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2020-09-17

腫瘍と一言で言っても色々な腫瘍があります。

見た目で判断できるようなものもあれば、外見上からは全くわからないものあるし、聞いたこともないような名前の腫瘍も多く存在しています。

そんな外見からも判断できず、またなじみもないような腫瘍の場合には、しばしば診断までに時間がかかることもあります。

今回はそんな腫瘍の中のひとつ、多発性骨髄腫という病気をご紹介します。

多発性骨髄腫とは?

多発性骨髄腫は体を守る免疫担当細胞の一つのBリンパ球が骨髄内で腫瘍化したものです。

抗体を産生するBリンパ球は形質細胞とも呼ばれるため、骨髄の中で起こった形質細胞の腫瘍である形質細胞腫が骨髄で発生して起こることもあります。

人間では高齢の男性に多いと言われていますが、犬の場合は雌雄差はなく中高齢にみられる腫瘍ですが、猫の場合はかなりまれと言われています。

骨髄に起こる腫瘍性病変の影響のため、レントゲン上では骨が破壊されているような画像が得られ、血液検査上では高カルシウム血症が見られるほか、腫瘍にかかった動物たちも体のいたるところで痛みを感じることがあります。

また多くの場合は貧血などからくる食欲不振が見られ、そのほか腎不全などにより多飲多尿が見られることも多くあります。

検査方法は?

Bリンパ球は抗体と呼ばれるたんぱく質を主成分とした免疫物質を放出するのですが、腫瘍化したBリンパ球によって異常に産生された抗体のため、血液中のたんぱく質含有量が非常に高くなります。

ほとんどの多発性骨髄腫を疑う症例では、この高たんぱく血症を見て獣医師は病気を疑うことになります。

血液中に含まれるたんぱく質にはいくつか種類があるのですが、多発性骨髄腫を患った動物の血液はモノクローナルガンマパシーと呼ばれる特徴的なたんぱく質の変化があります。

これらは外部の検査を依頼することで判明するため、こういった所見が見られた動物の場合はすぐに検査を勧める必要があります。

実際にはこのモノクローナルガンマパシーのみで判断することができないため、レントゲンで骨が異常な所見があるかどうか、もしくは尿中に腫瘍化したBリンパ球から産生されたたんぱく質が検出されるかどうかなどで判断していきます。

これらの検査でも診断がつかない場合、最終的には骨髄の生検になりますが、状態の悪い中での全身麻酔による検査のため、リスクを回避することが困難になります。

治療法について

診断がついた場合、治療は早期に開始していきます。

基本的には抗がん剤を使用していくのですが、他の血液の癌であるリンパ腫などに比べると、使用する抗がん剤は経口投与になるため自宅で行え、薬価もかなり安いと思います。

犬の場合は比較的予後はよいとされているので、治療はある程度積極的に行ってもいいと思います。

猫の場合は残念ながら予後はとても悪く、抗がん剤の効果も出にくいとされています。

まとめ

セカンドセレクトでは様々な腫瘍の治療も行っています。

もし何かご不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。

2020-09-07

予測できないことというのは、特に医療の分野ではよくよく見られます。

そこに人為的なミスがなかったとしても、突如として思いもよらない生体反応が起こった経験は、医師、獣医師問わず、ほぼ皆が経験していることだと思います。

そういった予測不可能な生体反応の一つとして「血栓」というものがあります。

血栓はその名の通り血管内にできた血餅によって血管が詰らしてしまうことがあり、詰まってしまった血管によって様々な症状が出てきます。

今回は犬でまれにみられる全身性血栓塞栓症についてご説明したいと思います。

そもそも血栓ってなんでできる?

血栓はいきなりできるわけではなく、ほとんどの場合は基礎疾患となる病気がもとになり、たまたまできてしまうと考えられています。

代表的な病気としては心疾患、腎臓病、甲状腺機能低下症や多くの消化器疾患などで見られると言われています。

また人間と同様に高コレステロール血症などが原因による動脈血管の内皮構造が変化して起こる可能性なども挙げられていますが、実際のところ原因を特定できることは多くはなく、一見は特に何も病気がないような犬でも突如として血栓が発生することが多いと思います。

またよくあるケースとしては、大きな外科手術、とくに大きな腫瘍の摘出をした後に発生することもあり、術後の急変の要因としては常に気にしないことの一つに挙げられます。

一度発生した血栓が血管を詰まらしてしまう「血栓塞栓症」は大動脈や心臓、肺動脈などで見られるのですが、それによってみられる症状は血栓の大きさ、塞栓部位などによって異なり、無症状の場合もあれば致死的なこともあり、血栓が原因で死亡したとしてもそれが解明できないこともあります。

血栓塞栓症の症状は?

動物病院で見られる犬の血栓塞栓症は多くの場合、腹大動脈と呼ばれる血管で起こり、主な症状は後肢の麻痺が見れられることになります。

ほとんどの場合は突発的に起こり、後ろ足はダランとして力が入らないような状態になり、触ると少し冷たく感じます。

犬自体はおなかを触ると痛がるようなしぐさを見せることもあります。

よくあるのが、散歩の途中から突然歩けなくなったというケースが多く、運動によって必要な血液量が増加しているのにもかかわらず、後肢の血管に血栓が詰まって細くなっているため、血流不足を引き起こしているからだと推測されています。

検査方法と治療法は?

腹大動脈に起こった血栓塞栓症は基本的にはエコー検査で描写できることが多いと思います。

その他、血栓ができやすい状況なのかどうか、血液検査でも判断することができるため、支持診断として検査を行います。

また全身性の疾患を伴っていないかどうか、スクリーニング検査が必要となるため、結局のところ一通りの検査を行う必要があります。

とくに血栓は心臓内でできることも多いため、心臓内のエコー検査にて血栓の有無を確認すること、また不整脈が頻発していることもあるため心電図など、心臓の精密検査は必須となります。

基本的には基礎疾患となっているものを治療することが理想なのですが、先にも述べた通り、こういった検査でも本来の原因が見つからないケースも多くあるため、治療は基本的に支持療法となります。

以前は血栓を溶かす薬を点滴にて投与していたのですが、有効性に乏しいため最近ではあまり行われないと思います。

猫に比べると犬の血管は太いため、徐々に血流は回復してくることが多いので、新たな血栓ができないよう抗血栓薬を服用しながら長期間観察していくことがほとんどです。

ただし、血栓は肺動脈や腎動脈にも発生することがあるため、各主要な臓器に血栓塞栓症が見られた場合には、甚急性かつ致死的な症状が出ることもあるため注意が必要です。

まとめ

後肢が動かなくなる病気の代表的な疾患としては椎間板ヘルニアがあげられますが、好発犬種以外で突如後肢の麻痺がおこった場合は、血栓塞栓症の疑いがあります。

急激な症状ではなく、間欠的に後肢の麻痺がおこり、安静にしていると治癒するという症状を慢性的に繰り返すこともあるので、もし後肢の動きをみて不安を覚えるようなことがあればお気兼ねなくご相談ください。

2020-08-29

人間もそうだとは思いますが、ある程度の年齢になると多くの犬で突発的な発咳が見られるようになります。

こういった咳の中でも、ちょっと厄介なものが慢性気管支炎だと思います。

特定の原因がみつからないことが多いため、治療は対症療法にとどまり、継続的に治療をしていかないといけないからです。

今回はこの慢性気管支炎をご説明したいと思います。

慢性気管支炎とは?

