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2020-05-28

ペットの世界も高齢化が進んでいるとよく言われていますが、人間と同じように高齢化になるがゆえになる病気も多くなります。

その一つが腫瘍。

腫瘍は体のほとんどの細胞に発生し、動物病院でも腫瘍についてのご相談をよく受けます。

体の表面にできている腫瘍は飼い主様でも気づくことが多いのですが、体の内部にできるものは検査をしないとわからないものも多くあります。

今回はそんな体の中にできてしまう腫瘍のうち、小腸で発生する腫瘍についてご説明したいと思います。

小腸の腫瘍とは?

腸管に腫瘍が発生する場合、小腸に発生するか、大腸に発生するかで症状は異なります。

大腸に発生する腫瘍の場合は排便障害を伴う症状が多くみられるのですが、小腸の場合は特定の症状はあまりなく、診断に苦慮するケースもよくあります。

【直腸のポリープ・腫瘍】犬がいきみながら鮮血便をしたら要注意。

一般的には犬よりも猫の方が小腸に腫瘍が発生しやすいと言われており、チョコレート色のタール便が見られたり、貧血や低タンパク血漿が見られたりすることもあります。

また小腸は栄養素を吸収する場所でもあるため、腫瘍の範囲によっては大腸の腫瘍に比べ著しい体重減少が見られることもあります。

リンパ腫

犬や猫で最も一般的な小腸の腫瘍になります。

外科的な介入はほとんど意味をなさないため、抗がん剤の適用症例になります。

よくあるのが炎症性腸疾患と呼ばれる原因の一つとして発見されることもあり、検査方法はほぼ内視鏡による生検になります。

【IBD・炎症性腸疾患】慢性的に続く下痢と嘔吐。治療法は?内視鏡は必要?

セカンドセレクトでも内視鏡による生検は可能ですので、もしもの時にはいつでもご相談ください。

腺癌

腺癌は小腸に存在する消化液などの分泌腺が腫瘍化したものになります。

診察時に触診で腸管に腫瘤を発見することもあれば、エコー検査でリンパ節が晴れているなどの所見から判明することもあります。

治療法は外科手術によるところが多く、リンパ腫と異なり抗がん剤の効果はほとんど期待ができません。

腺癌はとても周りの組織に腫瘍が伝搬することが多く、外科手術をした際には約8割前後の腫瘍が、腸管の最外側である漿膜面から腫瘍の細胞が飛び出していると言われており、手術をする際には周りの臓器への腫瘍の浸潤がないかどうかを肉眼的に見ることが必要です。

手術自体は腫瘍を切除し、正常な腸同士をつなぎ合わせる端々吻合と呼ばれる手術が必要ですが、合併症としては腸管は癒合不全を起こしやすい臓器であり、手術後数日して腸管が裂開し、腹膜炎などの重篤な症状が出る可能性があります。

また広範囲に腸を摘出した際には、その後の消化吸収不良を起こすこともあり、慢性的な軟便から下痢が見られることもあります。

術後の予後は様々で、見た限りの転移がなければ1年以上生存することもできますが、すでに転移を起こした場合はそれほど長い期間生存することはできません。

平滑筋肉腫

腸管に存在する筋肉組織から発生する腫瘍です。

腺癌と同様、エコー検査などで発見されることが多く、治療法は手術が一般的です。

ただ腺癌よりも術後の予後はいいことが多く、周術期の合併症を乗り切ることができれば、本来の寿命を全うすることもできます。

まとめ

消化管の腫瘍は初期段階としてはあまり自覚症状もなく、健康診断などで偶発的に発見されることもあります。

セカンドセレクトでは動物ドックなどの検査もリーズナブルに行っていますので、何かしらの不安がある方はいつでもご相談いただければと思います。

【年に1回・動物ドック】健康チェックしてみませんか?

2020-05-16

一口に皮膚の病気と言っても色々な原因があります。

動物病院に来院する皮膚病の原因で一番多いのがアレルギー性の皮膚炎で、犬や猫の皮膚病の原因の大半を占めます。

一方で症例の数はあまり多くはないのですが、時々発生する病気としては免疫介在性の皮膚病があげられます。

自己免疫の異常による皮膚病はその種類も多く、症状の様子も動物によってまちまちです。

今回はそういった免疫が絡んでるであろう病気のひとつ、無菌性結節性脂肪織炎をご説明します。

無菌性結節性脂肪織炎とは

皮膚組織の下には皮下脂肪がありますが、この脂肪組織が炎症を起こしたものの中で、原因が明らかでないものをとりあえず無菌性結節性脂肪織炎と呼んでいます。

猫ではまれですが、犬では時折みられるもので、Mダックスが圧倒的に多いと言われていますが、他の犬種でも見られます。

典型的な症状としては、皮膚の下に触れるようなしこりがあり、皮膚の表面には潰瘍になったり、小さな瘻孔が形成され、そこからねばりっけのある白っぽい液が常に分泌されます。

しこりは単発の場合もあれば、多発性の場合もあります。

皮膚病変以外では発熱や食欲不振などが見られることもあります。

また、他の免疫疾患と併発して見られるようなこともあり、多発性関節炎などの犬では皮膚病変として見られることもあります。

【免疫介在性関節炎】関節痛?それとも違う病気?意外と厄介な免疫異常の関節炎

治療法は?

無菌性結節性脂肪織炎という病名ですので、病変部位からは細菌などは見られないことが通常です。

ただし、潰瘍が長期間起こり、動物がなめてしまい2次的に感染を起こしていることもあるので、完全に無菌である状態でないことも多くあります。

通常は典型的な皮膚病変の所見と、ミニチュアダックスやトイプードル、コリー犬種などの好発犬種での発生であれば、無菌性結節性脂肪織炎と仮診断し治療を行っていきます。

治療法はもっぱらステロイド、もしくはそのほかの免疫抑制剤を使用していきます。

治療に対する反応は個体によって異なり、治療をしても完全に症状が消失しない、消失してもすぐに再発する、そのうち薬を使用しなくても再発しなくなるなど、色々な予後があります。

どちらかと言えば、継続的に薬を使用しながら経過を観察しないとすぐに再発することが多いとは思います。

そういった場合、ステロイドやそのほかの免疫抑制剤は、長期的に使用した場合は副作用が見られることもあるので、副作用が出ていないかを定期的に血液検査などで観察していく必要があります。

まとめ

大体の皮膚病は慢性的な経過をたどることがほとんどです。

セカンドセレクトでは、皮膚病専門医ともリモート診療を行っていますので、普通の動物病院よりは専門的な治療をすることができます。

もしこの記事を読んで、「おや?」と思い当たるような症状が出たときには、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-05-03

待ったなしの事というのは意外と少ないかもしれませんが、それでも起こるときには起こります。

特に医療現場では、待ったなしの事には常に対応できるようにしておかねばなりません。

緊急入院や緊急手術が必要である病気というのは意外と多いのですが、今回ご説明したいのは胃捻転です。

おそらく動物病院で行う緊急手術の中ではトップレベルの緊急さを要する病気ですので、ご参考にしていただけると幸いです。

胃捻転はなぜなる?

人間でも乳幼児には胃捻転はたまに起こります。

乳幼児の胃は胃の靭帯がしっかりしていないため、胃はおなかの中で不安定になりやすいため捻転すると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

犬の胃捻転も多くの場合は大型犬~超大型犬で起こり、特に胸が深いサイトハウンドと分類される犬種に好発しますが、実際なぜ起こるのかはわかっていません。

胃捻転は胃拡張ー胃捻転症候群というのが正式名称ですが、胃捻転が起こって胃拡張になるのか、胃拡張になって胃捻転が起こるのさえも分かっていません。

また小型犬でも胃拡張は起こるのですが、胃捻転まで起こすことはまれであり、対応法も異なります。

【胃拡張症候群】大型犬だけでなく、ミニチュアダックスにもよくみられる病気。原因は?手術する?

