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2021-03-02

ものもらいという病気は誰もが聞いたことがあると思います。

突然、目のまわりが腫れてただれてしまう病気は人間ではよく見られる病気です。

一方で犬でも目の周りが腫れてしまう病気はあるのですが、人間とはちょっと違う理由で起こることがよくあります。

今回は犬でたまに見られる病気、免疫介在性眼瞼炎についてご説明したいと思います。

眼瞼炎とは?

眼瞼炎はその名の通り、眼のふちにあるまぶたの炎症で犬ではよく見られるのですが、猫ではまれのことが多いと思います。

教科書的には細菌の一次感染やアレルギーによっておこることが多いと言われていますが、意外と自己免疫性疾患に起因したもの多いと思います。

ちなみにものもらいは眼瞼にあるマイボーム腺と呼ばれる場所に細菌が感染を起こすことで起こります。

最初は片目の眼瞼のふちが腫れているところから始まり、多くの場合、数日で両目の上下眼瞼が腫れあがります。

症状が進むと腫れていいた眼瞼が自壊し、目のふちにはかさぶたが常時付着しているような状況になります。

眼瞼のふちはいたたまれないほど腫れあがるのですが、意外と犬自体にはかゆみも痛みもなく、食欲なども低下することはありません。

また同様の症状がそのほかの体の部分に出てくることはほとんどまれで、眼瞼のみに見られる局所的な免疫異常と考えられています。

治療法は?

治療に関してはもっぱら免疫抑制のためにステロイド剤やそのほかの免疫抑制剤を使用します。

これらの成分が入っている眼軟膏にて治癒することもあるのですが、ほとんどの場合には外用薬のみでは治癒に至らないことも多く、内服による投薬を必要とすることも多いと思います。

治癒経過が順調であれば、投薬を開始して2週間ほどでほぼ元の状態に戻りますが、投薬を中止すると再発することもあります。

この場合はステロイドや免疫抑制剤が副作用の出ない程度の維持量で継続する必要があります。

まとめ

眼瞼以外には症状は見られず、犬は普段通りとはいいつつも、眼はとても目立つ場所にあるため、見た目はとても痛々しいものになります。

もしある日、飼っている犬の眼を見たときに、ちょっと腫れているかもと思ったら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2021-02-14

猫に比べると、「犬が足を痛がってびっこを引く」という症状で動物病院に来ることは多いと思います。

たいていの原因は、運動負荷に関節が耐え切れずにびっこを引くことが多いのですが、まれに骨自体に病変部がありびっこを引くこともあります。

今回はそういった骨自体にできる病気の中で、割とよく見られる腫瘍の骨肉腫についてご説明したいと思います。

骨肉腫とは

骨に発生する腫瘍にはいくつかありますが骨肉腫はもっとも発生頻度も多く、また悪性度も極めて高い腫瘍です。

骨肉腫が発生する場所は主に四肢が多く、また「肘から遠く、膝に近い」足に病変部があることがほとんどです。

ただ腫瘍自体は足だけでなく、体幹の骨やあごの骨など全身の骨のどこの部分でも発生する可能性があります。

また、小型犬よりも大型犬の方が病気になる確率が高いと言われています。

骨肉腫は1歳程度の比較的若い犬もしくは8歳前後のシニア層になったばかりの犬に見られることが多く、通常はびっこ度合いが強まったり、治ったりを繰り返しながら症状が進んでいきます。

ある程度症状が進むと足を触った時に腫れていることに気づくこともあり、また同時に食欲不振や倦怠感などが見られることもあります。

検査方法は?

足にできた骨肉腫の場合、典型的なレントゲンの画像が得られることによって、比較的簡単に診断を下すことができます。

もちろん骨肉腫の確定診断には、他の腫瘍と同様に採取した細胞で病理診断を行う必要があるのですが、骨の腫瘍は非常に硬く、普通に注射針を使用してもうまく採取できません。

骨肉腫の細胞を採取するには、それなりの太い針によって吸引するのですが、骨肉腫を起こしている骨はもともと病的骨折をしやすくなっているので、採材後に骨折するリスクがあります。

 

ですので結果的には、レントゲンで仮診断を行い、手術をおこない切除した組織を術後に検査を行うことがほとんどだと思います。

また骨肉腫は肺への転移も多くみられるため、骨肉腫の仮診断が下った場合は胸部のレントゲンもしくはCT検査が必要です。

治療法は?

治療法についてはもっぱら外科手術になります。

ただ、普通の腫瘍を切除する手術と異なり、腫瘍の発生部位が骨であること、また悪性度が高いことから切除部位は広範囲、具体的に言えば、四肢にできた骨肉腫であれば断脚が基本です。

またあごにできた骨肉腫であれば顎切除になります。

抗がん剤治療もある程度有効とされていますが、基本的には外科手術を併用するため、投薬だけで病状をコントロールすることは非常に困難です。

切除不可能な場所に発生した骨肉腫の場合、放射線治療などの必要もあることもあります。

放射線治療に関しては都内であれば、以前に比べると受診しやすくはなっていますが、まだ一般的な治療とは言えない状況です。

【グリオーマ】犬でよく起こる脳腫瘍。ペットの放射線治療の実際とは?

骨肉腫の治療において最も厄介な点は、腫瘍自体が強い疼痛を引き起こすということです。

最初の段階ではびっこ程度で済むのですが、症状が進行すると激しい疼痛のため、嗚咽のような声をあげたり、威嚇行動をとったりと、犬だけでなく飼い主様にも非常に負担がかかるものになります。

飼い主様によっては安楽死も視野に入れる方がいるほど、終末期には苦しい思いをする仔もいるため、病気としては色々な意味で、重たい病気だと思います。

まとめ

セカンドセレクトでは様々な腫瘍を患った仔達が来院されます。

こういった悪性度の高い腫瘍になってしまうと、飼い主様自身の悩みも大きくなるとおもいますが、できる限り負担の少ない治療をご提案させていただきますので、何かお困りの際はお気兼ねなくご相談ください。

2021-01-25

人間の子供も手のかかることは多いと思いますが、仔猫や仔犬も勿論、色々と手がかかります。

さっきまで元気だったと思ったら、突然調子が悪くなっている・・・こんなことを経験した飼い主様は多いのではないでしょうか?

仔犬や仔猫の体調不良の中で大きく占めるのが下痢や吐き気です。

ほとんどの場合は一過性で終わってしまうのですが、まれになかなか治らず、急速に衰弱していくこともあります。

こういったなかなか治らない下痢や吐き気の一つに腸重積というものがあります。

今回は特に若い犬で多い腸重積についてご説明したいと思います。

腸重積とは?

