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2019-09-20

多くの獣医師にとって先天性という言葉は色々な危険をはらんでおり、取り扱いには注意しないといけない言葉になります。

単なる病気の種類にとどまらず、その遺伝的な背景の責任や、保険などの免責事項にもかかわることも多いため、トラブルの火種になることもあるからです。

もちろん、こういった理由だけではありませんが、不幸なハンデを背負った動物がなくなるように多くの活動家や獣医師が声をあげ、ここ数年で先天性と思われるような疾患の多くはかなり少なくなってきたのが個人的な印象です。

それでも動物病院で診察をしていると、先天性の疾患を患った動物が来院することはさほど珍しいことではありません。

そういった病気の中で今回ご説明するのは水頭症です。

水頭症は割と有名な病気だとは思いますが、チワワなどの好発犬種の飼育頭数が増えてきているので知識として知っていてもいいと思います。

そもそも水頭症って何?

よく表現されることですが、脳というのは豆腐のようにもろい組織のため、それを守るための硬い頭骸骨と、その中に満たされている水の中に浮いていることで色々な衝撃から守られています。

この脳が浮いている水のことを脳脊髄液と呼びます。

この脳脊髄液が通常より多く頭蓋骨の中にたまり脳内の圧が異常に上がることで脳自体に損傷が起こり、様々な神経症状が出てくるのが水頭症のざっくりとした説明です。

脳脊髄液は血液の成分と似たような性状をしていて、脳内にある血管が集合している脈絡叢と呼ばれる場所とくも膜と呼ばれる脳を包む膜の下にある血管から作られます。

脳脊髄液は脳室と呼ばれる脳と脳の隙間を通って循環し、最終的にはまた血管から吸収されます。

水頭症は脳室が何らかの理由でふさがってしまい、脳脊髄液が循環できずにどんどんたまってしまうことで起こります。

動物病院でよく見る水頭症は先天的に脳室が狭窄しているような犬がほとんどなので、1歳未満で症状が出てしまい来院することが多いと思います。

こういいた犬では両目とも斜視が見られることも多く、頭の形もちょっと変な感じがします。

落ち着きがなく、攻撃的な性格の仔も多いと言われていて、同じ場所をくるくる回るなどの異常行動が見られることもあります。

重度の場合には断続的なけいれん発作が見られることもあり、場合によっては致死的になります。

一方で腫瘍や事故で脳室が狭窄することもあり、フレンチブルドッグなどの人気犬種は脳腫瘍の好発犬種になるで、中高齢で症状がみられることもあります。

腫瘍や髄膜炎などの炎症で脳脊髄液を吸収できなくなってしまうこともあり、この場合でも水頭症の症状が出ることもあります。

こういったケースでは異常行動が多くみられ、同じ方向にくるくる回る回旋運動や重度の痙攣が見られるようになります。

猫でも水頭症が見られることはあります。

伝染病や胎児時期に母猫に投薬された薬が原因となるのですが、非常にまれです。

ぼく自身は診たことはありません。

検査の方法は?

正直な話、水頭症を確実に診断できる検査方法はありません。

脳脊髄液の異常な貯留による脳圧の亢進は、脳脊髄液の脳室の拡大で判断します。

代表的な方法はMRI検査になりますが、チワワを代表とする水頭症の好発犬種は検査をするとたいてい脳室は拡張しています。

また逆に脳圧が亢進しているのにもかかわらず、脳室が拡大していないこともあります。

こういった犬たちが何かしらの神経症状が出た場合に、本当に水頭症が原因で症状を出しているのが確定させるすべがないことがあります。

したがって実際の動物病院の中での診断は、まず何かしらの神経症状があるかどうかから始まります。

もしその神経症状が水頭症からくるものと推測され、かつ検査にて他の原因の可能性を取り除き、最終的に脳室の拡張が見られた場合に水頭症と診断されます。

治療法は?水頭症の手術って?

水頭症と診断された動物が先天的な水頭症の場合、投薬治療から開始していきます。

基本的にはステロイドと脳圧降下剤が使用されます。

こういった投薬によって過剰に貯留している脳脊髄液を排出するのが目的です。

脳圧降下剤は利尿薬を使用するので、腎臓の機能や電解質を定期的にモニターすることをお勧めしています。

セカンドセレクトでは液体の脳圧降下剤を使用します。

大きな副作用はないのですが、あまり与えすぎると下痢になることがあるので注意が必要です。

もし万が一急性の症状が出た場合は、脳圧降下剤を30分から1時間程度、点滴で投薬していきます。

このような治療が行われていても、問題となっている神経的な症状が改善がない場合には外科手術の適応となります。

セカンドセレクトでは水頭症の外科手術は行っていないため、専門病院へのご紹介となります。

ただし、専門病院でも受け入れが可能なところは多くはなく、大学病院などの2次診療施設になります。

手術はもっぱらシャント手術と言われるもので、過剰に脳脊髄液が貯留している脳室に専用のカテーテルを挿入し、腹腔に排出される管を体内に埋没させます。

言葉で説明するとかなりむずかしいのですが、VPシャントという名前で検索すると色々な写真が出てくると思うので参考にしてください。

基本的にカテーテルについているバルブで脳圧を調整していくのですが、細菌感染のリスクやカテーテルが折れ曲がり脳脊髄系が排出されなくなったりということもあり、定期的に交換が必要になることがほとんどと言われています。

まとめ

水頭症のような神経的な症状が出た場合、当の疾患を持っている犬や猫だけでなく、介護という負担が飼い主様にも大きくかかってきます。

セカンドセレクトではそういった動物と飼い主様の負担をできる限り減らせられるような診察を心がけていますので、いつでもご相談ください。

2019-09-11

犬や猫の顔の部分で特徴的な場所は色々あると思いますが、その中でも「耳」はかなり特徴的だと思います。

耳の形は犬種や猫種によってかなり違いがありますが、どの耳も動物にとっては間違いなく1つのチャームポイントになります。

そんなペットの耳を見たときに、掻いている仕草を時々見かけることがあると思います。

もちろん生理的にただ掻いていることが多いのですが、いつもより多く掻いているとか、普段立っているはずの耳が寝てしまっているとか、顔が傾いているなどの症状がみられるときには外耳炎の可能性があります。

今回は犬や猫では割とよくある病気、外耳炎についてご説明します。

垂れ耳の犬や猫は外耳炎になりやすい?

特に犬の飼い主様で多いのですが、外耳炎になってしまった時に「耳が垂れ耳だから外耳炎になったのでしょうか?」とよくご質問を受けます。

大雑把な言い方にはなりますが、垂れ耳だから外耳炎になりやすいということはないと思います。

ただ頭を振った時などに、耳垢が耳の入り口から垂れている耳介のしわにかけて付着しやすくなるので、その汚れからくる炎症は多いかもしれませんが、それほど強い炎症にはなりません。

外耳炎の原因はむしろ垂れ耳というよりは、耳道の太さに依存することが多いと思います。

特に犬であればコッカー系、猫であれば垂れ耳のスコティッシュフォールドやアメリカンカールはもともと外耳道に厚い軟骨が入りやすく、耳道がひどく狭いため常にどす黒い耳垢が見られます。

これらの耳の構造は耳道内の細菌環境を著しく悪化させるため、慢性的な外耳炎になりやすいとされています。

また他の犬種や猫種でもアレルギー要因などが加わると外耳道内の環境が著しく悪化するため、外耳炎にはなりやすくなります。

こういったタイプはシーズーやパグ、レトリバー系などのアトピーの好発犬種に多く、皮膚病とセットで外耳炎になることが多いと思います。

個人的な意見ですが、外耳炎の理由として耳ダニがあると思いますが、最近ではほとんど見られなくなりました。

予防薬の効能の向上や動物愛護法の強化などがその要因だと思います。

外耳炎は治らない?

外耳炎は外からの細菌が侵入して起こるというよりは、耳の構造やアレルギーなどの体質が関連しているため、慢性的な疾患になりやすい病気です。

実際に耳垢もあまりないし痒がってもいないけれど、耳の中を観察すると常時赤くなっていることはよくあります。

また慢性的に黒っぽい耳垢が出ていることも多く、多くの場合に飼い主様の日常的なケアを必要るすることがあります。

セカンドセレクトでもそういった犬や猫に関しては定期的な耳の洗浄を病院でだけでなく、ご自宅でも行えるようお勧めしています。

炎症を抑えたり、かゆみを落ち着かせるような点耳薬は適宜使用にて様子を見ていただいています。

耳ダレが起こったら?