とにかく、胃捻転は何の前兆もなく起こり、かつ急激に症状が悪化するため、迅速な対応が必要となります。

もし胃捻転になったら

もし犬が胃捻転になった場合は、状態の変化は急激に起こります。

吐物がでない嘔吐を頻繁にするようになり、活動性は著しく低下していきます。

胃はその時点ですでに拡張しているのですが、経過ともに外見上から見てもわかるほど腹部は張った感じになり、さわると苦し気な鳴き声を漏らします。

さらに症状が進むと歩くこともままならなくなり、粘膜の色も蒼白になってきます。

胃捻転を起こした犬が動物病院に来院するときには、症状の進行が極めて速いため、どんなに急いで来院しても、腹部は非常に膨満したとても状態が悪くなった時に到着することがほとんどです。

本来であれば、胃が捻転しているのかどうか、バリウムなどの検査をしてから治療に入りたいところなのですが、状態の進行があまりにも早いため、検査をする余裕もなく治療を同時に行わなければいけなくなります。

残念ながら、治療は手術以外に方法はありません。

飼い主様の同意が得られるのであれば、そのまま鎮静、麻酔をかけ開腹手術を行うのですが、あまりにも病状が激しく変化するため、飼い主様自身も頭の整理がつかず、その場で返答できないこともあり、時間がいたずらに経過することもあります。

胃拡張が長時間起こった場合、胃の粘膜は虚血によって壊死が始まるほか、胃に隣接している脾臓にも虚血性の壊死が起こり始めるので時間との勝負になってきます。

そういった場合、手術までの時間稼ぎとしては、経皮的に胃までに太めの針を挿入し、胃内のガスを抜きます。

ただあくまでもこの処置は応急処置であり、時間とともにまた胃の中にガスが溜まりはじるため、最終的には開腹して手術をするしかありません。

こういった場面では飼い主様のご心配するお気持ちはよくご理解できるのですが、できる限り早めの決断をしていただくしかありません。

胃捻転の手術は?

胃捻転を起こしている犬の胃は胃拡張を起こしているため、胃に切開を施します。

切開した穴からガス抜けるため、胃の血流が回復し始め、とりあえずの時間を稼ぐことができます。

その間に捻転した際の臓器の異常を確認していきます。

胃捻転の併発疾患としては、隣接している脾臓の壊死があげられます。

脾臓が壊死したまま血流が回復すると、脾臓が壊死したことによって発生した様々な有毒な生体化学物質が回復した血流に流れてしまうため、脾臓が壊死した場合は速やかに脾臓を摘出する必要があります。

また胃自体の損傷も激しく、胃の一部を切除しないといけないこともあります。

これらの手術の後、もしくは同時に胃の内容物をすべて除去し、捻転を整復していきます。

よく知られていることですが、胃捻転の再発率は非常に高いため、以前より胃を固定する手術を同時に行うことが推奨されています。

セカンドセレクトでは胃壁と腹壁に切開を入れた後に縫合することで固定しています。

固定術には色々種類があるのですが、どの方法で固定したとしても再発することはあるため、万全な方法はありません。

また、大型犬を去勢手術する際に予防的に胃を固定をすることを推奨する獣医師もいます。

最近では腹腔鏡によって負担をかけることなく胃固定を行うような動物病院もあるので、もしそういった処置をご希望される飼い主様がいらっしゃいましたらご紹介も可能ですので、お気兼ねなくご相談ください。

ちなみにセカンドセレクトでの胃捻転の手術、入院費は程度によって異なりますが、20万から30万円ぐらいになります。

まとめ

胃捻転を起こしてからの時間の経過が長く、胃自体の損傷が激しい場合は、術後の死亡率は60%程度と言われています。

もちろん初期段階でも死亡率はそれなりに高いため、決して安全な手術でもありません。

唯一死亡率を下げる方法は、可能な限り早く手術を行うことです。

もし万が一、飼っている犬のおなかが急激に膨らんできたら、すぐにご相談ください。

2020-04-22

人間でもペットでも慢性疾患というものは色々あります。

ペットも高齢化が進んでいるため、以前に比べて慢性疾患は多くなっているのですが、その代表的なものとして挙げられるのは、腎不全だと思います。

慢性腎不全は様々な原因でなるのですが、特に犬の場合は糸球体腎炎というのが最初に起こり、慢性化していくことが多いと言われています。

ちょっと聞きなれない病気かもしれませんが、今回は糸球体腎炎についてご説明したいと思います。

まず糸球体って?

多くの方がご存じの通り、腎臓は尿を生成する臓器です。

体の中でたまった老廃物は血液によって腎臓に運ばれ、尿として体の外に排出されます。

腎臓に向かう太い動脈は腎臓の中に入ると急に血管の直径を狭くしながら無数に枝分かれしていき、最終的には数ミクロの細い毛細血管となり腎臓の中に入り込んでいきます。

腎臓の中に入り込んだ毛細血管は細くなったうえに束になっているため、血管内には圧がかかります。

この圧により、血液内に溶け込んだ老廃物を濾しだし、尿の原料となるものが腎臓に渡されます。

この血管が束になった構造をしている場所が糸球体と呼ばれる場所で、人間であれば一つの腎臓に100万個、犬であれば40万個、猫では20万個ほどあると言われています。

糸球体腎炎とは?

糸球体腎炎は体のどこかで発生した何かしらの炎症反応によって作られた免疫タンパクが、最終的に腎臓へと運ばれた際に糸球体の血管に沈着することで起こります。

何かしらの炎症とは特殊な膠原病によって引き起こされることもありますが、ほとんどの場合は特別なものではなく、一般的な重度の細菌感染からも免疫タンパクは全身に放出されます。

こうして発生した免疫タンパクは、沈着した血管壁で強い炎症を起こす原因となります。

特にすべての血液は腎臓に運ばれるうえ、腎臓の糸球体にある血管は細く血圧が高いため、免疫タンパクが血管壁に沈着しやすく、炎症を引き起こしやすくなります。

炎症が起きた糸球体が損傷されると、その糸球体内での圧が異常に高まり、本来は糸球体から濾されることがないようなタンパク質が腎臓へろ過されるようになります。

したがって、糸球体腎炎の一つの特徴としてはタンパク尿が見れることがあげられます。

持続的な糸球体の損傷が続くと、糸球体とそれに付随する腎臓の微細な組織は他の組織に置き換わってしまい、もう元の尿を生成できる緻密な構造は失われてしまいます。

はじめのうちは特に大きな自覚症状はありません。

こうした糸球体の損傷が一定以上の数に及ぶと慢性腎不全として、外見上の症状としても現れ始めてきます。

また持続的なタンパク尿はネフローゼ症候群という致死的な症状を引き起こすこともあります。

ネフローゼ症候群では重度のタンパク尿のため、血液中のタンパク量が少なくなり、全身性の浮腫が見られたり、全身性の高血圧により突然の失明をおこしたりするほか、急激な腎不全により一般状態が著しく低下します。