腸重積は腸の一部が何らかの理由で腸の中に陥入する病気です。

ひも状の異物により物理的に重責を起こしている場合もあれば、消化管内の寄生虫やそのほかの原因により、慢性的な腸炎を引き起こしているような仔犬に多いとされていますが、特定の原因が見つからないことも非常に多く、また比較的若い猫でも見られる病気です。

腸重積を起こした犬や猫はあまり投薬による治療に反応しない、もしくは一度よくなったと思ってもすぐに再発するような下痢、嘔吐などが見られます。

食欲不振もよく見られる症状なのですが、わりと体調に波があることが多く、しばしば診断に苦慮することもあります。

典型的な症状の場合、腹部を入念に触診すると腸の一部が固くなっているような場所を見つけることができるのですが、犬の場合などは腹部の疼痛により腹圧が上昇し、あまりうまく触知できないことがあります。

レントゲンでも診断がつくこともあるのですが、はっきりとした画像が得られないことも多く、バリウム検査でも完全な閉塞所見が見られないため、これらの検査ではあまり診断がつけられないことが多いと思います。

診断にはエコー検査が有用ですが、基本的にエコー検査は病変部を検索するのには適していないため、触診で疑わしい箇所が見つからなかった場合にはなかなか診断をつけるのは容易ではありません。

結局のところ、多くの場合では犬や猫の年齢、病状などから仮診断を付けていくことが多く、後付けで検査や治療を行っていくことがほとんどです。

治療法は?

基本的には外科手術が唯一の治療法になります。

腸重積を起こしている腸の箇所は、重積部を解除したときにあまり損傷がないように見えたとしても、高い確率で再陥入をおこすため、重積が見られている腸を切除し、正常な腸同士を吻合する必要があります。

手術後の調子は速やかに回復することが多いのですが、2日から3日程度の絶飲絶食が必要なため、基本的には入院が必要になります。

手術のリスクとしては腸の吻合手術はまれに癒合不全を起こし、術後の状態を悪化させることもあります。

また腸重積を起こす特定の原因がみあたらないことが多いので、手術後に別の箇所で再発することもあります。

こういった様々な手術のリスクはあるのですが、手術以外には治癒する方法がないため、飼い主様にとっては苦渋の選択になると思います。

まとめ

家に来て間もないような若い犬や猫が調子をいきなり崩すことはよくあるのですが、飼い主様も初めての経験であることが多く、迷われることも多いと思います。

セカンドセレクトでは軟部外科を中心に様々な外科手術を行っていますので、何か異変を感じた際はいつでもご来院下さい。

2020-12-19

一般的に腫瘍は体の全部の細胞で発生する可能性があるのですが、その中には見つけやすいものもあれば、見つけにくいものもあります。

腫瘍が見つかりにくい理由としては、外見上からは判断しにくい、細胞を採取しにくいなどの理由があげられますが、脳腫瘍はその両方の困難さを持っているので、特に動物病院では発見が遅くなります。

今回は脳腫瘍の中でも比較的よくみられる髄膜腫についてご説明したいと思います。

髄膜腫とは?

脳を包む膜は外側から硬膜、くも膜、軟膜と3層に分かれているのですが、髄膜腫はこのうちのくも膜から発生した腫瘍になります。

動物病院で見られる脳腫瘍のほとんどは、リンパ腫や乳腺腫瘍からくる転移巣がほとんどですが、原発性の脳腫瘍もほとんど見られます。

髄膜腫以外の脳腫瘍としてはグリオーマと呼ばれる腫瘍が、主に特定の犬種でよく見られます。

【グリオーマ】犬でよく起こる脳腫瘍。ペットの放射線治療の実際とは?

グリオーマに比べると髄膜腫は犬や猫のの場合、良性の腫瘍であり、進行はかなり緩慢だと言われています。

ただし、特に犬の場合は脳と腫瘍の境があまり明確でないのと、発生場所が頭蓋内であるため、良性とは言いつつも治療はしにくく、また痙攣や行動異常などの神経的な症状が強く起こるのが特徴です。

検査の方法はある?

先ほども書いた通り、脳腫瘍は発見が非常に困難であるため、飼い主様が何かしらの症状に気づいたときには、かなり腫瘍の大きさがかなり大きくなっていることがほとんどです。

検査方法は一般的な血液検査やレントゲン検査では腫瘍の存在を明らかにすることはできないため、全身麻酔下でのMRIを用いた画像診断になります。

通常、腫瘍の診断は腫瘍の細胞を採取し、病理検査を行うことでどのような腫瘍なのか、また悪性度を調べるのですが、ほぼすべての頭蓋内腫瘍についてはなかなか腫瘍細胞を採取することは困難になります。

髄膜腫の場合も、診断はMRIによる画像診断のみで行われることがほとんどで、この点については他の腫瘍とはかなり異なる点だと思います。

画像のみの診断にはなるのですが、髄膜腫の場合は髄膜から発生しているので、脳の辺縁にべったりついているような特徴的な画像になるため、熟練した獣医師であれば予想するのは容易だと思います。

治療法は?

最も積極的な方法としては外科手術および放射線治療となります。

ただし頭蓋内の手術ができる病院は限られており、また以前に比べると放射線治療を行える施設も都内であれば増えては来ていますが、まだまだ一般的にはなっていないのが実情です。

代替の方法としては抗がん剤などの使用がありますが、髄膜腫にはあまり効果が見られないため、推奨される方法ではありません。

結果としてたいていの場合は、腫瘍によっておこる痙攣や発作のような症状をコントロールする温存療法にとどまることがほとんどです。

抗痙攣薬や脳圧降下剤、ステロイドなどが代表的な薬になります。

他の脳腫瘍に比べると髄膜腫は進行がかなり緩慢なため、温存療法とは言いつつも犬や猫によってはかなり長期的なコントロールが可能になります。

ただ残念ながら完全に進行を止めることはできないため、徐々に痙攣の頻度が増え、それに伴い食欲不振や衰弱が見られるようになります。

中には痙攣が完全に制御できないケースもあるため、良性の腫瘍とは言いつつも、決していいものではないことは確かだと思います。

まとめ

人間の場合でも脳腫瘍は治療が困難なもののひとつであり、犬や猫の場合はなおさら難しいと思います。

セカンドセレクトでも様々な神経症状を患い、日々奮闘していらっしゃる飼い主様も多くいらっしゃいます。

治せない病気だったとしても、日々の生活を穏やかに過ごせるような、何かしらのお手伝いは可能だと思いますので、何かお困りの際はお気兼ねなくご相談ください。

2020-11-29

以前から一定数はいたのですが、最近はよくご自宅で犬や猫を出産させ子供を作ろうとしている飼い主様が多くなってきたと思います。

自分の愛犬や愛猫と血がつながっている子孫を迎えることは非常に喜ばしいことだとは思いますが、色々な知識をつけておかないとかなり大変なことも多くあると思います。

今回はそんな自宅で出産した場合、特に犬で気を付けておきたい新生児の奇形、口蓋裂についてご説明したいと思います。

口蓋裂とは?