耳垢が黒っぽいものではなく、ドロッとした膿性のものに変化した場合は少し注意が必要です。

こういった場合、耳道内の奥にポリープなどがあるケースが多いため、耳道内の検査を入念に行う必要があります。

セカンドセレクトにはオトスコープと呼ばれる特殊な耳道内検査機器があるため、耳道内のポリープの細胞診など簡易的に行うこともできます。

耳道内のポリープの多くは腫瘍性の病変が多く、しばしば犬や猫の生活の質を著しく下げることがあります。

【耳道内のポリープ・腫瘍】強い耳ダレがあったら要注意。維持治療?手術?

またポリープなどの存在がなかった場合でも、耳道内の細菌が多くの抗生剤に対し抵抗性を持っていることがほとんどです。

このようなケースではしばしば薬剤感受性試験というものが必要になることがあります。

耳道内にあった細菌を培養し、どの抗生剤の組み合わせが効果が出やすいのか調べていきます。

ご料金が少々するため、最初から頻繁に行う検査ではありませんが、必要に応じて検査をご依頼させていただくこともあります。

まとめ

いずれにしても、外耳炎は再発性も高く、なかなかスカッとは治ることがないこともあります。

一方でご自宅での耳のケアがなかなかできない飼い主様もいらっしゃることも事実です。

セカンドセレクトは動物にはもちろん、飼い主様にも可能な限りご負担をかけない治療を目指していますので、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

ペットの耳がなんか臭い。セカンドセレクトで治療してみるか・・・。

2019-09-04

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、血液の中にはいろいろな細胞が存在しています。

赤血球や白血球、リンパ球、血小板などが有名ですが、そのうち白血球は色々な種類の細胞を総称して呼んでいるので、他の細胞に比べるとちょっと複雑かもしれません。

白血球は主に免疫防御にかかわる重要な細胞ですが、ときにその働きが過剰になることで、アレルギーや膠原病などを引き起こすこともあります。

その中の「好酸球」という白血球の中でも聞きなれない細胞ですが、この好酸球が過剰に働くことによって起こる好酸球性肉芽腫について今回はご説明したいと思います。

好酸球性肉芽腫とは?

好酸球性肉芽腫は好酸球が局所的に異常に増殖し、体の皮膚や、唇、口腔内にしこりを作る病気です。

原因ははっきりとしたことはわかってはいませんが、好酸球自体がアレルギー反応に大きくかかわっているため、アレルギー疾患からくるものではないかと考えられています。

よくみられる好酸球性肉芽腫は好酸球による皮膚炎として見られることが多く、下腹部に波上の赤い潰瘍が見られるのが典型的なものだと思います。

猫は掻痒感からか、過剰なグルーミングを行い、脱毛とともに潰瘍部分はどんどん赤くただれていきます。

時にその潰瘍はかなり大きなものになり、やけどのあとのようになることもあります。

また内股などに線状の赤い潰瘍を作ることもあり、こちらも過剰なグルーミングにより、より重症化していきます。

これらの皮膚炎は、初期段階では通常のアレルギー性の疾患と区別がつけることはかなり難しいと思います。

皮膚炎以外にも過剰な好酸球の増殖による肉芽は猫の唇にもよく見られます。

こちらは皮膚炎と異なり、猫自体に自覚症状が全くないため、無痛性潰瘍などともいわれています。

周期的に腫れたり治ったりを繰り返すこともあり、突然腫れたと思ったら、翌日にはなくなっているということもたまにあります。

一方で、唇ではなく口腔内にできた好酸球性肉芽腫は、口内炎の症状を悪化させれる要因になるため、猫自体の状態を著しく低下させます。

治療法

好酸球性肉芽腫はアレルギーと連動して起こる、もしくはアレルギーと類似した原因で起こりうるため、一般的にはアレルギー性皮膚炎やその他のアレルギー性疾患と同様の治療を行います。

基本的にはステロイドもしくは免疫抑制剤を使用して治療を開始していきます。

治療に対する反応は割と良いのですが、個体によっては高容量のステロイドを使用しないと安定しない猫もたまにいます。

猫はステロイドの副作用が他の動物に比べると非常に小さないのですが、高齢な猫や高脂血症などの素因がある猫の場合には糖尿病などの併発疾患を招くことがあるので、定期的に血液検査などを行いながら治療を進めていきます。

また最近は猫にもアレルギー性皮膚炎に対し分子標的薬を使用するケースも増えてきたのですが、好酸球性肉芽腫にはあまり効果は見られません。

このあたりがアレルギー性皮膚炎と好酸球性肉芽腫との大きな違いかと思います。

まとめ

猫はもともとグルーミングをよく行う動物ですが、こういった病気にかかると自虐に至るまで舐め続けてしまいます。

特に好酸球性肉芽腫は内股の目立たないところにできることが多いため、発見に遅れることもよくあります。

ある日何気なくお腹を見てみたら、見たこともないような赤い潰瘍があったら・・・いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2019-08-24

犬や猫以外の動物を獣医師はエキゾチックアニマルと呼んでいます。

犬や猫と違い、鳴き声が大きくないとか、世話がしやすいなどのイメージから飼い始める飼い主様も多くいらっしゃいますし、ヘビやトカゲなどの爬虫類など珍しい動物が好きな飼い主様もいらっしゃいます。

セカンドセレクトは基本的には犬と猫の診察が中心なのですが、そのほかの動物も診察できる限りは行っています。

そういったエキゾチックアニマルの中でよく診察する機会が多い動物のひとつがフェレットです。

以前に比べるとだいぶと飼育頭数は落ち着いているのかなとは個人的に思うのですが、まだ根強い人気があるエキゾチックアニマルです。

今回ご紹介したい病気はこのフェレットの副腎疾患です。

フェレットを飼っていらっしゃる飼い主様の中では、知らない人は多分いないだろうというぐらい有名な病気です。

セカンドセレクトでの診察方針も交えてご説明したいと思います。

フェレットの副腎疾患の原因は?

フェレットのがなぜ副腎疾患が多いのかはよくわかっていませんが、一般的には早期の去勢手術や避妊手術をすることが原因と言われています。

早期に避妊手術や去勢手術を行うと、体が成熟した時に脳が卵巣や精巣がないことに気づかず、卵巣や精巣の機能を向上させるようなホルモンを過剰に分泌させるようになります。

その過剰に出たホルモンが副腎皮質を不自然に刺激することで、フェレットの副腎疾患は発現していきます。

その症状・・ほっといても大丈夫?

フェレットの副腎疾患の代表的な症状は全身的な脱毛です。

脱毛は尾や後背部から始まり、腰部、胸部にも段々と広がり、頸部や顔面、四肢以外の体のほとんどの部分の毛が抜けていきます。

脱毛した場所は、細菌の感染を起こしたり掻痒感を出したりしますが、逆に言えばその程度で終わってしまいます。

ただ、病状が進行すると、オスの場合は前立腺が肥大し、排尿困難を起こすことがあるため、状況としてはかなり切迫することもあります。

また雌では貧血が進行することもあり、著しい食欲の低下や衰弱などが見られることがあります。

また最終的には過剰に働きだした副腎が腫瘍化することもよく見られます。

副腎腫瘍は悪性度の高い腫瘍であり、周りの臓器にも転移をすることもあるので、フェレットの余命を著しく短縮させます。

結局のところ、無治療で経過を見た場合には、脱毛以外の症状が出た場合には予後はとても悪いケースも多く、あまり無治療で様子を見ることはお勧めしません。

治療法は?