糸球体腎炎の初期段階では、外見上からはほとんどわからないため、タンパク尿が見られ始めた初期段階から治療を開始するのが必要だと考えられています。

治療法とは

教科書的には免疫タンパクが発生している原因を特定して除去をするというのが治療法と書かれているのですが、ほとんどの場合、免疫タンパクが過剰に産生されている原因は不明なことが多いため、基本的には腎不全に対する対処療法をするしかありません。

糸球体の血圧を下げる薬は以前よりいくつかあったのですが、最近ではより副作用が少ないタイプのものが製造されるようになり、治療薬の選択は増えたと思います。

また糸球体の血管の炎症を抑える薬も数年前からリリースされており、病状のコントロールに役立っています。

ただ、腎臓の組織は一度損傷を受けると回復することはないため、旧来の方法通り、可能な限り温存をしながら経過を見ていくしか方法はありません。

また腎臓用の処方食や活性炭などのたんぱく質をコントロールするサプリメントなども初期段階では有効ですが、病状が進むとタンパク質が逆に不足するため、血液検査や他の病状をみながら与える必要があります。

腎不全もさらに進み、またネフローゼ症候群を併発すると予後はとても悪くなりますが、実際のところ、緩慢に症状が進行することも多く、予後自体はそれぞれの動物によって大きく異なります。

したがって多くの獣医師が飼い主様とご相談しながら、個別に慎重に治療を進めているというのが実際です。

まとめ

慢性の病気を患うと先が見えず、終わりのない治療が続いていきます。

動物の状態が著しく低下すると、その治療が緩和治療なのか、延命治療なのか迷われる飼い主様も多くいらっしゃいます。

セカンドセレクトでは可能な限り動物にも飼い主様にも負担の少ない治療をご相談していきたいと思っておりますので、なにかご心配なことがありましたらいつでもお気軽にご相談ください。

【積極的な治療】VS【緩和治療】もしくは【延命?】もしペットが難病にかかったら?動物カウンセラーの勧め。

2020-04-09

目は口ほどにモノを言うといいますが、人間だけでなく犬や猫の目はとても目立つ場所にあります。

その瞳の色は、人間以上に色々な色がありますが、年齢とともに瞳に色素が沈着していくことがあります。

ほとんどの場合は単なる色素なのですが、たまにメラノーマという癌が潜んでいるケースもあります。

今回はそんな眼のメラノーマについてご説明したいと思います。

メラノーマとは?

すでにご存じの飼い主様もいらっしゃると思いますが、メラノーマはメラニン細胞という色素を作る細胞が癌化した腫瘍です。

人間のメラノーマでよく思いつくのが、皮膚にできるメラノーマだと思います。

よく足の裏にほくろができると要注意といわれますが、非常にたちの悪いものとしてのイメージがあると思います。

動物の場合はメラノーマは皮膚に発生する場合もありますが、口腔内や眼球内で発生するケースの方が遭遇する機会が大きく、発生した場所によって予後は大きく異なります。

【口腔内の腫瘍】口の中にできる悪性の腫瘍。顎を切り落とすしかない?予後や治療法など。

眼のメラノーマの場合、最も厄介な点は眼の中にできた黒い色素が、良性のメラノサイトーシスと呼ばれるものか、悪性のメラノーマか判断することができないところです。

他の腫瘍と違い、切除したものを病理検査することで腫瘍の悪性度が判定できるのですが、腫瘍の摘出はすなわち眼球の摘出を意味することになるため、多くの飼い主様が積極的に摘出をするべきかどうか悩まれます。

一般的には眼球内の腫瘤により、炎症が起こったり、眼圧が上昇するなどの症状がある場合は早めに眼球摘出を行う方がいいのですが、たいていの場合、無症状に近く、また進行も大体は緩慢なため、数か月から数年にわたり経過を見ることもあります。

犬の眼のメラノーマ

犬の目のメラノーマは眼の中で起こる腫瘍としてはその発生率は非常に多いと言われています。

基本的にメラノーマは進行が早く、周りの組織に浸潤していくスピードが速いため、転移も頻繁に起こりますが、犬の眼のメラノーマは転移する可能性はかなり低いとされています。

したがって眼球摘出により、予後は比較的によいため、多くの獣医師が手術を推奨します。

セカンドセレクトでも手術はお勧めしていますし実施可能ですが、犬の場合は義眼の設置が可能なため、義眼の設置をご希望される飼い主様には眼科専門病院をご紹介しています。

猫のメラノーマ

猫の目のメラノーマは前述したとおり、良性のメラノサイトーシスと見極めるのがとても難しいと思います。

特に猫のメラノーマは眼の瞳のところにポツンとシミのように見えるのことが多いのですが、成長とともに色素がつき、目立つこともあるので正常なものとの判断が全くつかないこともあります。

また眼の瞳・・虹彩の色素は最初のうちは良性でも、進行すると悪性に転化することもあるため、いつの時点で手術を行うかはとても悩みどこになります。

手術の判断として、悪性に転化したとしても、初期段階に手術を行えばほとんど転移をしない一方で、ぎりぎりまで手術をせず経過を見て、進行した段階で手術をすると、転移する確率が極めて高くなります。

セカンドセレクトでは明らかな症例は別として、いつの段階で手術をするべきかは飼い主様としっかりご相談させていただきながら進めています。

実際にはケースバイケースの対応になることが多いと思うので、目のシミが気になり始めたらご相談ください。

まとめ

眼のメラノーマは、治療=手術=眼球摘出となるので、つねに苦渋の選択になります。

手術自体はいつでも可能ですが、なにがなんでもすぐ手術ということにはなることはないので、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-04-01

動物病院は人間の病院のように専科がないことがほとんどなので、来院する動物は色々な問題を抱えています。

たいていの場合は軽傷なのですが、ときには緊急を要するような動物も来院します。

急患対応が必要なものの大多数は、呼吸が荒いなどの症状があるときだと思います。

急激に呼吸の状況が悪化する病気はいくつかあるのですが、今回はその中でたまにある「気胸」についてご説明したいと思います。

気胸とは?