慢性気管支炎は先ほども述べた通り、発咳を起こすような病的な理由が見つからないのにもかかわらず、長期間にわたり発咳が見られる疾患です。

猫よりも犬で圧倒的に診られることが多く、7歳あたりを超えてから目立つようになることが多いと思います。

ちなみに猫では喘息性の咳が多くみられるのが特徴です。

【猫喘息】猫の咳で一番多い理由。治療法は?予後は?

トイプードルやヨーキー、ポメラアン、などの小型犬に多いのですが、比較的よくなく犬でも見られると思います。

また幼少時代に重度のケンネルコフやアレルギー性気管支炎などを起こした犬が中高齢になった時に見られることもあり、基本的には全犬種でふつうにみられる病気です。

【ケンネルコフ】犬の咳でみられる伝染性気管支炎。治療は必要?予後は?

発咳は明け方に多く見られるのですが、症状の進行とともに日中も見られるようになります。

特に体位を入れ替えた時や動き出しなどに突発的に起こることが多く、発咳は数秒から数分続きます。

検査方法は?

慢性気管支炎の場合、特定の原因がないため、検査上は特別な異常は見つからいことがほとんどです。

ただし、心臓病や機関虚脱のような似たような症状を出す他の病気も多くあるため、一通りの検査は必要だと思います。

検査はレントゲン、血液検査などを行うのですが、慢性気管支炎の合併症として肺高血圧症がよく見られるため、心臓のエコー検査は必須だと思います。

【肺高血圧症】気づいたら犬や猫の息が荒い・・・。意外と多い犬の肺の病気。

治療法はどんなものがある?

慢性気管支炎の治療法は基本的には投薬になります。

心臓やそのほかの慢性疾患で使用される薬と異なり、決まった時間に継続的に使用するというよりは頓服として使用できることも多く、副作用の問題もあまりありません。

ただし、薬の内容としては気管支拡張剤や鎮咳薬、去痰剤などが代表的なものになりますが、気管支炎に使用する薬のほとんどはとても苦いため、投薬には意外と苦労することおも多いと思います。

セカンドセレクトでは内服を錠剤だけでなく、粉末やシロップにして処方することも多いのですが、それでも投薬が困難なこともあるので、色々な方法をご相談しながら行っています。

またネブライザーと言って薬剤を霧状にして吸入させることもあります。

ネブライザーの機械自体は簡単にインターネットで購入できるため、投薬が困難などのケースの場合はこちらもお勧めしています。

まとめ

慢性の疾患はどんな病気であれ、動物だけでなく飼い主様にも大きな負担となることが多いと思います。

セカンドセレクトでは双方の負担を軽減できるような治療を心がけておりますので、何かお困りの際はいつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-08-18

動物の免疫システムは外からやってくる細菌やウイルスから身を守るだけでなく、体の中で偶発的に発生する腫瘍を抑える役目もあります。

こういった免疫システムの能力は年齢とともに段々と失われていくため、年を重ねると感染症などの病気になりやすいだけでなく、腫瘍もできやすくなります。

また腫瘍細胞は全身どこの臓器からも発生するのですが、動物病院で遭遇する腫瘍なかでも乳腺や生殖器から発生する腫瘍がよく診らるため、腫瘍が原因での来院率はオスよりもメスの方が多いと思います。

今回は年齢をかさねたメスの犬でよく見られる良性の腫瘍、膣ポリープについてご説明したいと思います。

膣ポリープとは?

膣ポリープは未避妊の高齢のメス犬ではよくみられる腫瘍です。

なぜなら一般的に生殖器から発生する何らかの腫瘍は、性ホルモンに大きく影響されるからです。

通常は膣内から発生しますが、できた当初は膣内にあるため、外見上からもわからないですし、症状もありません。

ポリープはドーム状というよりは、ひょうたんや売りのような形をしているので、ポリープが大きくなるとその先端が陰部から露出されます。

多くの場合、この時点で飼い主様が気づき動物病院に連れてくるのですが、この時点でもあまり症状はありません。

たまに直接地面に擦れたり、犬自体が気にして噛んだりして傷ついたりすることもありますが、それ以上の症状が出ることはないと思います。

治療法は?

治療法はもっぱら外科手術になります。

腫瘍の発生は性ホルモンとの関連性があるため、手術と同時に避妊手術を行うことがよいとされています。

またポリープの根が膣の奥に入り込んでいるため、陰部を切開する必要もあります。

ただし、こういった処置は全身麻酔を使用し行うのですが、ポリープを発見した時には全身麻酔を使用するのにためらう年齢であることが多いのが問題となります。

放っておいても一般状態を低下させることはあまりないのですが、ポリープ自体が傷つき潰瘍を起こしてしまうこともあるため、何かしらの処置が必要になります。

そういった場合、セカンドセレクトでは簡易的にポリープを結紮し切除することをお勧めしています。

簡易的に切除した場合、たまに再発することもあるのと、出血しやすい箇所になるためあまり大きく太いポリープには不向きであるのですが、全身麻酔を使用せず切除できるメリットは大きいと思います。

処置時間は5分程度、5000円程度の処置量になります。

まとめ

年齢を重ねるとイボのような、あまり健康には関係のないものが多く発生しますが、発生した場所によってはなんでもないものでも、結構生活の質を落とす原因になることもあります。

ちょっとしたことなんだけど、何とかならないかなぁという些細なことでも構いませんので、何かありましたらお気兼ねなくご相談ください。

2020-08-17

目の上のたんこぶという言葉がありますが、体にできる大したことのない小さなイボのようなものでも目の周りにできると途端にと厄介なものになります。

特に老犬に多いのですが、犬の瞼にはイボのようなものが出来ることがあります。

最初のうちは針先程度の小さなものなのですが、だんだん目立つようになることが多いと思います。

イボがある目には常時目やにが出てきますし、たまに引っ掻いて出血するようなこともあります。

そんな瞼にできるイボのうち、比較的多いのがマイボーム腺腫と呼ばれるものです。

今回は眼のふちのたんこぶ的なマイボーム腺腫についてご説明したいと思います。

マイボーム腺って何?