哺乳類は胎児期に、母親のおなかの中で体を成長させていくのですが、顔面の骨格は左右のパーツがいくつかの突起で癒合しながら作られていきます。

この時に何らかの原因で癒合がうまくいかず、本来結合するべきところが裂けて穴が開いてしまうことがあります。

そうした癒合不全の中で、口蓋裂は上顎の癒合がうまくいかず、鼻腔内と口腔内がつながってしまう奇形です。

原因は胎児期における母親の栄養不良などが考えられていますが、原因はわかっていません。

特に短頭種のような頭が大きい犬種での発生率が高くなっているため、そういった遺伝的な背景があると思われます。

口蓋裂になると・・

口蓋裂は口腔内にできる奇形のため、一見普通の新生児と変わりません。

最初のうちは体格も普通で、母乳を吸うようなしぐさをしているのですが、口蓋裂があるためうまく吸えないため、体重の増加が見られなくなります。

また飲んだミルクが鼻から出てきたり、くしゃみなどが出やすくなります。

人工哺育などに切り替えても十分量のミルクを与えることも困難なので、どんどんと衰弱をしていきます。

また無理やりミルクを飲ませようとすると、鼻腔と口腔がつながっているため誤嚥させてしまうこともあり、肺炎を起こして亡くなることも多いと思います。

そういった意味では新生児にとって致命的な奇形の一つになります。

手術はいつ行うべき?

可能な限り早めに手術を行うことが望ましいとはどの教科書にも書かれていることなのですが、実際には生まれてすぐに手術というわけにはいきません。

安定した麻酔がかけられるまでには最低でも2~3か月はかかるので、その月齢に達するまでは何とか成長を祈るしかありません。

口蓋裂が存在していたとしても十分に成長がある場合には6か月ぐらいまで様子を見ることもあるので、タイミングは常に仔犬の状況次第だと思います。

手術は基本的に口腔内の粘膜をつなぎ合わせて行いますが、基本的に口の中の粘膜は皮膚のように伸びるわけではないので、一部切開を入れてわざと口腔粘膜を剥離して移動させて縫い合わせます。

しっかり縫合していたとしても、口腔内は舌や食塊などの刺激が常にあるため、再縫合が必要になることも多くあります。

完全に癒合が済むまでは2週間程度はかかるため、その間可能な限り縫合部位に刺激が加わらないように注意していく必要があります。

術後の予後は良く、十分に採食が可能になるため、体重の増加が著しく増えることを確認しながら成長を見守っていきます。

まとめ

口蓋裂は自宅で出産を行った場合、一番気を付けないといけない奇形になります。

これって?と思うようなことがあれば、写真などをメールで送っていただければご相談に乗れると思いますので、お気兼ねなくお問い合わせください。

2020-11-12

体は様々な細胞で構成されていますが、どの細胞も腫瘍に変化する可能性を持っています。

年齢を重ねればその確率は増えていくので、中高齢以降に腫瘍の発生率が高くなるのは自然の道理かもしれません。

腫瘍は発生する場所によって見つけやすいものもあれば、見つけにくいものもあり、特に体の表面にできる腫瘍は飼い主様が異変に気付くこともよくあります。

今回はそんなある意味気づきやすい腫瘍の一つ、甲状腺の腫瘍についてご説明したいと思います。

甲状腺腫瘍はどんな腫瘍?

甲状腺は首にある内分泌器官で、主に甲状腺ホルモンを合成、分泌しています。

正常な甲状腺はほとんど触知することはできなく、硬い気管支の突起のみ触ることができます。

甲状腺が腫瘍化するとほとんどの場合は片側性に腫大するため、左右どちら側が気管支よりもやや柔らかめのしこりが喉の中央やや上寄りで触れるようになります。

ちなみにあまり正確な話ではないのですが、悪性の甲状腺腫瘍の場合、しこりは気管支にへばりつくように固着していることが多く、反対にしこりがぐりぐり動くような場合にはあまり悪性度が高くない、もしくは良性の腫瘍のケースが多いと思います。

触ると明らかなしこりが感じ取れるので、ほとんど場合は飼い主様がそれに気づき来院されることがほとんどだと思います。

甲状腺腫瘍は悪性の場合、非常に強い増殖性と転移性を持っているため、動物病院に来院した際にはすでに甲状腺周囲の組織に腫瘍の組織が入り込んだり、肺や肝臓などに転移をしていることが多いと思います。

ただこういったケースでも犬の場合はほとんど自覚症状がなく、元気や食欲にも影響が出ていないことがほとんどです。

逆に猫の場合は、甲状腺腫瘍による甲状腺機能が過剰に活発化するため、甲状腺機能亢進症様の症状を起こしていることがほとんどです。

【甲状腺機能亢進症】老猫に多い病気。食べてもやせる。嘔吐も多い。治療法は?

治療法と予後について

リンパ腫や白血病などの血液の癌以外の腫瘍の治療法の第一選択は外科手術による切除であり、それは甲状腺腫瘍も同様です。

ただ甲状腺腫瘍の場合は、周りの組織への浸潤性も非常に強いため、多くの場合で完全に摘出が難しいもしくは術後の後遺症が強く出ます。

これは経験則にはなりますが、甲状腺の腫瘍が片側性でかつぐりぐりと容易に動く場合は完全切除しやすいことが多いので、積極的に外科的な介入を検討した方がいいと言われています。

この場合、予後は極めて良く、また術後の影響もあまり残らないことが多いと思います。

問題は周りの組織と固着してあまり動かない場合です。

このケースの場合、頚部にある神経や大きな血管などを大きく巻き込んでいるケースも多いため、外科的な摘出はかなり困難になります。

また転移をしている場合も同様で、手術をしたとしても術後の予後は極めて悪いケースも多く、手術を行ったことのメリットを享受できないことも多いと思います。

セカンドセレクトではそのような場合、分子標的薬であるトセラニブという薬を使用して経過を観察することもお勧めしています。

甲状腺腫瘍のような固定癌は、元来、抗がん剤などの化学療法にはあまり反応がないことが多いのですが、こういった分子標的薬は効能外処方にはなるのですが、効果があるという文献も多く、割と多く動物病院でも使用している薬です。