大勢の方がご存じだとは思いますが、動物が息を吸い込むときには横隔膜が広がり、胸腔全域が拡張することで胸腔内が陰圧になるため肺が拡張します。

気胸は何らかの理由で胸腔内に異常に空気が迷入してしまい、横隔膜が広がって胸腔が拡張しても胸腔内が陰圧にならないために、肺が拡張しなくなる病気です。

肺が拡張できないため、うまく酸素を取り込むことができないため、低酸素状態陥ります。

気胸になった動物は浅く速い呼吸になり、舌の色も赤みを失います。

動物の場合、気胸になるほとんどの原因は外傷によるものだと思います。

最近は少なくなりましたが、犬であれば交通事故などが多く、猫であればマンションなどの高層階から落下する事故などが原因となります。

強い衝撃により肋骨間の筋肉に亀裂が入り空気が流入するか、肺挫傷により肺の一部が裂け、胸腔内に空気が漏れ出すことが多いと思います。

一方で事故ではなく、何かしらの慢性気管支炎や腫瘍などの肺の病気によっておこることもあります。

こちらは自然気胸と言って、突発的に気胸が起こります。

診断と治療について

診断はレントゲンにて簡単に診断できます。

正常なレントゲンでは心臓は胸骨に接地しています。

気胸が起こると肺が拡張しないため、心臓が胸骨から離れているようなレントゲンになります。

治療はほとんどの場合、酸素化させたICUの中で安静にさせておきます。

空気が漏れている穴はたいていの場合は自然にふさがるため、数日かけて様子を見ていきます。

人間の場合と同様に、酸素を十分に供給しているのにもかかわらず、呼吸の改善が見られない場合には胸を穿刺して、直接的に胸腔内にたまっている空気を抜いていきます。

病的な原因で気胸になった場合は、気胸が治まらない、再発を繰り返すこともあり、その場合には外科手術を行います。

たいていのケースでは、肺に嚢胞を形成した病変があることがほとんどなので、手術の内容は開胸して問題となっている肺を切除します。

予後は病気の種類にもよりますが、原因が腫瘍性の場合はあまり予後はよくないと考えられています。

まとめ

色々な病気がありますが、呼吸器系の病気は、それにかかってしまった動物はもちろんですが、周りで見ている飼い主様にも大きな苦痛を強いると思います。

セカンドセレクトでは、酸素が高濃度に保たれたICUも完備しておりますので、呼吸状態に何か異変を感じることがありましたら、いつでもご来院ください。

2020-03-23

動物病院に来院される代表的な理由としては、皮膚に何かしこりが見つかったというものがあげられます。

セカンドセレクトでも来院理由が「しこりができた」というケースは頻繁にありますが、その大多数は特に問題がないものになります。

今回は特に様子を見てもいいしこりの中で、ダントツでご質問の多い「皮膚組織球症」についてご説明したいと思います。

皮膚組織球腫とは?

動物の免疫を担当する細胞には色々な種類がありますが、組織球はそういった免疫担当細胞の中の1つです。

一般的にはマクロファージと呼ばれることも多く、体の中に入ってきた細菌やウイルス、異物を貪食して体を守ります。

皮膚組織球症は特に若い犬で多く見られる腫瘍で、この組織球が腫瘍性の増殖をおこし、皮膚に平べったいボタンのような形をした腫瘍を形成します。

特に頭や四肢にはよくできます。

腫瘍の増殖速度はかなり早く、最初に発見してから1週間程度で2~3㎝程度の大きさになることがよくあります。

少し赤みを帯びた色をしており、腫瘍の表面は毛が抜け、たまに傷がついたり、潰瘍のようになったりします。

ただ、増殖の程度は非常に速いのですが、基本的には良性の腫瘍です。

2~3㎝以上になることはめったにないので、それほど心配をしなくてもいいと思います。

ちなみに組織球腫でも悪性のものもあり、こちらは超がつくほどの厄介な腫瘍です。

【悪性組織球種】バーニーズと言えばこれ。予後や治療法は?

検査や治療法は?

皮膚組織球腫は見た目からも割と簡単に判断できるのですが、簡易的な針生検による細胞診で診断はつきます。

一般的には無治療でも2~3週間で自然消失するといわれていますが、セカンドセレクトでは炎症を抑えるような軟膏などを付けていただきながら様子を見ていただいています。

はじめのうちは表面が赤くなっているのですが、だんだんと色が落ち着き、そして次第に腫瘍の大きさは縮小していきます。

完全に無くなってしまうことがほとんどですが、乾燥して干からびたような極小のしこりが残ってしまうことがあります。

いずれにしても無害ではあるのですが、腫瘍の大きさが中々小さくならない、犬が気にしてなめたり、かんだりするなどの不具合がある場合には外科的に摘出します。

摘出後は基本的には良好で、再発、転移はありません。

まとめ

動物の体にしこりを見つけると、だれでも「ぎょっ」とするものだと思います。

もし自宅で犬を撫でているときに何か触れた・・・しこりを見つけた!というような時には、いつでもお気兼ねなくご相談下さい。

2020-03-16

体の中で癌細胞にならない細胞はほとんどありません。

動物病院でもいろいろな癌を患った動物たちが来院しますが、飼い主様がすでに知っている名前の癌もいっぱいあります。

そういった名前がよく知られている癌の代表格といえば白血病という血液の癌だと思います。

実際には白血病の発生率はそれほど高くありません。

AYA世代と言われるような人間の若い世代や多くの芸能人でも病気になってしまうことがあるため、その知名度はかなり高いのですが、実際にどんな癌かといわれると「?」という感じだと思います。

今回はそんな有名な白血病についてご説明したいと思います。

そもそも白血病とは?その分類について。

白血病はなんとなく白血球の癌だということはイメージできるのですが、インターネットなどで白血病の説明を見ると意外と理解できないことが多いのではないでしょうか?

理由としては白血病自体に色々な分類がたくさんあることと、また同じ血液の癌のであるリンパ腫と大きな違いが見出せなかったりするからだと思います。

白血病は骨髄の造血細胞が癌化した悪性腫瘍という定義がされていますが、そもそも造血細胞って何?という感じだと思います。

酸素を運搬する赤血球、体を守るための白血球、血を止める血小板などの血液中に含まれる細胞のもとになる細胞は骨髄で作られており、もともとは1種類の細胞である「造血幹細胞」から分化していきます。

よく骨髄移植という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、この造血幹細胞を患者に移植することを指します。

造血幹細胞は骨髄の中で成熟し、様々な血液の細胞に分化していくのですが、大きく分けるとリンパ球系細胞のもとになる幹細胞(リンパ球系前駆細胞)とそのほかの細胞になる幹細胞(骨髄系前駆細胞)とに分かれます。

ちょっとややこしいのですが、「骨髄系前駆細胞」だけでなく「リンパ球性前駆細胞」もともに骨髄の中で成熟、分化していくので、通常の血液の中では見かけることはありません。

骨髄系前駆細胞はのちに赤血球や血小板と白血球になる細胞です。

リンパ球性前駆細胞からはリンパ球ができるのですが、ややこしいことに、もともとの分化した幹細胞の種類は異なっていても、結局のところリンパ球も白血球の中の1つの種類として区別されています。

つまり白血球と呼ばれている細胞の中にはリンパ球性前駆細胞からなるリンパ球と骨髄性前駆からなる細胞(ちなみに好中球・好酸球・好塩基球・単球の計4種)に分かれることになります。

白血病はこれらのもとになる細胞が骨髄にいる時点で悪性の腫瘍になり、全身の血液中に腫瘍細胞が現れる病気のことを言います。

ここもちょっとややこしいのですが、白血病というからにはこれらの白血球が腫瘍化するように思えますが、実際には骨髄系前駆細胞からは赤血球や血小板などの細胞もできるため、白血病の中には赤血球が癌化したものもあり、赤白血病などと言われることもあります。

白血病は由来する幹細胞の種類により分類されており、リンパ球性白血病と骨髄性白血病と大別されていますが、どちらも骨髄で腫瘍が発生したのちに血液中に腫瘍の細胞が現れることがほとんどです。

この辺りもかなりややこしく、特にリンパ球性白血病と同じ血液の癌のリンパ腫は名前も似ているし、症状も似ているためよく混同されます。

実際の初診時の診察においても、リンパ球性白血病なのかリンパ腫なのかを見極める明確な方法はありません。

以前は骨髄で発生したリンパ球の癌をリンパ球性白血病、末梢のリンパ節で発症したものをリンパ腫と区別していたのですが、最近ではその区別も曖昧なため、獣医師でもしっかりと説明できないこともあります。

また白血病はさらに急性白血病と慢性白血病に分類され、リンパ球性白血病、骨髄性白血病とそれぞれの急性、慢性によって治療法や予後が異なります。

犬の急性白血病

基本的に犬の白血病はあまり多くありません。

犬の血液の癌といえばリンパ腫がほとんどで、個人的な経験でも確実に白血病にかかった犬を診察するのは数年に1回程度だと思います。

見た目では急性白血病とリンパ腫を区別することはできないのですが、リンパ腫の犬の場合はたいてい元気食欲は問題ないが、首などにしこりがあることを飼い主様が見つけて病院に連れてくることがほとんどです。

【悪性リンパ腫】犬や猫で最もよくみられる血液の癌。抗がん剤は実際のところどうですか?