マイボーム腺はあまり聞きなれないかもしれませんが、分泌腺の名前の一つですが、一般的には瞼の裏側のふちにある分泌腺で、目頭から目じりまで瞼の裏側に無数に存在しています。

目の周りにはマイボーム腺だけでなく数種類の分泌腺が存在しています。

マイボーム腺の役割は目の表面を保護するための脂を分泌するためにあります。

マイボーム腺から分泌された油は油膜を形成し、目の表面はその油膜により簡単に傷つかないようになります。

マイボーム腺腫の原因

マイボーム腺腫は簡単に言うと「ものもらい」と同じようなものです。

マイボーム腺はたまに感染がおこることがあります。

基本的に高齢の犬の方が感染を起こしやすい傾向にはあると思いますが、年齢問わずすべての犬種で見られ、猫ではほとんどありません。

感染を起こすのに特定の原因はありませんが、多少局所的な免疫が絡んでいるている場合もあると言われています。

マイボーム腺腫はたいていの場合はこういった感染から始るもので、マイボーム腺自体が固くしこりになることで起こります。

対応法は?

初期段階では白く「ぽつっと」腫れている程度です。

点眼や眼軟膏などで治まるケースあります。

治まりが悪い場合は、圧迫してマイボーム腺にたまっている油分のカスを搾り取ったり、注射針などで切開を入れて搾ることもありますが、数回行った後は肉芽と言って、しこりのようなものになるのであまりお勧めはしません。

しこりになった場合は、肌色に近いもので、カリフラワー状に拡大し、非常にもろい組織である程度の大きさになると、引っかいたりすると出血しながら崩れ落ちます。

肉芽は眼球の表面を刺激するため、目やにが非常に多くなったり、角膜を傷つけ色々な症状を出すこともあります。

対応法は外科的な切除になります。

ただ摘出には全身麻酔が必要なため、高齢でマイボーム腺腫を患ってしまうと、なくなく目薬などで維持管理するしかなくなってしまいます。

それがもとで生命の危機に陥るというわけではないのですが、毎日のケアが必要になってくるので、厄介なしこりの一つだと言えます。

まとめ

高齢の犬にはいろいろなしこりが全身にできることがあります。

しこりのある場所が眼のふちではあると言っても、年齢が若ければ、簡単に摘出することが出来ます。

一方、年を取った犬ではやりたくてもできないことも多々出てきます。

どの病気もそうなのですが、同じ病気でも年齢によって対応法は異なります。

もし自分が飼っている犬の眼のふちに小さなしこりを見つけたら・・・外科的に摘出するか、そのまま温存しながら様子を見るか・・。

特に目は顔の中でも目立つ位置にあるので、飼い主様のご心配もそれなりに出てくると思います。

セカンドセレクトではそういったお悩みにも柔軟にご対応しますので、いつでもお気軽にご相談ください。

2020-08-06

以前に比べると増えてきたとはいえ、ウサギの診察が可能な動物病院は犬猫に比べるとまだ少ないと思います。

セカンドセレクトはそんな数少ないウサギの診察も可能な動物病院のため、近隣からも割と多くのウサギが受診されています。

ウサギがなる病気はウサギ特有の病気が多く、あらためて犬や猫とは違うので大変だなぁと思うことはよくあります。

今回はそんなウサギ特有の病気、ウサギの不正咬合について今回はご説明したいと思います。

ウサギの不正咬合って?

ウサギは常生歯といって、他の哺乳類と異なり、歯は生涯伸び続けます。

1週間で平均3㎜ほど伸びていくため、健康的なウサギの場合は採食の際に伸びた歯の分だけ摩耗しいきます。

ただし、もともと飼育されているウサギはペレットや野菜など軟らかい食事を与えられているため、野生のウサギよりも歯が摩耗するスピードが遅いうえ、中高齢になるとさらに歯は摩耗しずらくなっていくため、過度な歯の伸長がよく見られるようになります。

噛み合わせによっては、過度に伸びた臼歯はとげのようにとがった形になり、舌や口の中の粘膜を傷つけ、炎症や細菌感染を起こしたりします。

不正咬合の症状は?

初期段階としてよく見られる症状は、食欲はあるのだけどうまく食べれない、口の中のものをよくこぼすということがあります。

症状が進むにつれて口の周りがよだれで汚れやすくなったり、歯ぎしりなどが多くなることもあります。

さらに症状が進むと、柔らかいものしか食べなくなり、最終的には食欲自体が低下していきます。

治療法は?

過度に伸びてしまった臼歯は削って適切な形に治すしかないのですが、一部の動物病院を除いては全身麻酔をかけたうえでの処置になります。

セカンドセレクトでも同様に基本的には全身麻酔を使用することになりますが、ウサギの全身麻酔に関しては麻酔事故が多く、リスクの少ない処置ではないと思います。

ウサギの臼歯は専用の鋏で簡易的に短くする方法もあるのですが、ウサギの臼歯は他の動物と異なり小さな歯が直線的に並ぶことによって一つの臼歯を形成しているような性質を持っています。

したがって処置後に微細な段差や噛み合わせの悪さが残ると、食欲が中々回復しないとか、かえって食欲が低下することもあります。

セカンドセレクトではこういった処置後の不具合を防ぐために、専用の電動ローラーですべての臼歯を均一の高さに整えるようにしています。

こういった意味でも全身麻酔は不可欠になってきます。

ちなみに料金は預かり(ICUにての管理)料や抗生剤などの注射費用を含めて20000円となります。

まとめ

動物病院にくる動物の中でもウサギはダントツで繊細な動物のため、たとえ適切な治療を行ったとしても予想通りの治癒経過をたどらないこともあるため、難儀することも多い動物だと思います。

セカンドセレクトではうさぎの臼歯処置のほか、子宮疾患を含めた避妊手術なども行っていますので、何かご心配事がありましたらお気兼ねなくご相談ください。

2020-07-25

ストレスの多い現代社会。

ストレス性〇〇という名前の付いた病気は結構多いと思います。

ペットの病気でもストレス性〇〇と思われるようなものはいくつかありますが、ペットの場合は何かしらのストレスを感じると自虐と言って自分の体に対し攻撃的になることが多いかもしれません。

今回はそんな自虐行動のひとつ、猫の心因性皮膚炎についてご説明したいと思います。

そもそも猫のストレスのもとって?

