬の中でも体格は著しく小柄なことが多いと思います。

また門脈体循環シャントが存在した場合の具体的な症状とすると、食後に嗜眠や徘徊が始まったり、場合によっては痙攣や昏睡をが見られることがあります。

これは食事中に含まれるたんぱく質が分解され、腸から吸収されるときに発生するアンモニアが、本来肝臓で分解されるのですが、その一部が肝臓を通らず体内を回ってしまうため起こります。

アンモニアは強力な神経毒で、体にとっては非常に有害な物質なため、長期的なアンモニアによる弊害は、場合によって死を招くことがあります。

ただ門脈体循環シャントが存在したからと言って、必ずしもこのような症状が出るとは限りません。

中には症状が全くないような個体もいるため、見逃されてしまうケースもあります。

まれなケースではありますが、臨床的にはこのような見逃されてしまった個体に麻酔処置などを行ってしまった場合、思わぬ事故を巻き起こすケースもあるため、気を付けないといけない疾患の一つだと思います。

検査方法は?

門脈体循環シャントを持っている犬だとしても、一般的に行うような血液検査には、肝臓の値も含めてほぼ異常値が見られないことが多いと思います。

腎臓の値としてよくみられる尿素窒素やアルブミンタンパク、コレステロールなどは肝臓で作られるため、これらの値は正常よりも低い値を見られることがありますが、必ずしもそうであるとは限りません。

今のところ最も感度がよい検査としては食前、食後2時間後に総胆汁酸と呼ばれる数値と、アンモニアを測定していきます。

総胆汁酸は肝臓で再合成されるため、門脈体循環シャントが存在した場合は必ず数値の異常が見られます。

ただし、門脈体循環シャントが存在していない場合でも異常値が見られることが多いため、これらの検査の総合的な判断から病気の疑いが強い場合にはCT検査を行い、実際に異常な血管が存在しているかどうかを調べます。

明らかな異常血管はエコー検査でも発見することはできますが、セカンドセレクトではエコー検査は感度としてはあまり高くないため、CT検査をお勧めしています。

治療法について

基本的に内科療法のみで症状をコントロールすることは難しいとされています。

低たんぱく質の食事をとらせる、アンモニア産生の腸内細菌の発生を抑えるなどが代表的な方法ですが、症状が顕著に表れている犬には、大きな効果は期待が出来ません。

よく言われる話なのですが、門脈体循環シャントは異常血管が肝臓の外にある場合は外科手術が可能であり、唯一の治療法だと言われています。

肝臓の中に異常血管がある場合には、手術は困難と言われていますが、最近では血管を残しながら肝臓の細胞を乳化させる医療機器もあるため、以前よりは手術対応範囲が広いとは思います。

セカンドセレクトでは残念ながら門脈体循環シャントの手術にはご対応できませんので、診断まで至った場合には対応可能な2次診療の病院をご紹介しています。

まとめ

門脈体循環シャントのような症例は時には飼い主様のご負担を大きくするとがあります。

できる限り動物だけでなく、飼い主様にもご負担が少ないような治療法をご提示していきたいと思いますので、何かお困りの際はお気兼ねなくご相談ください。