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2019-01-17

多くの獣医師が犬や猫、ウサギでも若い年齢での去勢手術や避妊手術を勧めています。

理由としてはしつけがしやすくなるということだけではなく、中高齢になってから去勢手術や避妊手術を行っていないがゆえのなりやすい病気がいくつかあるからです。

もちろん、去勢手術や避妊手術を受けたがゆえのデメリットもあるのですが、それでも相対的に去勢手術や避妊手術を行った方が病気になる確率は少ないのかもしれません。

今回の記事ではそんな去勢手術を行わなかった中高齢の犬によくみられる前立腺の病気についてご説明したいと思います。

前立腺とは?

前立腺とは雄性の動物にみられる副生殖器官です。

前立腺は精液の主成分の一つであり、精子に栄養源を与えるための役割をしています。

前立腺は右葉、左葉と分かれており、膀胱から伸びた尿道の周囲を巻き込むような臓器で、射精時に精液を尿道に送り込みます。

人間の男性にも前立腺はあるのですが、ネコ科の動物など動物種によっては前立腺を持たない動物もいます。

一方で犬ではよく発達した前立腺を持っており、未去勢のオス犬ではたびたび問題になることがあります。

前立腺の病気について

前立腺にはいくつかの病気があるのですが、症状に乏しいことが多く、発見が遅れることがよくあります。

何かしらの変化があった場合は、腹部を触診するか、直腸検査を行って指で触知するかで仮診断を容易にすることが出来ますが、レントゲン検査とエコー検査を行ってさらに詳しい診断します。

ただし、画像診断のみでは異常と思われる前立腺がどのような病気になっているのかを確定診断することはできません。

たいていの病気の場合、確定診断を行うためによくやられる診断方法は針生検などによる病理診断なのですが、前立腺は非常にナイーブな臓器で、針を刺すことにより発熱や炎症、疼痛などが出てくるリスクがあるため、一般的には行いません。

ここが前立腺の病気の診断を困難にする一つの要因となっています。

前立腺肥大

前立腺肥大は未去勢のオス犬では頻繁におこる症状です。

自覚症状は乏しく、生理的な変化であり、治療はほとんど必要ありません。

エコー上では左右均等に前立腺が大きくなるため、診断は割とつけやすいと思います。

ただ、前立腺自体は去勢をせずにいれば他の病気にかかりやすくはなるため、定期的に検査をしておく必要はあると思います。

前立腺嚢胞

前立腺の組織の一部が変化し、水泡が溜まってしまう症状です。

肝臓にできる肝嚢胞、腎臓にできる腎嚢胞などと同様、あまり自覚症状はないのですが、たまに薄い血が尿に混じることがあります。

この場合、膀胱炎による出血と区別がつきにくく、止血剤などを使用しては止まってもすぐに再発を繰り返すケースが多いと思います。

前立腺炎・前立腺膿瘍

前立腺尿が路から細菌の感染を起こす病気です。

前立腺膿瘍にかかった犬は、疼痛や発熱が見られ、食欲不振も多くみられます。

尿に血が混じることも多く、再発を繰り返します。

前立腺癌

膵臓癌に代表されるいくつかの癌はサイレントキラーと呼ばれ、初期段階では自覚症状に乏しく、何かしらの症状や異常が見られた時には進行がかなり進んでいるタイプの癌です。

前立腺癌もまさしくそのようなサイレントキラーであり、発見時には転移が周囲に起こっていることも多く、病状の進行は非常に速いとされています。

先に書いたように生検はリスクがあるため、あまり積極的には行われません。

尿検査などを行うと腫瘍の細胞が発見されることもあります。

また持続的な血尿や、下腹部の疼痛、周囲の転移像などから判断します。

治療法は?