ほとんどの猫の飼い主様が感じていらっしゃると思いますが、猫はとにかく警戒心が強く、とても繊細な生き物です。

動物病院に連れていこうとしたら、前日から姿を見せなくなることはしょっちゅうです。

そんな猫の生態もあり、ストレスの原因を探ろうとするのは時に困難な場合もあると思います。

またストレスと思われるものを取り除いたとしても、猫に限らず動物の自虐行為はそのままルーチンとして残ることもあり、猫以外でも犬などは趾間皮膚炎として残ることもあります。

【趾間皮膚炎】犬が足先を舐めるのが止まらないときは?

猫の心因性の脱毛は?

猫の皮膚炎としてよくあるのはアレルギー性皮膚炎や真菌症と呼ばれるものです。

アレルギー性皮膚炎の病変部は顔面周囲や耳の根元、下腹部に発赤をともなう湿疹が出ることが多いのですが、アレルギー性皮膚炎の場合はひどい掻痒感が伴います。

【猫のアレルギー性皮膚炎】突然顔周りが傷だらけ。赤くて痒そう・・・。こんな時の治療法は?

真菌症は同様に顔回りや足先などにガビガビした皮膚炎を作りますが、あまりかゆがる様子は見られません。

【皮膚糸状菌症】ペットだけでなく人間にも移る厄介な皮膚病。猫の飼い主様は要注意!?

一方で心因性皮膚炎の場合は被毛が猫のざらざらとした舌でなめとられて脱毛を起こすため、湿疹もなく毛は途中から千切れるような感じになっています。

湿疹が見られることはほとんどなく、猫がなめやすい箇所に起こります。

大腿部の外側や下腹部に脱毛が起こることが多いのですが、皮膚自体にはこれといった病変はありません。

治療法は?

猫の心因性のものに対する薬というものはあまりありません。

先ほども書いた通り、ストレスのものになるものが除去されたとしても癖のように残ってしまうことも多くあります。

セカンドセレクトではその中でも猫に効果があるようなサプリメントをお勧めしています。

一つはジルケーンと言われるGABAに作用するものです。

GABA受容体は精神を落ち着かせる作用があるため、人間でも様々な形態のサプリメントが存在します。

また従来からあるフェリウエイと呼ばれる猫のフェロモンに類似したものもあります。

電源コンセントに差し込み、その成分を噴霧することにより、猫のイライラ感を和らげます。

これらの試みであまり変化がないようであれば投薬を行うこともありますが、たいていの飼い主様はそこまでご希望されることはないため、あとはうまく付き合っていくようなことが多いと思います。

まとめ

セカンドセレクトでは一般的な動物病院ではないような様々なお薬も常備しております。

ただ最終的に使用するかしないかは飼い主様との相談の上になります。

これってどうなんだろう?と思うようなことがあればいつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-07-17

よく腫瘍を患った犬や猫の飼い主様の心配事として、「痛みは出ますか?」というものがあります。

人間も同様に、腫瘍の種類によっては痛みを伴うものもあります。

そういった疼痛を訴えやすい腫瘍の中に、腎臓の悪性腫瘍である腎癌というものがあります。

今回はこの病気についてご説明したいと思います。

腎臓にできる腫瘍は?

腎臓には色々な細胞の種類があり、どの細胞からも腫瘍が発生する可能性はあります。

腎臓の腫瘍自体の発生頻度はそれほど多くはないのですが、その大部分は腎臓の中を走る尿細管と呼ばれる管を構成する細胞からの発生が多いと言われています。

転移性の腎癌と異なり、原発性の場合は通常片側の腎臓が病巣に侵されています。

ちなみに腎臓に転移しやすい癌は膀胱癌、大腸癌、乳腺腫瘍があげられます。

一方で猫での腎臓腫瘍の場合はリンパ腫が多く、いわゆる腎臓癌の発生はほとんどありません。

【悪性リンパ腫】犬や猫で最もよくみられる血液の癌。抗がん剤は実際のところどうですか?

症状は?

腎臓癌に侵されたとしても、見た目の尿にはあまり変化がないことが多いと思います。

片側の腎臓は正常に働いているので、血液検査上で腎臓の数値には変化がないことがほとんどですが、たまに腎臓から分泌されるホルモンの影響で、赤血球数が非常に多くなっていることもあります。

診断はレントゲンやエコー検査により簡単に見つけることができますが、腎臓癌については特定の症状はないため発見はしばしば遅れることがあります。

経験的に腹部を痛がる症状は数多くの犬で見られます。

このため食欲不振や活動性の低下がよく見られます。

また、腎臓はもともと血管の豊富な臓器のため、転移が多く見られます。

先ほども述べたように症状が進行した段階で発見されることが多く、見つけた時点で肺に転移していることが多いと言われています。

治療法は?

腎臓癌は抗がん剤などの化学療法の効果がほとんど期待できないため、治療法は外科的に癌に侵されている腎臓を摘出することになります。

腎臓癌は転移をしていることが多いこと、また発見時には非常に肥大化しているため周囲の血管を巻き込んでいるケースが多いため、セカンドセレクトでは事前にCT検査を行うことをお勧めしています。

転移もなく、主要な血管を巻き込んでいることがなければ外科手術を積極的に検討してもいいと思います。

手術自体は左側に発生した腎臓癌よりも右側に発生したものの方が難易度が高く、大きな血管を巻き込みやすいと言われています。

個人的にも右側の腎臓摘出はつねに緊張します。

どちらにせよ腎臓を摘出するためには、周囲の臓器や筋膜との癒着を剥離し、腎臓と大血管を結ぶ動脈と静脈を丁寧に結紮する必要があるため、難易度は少々高くなります。

術後は転移がないかどうか定期的に胸部のレントゲン検査を行うこと、片側の腎臓のケアをお勧めしています。

予後は文献によってまちまちですが、平均的な余命は1年程度と言われています。

あくまでも平均です。

まとめ

ペットの高齢化に伴い、セカンドセレクトでも様々な腫瘍についての治療を行う機会が増えてきました。

何かお困りのことがありましたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-07-06

人間では年に1回の人間ドックというのは割と普通になってきました。

ペットの世界でも定期的な健康診断は一般的なものになり、ほとんどの病院でも様々な検査パックを提供していると思います。

主な検査内容は血液検査、レントゲンやエコー検査になるのですが、健康だと思っていても何かしらに引っかかるのは人間と同じかもしれません。

そういった検査でよく異常が見られる項目としては、肝臓に関する値が上昇していることが多いと思います。

多くの場合はあまり症状もなく、さしたる原因も見つからない場合も多く、結果として慢性肝炎という診断になることがよくあります。

今回は特に犬の慢性肝炎についてご説明したいと思います。

肝臓を調べる検査とは?