食欲不振などの副作用が出やすいのですが、手術が困難、もしくは手術を回避すべき状況であれば使用を積極的に考えてもいいと思います。

まとめ

ペットも寿命もどんどん長くなってきているので、人間同様、高齢が故になりやすい病気も多くなってきています。

腫瘍はそういった病気の中の一つのものだと思いますが、セカンドセレクトでは多くの腫瘍の治療を行っていますので、なにかお困りの際にはお気兼ねなくご相談ください。

2020-11-02

犬や猫の病気の中で、最も頻繁に起こる症状の一つとして下痢があげられると思います。

もちろん下痢の原因には様々なものがありますが、その理由の中でも代表的なものは寄生虫の感染です。

動物愛護法が改正され、また都市近郊部では地域猫の清浄化が進んでいるため、回虫や条虫といったいわゆる寄生虫というものはかなり少なくなってきたと思いますが、その一方で原虫と呼ばれるタイプの寄生虫に関しては時折発見されることがあります。

今回はそんな原虫の中でも最も一般的な「ジアルジア」についてご説明したいと思います。

ジアルジアとはどんな寄生虫?

あまり聞きなじみはないかもしれませんが、動物病院では日常的によく見られる寄生虫です。

ジアルジアは原虫と呼ばれる単細胞の寄生虫で、どちらかと言えばゾウリムシやアメーバーに近い存在のため、肉眼的にみるこできとはできないので、その点では同じ消化管の寄生虫である回虫や条虫などとは大きく異なると思います。

日本でよく見られる消化管内の寄生虫はそのほとんどが病原性に乏しく、ジアルジアも含めて感染をしていてもあまり症状が出ないもしくは軽度の下痢便程度で収まってしまうことが多いと思います。

ただ、感染した犬や猫の免疫力によって、回復までの期間はその個体によってかなり異ります。

この点がジアルジアの治療を困難にしている一つの原因になっています。

検査方法と治療について

基本的には検便によってジアルジアを検出しますが、検査で見つからないケースも多くあります。

ジアルジアは形態的に2種類に分かれており、通常発見できるのは栄養体と呼ばれる形態です。

栄養体は他の細菌よりも大きく、顕微鏡の視野の中をくるくる移動して回るので、実際に見ればとても目立つのですが、新鮮な便の中にしか生息していないため、検査までの時間がかかった場合は発見が非常に難しくなります。

そのため教科書的には硫酸亜鉛遠心浮遊法といった特殊な工程を行い、もう一つの形態であるシスト型と呼ばれる形態を見つけることを推奨しています。

ですが、一般的な動物病院では工程がやや煩雑なためほとんどやられていません。

またジアルジアの抗原検査を行うこともありますが、いずれも感度は低く、結局のところどの方法でもジアルジアを完璧に見つけることはできません。

したがって感染の疑いがあるようであれば、ジアルジアが見つからなくても治療を開始することが多いと思います。

ただその治療も効果的に働かないこともよくあります。

理由としてはジアルジアを駆虫する薬を使用しても、虫体の個数を減らすことはできても完全に死滅させることができないからです。

最終的には感染した犬や猫自身の免疫によって完全に排菌されるまで待つしかないため、治療には長い時間がかかることも多くあります。

特に仔犬や仔猫の場合には腸内の環境が成熟していないため、長期間にわたり感染が見られることもあります。

セカンドセレクトではそういった長期感染を起こしているような個体には腸内の免疫力を高めるため、食事内容の改善のほか、ビタミンEやAといった栄養を補充したり、サプリメントを使用したりします。

難治性の症例でも、併発疾患がなければ重篤化することはほぼないため、あせらずゆっくり治療することが大切だと思います。

まとめ

ジアルジアは以前は下痢をしている仔犬や仔猫からは頻繁に発見されていたのですが、動物愛護法のおかげか、確かにその機会は大幅に減ってきたと思います。

ただまだたまに見かけることも事実なので、特に仔犬や仔猫で下痢が中々治らないときにはお気兼ねなくご相談いただければと思います。

2020-10-21

おなかが減って低血糖になってイライラするという話を聞いたことがあるかもしれませんが、元来血糖値はちょっと食べなかったぐらいで急激に下がることはありません。

実際、体の中で低血糖にならないようなシステムはいくつもあり、病的な要因がない場合には数日食べてなくても血糖値は下がらないようになっています。

血糖値を急速に下げることができる唯一の体のシステムはインスリンによる血糖値のコントロールのみになります。

インスリンが過剰に分泌された場合、急激な血糖値の低下が起こるため、様々な症状が出てきます。

今回はこの過剰なインスリン分泌が起こる病気、インスリノーマについてご説明したいと思います。

インスリンの働きは?

ご存じの方も多いかもしれませんが、インスリンは血糖値をコントロールする重要なホルモンで、膵臓から分泌されます。

インスリンは血中にある糖を細胞内に取り込ませ、血糖値を下げる役目をしているほか、肝臓で糖を貯蔵させるように働き、脂肪組織の分解を抑制し、糖から脂肪を合成するなどの役目があります。

ちなみにいまはやりの糖質制限ダイエットはこういったインスリンの分泌を抑制することで体重をコントロールするダイエット法です。

インスリノーマの症状

インスリノーマの原因は膵臓にあるインスリンを分泌する細胞が腫瘍化した悪性の腫瘍であり、腫瘍から分泌される過剰なインスリンによって様々な症状が発現します。

インスリノーマは初期段階ではほとんど気が付かないことが多いと思います。

実際に動物病院に来院される場合にはかなり症状が進んだ時に連れてこられることがほとんどです。

理由としては動物は低血糖に対してはかなり耐性が強いため、血糖値がかなり低下していても症状がほとんど出ないことが多いからです。

持続的な低血糖が起こってくると、ちょっと元気がなくなったり、ボーとしてる感じが増えてきたりします。

またインスリンの脂肪合成作用により、初期段階では体重が異常に増加している場合も見られます。

症状が進むにつれ足腰のもつれが目立つようになったり、完全に意識が混濁しているような時間が長くなったりしていきます。

ただ症状が進んでいたとしても外見上の変化はあまりなく、まれに顔面神経などの麻痺が見られることもありますが、ほとんどの場合はただただ元気がないといった感じが多いと思います。