セカンドセレクトではフェレットの副腎疾患には初期段階としては月に1回の注射治療をお勧めしています。

フェレットの副腎疾患は脳内から分泌される性ホルモンを刺激するホルモンが大きな影響を与えているのですが、注射にはそのホルモンの活性を抑える作用があります。

大きな副作用はあまりないとはされていますが、注射薬自体が高価であることと、病気の根本を治癒させる治療ではないため、定期的に生涯投与が必要になります。

セカンドセレクトでの注射料金は1回1万円です。

これを1か月に1回から1.5か月に1度ほど行います。

2から3回の注射で目に見えて症状は改善していくのですが、注射の治療を継続しても病状が改善しないケースや再発するようなケースでは外科的な手術が必要になります。

外科的な手術の難易度は左右の副腎のどちらが主病変なのかによって難易度が異なります。

一般的には右側の副腎は太い動脈と隣接しており、副腎の大きさがある程度大きくなると摘出が困難になると言われています。

ぼく自身はフェレットの副腎疾患は執刀したことがないのであまり適当なことは言えないのですが、ここ数年で医療機器が格段と改善され、血管を傷つけることなく腫瘍病変を融解したり、剥離したりできる機器もあるので、以前よりは安全性の高い手術が行えると思います。

まとめ

セカンドセレクトはエキゾチックアニマルの専門病院ではないのですが、ぼく自身は診察経験は普通の病院に比べても割とある方だと思います。

外科手術が必要な症例に関しては専門病院をご紹介することにはなりますが、飼っているフェレットの脱毛が気になり始めたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2019-08-20

最近、テレビのCMでもよく見られるのですが、人間も高齢になると尿漏れなどを含む排泄の異常は年齢の衰えとともに段々と問題になることが多いと思います。

これは犬や猫でも同じことで、高齢になった時に出てくる問題としては、排泄の問題は割とよくあるものです。

一方で病気とは呼べないような加齢による変化ではなく、病的な要因で出てくる排泄の問題もあります。

【エストロジェン欠乏性尿失禁】避妊したメス犬の尿失禁。高齢犬で多い困った症状。

高齢な犬や猫の排泄異常が起こる病気については他の記事でもいくつかご紹介しているのですが、今回は膀胱腫瘍についてご説明したいと思います。

膀胱腫瘍はどんな症状?

膀胱腫瘍は最初のうちはほとんど無症状です。

人間にも膀胱の腫瘍はあるのですが、自覚症状を早い段階から訴えることができるので、初期段階のうちから治療に入ることが多いと言われています。

犬や猫の場合、無症状期に気づくことはほとんどなく、たいていの場合、高齢の犬や猫が難治性の膀胱炎が起こって初めて診断されることが多いと思います。

また、膀胱内の腫瘍は体の表層にある腫瘍と違い、腫瘍自体を採取して検査をすることがたまに非常に困難な場合もあるため、さらに発見が遅れる理由にもなります。

ただ割と症状の進行は緩慢で、膀胱炎のような症状があるだけで、食欲不振や活動性の変化などはほとんどないことが多いと思います。

大抵の場合は頻尿と慢性的に出る出血尿がその症状です。

ただし、膀胱の腫瘍はそのほとんどが膀胱の粘膜にある細胞から発生することが多く、また多くの場合、膀胱の出口で増殖することが多いとされています。

したがって、腫瘍がどんどん大きくなった場合は膀胱の出口を塞いでしまうため、排尿自体が困難になってきます。

場合によっては完全な尿道閉塞をおこしてしまい、重篤な状況になることもあります。

また膀胱周囲の組織に転移をすることが多く、腹腔内のリンパ節や隣接している腸管にも転移を起こすこともあるので、病状が進んでしまった場合、排便障害や強い疼痛が見られることもあります。

治療法は?

一般的には手術による腫瘍の切除がその治療法になります。

また抗がん剤などの化学療法もあり、点滴にて抗がん剤を投与する方法や直接膀胱内に抗がん剤を投与する方法があります。

実際の治療法は?

犬や猫の膀胱腫瘍の場合の治療における問題点は、動物が非常に高齢であることが多いことと、病状がかなり進んでいることが多いことです。

したがって、全身麻酔下の手術には耐えることができないであろう高齢の犬や猫が多いのと、診断が下された時には腫瘍の浸潤が非常に進んでいるので、手術をしても完全に切除できないことがほとんどです。

また抗がん剤に使用に関しても、膀胱腫瘍に対するプロトコールはあるのですが、その有効性には乏しいことがあり、副作用などの悪いところだけが目立つような治療になります。

結局のところ、膀胱炎様の症状のみが見られている段階では、積極的な治療を望まれる飼い主様はごく少数です。

セカンドセレクトではこういった膀胱腫瘍では、普段は痛み止めとして使用するのですが、付加効果としてある程度の進行を抑えてくれる薬を使用していきます。

また持続的に出血が見られるため止血剤などを使用し、細菌の発生が見られたときにのみ抗生剤を使用していきます。

体の中に癌がある中での生活は非常に不安は残ると思いますが、多くの個体では病気の進行でというよりは、普通に寿命を迎えることができることも多いというのが個人的な意見です。

まとめ

何も自覚症状がなくても、病院に行ったらいきなりがんを宣告されることは人間でも多いと思います。

ましてやモノを言わないペットであれば、ほとんどの病気が「いきなり」宣告されてしまいます。

自分のペットも高齢になり、この記事を読んで色々と心配が出てきたという飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

2019-08-16

犬が西向きゃ尾は東なんて言葉がありますが、犬にとって自分の尾は絶好の遊び道具になります。

犬種にもよりけりだとは思いますが、自分の尾を追ってくるくる回る姿は犬でよくみられる行動です。

ただ、たまにその行動が過剰になり、自分の尾を噛み始めるような自虐行為が見られることがまれにあります。

今回の記事では「尾かじり」と呼ばれる自虐行為についてご説明したいと思います。

なぜ尾かじりする?

尾かじりはたいていの場合、何かしらの原因に精神的な要素が加わって起こると考えられています。

何かしらの原因には、病的な要因もあれば、病的な要因でないこともあります。

病的な要因の例としては、会陰ヘルニアなどの排便障害や、下痢などによる頻便などがあると、犬は肛門周囲をひどく気にし始めます。

その延長線上に尾があるので、きになる「ついで」に尾を噛み始めることもあります。

また分離不安などの精神的な要因は病的な要因ではないにせよ、自虐行動を助長させるため、一度尾を噛む行為が始まるとなかなかやめることはありません。

ぼく自身の経験上、犬が尾かじりをする本当の原因がわかることはほとんどなく、たいていの場合は対症的に対応していくしかないかと思います。

治療法は?

最も一般的な治療法は、物理的に尾を噛ませないようにするため、エリザベスカラーをすることだと思います。

ただ、エリザベスカラーの着用は犬にとって大きなストレスになるので、尾以外への自虐行為に発展する可能性もあります。

尾に包帯を巻いて咬ませないようにするのも手なのですが、尾に付けた包帯は取れやすく頻繁に交換をしないといけないので、飼い主様の負担も大きいものとなります。

あまりにもメンタル的な要因が多そうな犬には、安定剤のようなものを併用することもあります。

いずれにしても、犬の尾かじりをすぐに治すことのできる特効薬のようなものはなく、ひたすら本人が尾を噛まなくなるのを待つしかないと思います。

セカンドセレクトでは、噛まれてダメージのある尾にコラーゲン療法を併用しています。

皮膚の安定化までの時間は幾分短縮できると考えられており、写真のように壊死寸前までいった尾が、使用して1か月ほどで毛が少しずつ生えてきています。

最悪の場合・・

尾を噛む行為をやめさせれうこともできず、また出血などを伴うような場合や、あまりにも尾の皮膚が挫滅してしまい、壊死が始まっているような尾に対しては外科的に断尾を行うこともあります。

もちろん尾がなくなれば尾を噛む行為はなくなるので、唯一の根治治療とも言えなくはないのですが、外見上の大きな変化を伴うので、よほどの状況のみ行うことがほとんどです。

犬の尾はトレードマークなので、できる限り温存する方向で考えていきたいと思っています。

まとめ

尾かじりは大きな病気ではないのですが、一度なるとかなり厄介です。

初期段階では飼い主様と犬とのコミュニケーションで何とか乗り切れることもあるので、もし尾噛みがきになるようであれば、お気軽にご相談ください。

2019-08-13

ぼくもそうですが、悲しいことに年を取ってくると、首や肩回りにしびれや痛みが出ることがあります。

ぼくの場合はある意味デスクワークがほとんどなので、パソコンの作業などが原因になっているのだと思います。

人によってはそれが耐え難い痛みになることもあり、同時に手先に軽いしびれや麻痺を感じる方もいらっしゃいます。

こうしたケースでは頚椎ヘルニアを患っている方も多く、セカンドセレクトにご来院されている飼い主様の中にも、頚椎ヘルニアの手術を行った方も何人かいらっしゃいます。

ペットでも猫ではほとんどないのですが、犬では頚椎ヘルニアは割とよく見かける病気だと思います。

自分の犬が頚椎ヘルニアと診断されたときに、インターネットなどで調べることが多いと思いますが、現在犬のヘルニアで調べて出てくるのはほとんどの場合、胸腰椎のヘルニアに関するもので頚椎ヘルニアの記事はそれほど多くありません。

今回はそんな頚椎ヘルニアについて、胸腰椎のヘルニアとの違いを中心にご説明したいと思います。

頚椎ヘルニアってそもそも何?