肝臓の評価はたいていの場合は血液検査で行われることが多いと思います。

特にアラニントランスアミラーゼと言われる肝酵素が代表的なもので、検査結果の表ではALTとかGPTであらわされることが多いと思います。

他に肝酵素でよく評価される値としてはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASTとかGOTと表記されることが多い)も使われますが、ALT(GPT)の方が肝臓の障害をよく反映するため、こちらの方を主に重要視します。

また、アルカリフォスファターゼ(ALP)やγグルタミルトランスフェラーゼ(γGTPとかGGTなどと表記されることが多い)は肝臓だけでなく、肝臓と連結している胆嚢の評価にも使用されます。

肝臓に関する最も一般的な血液検査項目は、以上の4つの項目になるのですが、重要なのはこういった項目に異常が見られた時に、果たして肝臓自体が問題なのか、肝臓以外が問題で数値に異常が見られるのかを調べる必要があります。

というのも肝臓は全ての腸管の消化産物や毒素を受け取り、また体内で発生するほとんどの生理活性物質の影響を受けるため、他の器官の疾患の影響を受け受けやすいからです。

このため肝臓は無害な傍観者などと呼ばれており、血液検査で肝臓に関する値に異常値が見られた場合は、レントゲンやエコー検査など、そのほかの臓器もチェックする必要があります。

他の臓器にも異常がなく、また薬物や感染症など肝臓を直接影響するような要因がない場合は、特発性慢性肝炎と呼ばれることになります。

慢性肝炎は治療が必要か?

慢性肝炎の多くの場合、外見上の異常は全く見当たらないことがほとんどで、たいていの場合は結果を見てびっくり!となることがほとんどです。

治療が必要かどうかに関して言えば、飼い主様のご意見や、担当した獣医師の経験則などが反映するため、例えば腎不全のようなスタンダードな治療指針は存在しません。

セカンドセレクトでは、慢性肝炎を患っている犬においては、定期的に検査を行い、みられた異常が進行していくようであれば投薬治療を行い、進行がほとんど見られなければ経過観察にすることが多いと思います。

いくつかの肝庇護剤と呼ばれるものや利胆剤と呼ばれる薬が主に肝臓の治療薬として使用されています。

種類はいくつかあるのですが、正直な話、どこの動物病院でも処方はほとんど変わりません。

また慢性肝炎の中には免疫介在性の肝炎が含まれていることもあり、ステロイドや免疫抑制剤などを使用することもあるのですが、個人的にはあまり推奨はしていません。

食生活は変更する必要はある?

極論から言えば、いわゆる肝臓用の処方食にする必要はないと思っています。

以前は肝機能の低下から主にたんぱく質の分解、解毒機能が低下しアンモニアなどの有毒な物質が発生しやすくなるため、たんぱく質を制限した食事が必要と考えられていましたが、現在のところ、たんぱく源を制御した食事は必要以上の制限になってしまう恐れがあるため、食事の制限は行わないというのがスタンダードな考え方になりました。

もし処方食を利用するとしたら、肝臓疾患用の食事はたんぱく質の含有量が少し抑えられているため、むしろ乳製品や大豆などのタンパク質を足してあげた方がいいと思います。

その他、ビタミンEなどは肝臓の炎症を抑える期待ができるため、食品やサプリメントから積極的にとってもいいと思います。

まとめ

慢性の肝炎はシニアの犬にはよく見られるものです。

セカンドセレクトでも、動物ドックやフィラリアなどでの健康診断で多くの犬に異常が見られています。

治療はするにせよ、しないにせよ現状把握はしておいた方がいいと思いますので、定期的な健康診断だけはどのような犬にもお勧めしています。

2020-06-25

セカンドセレクトでは色々な腫瘍の診察を行うことがありますが、良性のいぼのようなものから悪性度の高いものまで様々あります。

悪性度の高いものとして代表的なものにはリンパ腫や乳腺腫瘍などがありますが、そのほか珍しい腫瘍の診察も行うことがあります。

そういった「たまに」見かける腫瘍なのかで、悪性度も高く、かつ飼い主様も気づかないことが多い腫瘍として、今回はアポクリン腺癌という腫瘍をご説明したいと思います。

アポクリン腺とは?

アポクリン腺は体の体表にある分泌腺の分類法の一つになります。

人間では汗腺の種類の一つで、エクリン腺と呼ばれる無臭の汗を出すのに対し、アポクリン腺は脂質やたんぱく質を含んだ汗を出すため、しばしば体臭のもとになる汗腺として知られています。

基本的にはアポクリン腺は汗腺だけでなく、体表の色々なところに存在し、乳腺や今回の記事にある肛門腺もアポクリン腺と呼ばれています。

動物でのアポクリン腺癌は基本的には肛門腺の癌として知られており、犬ではたまに見かけますが、猫ではまれです。

アポクリン腺癌はどうやってみつかる?

多くの場合、肛門のわきがやや腫れてきたことに気づいて動物病院に連れてくることが多いのですが、中には腫瘍が大きくなり排便障害を起こすまで気づかずにいることもあります。

また、たまにあるのですが肛門腺しぼりに来た時にたまたま発見されたりすることもあります。

その他にもまれなケースとしては、アポクリン腺癌は血液中のカルシウムの濃度が上昇していることが多く、血液検査でカルシウムの値に異常が見つかって発見に至るということもあります。

いずれにしても腫瘍が発見された場合は、入念に直腸検査を行い、そのほかのリンパ節などに転移がないかどうか調べる必要があります。

それだけアポクリン腺癌は悪性度が高いからです。

治療法は?

アポクリン腺癌は腫瘍の中でも悪性度が高く、発見された時点で転移を起こしていることもよく見られますが、可能であれば外科手術は積極的に検討してもいいと思います。

腫瘍の進行度にかかわらず、アポクリン腺癌は重度の排便障害や疼痛を引き起こすため、著しく動物の生活の質を低下させるからです。

肛門腺は肛門付近の直腸に隣接しているため、腫瘍が腸まで浸潤していなければ切除は可能です。

ただし、非常に神経や血管が入り組んでいる場所にあるため、術後に肛門の麻痺やまれに排尿の麻痺がおこることがあります。

また近位のリンパ節に転移していた場合、そのリンパ節を切除することはほぼ不可能なため、目に見える病巣のみを切除することになります。

ここまでしても手術は必要なのかという話にもなりそうなのですが、腫瘍の進行による排便麻痺はかなり悲惨な状況になるため、手術に耐えられるような状況であれば積極的に検討していただいた方がいいと思います。