いよいよ病状がかなり進んだ場合には強い痙攣をおこすこともあり、痙攣と昏睡を繰り返しながら突然死を起こすこともあります。

また病状の終末期には肺や周辺のリンパ節に転移をすることも多く、動物の状態をさらに押し下げることになります。

検査や治療法

インスリノーマは低血糖であることを確認することから始まります。

低血糖になる病気はそれほど多くはないのですが、そのほかの病気の原因を排除し診断を進めていきます。

実際にはエコー検査やレントゲンなどで膵臓の腫瘍の存在を確認できれば診断はつきやすいのですが、膵臓自体は画像上の変化を見つけることが難しく、CT検査などの画像診断を必要とします。

CT検査には全身麻酔が必要なことも多く、特にフェレットの場合には画像上の診断は非常に困難なため、一般的には血液検査から推測していきます。

そのため、低血糖及び、インスリンの血中濃度を確認することで診断していくのですが、時間帯によっても数値のばらつきが多かったり、個体差もあるため完全に判断することが難しいこともあります。

インスリノーマと判断された場合、よほどの高齢であったり、転移がなければ癌に侵されている膵臓部分の切除をすることが望ましいとされています。

手術により完全に低血糖の状態が消失する場合もあれば、症状の緩和につながるケースもあるため、治療法の一つとして積極的な視野に入れていてもいいとは思いますが、その反面、膵炎や糖尿病などの術後の合併症も起こりやすく、手術の内容としてはリスクの高いものとなります。

また術前より低血糖状態を改善しておかなければならないため、集中管理が必要なケースも多く、セカンドセレクトを含めた一般的な動物病院では手術を安全に執り行うことは困難だと思います。

そのため、飼い主様によっては手術自体を望まない方もいらっしゃいます。

手術後や、手術ができない状態の場合、もしくは手術自体を希望しない場合は内科的な治療を行う形になります。

急激な血糖値の上昇により過剰なインスリンが分泌されることを防ぐため、食事は少量頻回で行うことが望ましいと思います。

特に血糖値が上がりやすい炭水化物と脂肪は極力抑えた方がいいので、鶏肉のささ身や胸肉などの高たんぱく低脂肪、低炭水化物の食事がお勧めです。

食事管理だけでは低血糖による症状が改善しない場合はステロイドを継続して服用します。

本来、ステロイドは抗炎症作用のある薬として使用するのですが、副次的に血糖値を挙げる作用もあるので、低血糖時には有用です。

ただ長期的な使用による大きな副作用も出てくるため、多くの飼い主様を悩ますようなこともあります。

その他の薬も多くあるのですが、効能や費用などの面からあまり実際には行われないことが多いと思います。

まとめ

インスリノーマを患った動物の予後は一般的にはあまりよくないことが多いため、最終的に安楽死を検討する飼い主様もいらっしゃいます。

セカンドセレクトでは病気になった動物だけでなく、飼い主様の精神的なケアが行えるようカウンセリングも行っております。

何かお困りごとがありましたらいつでもご相談ください。

2020-10-09

人間に比べると犬や猫の目の病気は比較的多く、特に目の表面の角膜に見られる病気は動物病院でも日常的に診られます。

一説には角膜の表面に出ている神経が、犬や猫は人間と比較してかなり少ないからとも言われています。

そう思うと、犬や猫は目の中に大きな糸くずなどが入っていても全く気にしないのは不思議ではないかもしれません。

角膜の病気の中には慢性的な疾患も多く、多くの場合飼い主様も日常的なケアが必要な病気がほとんどです。

今回はそんな角膜に起こる病気の中の代表的な病気、乾性角結膜炎をご説明したいと思います。

乾性角結膜炎とは?

乾性角結膜炎はいわゆるドライアイと呼ばれる症状で、何らかの理由で涙の分泌量が減少し起こる疾患です。

通常、涙は液性の涙と油性の涙が混合しています。

正常な涙層では眼の表面である角膜の上に油性の涙が土台を作り、その上に液性の涙が保持されることで形成され、角膜を保護する役目をしています。

乾性角結膜炎は涙の成分のうち液性の涙が分泌されなくなることで起こります。

ちなみに油性の涙が出なくなると出る病気としては涙やけがあげられます。

【涙やけ】犬や猫の目頭がガビガビに変色。目薬をつけても治らない?原因やケアなど。

液性の涙は瞬膜と呼ばれる眼の内側にある膜や眼瞼周囲にある分泌腺から分泌されるのですが、涙液生成機能の低下はこれらの分泌腺が局所的な免疫異常を起こすためと考えられていますが、今のところ分かっていません。

乾性角結膜炎になった動物の目の表面は常時乾いたような感じになるため、角膜全体が濁ったような外観になります。

涙液の中には抗菌、抗炎症作用を有するたんぱく質が含まれているのですが、これも分泌されなくなるため、常に角膜の表面は刺激、感染を起こし、結膜炎が継続的に診られるようになります。

また油性の涙が目の表面にへばりつくため、ドロッとした目やにが目の表面に付着し、また感染を起こすと色のついたガビガビとした目やにが目の周囲に固着するようになります。

ケアの方法は?

乾性角結膜炎は基本的には根治しない病気のため、目の異常に気付いたら早めの段階からケアをしていくことが大切だと思います。

初期段階では見た目からは乾性角結膜炎はわかりにくいことも多く、シルマー試験と言われる涙量を計測するための試験紙で確認します。

涙量が低下していることが判明した場合、ヒアルロン酸などが含まれている点眼液や眼軟膏を使用していきますが、症状が進んでいる場合は細菌の2次感染を起こしていることも多く、抗生剤を使用していきます。

割と多くの場合、乾性角結膜炎は免疫異常からくるため、免疫抑制剤を含んだ眼軟膏などを使用します。

こういった治療により反応が良好な症例でも、点眼を中断すると再発するケースも多いため、結局のところは飼い主様の毎日のケアによって維持をしていくことになります。

まとめ

どんな病気でも慢性的な疾患は飼い主様が管理していくことになるため、負担もかなり多くなると思います。

セカンドセレクトではできる限り飼い主様のご負担を軽減するような治療を行っていますので、お気兼ねなくご相談いただければと思っております。

2020-09-29

動物病院ではよく緊急手術があります。

当然緊急手術なので、前もって手術予定がたっていないことがほとんどですが、そういった手術の中で最も動物病院で行われているのが帝王切開です。

もちろんある程度は予測はつくのですが、そのタイミングなどについては多くのお問い合わせがあります。

今回はその帝王切開についてご説明したいと思います。

まず犬や猫の妊娠、出産は?