もし麻酔をかけることができるような状況であれば、去勢手術を行うのが最も効果的な治療法です。

前立腺の疾患が見つかった、もしくは疑われる場合には、どのような病態であっても去勢手術は積極的に検討します。

前立腺は精巣から分泌される雄性ホルモンに大きく影響を受け病状を助長させる他、精巣を摘出すると前立腺自体も委縮していくため、再発を防止する効果もあります。

病巣となった前立腺の摘出は基本的にはあまり行われません。

前立腺は尿道を巻き込むような位置にあるため、完全摘出が非常に困難であるからです。

もし去勢手術が行えない、もしくは行いたくないのであればホルモン療法もあるのですが、肝臓などに大きな副作用が出やすいため注意が必要です。

抗生剤や鎮痛剤などを併用しながら経過を見ていくのですが、未去勢のオスの前立腺の疾患は再発性も多く、また持続的に症状がみられるため、投薬はかなり長期的になることがほとんどです。

一方で前立腺癌の場合は去勢手術を行っても症状の改善は期待できません。

有効な治療法はあまりないため、緩和療法にて経過を観察していきます。

残念なことに予後はあまりよくなく、排尿障害や排便障害もおこるため、前立腺癌にかかった犬たちの生活の質を維持することさえ困難なケースもよく見られます。

まとめ

獣医師としては予防できる病気があるということはとても幸運なことだと思います。

特に去勢手術はそれほど危険性をはらんでいるわけでもなく、かつ簡易的に行うことができるので、個人的な意見としてもやはり去勢手術は行うことをお勧めしています。

いずれにしても去勢手術を行わなかった中高齢の犬にもし血尿が見られたら・・・前立腺の病気は疑ってもいいかもしれません。

その時にはいつでもご来院下さい。

2019-01-11

もはや冬の定番の病気となったインフルエンザ。

乾燥して風が強い日には、インフルエンザのようなウイルスは莫大に感染が拡大しやすくなります。

医学的に飛沫感染と呼ばれる感染経路は、俗にいう空気感染とほぼ同義で、湿気のある気候よりも、乾燥した気候の方が、ウイルスが含まれた唾液や鼻水が乾燥し遠くまで風で拡散することが出来ます。

ペットの病気の中でも飛沫感染する病気はいくつかあるのですが、今回ご紹介したいのは「ネコ風邪」と俗に言われている感染症です。

ネコによくみられるこの症状は割としつこく症状が長引くため、多くのケースで多数回の通院が必要です。

ここで問題なのが猫は病院が苦手というところです。

通院のストレスも多く、元気がない猫を病院に連れていくことをご心配される飼い主様も多くいらっしゃいます。

今回の記事で紹介している猫も同様で、病院がそもそも苦手なのですが、不運にもネコ風邪にかかってしまい、往診で行った治療についてご説明したいと思います。

ネコ風邪って何?

ネコ風邪は正式名称を猫ウイルス鼻気管炎といい、略語でFVRと言われています。

ヘルペスウイルスによる感染症で、人や犬などのほかの動物には感染しません。

動物病院では割とよくみられる感染症で、完ぺきではありませんが3種の混合ワクチンで予防できる病気の一つです。

地域猫などの外で暮らす猫では頻繁に感染が見られ、特に仔猫の場合は致死的になることもあります。

ヘルペスウイルスの特徴としては顔面周囲の粘膜で感染が拡大する傾向があり、結膜炎、鼻炎、口内炎を引き起こします。

成猫では症状があまり重篤になることはありませんが、ワクチンが未接種の場合や、高齢、ストレス下などいくつかの要因が重なると、症状は時に重篤になることもあります。

重症例の場合は重度の結膜炎と水溶性の鼻汁が多くみられ、くしゃみをよくするようになります。

免疫力が低下している個体では発熱が見られることもあり、食欲や活動性が著しく低下します。

幼獣の時に感染を起こし、適切な治療を行えなかった場合には、症状が持続的に続き、慢性的な鼻炎や結膜炎、時には眼瞼の癒着や角膜の潰瘍を引き起こします。

治療法は?