術後の抗ガン治療はあまり効果がないため行われることはありません。

その代わりに分子標的薬という薬が、効能外処方ではあるのですが使用されることもあります。

セカンドセレクトでも、分子標的薬を用いたメトロノーム療法と呼ばれる投薬を行うことが多く、できる限り穏やかな生活が続けられるように努力しています。

まとめ

悪性の腫瘍だとしても、その発生場所によって予後はかなり異なると思います。

予後が違えば、それに対しての対処法も異なってきます。

飼い主様としてどういった方法をとるのがいいのか迷われることも多くあると思いますので、そういった際にはお気兼ねなくご相談していただければと思います。

2020-06-15

正確な統計が取れているわけではないのですが、飼育されているほとんどの猫と大半の犬は避妊手術が一般的に行われています。

そのため、自然発生的な子宮や卵巣の病気の数はかなり抑えられていると思うのですが、何かの理由で避妊手術を受けていない犬や猫が、中高齢になって生殖器系の病気にかかってしまうところに遭遇するのは比較的多いと思います。

未避妊の雌で起こりやすい病気と言えば子宮蓄膿症です。

【子宮蓄膿症】未避妊のメスがよくなる病気。本当に手術が必要?料金は?

また乳腺腫瘍も未避妊の雌には比較的多く見られます。

【乳腺腫瘍】犬や猫で多い腫瘍。手術したほうがいい?

今回はそんな未避妊の雌で割とよく見かけるそのほかの病気、卵巣の腫瘍ついてご説明します。

卵巣はふつうどんな感じ?

犬や猫の子宮は双角子宮といってVの字の形をしています。

卵巣はその先端にくっついていて、猫や小型犬で5㎜程度、大型犬でも1㎝弱しかない小さな器官になります。

卵巣自体は固く充実したもので、犬などではよく脂肪に埋もれているため、正常な卵巣であればエコーなどで描写することはかなり難しいと思います。

卵巣が腫瘍化すると

腫瘍化した卵巣はほとんどの場合が嚢胞腺腫と呼ばれる良性の腫瘍です。

人間でも卵巣嚢胞とも呼ばれ、充実した卵巣に水疱が見られるようになり、サイズも少し大きくなります。

腫瘍化した卵巣は異常なホルモン分泌を引き起こし、通常にない発情行動を引き起こすほか、子宮や乳腺に働きかけ、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などを併発させる場合もあります。

まれに過剰な雌性のホルモン分泌により、皮膚病や貧血を起こすこともあります。

卵巣自体は非常に大きくなることもあり、場合によっては拳程度の大きさになることもあります。

悪性の場合のこともあり、腹腔内に転移を起こすこともあります。

・・・ですが本当にまれで、ぼく自身は悪性の卵巣がんは見たことはありません。

治療法は?

治療法は外科的な切除が唯一の方法です。

高齢でかつ全くの無症状であれば積極的な治療を考えなくてもいいかもしれませんが、たいていの場合は子宮蓄膿症などの併発疾患があることが多く、手術をせざる得ないことも多いと思います。

卵巣は悪性だったとしても転移がなければ切除すれば完治するため、抗がん剤などの追加治療は必要ありません。

ただし転移を起こしていた場合は、有効な治療法は存在しないため、緩和療法が中心となります。

予防法としては、2回目の発情前に避妊手術を行うことをお勧めしています。

通常の避妊手術であれば傷口もそれほど大きくなく、回復も早いと思います。

まとめ

動物医療では避妊手術が定着しているため、こういった未避妊が故の病気に遭遇する機会はかなり減っていると思います。

もちろん避妊手術を行うデメリットも数多くありますので、よくご検討していただければ幸いです。

もしどうしようかお悩みの場合は、お気兼ねなくご相談ください。

2020-06-04

腫瘍は体のすべての細胞から発生するので、名前さえ聞いたことのないものから、かなり悪名高いものまで数百種類の腫瘍が存在します。

日本人の腫瘍における死亡率として最も高いのは大腸癌ですが、肺癌も意外と多く、いまだ胃癌とほぼ同じぐらいの死亡者数があります。

一方で犬や猫を代表としたペットのではどうかと言えば、他の腫瘍から転移するものを除けば、肺癌の発生率はあまり多くないと言われています。

ただし、意外と無症状でいることもあるので、潜在的な数は予測よりも多いのではと考えている先生もいらっしゃいます。

今回はそんな非転移性の肺に起こる腫瘍についてご説明したいと思います。

犬の肺腫瘍について

犬の肺の腫瘍はどちらかと言えばまれな病気だと言われています。

ただし、高齢化に伴い発生率は増えてきているというデータもあるほか、愛煙家の犬には発生率が高まるともいわれています。

腫瘍の程度によって症状はまちまちですが、病状の初期はほとんど症状が出てないことが多く、何かのついでにレントゲン検査などを行い、偶然に発見されることもあります。

また何か違和感を感じて動物病院に来院した場合にも、症状としては軽い発咳だけでなく、食欲不振や体重減少などの特徴のない症状でご相談に来ることがほとんどです。

ただ、症状が軽くても、レントゲンにはっきりとわかるぐらいな腫瘍の陰があることが多く、診断は容易につくことが多いと思います。

予後としてはその腫瘍の程度にもよるのですが、全体的には緩やかに進行することが多く、半年から1年かけて衰弱していくことが多いのですが、中には2年以上普通の生活を送りながら経過を見ていけるような犬もいます。

ある調査では腫瘍の大きさ自体が5㎝よりも下回っていた場合は、平均20か月程度の余命があると言われています。

肺の腫瘍自体は高齢になって発見されることがほとんどなので、高齢犬にとっての2年近い時間というのは非常に価値のある時間ではないかと個人的には考えています。

猫の肺腫瘍について

猫の肺の腫瘍も犬と同様にまれな腫瘍だと考えられており、その進行も非常に緩慢だと言われています。

腫瘍の悪性度にもよるのですが、多くの肺の腫瘍を患った猫で2年近い生存が可能であるというデータもあります。

猫の場合、呼吸器の症状に飼い主様がほとんど気づくことがなく、食欲がないとか体重が減ってきたなどの特徴のない症状で来院することが多いと思います。

特に肺の腫瘍は高齢の猫に多いため、年齢の衰えとして経過を見てしまう飼い主様も多くいらっしゃいます。

ただし犬と違って、猫の肺腫瘍は高確率で転移することが多く、肺指症候群と言って特に足先に転移するため、びっこをするなどの理由で来院されることもあります。

【爪下の扁平上皮癌】犬や猫でみられる爪の根元にできる腫瘍。爪下にしこりを見つけたら要注意。

治療法について

肺の腫瘍は基本的に抗がん剤はあまり効果がないものが多いため、治療は初期段階であり、かつ転移などが見られなければ外科手術になります。

診断はレントゲンにて容易に診断できることが多いのですが、細部まではわからないことが多いため、手術まで検討するのであれば、より細かな情報を得るためにCT検査が必須となると思います。