多くの飼い主様がご存知だと思いますが、脊椎と呼ばれる背骨にはいくつかの椎骨と呼ばれる小さな骨が一つ一つ関節を作って結合しています。

ちなみに犬の場合には頚椎には7個、胸椎には13個、腰椎には7個の椎骨が存在します。

一つ一つの椎体の間には椎間板と呼ばれる軟骨でできてる椎間板と呼ばれる少し軟らかいものがあり、椎体同士の摩擦を和らげるクッションの役目をしています。

この椎間板が何らかの理由で神経側にせり出してしまうことで椎間板ヘルニアが起こります。

椎間板ヘルニア自体は多くの飼い主様がご存知だと思います。

ただ改めてご説明いたしますが、頚椎ヘルニアは胸腰椎で起こったヘルニアとヘルニアという意味では一緒なのですが、症状や治療法などはかなり異なります。

頚椎ヘルニアの原因

胸腰椎のヘルニアの多くの場合、ミニチュアダックスやフレンチブルドッグなどの特定の犬種に発生することがほとんどで、そのほかの犬種で見られることはそれほど多くはありません。

一方で頚椎ヘルニアの場合、ミニチュアダックスやフレンチブルドッグにも多くみられるのですが、そのほかの犬種でも比較的よくみられます。

椎間板ヘルニアが胸椎で発生する原因は胸腰椎で発生する原因とほとんど一緒だと思いますが、加齢の要素がより多くあると思います。

逆に言うと、ミニチュアダックスのような好発犬種だったとしても、頚椎ヘルニアが3,4歳ぐらいの若い個体で見られることはあまりなく、どの犬種も7,8歳ぐらいから病気を発病することがほとんどです。

治療法・手術は必要?

頚椎ヘルニアは胸腰椎のヘルニア同様に症状にステージがあります。

動物病院で一般的によくみられる症状は首の痛みが多いと思います。

横を向いた時にキャンと鳴く、上を向けなくなった、首を触ろうとすると嫌がるというのが典型的な症状です。

また圧迫されている神経の位置によっては、首ではなく前足を痛がることもよくあり、前足のびっこの原因になることもたまにあります。

治療の方針については動物病院によって様々ですが、セカンドセレクトではまずは鎮痛剤を使用して様子を見ていきます。

鎮痛剤には2系統あり、どちらの系統の鎮痛剤を使用するかは病気になった犬によって異なりますが、多くの場合はNSAIDと言われる鎮痛剤や、非オピオイド系と呼ばれる鎮痛剤を使用します。

投薬によって十分に効果を得られた場合や、再発の頻度があまり高くない場合はMRIの検査や手術もあまり積極的には行わなくてもいいと考えています。

理由としてはリスクが高い部類の手術になるからです。

ただ、投薬の効果があまり得られない、再発をたびたび繰り返すなどある場合は、手術も積極的に検討してもいいと思います。

また一方で前足の麻痺が見られる場合には、最初から手術を検討することをお勧めしています。

なぜなら頚椎ヘルニアによる神経麻痺は、胸腰椎のヘルニアと異なり、軽度の麻痺だったとしても、投薬により十分な効果が得られにくいからです。

また胸腰椎のヘルニアの手術と異なり、術後の回復が短期間で見られることもその理由の一つで、長いリハビリが必要な胸腰椎のヘルニアの術後に比べ、頚椎ヘルニアの予後は極めて良いことがほとんどです。

ちなみに手術の方法は頸部の喉の方から切開をいれ、頚椎の椎間板を除去するという方法になります。

以前は非常に困難な手術の部類でしたが、最近では医療機器も発達しているので、以前よりは簡易的にできるようになりました。

ただし小型犬であればという話です。

中型から大型犬でも神経麻痺が見られるようであれば積極的に手術は検討してもいいと思いますが、小型犬ほど成績はよくありません。

もちろん手術自体がかなり困難だということもありますが、特にドーベルマンやロットワイラーなど頭が非常に重い犬種では、手術後に頭を支えきれずにいるため、頚椎を固定する手術を同時に行う必要がよくあります。

この場合、術後に術前よりも神経症状の悪化がよく見られるのですが、大型犬をリハビリすることは小型犬に比べると非常に困難であるため、頚椎ヘルニアによる神経の圧迫は完全にとれたとしても、うまく起立できないぐらいの後遺症が残ることもあります。

ちなみにセカンドセレクトでは頚椎ヘルニアの手術が必要になった場合は、MRIが完備されている大学病院か一部のセンター病院にご紹介させていただいています。

理由としては、胸腰椎のヘルニアの手術では、除去した椎間板物質の取り残しがあるかどうか、おおよそ肉眼で確認ができるのですが、頚椎ヘルニアの場合はそれが困難なため、術後のMRIによる確認が必須だからと考えているからです。

まとめ

めんどくさいことを英語では「pain the neck」・・首の痛みというらしいですが、それほどに首の痛みというのは耐え難いものだと思います。

首を痛がる病気というのは意外と多いのですが、もし飼っていらっしゃる犬の首を撫でようとしたときに嫌がるそぶりが見られたら・・いつでもお気軽にご来院ください。

2019-08-09

猫は人間に比べると比較的によく吐く動物です。

吐いた物の中には何もなかったり、食塊が入っていたり、また場合によっては大きな毛玉が入っていることもあります。

猫の飼い主様にとって毛玉を吐くことはそれほど珍しいことではないと思いますが、それでも吐く姿というのは見ていてそれほど気持ちのいいものではありません。

今回はそんな毛球症についてご説明したいと思います。

なぜ毛球症になる?

猫はグルーミングをよく行います。

ざらざらした舌で毛をこそぎ取るようにして体を清潔に保ちます。

この際、舌について取れてしまった猫の毛を飲み込んでしまい胃の中に毛が溜まっていきます。

これは猫の生理的な行動であり、病気ではありません。

実際に内視鏡を行うと、正常の猫の胃の中にも少なからず自分の毛は存在していることが多いのですが、すべての猫が毛玉を吐くわけではありません。

よく毛玉を吐かないと心配される飼い主様がいらっしゃいますが、実は猫によってなぜ毛玉を吐く頻度が異なるのかは正確にはよくわかっていません。

猫によっては一生毛玉を吐かずにいる猫もいますが、そういった猫の場合は毛は食事や便と一緒にうまく流れていることがほとんどだと思います。

医学的な根拠はあまりないのですが、毛玉をよく吐く猫の場合、何らかの原因で胃腸の動きが悪いため、毛玉が溜まりやすくなっているのでは?と個人的には思っています。

症状は?

症状は猫によってまちまちです。

単発の嘔吐で終わってしまう猫もいれば、一度吐き出すと連続して嘔吐が見られる猫もいます。

時には球状に硬まった毛玉が胃から腸に流れてしまい、腸を一時的に閉塞してしまうこともあります。

この場合は嘔吐だけでなく食欲不振などの症状も同時にみられます。

毛玉だけの場合は時間とともに流れ、最終的には便となって出てくることもありますが、そのほかの異物と絡んだ状態になると、状況はさらに悪くなります。

治療は必要?猫草は食べさせれるべき?