一方で急性白血病はしこりを飼い主様が見つけることもあるのですが、犬自体の一般状態は著しく低下していることも多く、初めて診察してから2,3日で亡くなることもあるぐらい急速に症状は進んでいきます。

食欲不振や元気消沈、下痢や吐き気などは見られるのですが、必発するような症状はありません。

ただ血液検査やレントゲン検査で仮診断に至るまでにはあまり苦労しないことが多いと思います。

血液検査上では明らかな白血球の増加や貧血、肝酵素の上昇や黄疸などがみられることがほとんどだからです。

またレントゲン上でも肝臓や脾臓などの肥大が顕著にみられることも多いと思います。

この時点でもリンパ腫と区別することは難しく、確定診断をするためには骨髄の細胞を採取し、病理診断を行うしかありません。

ただ、基本的に急性白血病とリンパ腫の治療方法は同様の抗がん剤を使用していくため、治療方法にはほとんど差がありません。

したがってセカンドセレクトを含めた一般的な動物病院での白血病の確定診断をする意義は予後判定のみぐらいだと思います。

急性白血病の方が圧倒的に予後は悪く、治療に全く反応しないこともよくあります。

したがって多くの飼い主様はそこまでの検査を望まないことも多く、確定診断まで至ることはほとんどないケースの方が多いと思います。

犬の慢性白血病

犬の慢性白血病は発生率はかなり少ないと思います。

ぼく自身の経験でも、今までで3,4頭程度しか診察したことはありません。

急性白血病と異なり、経過は緩慢で徐々に調子が悪くなってくることが多いと思います。

食欲不振や体重減少などがみられるほか、急性白血病と同様にリンパ節や脾臓や肝臓が大きくなることが多いとされています。

血液検査上では白血球数が増加し貧血を起こしていることが多いので、仮診断は割とつけやすいのですが、確定診断は困難を極めます。

急性白血病のように骨髄の検査をしても、腫瘍性の細胞なのかどうかを明確に判断することができないため、一般的な検査で診断をすることがほとんどです。

治療は弱いタイプの抗がん剤を使用して治療していきますが、急性白血病に比べると生存期間はとても長く、数年単位で経過が進んでいくことがほとんどです。

ただ白血病が骨髄性白血病だった場合は、急性白血病に転化することもあり、その場合は予後はとても悪いことが知られています。

猫の白血病

猫の白血病は犬以上にまれな疾患になりつつあります。

猫の白血病の原因はそのほとんどが猫の白血病ウイルスの感染によるものですが、白血病ウイルスに感染している猫自体がとても少なくなってきているからです。

猫の白血病は犬の白血病と酷似しており、診断、治療はほとんど犬の白血病と変わりません。

急性の場合は予後は著しく悪く、慢性の場合は数年以上の生存期間が望めます。

まとめ

セカンドセレクトでは様々な腫瘍の治療を行っています。

もし今回の記事を読んでみて、ちょっと心配という飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-03-06

人間の医療でもよくある話なのですが、医療関係者として意外と厄介なのは不定愁訴と呼ばれる症状です。

不定愁訴とは患者が「なんとなく疲れやすい」、「夜眠れない」、「頭がぼんやりする」、「だるい」などの症状を訴えるのですが、検査などをしてもどこに原因があるかわからない症状のことです。

症状自体も具体性がなく、はっきりとしないため、症状をしっかりと話せる成人でも、診察は非常に難しいものです。

動物病院ではこの不定愁訴というのはよくあり、またものを言わぬペットだからこその人間の医療以上のむずかしさがあると思います。

「いつもより食欲がない」、「散歩を嫌がる」、「何となく元気がない」といった症状を飼い主様が訴えるのですが、多くの場合、病院の中ではあまり異常を見つけ出すことができません。

そういった不定愁訴の中で、「震える」というのも意外と多い症状だと思います。

「震え」に関しては、病的な要因もあれば、病的ではない要因もあるため、ひとえに「震える」と言われてもその原因は色々あります。

今回はそんな「震える」というパッとしない症状の原因となりうる病気、「ホワイトシェーカーシンドローム」についてご紹介します。

ホワイトシェーカーシンドロームとは?

ホワイトシェーカーシンドロームは日本語訳にすると「小さな白い犬震え症候群」と言わています。

文字通り、白い小型犬が何の理由もな震えだす病気ですが、白い犬でなくても症状は見られます。

比較的若い犬に見られることが多く、ほとんどの場合は3歳以下の若齢犬によく見られます。

震えの強度はまちまちで、どこにいても四六時中、頭や体が震えている場合もあれば、たまに見かける程度のこともあります。

症状がごく軽度の場合は、心因性などの病的ではない原因と診断され、無処置の判断を下されることもあります。

特に動物病院に連れてくると症状が治まってしまうこともあり、獣医師としても診断にいたるまで苦慮することもあります。

原因としては小脳性の疾患と言われていたり、そのほかの原因があると言われることもあるのですが、現在のところ原因はわかっていません。

血液検査やレントゲン、心電図などの一般的な検査でも異常は見られません。

MRI検査などによる頭蓋内の画像診断でもほとんどの場合は病変部の特定には至りません。

結局のところ、白い小型犬が震えていたらこの病気かもね・・・、というような感じで、治療が進んでいくことは少なくはありません。

治療法は?

基本的にはステロイドによく反応します。

症状が強い場合のみ、治療の初期段階で抗痙攣薬を併用することはありますが、症状は早期の段階から消失していきます。

しばらく薬を継続すると完全に症状がなくなってしまう犬もいれば、薬を継続的に服用しないと症状が再発する犬もいますが、どちらの予後になるかは外見上からは判断できません。

ただし、重篤化することはあまりないため、薬を継続して飲まないといけない状況になったとしても、それほど悲観することはないと思います。

まとめ

症状から病的なのかどうなのか判断することが難しい病気は意外と多いと思います。

特に飼い主様にとっては不安を感じることでも、獣医師にとってはそれほど大きな問題ではないと感じてしまうため、さらに飼い主様の不安を煽ってしまう結果になることもあります。

セカンドセレクトでもそういったような診察にならないよう、十分気を付けて診察をしていますので、これって病気?というような不安があった時には、お気兼ねなくご相談していただければと思います。

2020-03-01

特に高齢犬では多いのですが、足腰のふらつきや力強さがなくなってきたことを心配する飼い主様はとても多いと思います。

年齢からくる衰えのこともありますが、病気からくるものでないかどうかはやはり心配なところでしょう。

足腰が弱ってくるような病気はいくつかあるのですが、筋肉が萎えてくる部位によって推測できることもあります。

今回はそういった病気の中で、前足、後ろ足とも弱っていく病気、重症筋無力症という病気をご説明したいと思います。

重症筋無力症って?

重症筋無力症は過剰な免疫反応により、筋肉と筋肉を動かす神経が結合している部位が侵される病気です。

結合部に自己抗体が作られてしまうため、筋肉と神経の連動がうまくいかず、筋肉が弱っていくことで起こります。

基本的には10歳前後の高齢期の犬に発症するのですが、2歳前後の若い犬にもみられることがあります。

先天的な問題で筋肉と神経の結合部の異常がみられることもあり、その場合にはより幼い犬に見られます。

猫ではかなりまれな病気ではあるのですが、アビシニアンやソマリに見られれることがあります。

また、自分では見たことはありませんが甲状腺機能低下症をおこしている猫の治療中に、治療薬の副作用として引き起こされるケースもあるとされています。

重症筋無力症の症状は?