転移がある、高齢、状態が悪いなどの要因があり、手術を望まれない場合は、もっぱら支持療法となります。

セカンドセレクトでも鎮咳薬などを服用しながら、自宅で酸素を供給できるような簡易的な酸素テントを設置することをお勧めしています。

また、癌を抑えるための免疫を高める注射などもあるため、定期的に注射をしながら進行を遅らせるようなことをしています。

問題は癌性胸水がたまってきたときです。

胸水がたまり始めると、犬や猫の一般状態は著しく低下します。

利尿剤などでは胸水の増加を抑えることができないため、直接的に針を胸に穿刺して胸水を抜去する必要があります。

平均1週間に1度程度抜去する必要が出てくるため、病気にかかっている犬や猫だけでなく、飼い主様のご負担も非常に強くなってしまいます。

セカンドセレクトでも可能な限り負担がないような治療でサポートしていきますので、有事の際にはお気兼ねなくご相談ください。

まとめ

犬や猫の肺癌になる確率は、愛煙家の家の方が多いと考えられています。

副流煙は人間の子供でも問題にはなっていますが、もしこういった病気が心配であれば、可能な限りたばこは控えた方がよさそうです。

2020-05-28

ペットの世界も高齢化が進んでいるとよく言われていますが、人間と同じように高齢化になるがゆえになる病気も多くなります。

その一つが腫瘍。

腫瘍は体のほとんどの細胞に発生し、動物病院でも腫瘍についてのご相談をよく受けます。

体の表面にできている腫瘍は飼い主様でも気づくことが多いのですが、体の内部にできるものは検査をしないとわからないものも多くあります。

今回はそんな体の中にできてしまう腫瘍のうち、小腸で発生する腫瘍についてご説明したいと思います。

小腸の腫瘍とは?

腸管に腫瘍が発生する場合、小腸に発生するか、大腸に発生するかで症状は異なります。

大腸に発生する腫瘍の場合は排便障害を伴う症状が多くみられるのですが、小腸の場合は特定の症状はあまりなく、診断に苦慮するケースもよくあります。

【直腸のポリープ・腫瘍】犬がいきみながら鮮血便をしたら要注意。

一般的には犬よりも猫の方が小腸に腫瘍が発生しやすいと言われており、チョコレート色のタール便が見られたり、貧血や低タンパク血漿が見られたりすることもあります。

また小腸は栄養素を吸収する場所でもあるため、腫瘍の範囲によっては大腸の腫瘍に比べ著しい体重減少が見られることもあります。

以下に小腸に発生する代表的ないくつかの腫瘍の例を挙げておきます。

リンパ腫

犬や猫で最も一般的な小腸の腫瘍になります。

外科的な介入はほとんど意味をなさないため、抗がん剤の適用症例になります。

よくあるのが炎症性腸疾患と呼ばれる原因の一つとして発見されることもあり、検査方法はほぼ内視鏡による生検になります。

【IBD・炎症性腸疾患】慢性的に続く下痢と嘔吐。治療法は?内視鏡は必要?

セカンドセレクトでも内視鏡による生検は可能ですので、もしもの時にはいつでもご相談ください。

腺癌

腺癌は小腸に存在する消化液などの分泌腺が腫瘍化したものになります。

診察時に触診で腸管に腫瘤を発見することもあれば、エコー検査でリンパ節が晴れているなどの所見から判明することもあります。

治療法は外科手術によるところが多く、リンパ腫と異なり抗がん剤の効果はほとんど期待ができません。

腺癌はとても周りの組織に腫瘍が伝搬することが多く、外科手術をした際には約8割前後の腫瘍が、腸管の最外側である漿膜面から腫瘍の細胞が飛び出していると言われており、手術をする際には周りの臓器への腫瘍の浸潤がないかどうかを肉眼的に見ることが必要です。

手術自体は腫瘍を切除し、正常な腸同士をつなぎ合わせる端々吻合と呼ばれる手術が必要ですが、合併症として腸管は癒合不全を起こしやすい臓器であるため、手術後数日して腸管が裂開し、腹膜炎などの重篤な症状が出る可能性があります。

また広範囲に腸を摘出した際には、その後の消化吸収不良を起こすこともあり、慢性的な軟便から下痢が見られることもあります。

術後の予後は様々で、見た限りの転移がなければ1年以上生存することもできますが、すでに転移を起こした場合はそれほど長い期間生存することはできません。

平滑筋肉腫

腸管に存在する筋肉組織から発生する腫瘍です。

腺癌と同様、エコー検査などで発見されることが多く、治療法は手術が一般的です。

ただ腺癌よりも術後の予後はいいことが多く、周術期の合併症を乗り切ることができれば、本来の寿命を全うすることもできます。

まとめ

消化管の腫瘍は初期段階としてはあまり自覚症状もなく、健康診断などで偶発的に発見されることもあります。

セカンドセレクトでは動物ドックなどの検査もリーズナブルに行っていますので、何かしらの不安がある方はいつでもご相談いただければと思います。

【年に1回・動物ドック】健康チェックしてみませんか?

2020-05-16

一口に皮膚の病気と言っても色々な原因があります。

動物病院に来院する皮膚病の原因で一番多いのがアレルギー性の皮膚炎で、犬や猫の皮膚病の原因の大半を占めます。

一方で症例の数はあまり多くはないのですが、時々発生する病気としては免疫介在性の皮膚病があげられます。

自己免疫の異常による皮膚病はその種類も多く、症状の様子も動物によってまちまちです。

今回はそういった免疫が絡んでるであろう病気のひとつ、無菌性結節性脂肪織炎をご説明します。

無菌性結節性脂肪織炎とは

皮膚組織の下には皮下脂肪がありますが、この脂肪組織が炎症を起こしたものの中で、原因が明らかでないものをとりあえず無菌性結節性脂肪織炎と呼んでいます。

猫ではまれですが、犬では時折みられるもので、Mダックスが圧倒的に多いと言われていますが、他の犬種でも見られます。

典型的な症状としては、皮膚の下に触れるようなしこりがあり、皮膚の表面には潰瘍になったり、小さな瘻孔が形成され、そこからねばりっけのある白っぽい液が常に分泌されます。

しこりは単発の場合もあれば、多発性の場合もあります。

皮膚病変以外では発熱や食欲不振などが見られることもあります。

また、他の免疫疾患と併発して見られるようなこともあり、多発性関節炎などの犬では皮膚病変として見られることもあります。

【免疫介在性関節炎】関節痛?それとも違う病気?意外と厄介な免疫異常の関節炎

治療法は?