食欲不振を伴わない嘔吐だけであれば、基本的には問題はありません。

よく予防のために猫草を食べさせたほうがいいかどうかのご質問を受けることはあるのですが、実際のところ効能自体は「?」な感じではあるので、それほどお勧めはしていません。

処方食として毛玉のコントロールをする食事もあります。

以前はそれほど効能はなかったように思えましたが、最近はそれなりの効能を見せることもあるので、毛玉を吐くのが気になる飼い主様がいらっしゃいましたら、試しに使用してみるのもいいと思います。

問題は毛玉が胃からの腸に移動した場合です。

多くの場合、一過性の腸閉塞を引き起こすことも多く、レントゲンで撮影をすると胃拡張などが見られることも多くあります。

経験上、腸閉塞を疑い、バリウムなどの検査で確かめようとすると、その際に詰まっていた毛玉が移動してしまい、大事に至らないことも多いと思います。

このバリウムの写真の猫は、バリウム検査中に毛玉が流れてしまい、後日大量の毛玉がバリウム便と一緒に出てきました。

残念ながら閉塞が解除されず、症状の改善が見られなければ外科的に手術を行うしかありません。

ただ他の異物に比べると、腸に与えるダメージは少ないことが多いので、予後はそれほど悪くはないと思います。

まとめ

猫の毛玉を吐く問題は、色々な飼い主様が抱えている心配事だと思います。

いつものことだと思って様子を見ていたら、段々と調子が悪くなってきた・・・そんなことがあったら、いつでもお気兼ねなくご連絡下さい。

2019-07-29

猫という生き物は犬と違って、呼吸がとても静かな動物です。

極度に興奮した時などは別ですが、犬のようにパンティングをすることは滅多にありません。

また調子が悪い時には部屋の隅で静かにしていることも多いので、特に循環器や呼吸器の病気は発見が遅れることもしばしばあります。

そんな猫の循環器の病気の中で1番多い病気と言えば、やはり心筋症になります。

あまりにも有名なこの病気なのにもかかわらず、そんな猫の性質上の問題から、病院で心筋症の診断が下されるのは、症状が割と進行してからが多いと思います。

今回はそんな猫の心筋症についてご説明したいと思います。

猫の心筋症とは?

猫の心筋症はその病態によって幾つかに分類されますが、もっとも一般的なのは肥大型心筋症です。

猫を含む哺乳類の心臓は4つの部屋に分かれています。

主に左側の心臓は、大動脈に大量の血液を送り込むための厚い筋肉がもともと存在していますが、肥大型心筋症は特に心臓の左側の筋肉が厚くなる病気です。

極度に肥大化した筋肉によって心臓の部屋の内腔が小さくなってしまい、心臓中にため込める血液の量が低下します。

結果的に心臓から送り出せる血液の量がへるため、見た目の活動性が低下し、食欲不振などもみられるようになります。

また、異常に厚くなった心臓の筋肉のせいで、心臓内の血圧が上がってしまうことで肺にも負担がかかり、呼吸器の症状などが見られるようになります。

肥大型心筋症が理由で病院にご来院される飼い主様の主訴で意外と多いのが、猫が嘔吐しているというものです。

心筋症の一つの症状として発咳が見られることも多いのですが、初めて見た飼い主様はそれを嘔吐と勘違いすることも多いからです。

また困ったことに、犬の心臓の病気の場合は聴診だけでも診断が下せることが多いのですが、猫の心筋症の場合は聴診上の異常がないことも多く、診断までに少し時間がかかることもあります。

肥大型心筋症は最初のうちは厚い筋肉のせいで、過剰な心臓の収縮能力が見られるのですが、段々と時間が経過すると心臓の筋肉の細胞が繊維細胞に置き換わり、心臓の収縮能力が低下していきますす。

最終的には左室だけでなく右室の収縮能力も低下するので、重度の心不全を引き起こし、胸水や肺水腫と言った重度の呼吸器の症状を引き起こします。

肥大型心筋症のほかにも、拘束型心筋症と呼ばれる心臓の筋肉の細胞の変性が重度で起こる心筋症もあります。

症状は肥大型心筋症とほぼ変わりませんが、予後はより厳しいものとなることが多いと思います。

また、たまに見かけるのが不整脈源性右室心筋症と呼ばれる心筋症で、左室よりは右室に症状が強く出ることが多く、右室が収縮できず、腹水や胸水が頻繁にみられる病気です。

レアなケースでは拡張型心筋症といって心臓の筋肉がペラペラに薄くなり、心臓が全く収縮できなくなる病気もあるのですが、ぼく自身はまだ見たことがありません。

検査方法は?

一般的にはエコー検査にて診断をつけていきます。

エコー検査では心臓の筋肉の厚さのほか、心臓の拍出量や血流の速さを測定することが出来ます。

一般的に心筋症は心臓の筋肉の厚さを計測して診断を行うのですが、レントゲン上では見た目の心臓の大きさには変化がないことも多く、エコー検査でしか診断が出来なこともよくあります。

したがって自覚症状が全くない心筋症が発見されるケースはたまたま見つかることも多く、そういった意味では猫にとって定期的な健康診断は重要かもしれません。

また心筋症を患った猫は高頻度で不整脈が出ていることも多いので、心電図や血圧の測定も重要になります。

治療法は?

基本的には投薬治療になるのですが、心筋症の種類やその段階によって薬の種類は全く異なります。

実際、無症状の心筋症を患っている猫は割と多くみられるのですが、セカンドセレクトでは基本的には治療はせず経過を見ていただくことがほとんどです。

治療の開始時期には獣医師によって判断が分かれることがあります。

セカンドセレクトでは犬の心不全と同様に心臓にかかる負荷によって、心臓の形態が変化したら投薬を開始することにしています。

この投薬の時期を見ていくには定期的なエコー検査をお勧めしています。

症状が急性的に出現した場合は、高酸素濃度下での点滴を行いながら状態の鎮静化を狙っていきます。

状態が安定し始めたら、心臓の収縮が過剰になっているのを抑えるための内服薬をいくつか投与していくのですが、ここで問題なのがたいていの心筋症を患った猫の投薬は飼い主様にとって非常に困難であることが多いということです。

投薬するべき薬の種類も非常に多く、心臓の過剰な収縮を抑える薬のほか、血圧を抑える薬、利尿剤、抗血栓薬などを投薬していきます。

食欲があるのであればまだいいのですが、病気を発症して安定期に入るまでは食欲もままならないことも多いため、投薬を行うことがなおさら困難になることも多いと思います。

また病気がさらに進行が進むと、逆に心臓の収縮能力を増強させる薬を使用していくのですが、このころでも食欲不振がかなり目立つようになるため、この時にも投薬の方法が大きな問題になります。

こういった時には投薬の種類を必要最低限に抑えながら、飼い主様の投薬のスキルが向上するのを待つことがほとんどです。

セカンドセレクトでは薬の投薬方法について色々アドバイスさせていただきながら治療を進めていきますので、不安がある飼い主様がいらっしゃいましたらお気兼ねなくご相談ください。

全身性動脈血栓塞栓症になったら

心筋症のもっとも厄介な併発疾患として、動きの悪くなった心臓の中で血栓が作られてしまい、それが血管のどこかで閉塞を起こす血栓塞栓症があげられます。

猫の血栓塞栓症は大腿動脈でおこる梗塞が最もよくみられるものです。

突然強いうなり声をして、気づくと後ろ足がマヒをしているという症状が突然に起こるのが特徴です。

強い疼痛が見られることがほとんどで、口を開けて呼吸をし、特に足先が冷たくなっているのも特徴的な症状です。

以前は血栓塞栓症を起こした場合の治療法として外科的な手術により血栓を取り除くことが最優先の治療法としてあげられたのですが、最近では色々な理由もあってあまり選択されないことも多くなりました。

セカンドセレクトでも血栓塞栓症の手術は治療の第一選択にはしていません。

また血栓を溶かす薬もあるのですが、効果のほどがそれほど見られないことも多いためあまり使用もしていません。

高酸素下で心臓のケアをしながら、疼痛管理を行い、血栓が自然と溶けてくるのを待つとうのが治療法になります。

血栓がつまった場所によって予後は全く異なりますが、後肢の麻痺の場合は病気の発症から半月ほどで回復が見られることもあります。

腎動脈や脳の血管に血栓がつまった場合は予後は極めて悪いことが多いと思います。

またまれにあるのですが、前足や後ろ足の動脈に詰まった血栓があまりに大きいために溶けきらなかった場合は、足が壊死することもあります。

こういった場合も予後はとても悪いことが多いため、飼い主様のご心配事も今後の状態がどうなっていくのかに終始します。

完全ではないのですが、その予後の判断材料として、体の中心と末端とのカリウムの濃度で見ることができるため、セカンドセレクトではそれを一つの指標として飼い主様に予後をお伝えしています。

いずれにしても状況を静観しているしかなく、残念ながら猫にとっても飼い主様にとっても不安な日が続くことになります。

まとめ

人間の心筋梗塞もそうですが、このての病気は突然起こります。

唯一できることと言えば、定期的に検診を行って事前に病気になるリスクを調べておくしかありません。

セカンドセレクトではそういった定期検診も随時行っていますので、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2019-07-19

足の爪はよくけがをする場所だと思いますが、犬や猫も爪のけがはよく起こります。

犬や猫の爪のけがはたいていの場合、どこかに引っ掛けてしまい、生爪がはがれるような感じになります。

時間がたつと徐々に膿んできて異臭を放つこともあります。

適切に治療するとわりとすぐに改善するのですが、時にはしこりのようなものを作り、なかなか治らないことがあります。

こういった時に気を付けないといけないのが、爪下にある腫瘍の存在です。

見た目では爪がはがれた後にできる炎症性のものとなかなか判断がつかないことも多いのですが、たまに悪性の腫瘍だったというようなこともあります。

今回は意外と気を付けないといけない腫瘍、爪下の扁平上皮癌についてご説明します。

爪下の悪性腫瘍はどんな感じ?