ネコ風邪というだけあって人間の風邪の治療とほぼ変わりません。

症状が軽症の場合は点眼薬や点鼻薬などで十分に回復しますが、長引く場合などには抗生剤の内服を併用します。

問題は症状が重篤化し発熱が見られるようになった場合です。

成猫の場合は死に至ることはほとんどありませんが、発熱が落ち着くまでは食欲がほぼない状況が続くため、著しい体重減少と脱水が進行します。

特に猫の場合は解熱剤の使用はあまり推奨されていないため、ほぼ支持療法が治療となります。

皮下補液などを抗生剤などと併用しながら治療を続けていくことになります。

一般的にはインターフェロンという抗ウイルス薬を使用して治療を行いますが、ステロイド系の薬も効果が期待できるので使用することもあります。

セカンドセレクトの往診風景

今回、お伺いしたご自宅の猫は15歳という高齢に加え、もともと甲状腺機能亢進症という老猫でよくみられる内分泌疾患を患っていました。

個人的な経験上の話ですが、甲状腺機能亢進症の猫はやや興奮しやすく、通院の負担が他の猫よりも少し高いことが多いと思います。

今回の猫も、もとから動物病院通いが大の苦手ということで、往診での治療となりました。

症状としては発熱と鼻炎を起こしており、食欲がかなり低下した状態でした。

抗生剤と皮下補液を熱が下がり、食欲が上がるまで皮下注射で治療を行いました。

実はぼくはあまりインターフェロンを積極的には使用しません。

あくまでも、あくまでも本当にいち獣医師の個人的な意見ですが、コストの割にはあまり効果が得られた感じがないからです。

今回の猫も3日ほど注射を続けたところ熱が下がり始め、食欲が回復し始めました。

食欲があれば内服を継続して服用していればほぼ問題はないため、1週間ほど内服を服用させ、治療は終了となりました。

ちなみに今回の注射の料金は1回おおよそ6000円ぐらい、内服は1週間で2000円程度でした。

比較的近隣の飼い主様だったので往診料は基本的にかかりませんでした。

往診の場合、再診料は2000円です。(ご来院しされた場合は800円です)

まとめ

ウイルス性の病気は、犬よりも猫の方がよく見かけることが多いと思います。

セカンドセレクトでは、特に猫のような通院にストレスがかかるような場合、また今回の感染症のような支持療法が主体の場合には、往診での治療もお勧めしています。

もしご自宅の猫が、くしゃみをしていたら・・・いつでもお気軽にご相談ください。

2019-01-09

飼い主様の中でも1年に1回程度、ご自身が人間ドックを受けてらっしゃる方も多くいらっしゃると思います。

自分では健康だと思っても、検査をしたら腸にポリープが見つかったなんてことはよく聞く話です。

体の表面と違って、内臓は直接見ることが出来ず、かつ自覚症状に乏しい変化は発見がしにくいものですが、残念ながら年齢とともに多くみられるようになります。

これは犬や猫でも一緒です。

元気そうに見えても、検査をしてみたら実は・・・・なんてことは意外とよくあります。

今回の記事ではそういったなかなか気づきにくいお腹の中のしこりの中でも、よくみられるもの・・脾臓の腫瘤についてご説明したいと思います。

そもそも脾臓って?

脾臓とは胃の横にある臓器のことで、普段は古くなった血液を壊す役目をしています。

脾臓自体は血管に富んだ軟らかい臓器で、どうでもいい話ですが、焼き肉屋さんなんかに行くと、「しびれ」という名前で売られていたり、フランス料理などでも牛の脾臓は珍重される食材です。