ご存じの飼い主様も多いかもしれませんが、犬や猫の性周期は人間とは大きく異なります。

犬は季節繁殖動物と言い、春と秋にのみ年2回排卵が起こり、交配が可能になります。

また排卵された卵子は子宮内での生存期間が1週間程度と長いため、正確な交配時期を推測することが難しいことが多くあります。

ちなみに発情期に陰部からの出血は見られるのですが、月経による出血とは異なります。

また受胎しなかったメス犬はそのまま発情休止期に入り、犬によっては強い偽妊娠の兆候が見られることがあります。

一方で猫の場合は、交尾排卵動物と呼ばれ、明確な交配時期はなく、交配して初めて排卵が起こります。

また排卵には交尾による刺激が数回必要と言われており、同腹子でも父猫が異なる場合もあります。

犬、猫ともども妊娠期間は60日から65日程度とされていますが、種類によっても大きく異なるほか、人間と同様、個体によって日にちは数日ずれることはざらにあります。

この辺りが帝王切開を行うべきかどうか判断する際に、非常に迷うところになります。

帝王切開のタイミングは?

先に行ってしまうと、帝王切開を行わなければならないベストなタイミングは誰にもわかりません。

妊娠から出産までの期間は個体差が数日から1週間ほどあるため、正確な出産日を推測することは非常に困難です。

犬の場合は一般的には出産直前の動物は体温が35℃から36℃まで低下し、それが見られてから半日以内には出産が始まるとされています。

猫の場合には、出産前日あたりから食欲が絶廃になるため、こちらが出産日の予測になります。

犬の場合も猫の場合もこういった出産兆候が始まってから24時間程度で陣痛が始まりますが、1日たってもそのような出産行動に入らなければ帝王切開を検討する必要が出てきます。

また陣痛のようなそぶりがあっても胎児が出てこない場合どれくらい待てばいいのか?とよくご質問を受けるのですが、こちらに関しても個体差が大きいため正確な返答は困難です。

こちらも一般的な話にはなりますが、出産行動が始まって12時間以上たっても1頭目が出てこなければ、帝王切開を検討するタイミングになります。

また1頭目は無事に出産されても、2頭目が速やかに出産されない場合もよくあり、3時間以上も間が開くようであればやはり帝王切開を検討する形になります。

まれにあるのですのですが、激しい陣痛が続いても出産されないケースは早めに対応した方がいいとされています。

いずれにしてもこれらのタイミングは絶対ではなく、あくまでも目安になるので、最終的な判断は常に相談しながらという形になります。

帝王切開は簡単?

帝王切開は術式としては簡単なのですが、通常の手術とは異なることが多くあります。

一番の違う点は、とにかく可能な限り胎児が取り出されるまでの時間を短縮し、麻酔が胎児に与える影響を最小にするところです。

場合によっては通常よりも浅い麻酔で手術を行うこともあり、ある程度の熟練度は必要だと思います。

また取り出された胎児がいつ目覚めるかどうかは誰もわかないので、10分~1時間程度、蘇生に時間がかかっても、その後順調に発育していくこともあるため、蘇生処置をいつ終わりにするかも判断が非常に難しいと思います。

まとめ

セカンドセレクトでも帝王切開はご対応しており、小型犬であれば全体的なご費用は10万円程度になります。

ただ自然に分娩するのが一番リスクが低いので、ぎりぎりまで帝王切開は行わないようにお勧めしています。

2020-09-17

腫瘍と一言で言っても色々な腫瘍があります。

見た目で判断できるようなものもあれば、外見上からは全くわからないものあるし、聞いたこともないような名前の腫瘍も多く存在しています。

そんな外見からも判断できず、またなじみもないような腫瘍の場合には、しばしば診断までに時間がかかることもあります。

今回はそんな腫瘍の中のひとつ、多発性骨髄腫という病気をご紹介します。

多発性骨髄腫とは?

多発性骨髄腫は体を守る免疫担当細胞の一つのBリンパ球が骨髄内で腫瘍化したものです。

抗体を産生するBリンパ球は形質細胞とも呼ばれるため、骨髄の中で起こった形質細胞の腫瘍である形質細胞腫が骨髄で発生して起こることもあります。

人間では高齢の男性に多いと言われていますが、犬の場合は雌雄差はなく中高齢にみられる腫瘍ですが、猫の場合はかなりまれと言われています。

骨髄に起こる腫瘍性病変の影響のため、レントゲン上では骨が破壊されているような画像が得られ、血液検査上では高カルシウム血症が見られるほか、腫瘍にかかった動物たちも体のいたるところで痛みを感じることがあります。

また多くの場合は貧血などからくる食欲不振が見られ、そのほか腎不全などにより多飲多尿が見られることも多くあります。

検査方法は?

Bリンパ球は抗体と呼ばれるたんぱく質を主成分とした免疫物質を放出するのですが、腫瘍化したBリンパ球によって異常に産生された抗体のため、血液中のたんぱく質含有量が非常に高くなります。

ほとんどの多発性骨髄腫を疑う症例では、この高たんぱく血症を見て獣医師は病気を疑うことになります。

血液中に含まれるたんぱく質にはいくつか種類があるのですが、多発性骨髄腫を患った動物の血液はモノクローナルガンマパシーと呼ばれる特徴的なたんぱく質の変化があります。

これらは外部の検査を依頼することで判明するため、こういった所見が見られた動物の場合はすぐに検査を勧める必要があります。

実際にはこのモノクローナルガンマパシーのみで判断することができないため、レントゲンで骨が異常な所見があるかどうか、もしくは尿中に腫瘍化したBリンパ球から産生されたたんぱく質が検出されるかどうかなどで判断していきます。

これらの検査でも診断がつかない場合、最終的には骨髄の生検になりますが、状態の悪い中での全身麻酔による検査のため、リスクを回避することが困難になります。

治療法について

診断がついた場合、治療は早期に開始していきます。

基本的には抗がん剤を使用していくのですが、他の血液の癌であるリンパ腫などに比べると、使用する抗がん剤は経口投与になるため自宅で行え、薬価もかなり安いと思います。

犬の場合は比較的予後はよいとされているので、治療はある程度積極的に行ってもいいと思います。

猫の場合は残念ながら予後はとても悪く、抗がん剤の効果も出にくいとされています。

まとめ

セカンドセレクトでは様々な腫瘍の治療も行っています。

もし何かご不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。

2020-09-07

予測できないことというのは、特に医療の分野ではよくよく見られます。

そこに人為的なミスがなかったとしても、突如として思いもよらない生体反応が起こった経験は、医師、獣医師問わず、ほぼ皆が経験していることだと思います。

そういった予測不可能な生体反応の一つとして「血栓」というものがあります。

血栓はその名の通り血管内にできた血餅によって血管が詰らしてしまうことがあり、詰まってしまった血管によって様々な症状が出てきます。

今回は犬でまれにみられる全身性血栓塞栓症についてご説明したいと思います。

そもそも血栓ってなんでできる?