爪下の腫瘍は爪の基部が膨らんだようなものが多く、爪はそのふくらみによって少し上に持ち上がっているような感じです。

猫などの場合は発見に遅れることもあり、時間がたった患部は爪が取れてなくなっていることが多いと思います。

こうしたしこりのほとんどは扁平上皮癌という悪性度の強い腫瘍になります。

扁平上皮癌は滅多に転移しないのですが、周りの組織に急速に広がっていきます。

多くの場合は指先のみの病変で発見されるのですが、まれに骨へと浸潤していることもあり、骨への浸潤が認められた場合はあまり予後はよくないと言われています。

時間とともに腫瘍の大きさはどんどんと拡大していくため、最終的には肘のあたりまで腫瘍性に増殖した症例もありました。

とにかく爪の根元にしこりを見つけたら、早めに病理検査を行った方がいいと思います。

治療法は?

基本的には外科手術となります。

扁平上皮癌は周りの組織に浸潤する力が強いため、しこりだけ切除してもすぐに再発が起こるため、腫瘍と一緒に断趾を行うことがほとんどです。

指は3つの骨と2つの関節からなっていますが、根元の指の骨から切除していきます。

断趾まで行う理由は、扁平上皮癌は悪性度が高い腫瘍ですが転移はほぼないため、完全切除後の予後はかなり良いからです。

万が一、切除しけれなかった場合は、放射線治療が選択肢となります。

ただし、放射線治療は大学病院のほか、2次診療を行う動物病院でも施術が可能となりましたが、まだハードルは高い治療内容ですので、すべての飼い主様が選択するというわけではありません。

放射線治療ではなくさらに上の関節、肘もしくは膝などから断脚を選ぶ飼い主様もいらっしゃいます。

こういった難しいケースの場合はよくご相談させていただきながら、治療を進めさせて頂ければと思います。

肺指症候群について

猫の爪下に腫瘍が出来た場合は、要注意が必要です。

なぜなら、その爪下の腫瘍の原因が、肺癌からの転移であることがあるからです。

これを肺指症候群といい、猫の足先に腫瘍が出来た場合は、胸部のレントゲンを撮ることが必須となります。

もし胸部に腫瘍と思われるものが存在した場合、その予後はかなり悪くなります。

したがって手術を行うメリットがそれほどないうえ、麻酔自体のリスクも高くなるので、手術を回避する選択を選ぶことが一般的です。

セカンドセレクトではそういった猫に対しての緩和治療も行っておりますので、ご心配な点がありましたらいつでもご相談ください。

まとめ

人間でも足の裏にほくろが出来たら要注意などと言われていますが、ほくろに限らず、足先にできるしこりには厄介なものが多数あります。

もし何気なく足を見たときに何か出来物らしきものを発見したら・・・いつでもお気兼ねなくご来院ください。

2019-07-15

ウサギという動物は日本の古来より昔話や童謡に登場する動物です。

その愛くるしい目と特徴的な耳の形は、子供だけでなく、どんな大人も引き付けることが出来ます。

以前から代表的な学校飼育動物として飼育されていますが、ここ数年でウサギの飼育頭数は爆発的にのび、多くのサイトでもウサギに関する情報が載っていると思います。

ですがその一方で、ウサギを診察してくれる動物病院はそれほど多くはなく、実際に飼ってはみたものの、調子を崩した時にどこの病院に連れていこうか不安になる飼い主様も多くいらっしゃるのも事実です。

セカンドセレクトではウサギの診察も行っています。

そんなウサギの診察の中でよく見られるのが、「食滞」「毛球症」「胃拡張」などと言った症状です。

今回はこのウサギにみられる代表的な病気についてご説明したいと思います。

ウサギの食滞とは!?

ご存知の飼い主様も多いとは思いますが、ウサギは常に採食を行い排便をします。

ころころと大粒の丸い便と盲腸弁と呼ばれる連なった少し軟らかい便をするのが正常です。

うさぎの食滞は何らかの理由で腸の蠕動運動が著しく低下し、便の量が小さい、下痢のようになる、もしくは全くでなくなるという症状が特徴的です。

便の変化とともに食事の量も極端に減り、次第に胃や盲腸にガスや食塊が多量にたまり始め、お腹を触ると張っているような感じになります。

通常であれば触っても胃は触知できません。

ただし大幅に拡張した胃は容易に触れることができるため、診断は割と簡単につけることが出来ます。

胃や腸の蠕動運動能力が極端に低下した腸内では、細菌叢が大きく変化します。

とくにウサギのような草食動物では腸内細菌叢の変化は非常に大きな影響を受けます。

常に腸内に存在している腸内細菌の中でも、うさぎにとって有毒な毒素を産生する細菌が増えるからです。

ウサギはこの腸内毒素に対する感受性が非常に大きく、場合によっては致死的になることもあります。

ちなみにウサギの腸の蠕動運動が低下する原因はよくわかっておらず、気温や室温などの環境的な問題や、ストレス、そのほかの病気的な要因などと言われており、そこに毛玉が絡むとさらに蠕動運動の能力は低下していきます。

治療法は?

犬や猫の場合、腸が閉塞したり何かしらの原因が腸内に存在した場合は外科手術が可能ですが、ウサギの場合、消化管の手術は不可能です。

なぜならウサギの腸粘膜は非常に薄く、メスなどの鋭利なものでも一度傷がついたら二度とふさがることはありません。

まれにあるのですが、ウサギの避妊手術などの際にメスで腸管を傷つけてしまい、手を尽くしたとしても術後に無くなることがあると言われています。

ですので、ウサギの場合、腸内に何らかの原因があったとしても基本的には投薬で治療を行います。

ウサギにとって毒性の高い細菌を死滅させるための抗生剤、腸の蠕動を亢進させる薬などを使用していくのですが、食欲不振が続く場合は食欲増進作用を狙ってステロイド系の薬を使用したりします。

大抵の場合は内服による投薬は効果に乏しいことが多いので、セカンドセレクトではある程度食欲が回復するまで皮下注射にて治療をすすめていきます。

ちなみに注射料金は5000円程度、内服は1週間で2000円程度になります。

またご自宅では、ウサギは回復傾向になると飲水をとてもするので、水の不足には気を付けていただき、場合によっては採食が不足している分は飼い主様に強制給餌をおこなっていただくこともあります。

いずれにしてもウサギの食滞は最悪の状態を招く病気の一つですので、完全に治癒しきるまでは油断ができない病気だといます。

まとめ

今回ご紹介した病気以外にも、斜頸やスナッフル、子宮疾患など多くの病気があります。

セカンドセレクトでは内科的な病気だけでなく、外科手術もご対応可能ですので、なにかご心配な飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもご相談ください。

2019-07-10

尿検査は人間でもよくやられる検査です。

簡易的に検査が行えるうえ、意外と重要な情報が色々とわかるからです。

これは犬や猫でも同じことで、尿結石や腎不全、糖尿病など様々な疾患を発見するのに役立ちます。

そんな尿の異常でたまによく見かけるのが、非常に薄い尿が持続的に出ていることがあります。

低比重尿とか希釈尿などと呼ばれるこの尿は、病的な原因に限らず色々な原因でおこる異常です。

今回はそんな薄い尿が見られる原因の一つ、「尿崩症」についてご説明します。

尿崩症って何?