脾臓は不要な臓器なんて言葉を耳にすることがありますが、確かに何らかの理由で脾臓を摘出しても、ほとんどの場合は通常通りに生活を送れることが出来ます。

後で説明しますがこのあたりが悩ましいところで、多くの獣医師が脾臓に何らかの異常を発見した場合には摘出を勧める一つの理由になります。

脾臓の腫瘤の種類

脾臓は血管が豊富な臓器で、多数のリンパの集団が混在しているのですが、年齢を重ねるにつれて脂肪のような組織に置き換わってきます。

こういった年齢による変化は、場合によって5㎝以上の大きなしこりになることもあります。

一方で脾臓にはいろいろな種類の腫瘍が発生します。

血管に豊富な臓器のため血管の腫瘍や血液の癌が多く発生し、多くの場合は悪性になります。

このうち最も多い腫瘍が血管肉腫と呼ばれる腫瘍であり、腫瘍の中でも転移を起こしやすく、周りの組織にも飛び火するとても厄介な腫瘍です。

悪性の腫瘍は勿論なのですが、年齢による変化の場合でも、もともと血管が多くある脾臓は軟らかい臓器であるうえ、そこに発生した腫瘤は非常にもろく、外傷がなくても自然発生的にそこのしこりから出血をともなう傷がつくことがあります。

脾臓はとても出血が多い臓器であり、また腹腔内で出血が起こるため、異変に気づいた時には相当量の出血をを伴います。

また、微量に持続的に出血している場合もあり、自覚がない程度の慢性的な軽度の貧血を起こしていることもあります。

いずれにしてもこういった脾臓のしこりはかなり大きくならない限りは、外見上から判明することはありません。

たいていは健康診断としておこなった検査でたまたま見つかるか、出血を起こして病院に緊急搬送されて初めて気づくかどちらかのことがほとんどです。

よくあるのが、大型犬で散歩の途中から歩けなくなってしまうというケースです。

そのままでも大丈夫!?

何度か書いていますが、脾臓にできた腫瘤が発見された理由としてはたまたまみつかるケースは意外と多いと思います。

そしてその腫瘤をどうにすかするには、薬で何とかなることはなく、脾臓ごと摘出するというのがその方法になります。

そういった理由もあるのですが、脾臓にしこりが見つかった時に「そのままにしていてはまずいですか?」とか「手術はした方がいいのでしょうか?」というご質問をよくお聞きします。

脾臓のしこりに関しては自覚症状がないため、まず脾臓にしこりがあると聞いてもピンとこないというのあるでしょうし、そもそも目の前のリスクが見えないところで手術なんていうことは考えられないのは当然だと思います。

一方獣医師としては、脾臓は摘出しても術後の生活は問題がない上に、摘出自体はそれほどの技術を要することはありません。

むしろ放置することのリスクを回避することが妥当と、ほとんどの獣医師は考えます。

結論から言うと状況に応じて手術は必要だと思いますが、必ずすべての症例に必要かというわけではないと思います。

セカンドセレクトではおおよそ次のような判断で手術をお勧めすることがあります。

  • しこりのサイズが3㎝以上ある
  • それほど高齢でなく、健康状態に大きな問題はない
  • 自覚症状はないが軽度の貧血が見られる

逆に手術をせずに経過観察をお勧めするような場合は次のような時です。

  • しこりのサイズが1~2㎝程度
  • 自覚症状がなく高齢である
  • その他の検査所見から悪性度の高い腫瘍が予想される

特に悪性度が高そうな腫瘍が予想される場合には判断は慎重に行う必要があります。

最も悪性度の高い血管肉腫の場合、術後の予後はあまりよくないことも多く、術後に積極的な治療を行ったとしても平均的に1年の余命かどうかと言われています。

そこにどれだけの価値を見出すかどうかは、人それぞれの価値観によるところになります。

特に腹腔内に出血を起こした場合は予後が極めて悪化することも多く、手術を行うという価値はさらに低下することになります。

もし出血したら?必ず手術しないとダメ!?