筋肉の虚弱から非常に疲れやすくなり、運動負荷をかけると四肢がふらつく、起立できなくなるなどの症状がみられます。

また食道の筋肉も侵されていることが多く、巨大食道症がみられることがよくあります。

巨大食道症では食道の蠕動運動が失われるため、食後に噴水のように噴き出す突出性の嘔吐や、安静時にも涎が出続けたり、気管支炎をおこして湿った発咳が見られます。

筋肉の虚弱は緩慢に進行していくことが多いのですが、重度の巨大食道症をわずらった犬や猫では、誤嚥により肺炎を起こし重篤な状態になることが多いと思います。

検査方法は?

旧来の方法としてはテンシロンテストと呼ばれる神経を作動させる薬を使用して、症状の劇的な改善があるかどうか観察する方法があるのですが、最近ではあまり行われていないと思います。

基本的には血液検査で筋肉と神経の結合部分に不具合を起こす抗体を検出することで判明します。

ほかの免疫系の検査でもいえることなのですが、1割から2割ぐらいの症例では、たとえ病気にかかっていたとしても陰性と判断されてしまうこともあるうえ、検査結果が判明するまで10日前後かかるため、治療に関して苦慮することもあります。

また重症筋無力症では腫瘍性の病変や免疫介在性の疾患、内分泌疾患などがかなりの確率で併発していることが多いため、レントゲンやそのほか全身的な血液スクリーニング検査などが必要になります。

治療法について

治療としては、筋肉と神経の結合部位において、神経を作動させる伝達物質を活性化させる薬剤を投与していきます。

一般的な推奨薬用量は決まっているのですが、個体によって量は異なるため過剰投与による副作用がないかどうかを確認しながら治療を進めていきます。

またステロイドや免疫抑制剤を併用すると、病状を抑える効果が高まることも知られています。

ただ実際のところ、重症筋無力症の犬が動物病院に連れてこられるときには病状は進んでいることが多く、とくに巨大食道症は治療後にも後遺症として残ることが多いと思います。

そのため、自宅でも犬や猫が滑らないような床材の工夫や、食事を与えるときに立位にして与えるなど、普段からの介護も必要となります。

こういった治療を進めていても、腫瘍などの併発疾患があるケースや巨大食道症による誤嚥性肺炎が重度に起こった場合の予後はとても悪いといわれています。

一方で、重症筋無力症の症状が自然に消失してしまう犬もいることもあるため、重症筋無力症の予後を判断するのはとても難しいと思います。

まとめ

重症筋無力症は初期段階ではあまり目立つ症状ではありません。

もし年齢の割には疲れやすい、ちょっとふらふら歩くような感じがしたら、お気兼ねなくご相談ください。

2020-02-20

不規則な生活を強いられることの多い現代社会。

ぼくも含めてですが、仕事が終わるのが遅くなると、どうしても夜の食事の時間が遅くなりがちです。

深夜にものを食べた翌日は、吐き気まではいかないまでも、ちょっと胃もたれがある感じがします。

こういった胃のもたれや、むかつきは人間だけでなく、ペットでも見られると考えられており、健康な個体でも嘔吐が見られることがります。

今回ご説明したいのは、特に健康体の犬で多い嘔吐についてです。

様々な要因が嘔吐にあるのですが、今回はよくある理由についてご紹介させていただきます。

特発性胃運動低下症

特発性胃運動低下症はその名の通り、何の理由もなくただただ胃や腸の蠕動運動が低下しているため、食渣が胃の中に長時間停滞する病気です。

胃には炎症も潰瘍も存在しません。

普段は元気で健康には何の問題もないのですが、食事をとった数時間後に間欠的な嘔吐が見られるのが特徴で、吐物の内容はその前に食べた食事が混ざっています。

血液検査、レントゲンなどの様々な検査ではあまり特徴的な異常は見られません。

経験的に少し太り気味な体型にもかかわらず、食事に対しての興味が低いような犬に多いように思えます。

治療は嘔吐の頻度が多いときだけ、制吐剤や腸の蠕動を促す薬を使用しますが、完全に嘔吐がなくなることはあまりありません。

食事の内容を変更すると症状が改善することもあると言われていますが、もともと食欲に乏しい性格をしている犬が多いため、食事の変更もあまりうまくいきません。

ただ、嘔吐以外はいたって問題が見られないため、はたして病気なのかどうか迷うことも多く、無治療で経過を見ていただくこともよくあります。

胆汁嘔吐症候群

胆汁は食物が十二指腸を通過すると胆嚢から分泌され、食物の消化を助けます。

長時間の空腹時には胆嚢内に貯留していた胆汁が、消化管の中に食物がないのにもかかわらず十二指腸内に分泌されることがあります。

分泌された胆汁は十二指腸を逆流し胃内に流入します。

胃内はもともと強い酸性の環境にあるのですが、胆汁が混ざることで胃内の酸性度が大きく変化し、これによって嘔吐が引き起こされます。

主に夜中から明け方にかけて単回の嘔吐が見られ、吐物は固形物のない黄土色のものが普通です。

嘔吐のほかには食欲、元気にはほぼ影響がないことが多く、治療はほぼ必要ありません。

経験上、やせ形のトイプードルに最も多くみられると思います。

予防法として、夜の遅い時間帯に少量の食事を与えると嘔吐の頻度は減ります。

それでも頻度の多い場合には、胃薬などを使用して胃の粘膜を保護するといいと思います。

始めて起こる場合は飼い主様も心配になることが多いのですが、そのうち飼い主様自体が慣れてしまうので、診察をしていてもあまり話題になることもありません。

まとめ

本日ご紹介した病気は、よくご相談を受ける病気の中でもあまり対応が必要のないものの代表です。

ただ、まれに大丈夫だと思っていても隠れた疾患が見つかることもあるので、とりあえず1回は受診されることをお勧めします。

2020-02-13

犬という生き物は、猫やその他の動物に比べると、口を大きく開けることが多い動物だと思います。

診察をしているとそんな犬が、「犬が口を開かなくなった」とか「急に食事をぽろぽろと落とすようになった」、「口を触ると嫌がるようになった」などを心配されてご来院される飼い主様も多くいらっしゃいます。

たいていの場合、一時的なものか、もしくは歯周病などの問題であったりするのですが、たまに明らかに口を触られること自体を嫌がる犬もいます。

こういった場合、たまにある病気として「咀嚼筋炎」というものがあります。

今回はこのあまり聞いたことがない病気についてご説明したいと思います。

咀嚼筋って?

咀嚼筋はその名の通り、モノを食べるときに咀嚼する際に使用される筋肉です。

4つの筋肉からなるのですが、ざっくり言うと歯をぐっと食いしばった時に膨れる筋肉とこめかみの筋肉、それと顎を前後に動かす筋肉になります。

咀嚼筋は体のほかの筋肉よりもエネルギーを生み出すミトコンドリアの量が多く、持続的な運動に耐えることが出来ます。

そうでなければ、一口100回噛むなんて言う医療指導ができるわけがないと思います。

咀嚼筋炎とは?