尿の量は様々なホルモンによって一定になるようになっています。

尿崩症はそのホルモンの中で、バソプレッシンと呼ばれるホルモンの異常により起こります。

バソプレッシンは脳内の脳下垂体というところから分泌され、腎臓の中で最もよく尿から水分を再吸収する場所で、尿からの水分吸収を促進させます。

尿崩症は脳下垂体の異常によってバソプレッシンが分泌されなくなるか、腎臓自体がバソプレッシンに反応しなくなり水の再吸収が起こらなくなったかどちらかによって起こります。

脳下垂体の異常は外傷や腫瘍などで見られるのですが、腎臓の場合はなぜ起こるのかあまりよくわかっていません。

これらの異常は若い個体でも高齢な個体でも見られるほか、雌雄差、品種間の差などもありません。

尿崩症を起こした動物は、考えられないぐらい多量の色の薄い尿をするようになり、その代わり水を大量に飲むようになります。

小型犬や猫であっても、おおよそペットボトル1本分以上の排尿が見られることが一般的で、飲水も一日1L以上あることがよく見られます。

検査方法は?

実際に尿崩症を簡単に確定させるような検査方法はありません。

また多飲多尿であること以外、身体上の問題は外見上からは発見できないことがほとんどです。

セカンドセレクトで診察をしていても、飲水量や尿量を心配される飼い主様が多くいらっしゃいますが、やはりそのほとんどは食欲や元気がある犬や猫たちです。

多飲多尿の原因で尿崩症が疑われるときには、まず血液検査で血液中の塩分濃度が非常に高まっている時です。

血液中の塩分濃度が高まっているときはたいてい脱水を起こしているということになり、そういった場合には尿量は低下し、尿の濃さも非常に濃いものになります。

いっぽう尿崩症の場合は血液中の塩分濃度が高いのにもかかわらず非常に薄い尿であるため、尿検査にて低比重尿を認めるようであれば尿崩症の可能性が高まります。

ただし同様の検査の所見が見られる病気は数多くあるため、他の病気の可能性を否定するための除去診断を行います。

他の内分泌系の病気でも多飲多尿が見られることが多いので、追加の血液検査を行うのが理想とされています。

【副腎皮質機能亢進症】中高齢のメス犬に多いクッシング症候群。水を飲む量とおしっこの量がとても多くて心配な時は?

いよいよそのほかの検査でも異常がないと判明した場合、尿崩症に対する治療薬を試験的に投与していきます。

尿崩症であれば投薬開始後10日ほどで、尿の色は正常な色合いになっていきます。

投薬は基本的に点眼薬で行い、特に副作用がないため簡易的にできるのですが、薬自体が高価なため、最初から試験的に投薬をしてみるというわけにはなかなかいかないことが多くあります。

また、水制限試験というのもあるのですが、セカンドセレクトでは動物の負担を考えあまり推奨はしていません。

治療法について

尿崩症の原因によって治療法や治療経過は異なります。

脳下垂体が原因の尿崩症の場合、治療薬の反応性は非常によく、そのまま投薬を継続するのが治療法となります。

ただし、犬や猫が十分に飲水が出来るような状況で、かつ排泄のお世話がそれほど飼い主様にとって煩わしいものでなければ、治療をしないこともあります。

なぜなら、飲水自体がしっかりできていれば健康状態を害することはほとんどない一方で、先ほど書いた通り、薬の薬価が非常に高価だからです。

小型犬でも月額で30000円程度はするため、飼い主様によっては治療を選択されないこともあります。

いっぽうで腎臓が問題で尿崩症を起こした場合は治療にも反応せず、予後はよくありません。

皮下補液などを行いながら脱水の悪化を防ぎながら見守るしか治療法はないため、セカンドセレクトでは自宅で皮下補液を行えるようご案内しています。

飼い主様自身が自宅で行う皮下補液。セカンドセレクトがサポートするとこうなります。

まとめ

尿の問題は病気に限らず飼い主様の心配のもとになると思います。

もし自宅で飼われているペットの尿量や飲水量がちょっと気になるようであれば、いつでもお気兼ねなくご相談下さい。

2019-06-28

どんな生き物もそうなのかもしれませんが、病気というものは突然なるものです。

それが人間の大人であれば、どこがどう調子が悪いのか医者に伝えることで、割と早めに原因が追究できることが多いのですが、子供や動物では話は別です。

吐いている、下痢している、または明らかな傷がある等であれば、簡単に原因を追究することが出来ます。

何か元気がない、食欲がない、どこか痛がるようで震えているなど、あまり特徴的でない症状の場合は、診断や治療がうまく進まないこともあります。

通常の診察の中でもそういった症状を訴えるペットの来院はよくあることで、しばしば悩みの種になります。

今回ご説明したい病気は「ステロイド反応性髄膜炎」という聞きなれない病気ですが、動物病院では意外とよく遭遇する病気です。

この病気も痛がる、震える、元気ないなどの症状を訴えるのですが、そのほかの特徴的な症状は外見上からは見つかりません。

今回の記事をご覧になった飼い主様で心当たりがありそうな飼い主様は一度ご相談ください。

そもそも髄膜炎って何?

髄膜とは脳を守るために覆っている膜のことで、硬膜、クモ膜、軟膜の3層に分かれています。

このうちくも膜と軟膜の間には、くも膜下と呼ばれる空間が開いており、色々なタンパクなどを含んだ液体に満ちています。

写真で言うと白い柱が立っている層がクモ膜下で、濃いオレンジ色が軟膜、薄いオレンジが脳になります。

よくクモ膜下出血なんていわれる症状はこの空間に起こる出血のことを指しますが、髄膜炎もまさにこのクモ膜下で起こる炎症のことを言います。

髄膜炎自体は細菌やウイルスなどの感染を起こして炎症を起こす場合と、感染はないのにもかかわらず、免疫異常などの原因で炎症を起こす場合があります。

このうちステロイド反応性髄膜炎は、感染を起こさず、特発的に炎症を起こす髄膜炎の中の1つの病名になります。

ちなみにこの病気の原因はわかっていません。

ステロイド反応性髄膜炎の症状は?

突然の頸部の痛みと発熱がよくみられる症状です。

頭をなでると痛がるとか嫌がるなどの仕草がみられ、頭を上にあげられないなどといった症状が見られます。

また、食欲不振などの症状がみられることがほとんどなのですが、病院内で行うような一般的な血液検査やレントゲンではほとんど異常値はみられません。

ステロイド反応性髄膜炎を患った犬の一部は、いわゆるリウマチ性関節炎を併発することも多く、頸部だけでなく腰や足など、どこを触っても痛がる、嫌がるようなしぐさが見られることもあります。

診断は?

一般的な診察でおこなう検査では異常が見つからないため、通常の動物病院内で確定診断を下すことは非常に困難です。

ただ、ここ数年で病院内の血液検査の項目として、犬CRPという項目が簡単に計測できるようになったため、仮診断は容易につけることが出来るようになりました。

犬CRPは炎症が起こった時に発生するタンパクのことで、全身的な炎症や感染を起こした際には著しく値が上昇します。

ただ髄膜炎だけに犬CRPの上昇がみられるというわけではないので、他の炎症性や感染性の疾患との区別は重要となります。

セカンドセレクトでも、発熱や食欲不振、どことない疼痛や震えが見られた際には、犬CRPを計測していきます。

高値の場合は、この病気の仮診断を行い、さらに進んだ治療に進んでいきます。

ちなみに確定診断はMRI及び脳脊髄液を採取し、細胞成分を調べることによりわかります。

ただし、MRIを含めた検査が治療前に行われることはあまりないのと、適切な治療を行うと1日以内に通常の脳脊髄液になってしまうため、一般的には確定診断を行うことは非常に困難だと思います。

治療方法について

ステロイド剤による治療がかなり有効です。

ただ残念なことにほとんどの症例では完全にステロイドを休薬することが出来ず、生涯的な投与が必要になることが多いと思います。

ですので、セカンドセレクトではまず症状が緩和するまではステロイドを積極的に使用したのち、段々と減薬していきます。

ステロイドにはもし継続的に服用していても副作用が出ない、もしくは非常に軽微な副作用しかないであろうとされる年間投与量の基準量が設けられています。

その基準量まで減薬を試みますが、減薬中に症状が再発する場合は別の免疫抑制剤を使用することもあります。

大抵の場合、治療にはよく反応し、通常の生活を送れるようにはなるのですが、中高齢以降にこの病気になった時には若い個体に比べステロイドの反応がよくないことも多く、症状の鎮静化に苦慮することもあります。