脾臓にしこりが発見されるもう一つの大きな理由としては、腹腔内の出血が起きたときがあげられます。

この時には症状は甚大で急速に起こります。

「昨日まで元気だったのに、いきなり起き上がれなくなった。」ということを訴える飼い主様がほとんどです。

脾臓の出血は一時的に大量に出血します。

ある程度時間が経つと出血の量は減少するのですが、一時的に失われる出血の量が大量であるため、血圧が著しく低下し、ほぼ動けないような状態になります。

ここで問題になるのが、すぐに手術をするべきかどうかということです。

手術というのは脾臓ごと摘出し、出血を食い止めることをさします。

セカンドセレクトでは、あまり高齢でない犬の場合は緊急手術をお勧めしています。

なぜなら手術をせずその場は乗り越えたとしても、再出血のリスクが高いからです。

一方で超高齢犬やあまりにも状態が悪い、もしくはそもそも手術を希望しない飼い主様にとって手術以外の方法について検討することもあります。

脾臓からの出血で立てなくなったり、沈鬱になるのは一過性の大量出血が原因であり、その時点で致命的な貧血を起こしていることはあまりありません。

止血能力に異常がなければ、出血は徐々に少なくなり、いずれは止まる可能性もあります。

したがって、貧血の進行を注意深く観察しながら、安静下にて出血が止まるのを待ちます。

出血によって血液の総体量が失われているため、血圧を維持する目的で静脈点滴を施し、同時に止血剤を使用しながら経過を観察していきますが、経過がよければ半日~丸1日ほどで状態は回復していき、2~3日で貧血も著名に改善します。

当然ながら出血が完全に止まらない場合もあるので、その時には緊急的に手術を行うかの再検討に入る必要があります。

事前に転移していることが解っているなどはこうした方法も必要だと思います。

まれに、出血している場所が脾臓だけでなく、脾臓と隣接している肝臓に隠れた転移巣があり、そこから出血している場合もあります。

この場合は止血自体がかなり困難になります。

事前に行う血液検査などで、肝酵素などが異常に上昇している場合も、安静下にて観察することを選択肢に入れる必要があると思います。

まとめ

脾臓のしこりは自覚症状が全くないので、逆に発見した時の取り扱いが非常に難しいところだと思います。

個人的には本人の年齢やその他の状況を客観的に判断し、手術に臨まれるかどうかを決めるしかないと思います。

この記事を読んでみて、少し気になる飼い主様がいたら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2019-01-07

最近のテレビの生命保険のCMで言われているフレーズですが、「日本人の2人に1人は癌をわずらう」ということを言っている広告があります。

どういった統計方法で得たデータのかはわかりませんが、確かに高齢化が進めば、腫瘍を患う確率が高くなるのは自然な流れなのかもしれません。

ペットの世界も同様に高齢化が進んでいるため、ぼくたち獣医師が腫瘍を患った動物たちを診察する機会は増えてきていると思います。

犬や猫で多い腫瘍と言えば、リンパ腫や肥満細胞腫と呼ばれる血液の癌や乳腺腫瘍などがよくみられる病気です。

セカンドセレクトでも多くの腫瘍を患った動物たちを診察する機会も多く、リンパ腫や乳腺腫瘍などの治療を行うことも多くあります。

また一方で、普通の飼い主様にはあまりなじみのない腫瘍もよく診察します。

今回はそんなあまり知られていない心臓の腫瘍についてご説明しようかと思っています。

最近では短頭種の飼育頭数が増えてきているということもあるので、比較的に心臓腫瘍の発生の多いの短頭種の飼い主様、特にフレンチブルドッグの飼い主様のご参考になればと思います。

心臓の腫瘍はどういう感じ?