咀嚼筋炎とは免疫異常によって、自己の免疫システムが咀嚼筋を攻撃することによって起こります。

咀嚼筋炎を患った犬は、顔の頬の近辺の痛みから、食欲不振、元気がなくなるなどの症状見られるようになります。

口を開くのを嫌がるだけでなく、頭を撫でられるのを嫌がなど、顔周りに人間の手が来ることを極端に嫌がることが多くなります。

始めは咀嚼筋自体は腫脹しているのですが、症状が進むと筋肉の萎縮が進み、こめかみのあたりの筋肉が削げ落ち、頭蓋骨の形がよくわかるくらい、筋肉が痩せていきます。

症状が進行した犬はあまり痛みを訴えることはかえってない反面、口はかなり開きずらくなっていることが多いのですが、この時点で動物病院に連れてくる飼い主様が多いと思います。

検査の方法は?

確定的な検査の方法は、筋電図と呼ばれる筋肉の電位を見る検査と病理検査になりますが、筋電図は汎用される検査機器ではないのと、病理検査は犬への負担が大きいため、あまり一般的ではありません。

セカンドセレクトも含めですが、一般的な動物病院では、特徴的な筋肉の萎縮と筋炎にかかわる血液検査の結果から推測していきます。

ただし、血液検査は病状の進行がかなり進んでいた場合は、見かけ上、特に問題がないような結果になるため、判断には注意が必要です。

治療法について

基本的には免疫を抑制するために治療薬を使用します。

ステロイドが代表的な治療薬で、補助としてその他の免疫抑制剤を使用していきます。

教科書的には予後は良いとされていますが、咀嚼筋炎を患う犬は大型犬が多く、また大型犬はステロイドが持つ副作用への耐性が弱いため、割と多くの犬で副作用が多くみられます。

ステロイドの副作用は注意して投与すれば、軽微~中程度の問題で抑えることが出来るのですが、排尿の量が異常に増えるため、自宅での管理は割と大変になるとおっしゃる飼い主様が多いと思います。

いずれにしても生涯的な投薬が必要になるため、定期的に病状もしくは副作用を把握するための定期検査が必要となるため、それなりの負担が生じることがどの犬種おいても避けられないと思います。

まとめ

セカンドセレクトでは多くの免疫不全、免疫異常を患った動物たちが来院します。

こういった病気は病状が安定しているのか、そうでないのかわかりずらいこともあるため、何かご心配なことがありましたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-02-07

インフルエンザが流行るこの時期、意外とよく聞く言葉「人畜共通伝染病」。

その名の通り、人間と動物たちの種の垣根を超える伝染病のことです。

真っ先にインフルエンザやコロナウイルスなどの恐ろしい伝染病を思いつくかもしれませんが、身の回りのペットからも伝染することがある病気はいくつもあります。

そういった病気の中でも割とよく見られ、かつ動物病院の中で飼い主様に伝染していることが判明する病気が「皮膚糸状菌症」です。

今回はこの皮膚病についてご説明したいと思います。

皮膚糸状菌症とは?

皮膚糸状菌とはカビの一種のことで、その感染により皮膚に様々な病変を作ります。

一言にカビいっても様々な種類があるのですが、皮膚糸状菌とは病原性のあるカビの代表格になります。

病原性のあるとは言いつつも、元来カビの類は感染してもほとんど症状は出さないことが多いと言われています。

たとえば人間の水虫の原因と言われている白癬菌もカビの一種なのですが、日本人の女性の3人に1人は足先からこのカビが検出されます。

ただ、実際に3人に1人の女性が水虫を患っているかと言われれば・・・けっしてそういうわけではありません。

カビの症状が出るような場合には、感染された動物に何かしらの原因があることが多く、皮膚糸状菌症も同様に動物側に何かしらの原因があることが多いと言われています。

ちなみに猫は皮膚糸状菌症のキャリアであることが多く、特にペルシャ猫を代表とした多くの長毛種の猫は、症状は出さないのにもかかわらず、皮膚糸状菌が検出されます。

検査方法はたいていの場合、顕微鏡で検査を行い菌糸を見ることが多いのですが、なかなか見られないことも多いため、培養試験を行うこともあります。

ただ、検査結果が出るまで2週間から4週間程度かかるため、たいていの場合は疑わしくは治療することが多いと思います。

猫の皮膚糸状菌症

猫の皮膚糸状菌症は滅多に症状は出ないのですが、子猫には比較的多くみられます。

耳の根元や耳介の外側、四肢の関節のあたりなどに円形状の脱毛が見られます。

また足先や足裏にもガビガビしたかさぶたのようなものがこびりつくことも多く、その手足で顔周りを掻くため、症状の進んだ猫の場合は顔全体が脱毛したりします。

多くの場合は多少の赤みはあるものの、あまり痒がらず、子猫の場合は軽症であれば成長とともに自然治癒をすることもあります。

一方で、多頭飼育や何かしらの原因で免疫力が低下している猫の場合は積極的な治療を行わないと、病巣が拡大することがほとんどです。

皮膚糸状菌は、皮膚そのものというよりは被毛に付着していることが多いため、まず患部の剃毛が必須となります。

そのうえで抗真菌薬を外用もしくは内服で投与していきます。

ここ数年で日本で認可された犬や猫用の抗真菌剤も販売されるようになったため、猫の皮膚糸状菌症は比較的治療しやすくなったとは思いますが、それでも完治までには割と長い時間がかかることがほとんどです。

犬の皮膚糸状菌症

犬の場合も猫と同様に、症状が出ずに自然治癒することがほとんどだと言われています。

ただし、犬の場合はアレルギー性皮膚炎などの皮膚の免疫力を低下ささせる様々な要因が猫に比べると多く存在しているため、実際は割と多くの犬で症状が見られることがあります。

症状の出方はあまり典型的なものはないのですが、一般的には「リングワーム」と言われる赤い円形状の皮膚炎が全身性にみられます。

リングワームの多くはその周辺が赤くただれており、中心部は治癒しているかのように見えるリング状の病変です。

また爪周囲にも感染をして、爪周囲炎と言われる病変も作ります。

犬の皮膚糸状菌症は猫の場合と異なり、大抵の場合は基礎疾患が存在することが多いため、治療には基礎疾患の治療を行うことが必要となるケースが多いと思います。

したがって剃毛や抗真菌剤の使用だけでなく、アレルギーや甲状腺機能低下症などの代表的な皮膚疾患の治療も同時に行うほか、スキンケアも常時行う必要があります。

カビの存在が消失しても、たいていの場合は基礎疾患は治らないことが多いので、結局のところ治療は継続的に行わないといけないことも多いのも特徴です。

ウサギの皮膚糸状菌症

ウサギの皮膚糸状菌症もほとんどの場合は症状を出さないのですが、高齢や何かしらの疾患で衰弱したウサギにみられることがほとんどです。

教科書的には自然治癒がほとんどと言われていますが、実際に衰弱したウサギがその状態から離脱できることはまれなため、対応法はほとんどありません。

感染経路は他の動物からがほとんどと言われているため、もし高齢や何かしらの疾患で弱っているウサギの飼い主様で、他に犬や猫を飼われている場合は、隔離するのが最も効果的です。

ちなみに犬はハリネズミからもらうことも多いため、犬はハリネズミとも隔離したほうがいいと思います。

もし人間が感染したら・・・

皮膚糸状菌症は人間にも感染します。

特に皮膚病を患っている猫と同居している小さな子供や女性の方に皮膚病変が見られることはよく見かけます。

また先ほども書いた通り猫は症状を出さないことが多いので、皮膚病がない猫でも一緒にベッドで寝ているような女性は気を付けた方がいいと思います。

診察中に飼い主様の腕をみて獣医師が気づくケースも多く、「どうしたらいいですか?」とよく聞かれるのですが、とにかく皮膚科に受診するようにしてくださいとお伝えしています。

当たり前の話ですが・・・。

まとめ

皮膚糸状菌症と似たような皮膚病は数多くありますし、一般的な皮膚病は次の日に治るようなものでもありません。

治癒に至るまでは長期間かかることも多くあるため、あせらずじっくり治療することが必要だと思います。

2020-01-29

眼の異常というのは、他の異常に比べると意外とわかりやすいと思います。

人間も同じですが、ペットでも目に何か違和感を感じると目を細めてしまったり、開かなくなったり、時には涙や目やにが多く出るようなこともあります。

そういった目に異常を起こす病気の中でも、ひときわ目立つ病気としては「ホルネル症候群」と言われるものがあります。

あまり聞きなれない病気かもしれませんが、今回はこのホルネル症候群についてご説明したいと思います。

ホルネル症候群とは?