血栓はいきなりできるわけではなく、ほとんどの場合は基礎疾患となる病気がもとになり、たまたまできてしまうと考えられています。

代表的な病気としては心疾患、腎臓病、甲状腺機能低下症や多くの消化器疾患などで見られると言われています。

また人間と同様に高コレステロール血症などが原因による動脈血管の内皮構造が変化して起こる可能性なども挙げられていますが、実際のところ原因を特定できることは多くはなく、一見は特に何も病気がないような犬でも突如として血栓が発生することが多いと思います。

またよくあるケースとしては、大きな外科手術、とくに大きな腫瘍の摘出をした後に発生することもあり、術後の急変の要因としては常に気にしないことの一つに挙げられます。

一度発生した血栓が血管を詰まらしてしまう「血栓塞栓症」は大動脈や心臓、肺動脈などで見られるのですが、それによってみられる症状は血栓の大きさ、塞栓部位などによって異なり、無症状の場合もあれば致死的なこともあり、血栓が原因で死亡したとしてもそれが解明できないこともあります。

血栓塞栓症の症状は?

動物病院で見られる犬の血栓塞栓症は多くの場合、腹大動脈と呼ばれる血管で起こり、主な症状は後肢の麻痺が見れられることになります。

ほとんどの場合は突発的に起こり、後ろ足はダランとして力が入らないような状態になり、触ると少し冷たく感じます。

犬自体はおなかを触ると痛がるようなしぐさを見せることもあります。

よくあるのが、散歩の途中から突然歩けなくなったというケースが多く、運動によって必要な血液量が増加しているのにもかかわらず、後肢の血管に血栓が詰まって細くなっているため、血流不足を引き起こしているからだと推測されています。

検査方法と治療法は?

腹大動脈に起こった血栓塞栓症は基本的にはエコー検査で描写できることが多いと思います。

その他、血栓ができやすい状況なのかどうか、血液検査でも判断することができるため、支持診断として検査を行います。

また全身性の疾患を伴っていないかどうか、スクリーニング検査が必要となるため、結局のところ一通りの検査を行う必要があります。

とくに血栓は心臓内でできることも多いため、心臓内のエコー検査にて血栓の有無を確認すること、また不整脈が頻発していることもあるため心電図など、心臓の精密検査は必須となります。

基本的には基礎疾患となっているものを治療することが理想なのですが、先にも述べた通り、こういった検査でも本来の原因が見つからないケースも多くあるため、治療は基本的に支持療法となります。

以前は血栓を溶かす薬を点滴にて投与していたのですが、有効性に乏しいため最近ではあまり行われないと思います。

猫に比べると犬の血管は太いため、徐々に血流は回復してくることが多いので、新たな血栓ができないよう抗血栓薬を服用しながら長期間観察していくことがほとんどです。

ただし、血栓は肺動脈や腎動脈にも発生することがあるため、各主要な臓器に血栓塞栓症が見られた場合には、甚急性かつ致死的な症状が出ることもあるため注意が必要です。

まとめ

後肢が動かなくなる病気の代表的な疾患としては椎間板ヘルニアがあげられますが、好発犬種以外で突如後肢の麻痺がおこった場合は、血栓塞栓症の疑いがあります。

急激な症状ではなく、間欠的に後肢の麻痺がおこり、安静にしていると治癒するという症状を慢性的に繰り返すこともあるので、もし後肢の動きをみて不安を覚えるようなことがあればお気兼ねなくご相談ください。

2020-08-29

人間もそうだとは思いますが、ある程度の年齢になると多くの犬で突発的な発咳が見られるようになります。

こういった咳の中でも、ちょっと厄介なものが慢性気管支炎だと思います。

特定の原因がみつからないことが多いため、治療は対症療法にとどまり、継続的に治療をしていかないといけないからです。

今回はこの慢性気管支炎をご説明したいと思います。

慢性気管支炎とは?

慢性気管支炎は先ほども述べた通り、発咳を起こすような病的な理由が見つからないのにもかかわらず、長期間にわたり発咳が見られる疾患です。

猫よりも犬で圧倒的に診られることが多く、7歳あたりを超えてから目立つようになることが多いと思います。

ちなみに猫では喘息性の咳が多くみられるのが特徴です。

【猫喘息】猫の咳で一番多い理由。治療法は?予後は?

トイプードルやヨーキー、ポメラアン、などの小型犬に多いのですが、比較的よくなく犬でも見られると思います。

また幼少時代に重度のケンネルコフやアレルギー性気管支炎などを起こした犬が中高齢になった時に見られることもあり、基本的には全犬種でふつうにみられる病気です。

【ケンネルコフ】犬の咳でみられる伝染性気管支炎。治療は必要?予後は?

発咳は明け方に多く見られるのですが、症状の進行とともに日中も見られるようになります。

特に体位を入れ替えた時や動き出しなどに突発的に起こることが多く、発咳は数秒から数分続きます。

検査方法は?

慢性気管支炎の場合、特定の原因がないため、検査上は特別な異常は見つからいことがほとんどです。

ただし、心臓病や機関虚脱のような似たような症状を出す他の病気も多くあるため、一通りの検査は必要だと思います。

検査はレントゲン、血液検査などを行うのですが、慢性気管支炎の合併症として肺高血圧症がよく見られるため、心臓のエコー検査は必須だと思います。

【肺高血圧症】気づいたら犬や猫の息が荒い・・・。意外と多い犬の肺の病気。

治療法はどんなものがある?