心臓の腫瘍は基本的には心臓の右側の血管のでは入り口に発生することがほとんどです。

下の写真で言うと、青色と紫色の血管と心臓のつなぎ目のあたりになります。

初期段階からレントゲンで判明することはほとんどなく、診断はもっぱらエコー検査で行います。

割と特徴的な場所にあるので、経験のある獣医師であれば簡単に診断を行うことができるのですが、問題はその腫瘍の種類がどういったものかというところまではわかりません。

心臓の腫瘍の発生源を特定するためには病理検査が必要ですが、心臓に付着しているため、外からの採材は不可能に近いからです。

心臓にできる腫瘍は、良性のものからものすごく悪性度の高いものまで数種類ありますが、その腫瘍の種類によっては予後はかなり変わってきます。

とはいえ、良性の腫瘍だったとしも、できた場所が心臓であるため、生涯無症状というわけにはいきません。

心臓の腫瘍は心臓の右側に発生するため、主に心臓の右心系に症状が出てきます。

右心の機能が低下してくると全身から心臓にうまく血液が流入できなくなります。

最初のうちは無症状なのですが、ある以上の障害が出ると異常に疲れやすくなったり、歩いていたりしているときに尻もちをついたりし始めます。

さらに症状が進むと全身のむくみや、腹水、胸水などが溜まり始め、強い発咳が見られるようになります。

また症状の進行とともに心臓の左心系の機能も低下します。

左心は強力な筋肉によって全身に血液を送り込む役目をしているのですが、腫瘍の影響により心臓の収縮がうまくできず、血液が全身にいきわたらなくなります。

そのため血圧が低下し、時に虚脱を起こし、いきなり失神することもみられるようになります。

症例によっては心嚢水と言って心臓と心膜の間に過剰に水がたまり始め、より心臓の動きが制限されるようになったり、不整脈が頻発するなど様々な症状が出てきます

この腫瘍が悪性だった場合は進行がさらに早くなることも多く、また肺の隣接部に転移を起こしたりするため、さらに予後は悪くなります。

治療法は?

最も積極的な治療はCT検査を行い腫瘍の発生部位を特定することから始まります。

もし腫瘍が右心に限局するものであれば、外科的に切除することが場合によっては可能になります。

外科的な切除が可能であれば切除ののち、同時に心膜を切開し心嚢水の過剰な貯留を予防します。

その後の病理検査と経過を見ながら、抗がん剤の治療に入る・・・。

ざっと説明するとこういった感じなのですが、リスクも高く、また腫瘍の悪性度によっては治療を行っても術後の経過もあまりよくありません。

一方でこういった外科治療以外には有効な手段がないのも事実で、外科手術を選択しないのであれば、後は様子を見ながら対症治療になります。

そのため、多くの飼い主様は治療の選択に苦慮することになります。

セカンドセレクトでの治療法

セカンドセレクトに通われている多くの飼い主様は、外科治療を含めた積極的な治療を希望されない方が多いと思います。

心臓腫瘍はもともと非常に発見がしにくく、自覚症状が何かしら表れているときにはかなり状態が悪化しているため、手術、麻酔処置自体が難しいことが多いからです。

最近ではエコーの精度が上がったため、心臓の病気に関連する診断は以前よりも容易につけやすくなりました。

ただ、まだあまり頻発しない疾患に関しては見落とされてしまうケースも多く、セカンドセレクトに実際に心臓腫瘍で通われている飼い主様の中にも、他の動物病院で原因が特定できずにいたとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。

実際に心臓に関する開胸手術はセカンドセレクトでは行っていないので、もしご希望の飼い主様がいらっしゃった場合は、2次診療をおこなっている動物病院にご紹介する形になります。

ただ、先ほども書いたように、発見が遅れるケースも多くあり、その時点で積極的に行える治療の幅があまりないことも多いため、基本的には投薬治療で経過を見ていくケースが多いかもしれません。

セカンドセレクトで診させていただいている大多数の症例では、心臓腫瘍が発見された時点であまり症状が顕著でなければ無治療で観察していきます。

診察時には基本的にエコー検査を行いながら、右心系の機能の確認と、左心系の収縮力などを計測していきます。

最初の段階から投薬を開始してもあまり有効な結果が得られないとされいるため、ぼく自身も心臓の右側の機能がおち、腹水や胸水が見られた場合や、左心系の収縮力が低下した場合のみ投薬を開始することが多いと思います。