ちなみにパグ、マルチーズ、ヨークシャテリアが同様の症状を起こした場合は要注意が必要です。

これらの犬種では症状はかなり急速に進み、起立不全や昏睡などの強い神経症状が出ることがあります。

一般的には壊死性髄膜脳炎と言われ、予後のとても悪い病気とされています。

まとめ

脳脊髄の病気は数多くあるのですが、特殊な検査を行わなければ診断がつかないものばかりです。

セカンドセレクトではこういった疾患を持つ症例を数多く診察しておりますので、もしこの記事を読んで少し不安になった飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもご相談いただければと思います。

2019-06-18

人間の子供には比較的よくみられるのですが、自分の指をなめたり、爪を噛んだりすることがあります。

情緒が安定していないなど、心因的な問題があるときもありますが、たいていの場合は無意識の行動となり、ある意味癖のようになってしまっているため、なかなかやめさせることが出来ません。

これは犬や猫でも同じことが言えます。

特に分離不安傾向の犬の場合は足先をなめる行為がよく見られ、毛の色が変わる、足の裏が赤くなるといったものから、出血などが見られるようになることもあります。

出血がある場合の多くは、指の間か肉球の間にしこりのようなものが出来ています。

趾間嚢胞と呼ばれるこのしこりは、すっきりと治るということはなく、頻繁に包帯を巻いたり、エリザベスカラーを装着したりなど、足先をなめさせないようにする必要があることもあります。

今回の記事ではこの趾間皮膚炎と趾間嚢胞についてご説明したいと思います。

趾間皮膚炎・趾間嚢胞はなぜおこる?

趾間皮膚炎はまず指や肉球の間にできた炎症をなめ壊してしまうことでおきます。

炎症はアレルギー的な要因だったり、接触性の感染だったり、そのほか数多くの原因でおこります。

炎症だけではしこりにはならないのですが、犬がその炎症の個所をなめだすことで、炎症個所が嚢胞化し、しこりのようになります。

これを趾間嚢胞といいます。

趾間嚢胞をさらに舐め続けた場合、そのしこりが自潰し、中から出血やドロッとした液状のものが出てくることもあります。

趾間嚢胞になったら・・

趾間嚢胞の犬は、常時、足先を舐めるようになったり、時に足先全体が腫れあがり、びっこを引くようになることもあります。

しこりから出てくる出血は次第に止まっていきますが、ある程度するとまた出血を繰り返すようになります。

実際には出血の量はそれほど多くはないのですが、シーツや床に常に付着するので、見た目は多いように見えます。

治療法は?

まずは舐めないようにエリザベスカラーなどを使用します。

また犬が許容してくれるのであれば、常時靴下などをはかせ、とにかくなめさせないように努めます。

基本的には特効薬というものは存在しないのですが、セカンドセレクトでは自潰した嚢胞状のしこりに、本来は外耳炎に使用する点耳薬を使用し、数日包帯を巻いておきます。

効能外使用という形にはなりますが、それなりの効能があると思います。

重症の場合は、その間に消炎剤やアレルギーなどで使用するかゆみ止めを服用しながら様子を見ていきます。

3日ほどしたら包帯を外すと、炎症は大幅に改善するのですが、症状は慢性的に進行することが多く、治ったと思っても度々再発することが多いと思います。

ですのであまりにも再発が多く、日常生活に支障が出るケースでは、その部分を外科的に切除することもあります。

また心因性と言って、分離不安などのストレスからくることも多いので、そういった分離不安用の安定剤などを使用することもあります。

いずれにしても治療経過は長くなることが一般的で、シーズーやアメリカンコッカー、ビーグルなどの好発犬種ではしばしば飼い主様の悩みのもとになります。

まとめ

足先を舐めると言っても、犬のそれは人間の子供が爪を噛んだりするのとは比べ物にならないほどしつこく舐め続けます。

もしそういった症状でお困りな飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2019-06-14

若い時にはあまり感じなかったのですが、最近になってマッサージの重要性を感じるようになりました。

無理をしているつもりはなくても、ちょっと意識すると腰や肩などがはっている感覚があるような時が多くなってきました。

そんな時には念入りに筋肉をもみほぐすと気持ちがいいだけでなく、関節の可動域も広げることが出来ます。

これは犬や猫でも同じことが言えます。

年齢を重ねると筋量の低下よりも先に、関節の衰えが始まります。

関節の衰えを補おうとして、本来は使用しない場所の筋肉を無理して使うことで筋肉のコリが始まります。

そのコリをほぐしてあげると、一時的ですが動きがよくなることはよく見られます。

特に猫よりも犬の方がこういったマッサージの効果は出やすいので、セカンドセレクトでも老犬のリハビリマッサージはよくご依頼を受けます。

ただマッサージの効果は永遠と続くものではないので、ご自宅でも頻繁に行っていただくのが理想だと言われています。

ただ闇雲にやっていても効果があるかどうかわからないと悩まれている飼い主様も多くいらっしゃるのも事実。

今回はそんな飼い主様のご参考になればと思い、代表的な犬のマッサージのやり方をお教えししたいと思います。

肩甲骨のほぐし

老犬の衰えはたいてい後ろ足からやってきます。

立っているだけでも後ろ足が震えるなどの症状から始まり、後ろ足が躓くことや伏せの状態からうまく立ち上がれないなどの症状がみられるようになります。

こういった場合、後ろ足のリハビリも必要なのですが、後ろ足をかばって常に前足にもいつも以上の負担がかかっていることがよくあります。

ですので上半身にも予想以上の負担がかかるため、まずはできる限り前足の筋肉の緊張をほぐしてあげることが必要です。

特に肩甲骨の筋肉には大きな負担がかかるため、筋肉が凝り固まっていることもよくあります。

肩甲骨のほぐしは犬の横に立ち、肩甲骨の後ろに親指をあてがえほぐしてみるのが有効だと思います。

また肘のあたりをつかんで、前足を前方に伸ばしてみるのもいいと思います。

床の上で行ってもいいのですが、机の上で行った方が犬はおとなしくなることが多いですし、床で屈みながら行うと飼い主様の腰に負担がかかることもあるので注意ししてください。

腰のほぐし

犬は後ろ足の自由が利かなくなると、前足だけでなく、腰でも重心を取ろうとします。

そのため腰のあたりの筋肉が異常に緊張し、背伸びをするような動きを嫌ったり、頭が上にあげずらくなったりします。

いつも下を向いているような高齢犬は特に腰の筋肉が緊張していることが多く、腰のほぐしはより重要になってきます。

腰のほぐしは背骨に沿って筋肉があるので、体の中央から尾に向かって背骨を指で挟むようにほぐしていきます。

また足の付け根より小型犬であれば3㎝程前に左右に腰骨が出っ張っているところがあります。

この周辺を念入りによくほぐすようにしてください。

凝り固まっている犬の場合、最初はこのあたりを揉みこむと痛みからか腰が落ちてくるようになります。

また触られることをかなり嫌がる犬もいますので、最初のうちはあまり力を入れず、少しづつ刺激を加えるようにしてください。

股関節のほぐし

股関節は大きな筋肉でつながっているわけではなく、多数の小さな筋肉で連結されています。

これらの筋肉は大きな筋肉と異なり、少しづつ拘縮して小さく固まりやすくなってしまいます。

これらの小さな筋肉を運動で鍛え上げるのはかなり難しいため、股関節が固まらないように後ろ足のストレッチが股関節のほぐしに役立ちます。

片手で腰骨の出っ張りを抑えながら、膝あたりを保持して後ろに引っ張るような動きをさせます。

特に老犬の場合は後肢の筋量全体が衰えているため、股関節にかかる負担も大きく、長時間の歩行などを不可能にすることもあります。

こういったストレッチは股関節の可動域を維持するだけでなく、筋量の維持にも大きく貢献しますので、可能な限り行っていただくといいと思います。

まとめ

こういったマッサージの頻度は?とよく聞かれますが、実は20分程度のマッサージの効果は3分程度しかもたないと言われています。

ですのでまとめて時間をとって1日1回というよりは、手が空いている時間があったら2,3分を頻回の方が効果が出やすいと言われています。

本読みながら、テレビを見ながらなどの「ながら」で構いませんので、ぜひとも愛犬にマッサージをしてあげてください。