無菌性結節性脂肪織炎という病名ですので、病変部位からは細菌などは見られないことが通常です。

ただし、潰瘍が長期間起こり、動物がなめてしまい2次的に感染を起こしていることもあるので、完全に無菌である状態でないことも多くあります。

通常は典型的な皮膚病変の所見と、ミニチュアダックスやトイプードル、コリー犬種などの好発犬種での発生であれば、無菌性結節性脂肪織炎と仮診断し治療を行っていきます。

治療法はもっぱらステロイド、もしくはそのほかの免疫抑制剤を使用していきます。

治療に対する反応は個体によって異なり、治療をしても完全に症状が消失しない、消失してもすぐに再発する、そのうち薬を使用しなくても再発しなくなるなど、色々な予後があります。

どちらかと言えば、継続的に薬を使用しながら経過を観察しないとすぐに再発することが多いとは思います。

そういった場合、ステロイドやそのほかの免疫抑制剤は、長期的に使用した場合は副作用が見られることもあるので、副作用が出ていないかを定期的に血液検査などで観察していく必要があります。

まとめ

大体の皮膚病は慢性的な経過をたどることがほとんどです。

セカンドセレクトでは、皮膚病専門医ともリモート診療を行っていますので、普通の動物病院よりは専門的な治療をすることができます。

もしこの記事を読んで、「おや?」と思い当たるような症状が出たときには、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2020-05-03

待ったなしの事というのは意外と少ないかもしれませんが、それでも起こるときには起こります。

特に医療現場では、待ったなしの事には常に対応できるようにしておかねばなりません。

緊急入院や緊急手術が必要である病気というのは意外と多いのですが、今回ご説明したいのは胃捻転です。

おそらく動物病院で行う緊急手術の中ではトップレベルの緊急さを要する病気ですので、ご参考にしていただけると幸いです。

胃捻転はなぜなる?

人間でも乳幼児には胃捻転はたまに起こります。

乳幼児の胃は胃の靭帯がしっかりしていないため、胃はおなかの中で不安定になりやすいため捻転すると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

犬の胃捻転も多くの場合は大型犬~超大型犬で起こり、特に胸が深いサイトハウンドと分類される犬種に好発しますが、実際なぜ起こるのかはわかっていません。

胃捻転は胃拡張ー胃捻転症候群というのが正式名称ですが、胃捻転が起こって胃拡張になるのか、胃拡張になって胃捻転が起こるのさえも分かっていません。

また小型犬でも胃拡張は起こるのですが、胃捻転まで起こすことはまれであり、対応法も異なります。

【胃拡張症候群】大型犬だけでなく、ミニチュアダックスにもよくみられる病気。原因は?手術する?

とにかく、胃捻転は何の前兆もなく起こり、かつ急激に症状が悪化するため、迅速な対応が必要となります。

もし胃捻転になったら

もし犬が胃捻転になった場合は、状態の変化は急激に起こります。

吐物がでない嘔吐を頻繁にするようになり、活動性は著しく低下していきます。

胃はその時点ですでに拡張しているのですが、経過ともに外見上から見てもわかるほど腹部は張った感じになり、さわると苦し気な鳴き声を漏らします。

さらに症状が進むと歩くこともままならなくなり、粘膜の色も蒼白になってきます。

胃捻転を起こした犬が動物病院に来院するときには、症状の進行が極めて速いため、どんなに急いで来院しても、腹部は非常に膨満したとても状態が悪くなった時に到着することがほとんどです。

本来であれば、胃が捻転しているのかどうか、バリウムなどの検査をしてから治療に入りたいところなのですが、状態の進行があまりにも早いため、検査をする余裕もなく治療を同時に行わなければいけなくなります。

残念ながら、治療は手術以外に方法はありません。

飼い主様の同意が得られるのであれば、そのまま鎮静、麻酔をかけ開腹手術を行うのですが、あまりにも病状が激しく変化するため、飼い主様自身も頭の整理がつかず、その場で返答できないこともあり、時間がいたずらに経過することもあります。

胃拡張が長時間起こった場合、胃の粘膜は虚血によって壊死が始まるほか、胃に隣接している脾臓にも虚血性の壊死が起こり始めるので時間との勝負になってきます。

そういった場合、手術までの時間稼ぎとしては、経皮的に胃までに太めの針を挿入し、胃内のガスを抜きます。

ただあくまでもこの処置は応急処置であり、時間とともにまた胃の中にガスが溜まりはじるため、最終的には開腹して手術をするしかありません。

こういった場面では飼い主様のご心配するお気持ちはよくご理解できるのですが、できる限り早めの決断をしていただくしかありません。

胃捻転の手術は?

胃捻転を起こしている犬の胃は胃拡張を起こしているため、胃に切開を施します。

切開した穴からガス抜けるため、胃の血流が回復し始め、とりあえずの時間を稼ぐことができます。

その間に捻転した際の臓器の異常を確認していきます。

胃捻転の併発疾患としては、隣接している脾臓の壊死があげられます。

脾臓が壊死したまま血流が回復すると、脾臓が壊死したことによって発生した様々な有毒な生体化学物質が回復した血流に流れてしまうため、脾臓が壊死した場合は速やかに脾臓を摘出する必要があります。

また胃自体の損傷も激しく、胃の一部を切除しないといけないこともあります。

これらの手術の後、もしくは同時に胃の内容物をすべて除去し、捻転を整復していきます。

よく知られていることですが、胃捻転の再発率は非常に高いため、以前より胃を固定する手術を同時に行うことが推奨されています。

セカンドセレクトでは胃壁と腹壁に切開を入れた後に縫合することで固定しています。

固定術には色々種類があるのですが、どの方法で固定したとしても再発することはあるため、万全な方法はありません。

また、大型犬を去勢手術する際に予防的に胃を固定をすることを推奨する獣医師もいます。

最近では腹腔鏡によって負担をかけることなく胃固定を行うような動物病院もあるので、もしそういった処置をご希望される飼い主様がいらっしゃいましたらご紹介も可能ですので、お気兼ねなくご相談ください。

ちなみにセカンドセレクトでの胃捻転の手術、入院費は程度によって異なりますが、20万から30万円ぐらいになります。

まとめ

胃捻転を起こしてからの時間の経過が長く、胃自体の損傷が激しい場合は、術後の死亡率は60%程度と言われています。

もちろん初期段階でも死亡率はそれなりに高いため、決して安全な手術でもありません。

唯一死亡率を下げる方法は、可能な限り早く手術を行うことです。

もし万が一、飼っている犬のおなかが急激に膨らんできたら、すぐにご相談ください。