腫瘍が悪性だった場合は、周囲に転移していることも多く、発咳がよくみられるため、その場合には心臓の機能と関係なく、鎮咳薬を処方します。

経過としてはその犬によってなのですが、1か月程度で急変を起こして残念ながら亡くなるケースもあれば、1年以上穏やかに過ごしてくれることもあります。

セカンドセレクトではこういった症状に合わせた薬は常備していますので、もしこの記事を読んでみてちょっと心配という方がいらっしゃればいつでもご相談ください。

まとめ

一番最初に書いた通り、この心臓の腫瘍はフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどを代表とする短頭種には比較的多くみられる腫瘍です、

こういった犬種がある程度の年齢を迎えたら、いつも行っているような定期的に行っている健康診断に加えて、心臓のエコー検査なども行った方がいいと思います。

検査は特に時間もかかりませんのでご希望の飼い主様がいらっしゃいましたら、いつでもご連絡下さい。

2018-12-30

人間100歳まで生きるというのが最近では当たり前のような話になってきた昨今、ペットの世界でも目指せ20歳ということが頻繁に言われるようになってきました。

もちろん何事もなく健康で過ごせるのであれば何の問題もないのですが、何かしらの原因でいきなり調子を崩した時には年齢という問題は大きな悩みの種となります。

実際に往診などを通じて、高齢なペットの治療に携わっていると、多くの飼い主様から「昨日から急に元気がなくなったた。」とか「昨日までは全く問題なくご飯も食べていたのに今朝から急に・・。」という困惑したお問い合わせを受けることも多くあります。

確かに見た目は問題なく元気な高齢な動物でも、年々と体力的にもなえてきて、少しずつ体調は下っていることが多いのですが、実際に病気になってみないとそれに気づかない、もしくは考えたくないというのが実際だと思います。

今回の記事ではそんな高齢のペットの往診風景と、どこまで治療しますか?という大問題についてご説明したいと思います。

あくまでも一獣医師としてのたわいのない話なので、参考までに読んでいただければ幸いです。

高齢ペットの治療で一番難しいことは?

あくまでも感覚的な意見なのですが、セカンドセレクトに受診されているペットのの平均年齢は他の動物病院に比べるとかなり高いと思います。

往診を行っているということもあるのですが、セカンドセレクトでは高齢ペットの心疾患や腎臓病など、慢性的な病気を取り扱うことが非常に多いのが一つの特徴だからだと思います。

そして、そんな高齢ペットの治療に入るときにいつも注意していることが「リスク・ベネフィット」の問題です。

どの飼い主様にもご説明するのですが、すべての医療行為には少なからずリスクが付帯しています。

単なる抗生剤でも副作用はありますし、血液検査をする際などは少し抑えるので、それなりの負担を動物たちに強いないといけません。

もちろん、手術や抗癌治療などもともと危険度の高い治療であればそれは勿論のことです。

ただ、治療する際に気を付けないといけないのはリスクの高さでなく、そのリスクに見合ったベネフィット、見返りがちゃんとあるかどうかを慎重に検討べきだと思っています。

個人的にには医療行為は必ず「ローリスク・ハイリターン」でなければならないと考えています。

「ローリスク・ローリターン」であればあまりやる必要もないのかなとも思いますし、「ハイリスク・ローリターン」であれば選択肢から除外する時も必要です。

問題は「ハイリスク・ハイリターン」の治療の時です。

そしてハイリスク・ハイリターンの治療は特に高齢の場合はいつでも問題になります。

なぜなら、治療後の余命という点からみると、「リターン」の部分がかなり少なくなってしまうからです。

例えば同じ癌の手術をしたとして、術後の平均余命が3年であるとしたら、8歳の犬や猫であればリターンはかなり高いのだとは思いますが、13歳、15歳、18歳であればリターンの部分は年々少なくなっていきます。

犬や猫の寿命の中央値はだいたい12から13歳ぐらいと言われています。

余命3年が得られる治療があったとしても、平均余命が3年もないであろうという年齢の動物にその治療を行うのが、果たして誠実かどうかは悩みどころだと思います。

結果は誰もわかるわけではありませんし、正解があるわけでもありません。

高齢のペットの治療でここが一番難しいところだと思います。

ただぼくとしては、高齢なペットに治療を行う際には、その動物たちの本来持っている余命は重要な参考要因になると思います。

高齢犬・高齢猫のリンパ腫。年老いたペットに抗がん剤治療は可能?やった方がいい?リスクは?