慢性気管支炎の治療法は基本的には投薬になります。

心臓やそのほかの慢性疾患で使用される薬と異なり、決まった時間に継続的に使用するというよりは頓服として使用できることも多く、副作用の問題もあまりありません。

ただし、薬の内容としては気管支拡張剤や鎮咳薬、去痰剤などが代表的なものになりますが、気管支炎に使用する薬のほとんどはとても苦いため、投薬には意外と苦労することおも多いと思います。

セカンドセレクトでは内服を錠剤だけでなく、粉末やシロップにして処方することも多いのですが、それでも投薬が困難なこともあるので、色々な方法をご相談しながら行っています。

またネブライザーと言って薬剤を霧状にして吸入させることもあります。

ネブライザーの機械自体は簡単にインターネットで購入できるため、投薬が困難などのケースの場合はこちらもお勧めしています。

まとめ

慢性の疾患はどんな病気であれ、動物だけでなく飼い主様にも大きな負担となることが多いと思います。

セカンドセレクトでは双方の負担を軽減できるような治療を心がけておりますので、何かお困りの際はいつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-08-18

動物の免疫システムは外からやってくる細菌やウイルスから身を守るだけでなく、体の中で偶発的に発生する腫瘍を抑える役目もあります。

こういった免疫システムの能力は年齢とともに段々と失われていくため、年を重ねると感染症などの病気になりやすいだけでなく、腫瘍もできやすくなります。

また腫瘍細胞は全身どこの臓器からも発生するのですが、動物病院で遭遇する腫瘍なかでも乳腺や生殖器から発生する腫瘍がよく診らるため、腫瘍が原因での来院率はオスよりもメスの方が多いと思います。

今回は年齢をかさねたメスの犬でよく見られる良性の腫瘍、膣ポリープについてご説明したいと思います。

膣ポリープとは?

膣ポリープは未避妊の高齢のメス犬ではよくみられる腫瘍です。

なぜなら一般的に生殖器から発生する何らかの腫瘍は、性ホルモンに大きく影響されるからです。

通常は膣内から発生しますが、できた当初は膣内にあるため、外見上からもわからないですし、症状もありません。

ポリープはドーム状というよりは、ひょうたんや売りのような形をしているので、ポリープが大きくなるとその先端が陰部から露出されます。

多くの場合、この時点で飼い主様が気づき動物病院に連れてくるのですが、この時点でもあまり症状はありません。

たまに直接地面に擦れたり、犬自体が気にして噛んだりして傷ついたりすることもありますが、それ以上の症状が出ることはないと思います。

治療法は?

治療法はもっぱら外科手術になります。

腫瘍の発生は性ホルモンとの関連性があるため、手術と同時に避妊手術を行うことがよいとされています。

またポリープの根が膣の奥に入り込んでいるため、陰部を切開する必要もあります。

ただし、こういった処置は全身麻酔を使用し行うのですが、ポリープを発見した時には全身麻酔を使用するのにためらう年齢であることが多いのが問題となります。

放っておいても一般状態を低下させることはあまりないのですが、ポリープ自体が傷つき潰瘍を起こしてしまうこともあるため、何かしらの処置が必要になります。

そういった場合、セカンドセレクトでは簡易的にポリープを結紮し切除することをお勧めしています。

簡易的に切除した場合、たまに再発することもあるのと、出血しやすい箇所になるためあまり大きく太いポリープには不向きであるのですが、全身麻酔を使用せず切除できるメリットは大きいと思います。

処置時間は5分程度、5000円程度の処置量になります。

まとめ

年齢を重ねるとイボのような、あまり健康には関係のないものが多く発生しますが、発生した場所によってはなんでもないものでも、結構生活の質を落とす原因になることもあります。

ちょっとしたことなんだけど、何とかならないかなぁという些細なことでも構いませんので、何かありましたらお気兼ねなくご相談ください。

2020-08-06

以前に比べると増えてきたとはいえ、ウサギの診察が可能な動物病院は犬猫に比べるとまだ少ないと思います。

セカンドセレクトはそんな数少ないウサギの診察も可能な動物病院のため、近隣からも割と多くのウサギが受診されています。

ウサギがなる病気はウサギ特有の病気が多く、あらためて犬や猫とは違うので大変だなぁと思うことはよくあります。

今回はそんなウサギ特有の病気、ウサギの不正咬合について今回はご説明したいと思います。

ウサギの不正咬合って?

ウサギは常生歯といって、他の哺乳類と異なり、歯は生涯伸び続けます。

1週間で平均3㎜ほど伸びていくため、健康的なウサギの場合は採食の際に伸びた歯の分だけ摩耗しいきます。

ただし、もともと飼育されているウサギはペレットや野菜など軟らかい食事を与えられているため、野生のウサギよりも歯が摩耗するスピードが遅いうえ、中高齢になるとさらに歯は摩耗しずらくなっていくため、過度な歯の伸長がよく見られるようになります。

噛み合わせによっては、過度に伸びた臼歯はとげのようにとがった形になり、舌や口の中の粘膜を傷つけ、炎症や細菌感染を起こしたりします。

不正咬合の症状は?

初期段階としてよく見られる症状は、食欲はあるのだけどうまく食べれない、口の中のものをよくこぼすということがあります。

症状が進むにつれて口の周りがよだれで汚れやすくなったり、歯ぎしりなどが多くなることもあります。

さらに症状が進むと、柔らかいものしか食べなくなり、最終的には食欲自体が低下していきます。

治療法は?

過度に伸びてしまった臼歯は削って適切な形に治すしかないのですが、一部の動物病院を除いては全身麻酔をかけたうえでの処置になります。

セカンドセレクトでも同様に基本的には全身麻酔を使用することになりますが、ウサギの全身麻酔に関しては麻酔事故が多く、リスクの少ない処置ではないと思います。

ウサギの臼歯は専用の鋏で簡易的に短くする方法もあるのですが、ウサギの臼歯は他の動物と異なり小さな歯が直線的に並ぶことによって一つの臼歯を形成しているような性質を持っています。

したがって処置後に微細な段差や噛み合わせの悪さが残ると、食欲が中々回復しないとか、かえって食欲が低下することもあります。

セカンドセレクトではこういった処置後の不具合を防ぐために、専用の電動ローラーですべての臼歯を均一の高さに整えるようにしています。

こういった意味でも全身麻酔は不可欠になってきます。

ちなみに料金は預かり(ICUにての管理)料や抗生剤などの注射費用を含めて20000円となります。

まとめ

動物病院にくる動物の中でもウサギはダントツで繊細な動物のため、たとえ適切な治療を行ったとしても予想通りの治癒経過をたどらないこともあるため、難儀することも多い動物だと思います。

セカンドセレクトではうさぎの臼歯処置のほか、子宮疾患を含めた避妊手術なども行っていますので、何かご心配事がありましたらお気兼ねなくご相談ください。