眼や鼻、耳などの顔にある感覚器は、その情報を脳につたる役目をしています。

したがってより多くの情報が得られるように、感覚器の運動能力も脳から直接出る神経によって統制されています。

眼であれば、瞼を閉じる、瞳孔が開くなどの調整も脳から直接出る神経によって、無意識のうちにできるようになっています。

ホルネル症候群は脳から出た目の運動を統制する神経のどこかに障害があるために出る症状の総称になります。

神経的な統制が取れなくなってしまうため、一般的なホルネル症候群の症状は瞼が垂れ、瞬膜が露出し、瞳孔が縮瞳します。

ホルネル症候群の原因

脳からでた神経は脊髄の中を通り、首のあたりから分岐してから大きく迂回し、首の動脈と並行して顎の下から入って目につながります。

ホルネル症候群はこの神経のどこに障害があっても症状が発生します。

例えば脳に腫瘍や梗塞が起こり神経に障害が出ることによって起こることもあれば、事故やけがなどで首の付け根あたりを損傷しても症状が出ます。

実際にはこれらの原因はどちらかといえばまれであり、一般的に起こりやすいのが中耳炎や内耳炎を起こし、その炎症が耳のそばを通過する神経の方に影響を与えるか、特発性と言って原因がよくわからないタイプかどちらかになると思います。

中耳炎や内耳炎から発生する場合は原因の追究はしやすいのですが、特発性の場合はMRIやCTなどを使用しても損傷している神経の個所は特定することはできません。

特発性のホルネル症候群は犬でも猫でも見られることがありますが、犬の場合は特定の犬種に多く、ゴールデンレトリバーには多く発生すると言われています。

治療と予後は?

もし何らかの明らかな原因が存在している場合は、その原因を取り除く治療を行います。

内耳炎や中耳炎であればその治療、頸部の損傷であればその治療、難しいとは思いますが脳が原因であればその治療を行います。

予後はその基礎疾患の重度にもよりますが、たいていの場合は症状は完全に消失しないことが多いと思います。

原因不明の特発性の場合は基本的には無治療で様子を見ていくか、ステロイドを2週間程度使用して経過を観察するかどちらかの方法になります。

正直予後はまちまちで、2~3週程度で治まる場合もあれば、半年ぐらいして突然治まることもあります。

後遺症として症状が残ることもあるのですが、ほとんどの場合、日常生活には影響が出ることほとんどないので、気長に待つしかありません。

まとめ

眼という感覚器は緻密であるがゆえ、再生がききません。

何かしらの異常があった場合はあまり様子を見ず、早めに受診していただくようお勧めします。

2020-01-23

犬を病院に連れてくる理由の中で意外と多いのが、発咳だと思います。

理由は違うのですが、犬種や性差、年齢にかかわらず、犬はよく咳をする動物です。

咳の理由としては、感染を起こしたものや、老齢性のもの、心臓からくる咳など色々ありますが、今回は幼い犬で割とよくみられる気管支炎、「ケンネルコフ」についてご説明したいと思います。

ケンネルコフとは?

ケンネルコフは犬伝染性気管気管支炎と言って、特定のウイルスや細菌によって引き起こされる気管支炎のことを言います。

原因となるものは犬アデノⅡ型ウイルス、パラインフルエンザ、ボルデテラ菌があげられます。

ペットショップやブリーダーなどから譲渡されたすぐの仔犬に特に多くみられるのですが、まれに成犬でも感染した犬との接触により症状が出ることがあります。

フェスなどの何かしらの犬の集会や、ペットホテルなどから帰宅した後に咳をしているようであればこの病気を疑ってもいいかもしれません。

基本的には発咳、咳の後のえずき程度の症状であり、全身に症状が波及することはあまりありませんが、咳の具合はかなり重度です。

人間の咳と同様に咳が一度で出すとなかなか止まらず、またよく吠えるような犬は1か月以上も咳が続く場合もあります。

また、幼犬や何らかの疾患を持っていた場合は、細菌の2次感染を引き起こすこともあるため、肺炎を引き起こすこともあるため、食欲不振や体重減少が見られた場合は注意が必要です。

治療法と予後は?

基本的には無治療でも自然に治癒することがほとんどです。

ですので安静が出来るような環境を整えていただき、十分栄養を取らせることをお勧めしています。

咳による生活の質の低下が目立つようであれば、去痰剤や鎮咳薬を使用します。

抗生剤の有効性は疑問視されている一方で、ぼくも含めてほとんどの獣医師が抗生剤を処方しますが、可能な限り短期間の処方にとどめるようにしています。

問題は他の細菌などの重感染が起こり状態が著しく低下した時です。

大抵の場合、重度の気管支炎か肺炎を患っていることが多いため、入院治療を余儀なくされます。

とはいいつつも10年以上前はペットショップやブリーダーの厩舎は劣悪な環境であることもあったのですが、ここ数年で大きく環境は改善し、実際には肺炎まで患っているような仔犬に出会うことはほとんどありません。

成犬の場合もめったなことでは肺炎まで進行することはないので、予後は悪い病気ではないと思います。

ボルデテラ菌以外は混合ワクチンに含まれているため、成犬でワクチンをしっかり接種していれば感染を防ぐことはできるのですが、アデノⅡ型ウイルスは他のワクチンウイルスよりも抗体が上がりにくく、ワクチンを接種していても免疫力がしっかり上がらないこともあります。

ワクチンを接種しているからと言って過信せず、体調の悪そうなときには多くの犬が集まるようなところには連れていかない方が無難だと思います。

犬のインフルエンザって?

余談の話になるのですが、ケンネルコフの原因ウイルスとして、パラインフルエンザというウイルスがありますが、インフルエンザウイルスとは全く異なるものです。

犬にも犬インフルエンザウイルスがあることはこの10年ほど前から知られるようになり、おととしにはアメリカで大流行しました。

症状は人間のインフルエンザの症状とほとんど同じですが、今のところ犬から人へ伝搬することはないと考えられています。

ただ、インフルエンザウイルスは変異を起こしやすいウイルスのため、未来永劫大丈夫かと言われると・・・疑問の余地はあります。

ちなみに数年前に新種の犬インフルエンザが中国で見つかりました。

最近なにかと話題の新種のコロナウイルスも中国ということでしたが、国土の大きい国は疫学的な問題が大きいため、大国から発生した新種のウイルスの話を聞くと少し怖い感じがします。

まとめ

仔犬の空咳は一番最初に動物病院に犬を連れていく理由のTOP3に入ると思います。

飼い始めてすぐは何かと心配だとは思いますが、大事に至ることはあまりありません。

人間の風邪と一緒なので、とにかく安静にさせて食事をとらせることをまず行い、それでも治りが悪ければご来院ください。