検査は必要?

高齢の動物の治療の場合、検査をすることの意義もなかなか難しいところだと思います。

なぜなら、手術やその他の積極的な治療を行う意思がなければ、結果として使用する薬や治療方法は検査をしてもしなくても一緒になるからです。

薬は多様な種類があるように思えますが、使用する薬は症状によってそれほど大きく変わりません。

特に高齢の動物たちにありがちな症状に対して使用する薬は、動物病院を変えてもそれほど大きな違いは出るものでもありません。

それでも個人的には、動物に負担のかからない最低限の検査程度であれば、行ってもいいかなと思います。

治療に反映されなければ意味がないようにも思えますが、客観的に症状を見ることによって、飼い主様と動物との付き合い方がちょっと変わるかなと考えているからです。

もしかしたら一緒にいれる時間は残り少ないかもしれない状態で、漠然と調子が悪いという状態で一緒にいるのと、ここが原因で調子が悪いのだとわかっている状態では、万が一のことが起きても受け取り方にはかなり違いが出てきます。

負担がかからない検査は血液検査、レントゲン、エコー検査などになりますが、これらの検査でもおおよその原因と状況は把握できると思います。

セカンドセレクトの治療は?

セカンドセレクトでは通常の動物病院の診療にくわえ、往診診療も行っているので、高齢のペットの治療においての治療の選択は他の病院よりも多いかもしれません。

今回は往診で行っている高齢のペットの治療をご紹介します。

  • ケース1 18歳・ミニチュアダックス

この仔は別の記事でもご紹介したことがあるのですが、高齢になり足腰が弱っていたため、定期的に鍼治療とリハビリマッサージを行っていました。

ここ数か月で徐々に体力は低下していたのですが、突然食欲がまるっきりなくなり、飲み込むことすらしなくなってしまいました。

もとから心臓に疾患もあり、会陰ヘルニアも併発しており、多発性に病巣はあるのだとは思いますが、特に検査をせず、ご自宅で飼い主様が献身的な介護を行っています。

セカンドセレクトでは往診にて、皮下補液を行いつつ、飼い主様がご自宅で皮下補液をできるようにサポートをしながら治療に携わらせていただいています。

最初は立てなかったのですが、徐々に体調は上向いており、何とか食事を飲み込むことができるところまで回復しました。

今現在でも飼い主様がご自宅で奮闘しています。

  • ケース2 12歳・ラブラドールレトリバー

もともとは40㎏以上あったのですが、段々と後肢が弱ってきて、最近はめっきり歩かなくなってきたというご相談を受けておりました。

食欲も段々と落ちてきていたのですが、ある日を境にいきなり状況が悪化し、治療開始初日では横臥状態で顔を上げることすらできない状態で、ほぼ危篤といってもいい状況でした。

基本的には往診でご対応させていただいたのですが、飼い主い様の希望もあり、血液検査のみさせていただきました。

セカンドセレクトの往診診療は往診専門で治療を行っていた時と異なり、緊急時には血液検査は院内機器を使用できるため、当日のうちに結果を得ることができるようになりました。

検査結果はほぼ予想していた通りでもあり、治療方法としては検査前後で大幅に変わることはなかったのですが、やはりどこが悪いのかが把握できることで、飼い主様のご不安も少しやわらげられたのではと思います。

ちなみにこの仔は治療の甲斐もあり、奇跡的に調子を取り戻し、数日後に自力で歩くところまで回復することが出来ました。

正直ぼくの治療のおかげなどではなく、犬自身の生命力によるものだと思いますが、結果的によくなってくれたので、ほっとしています。

まとめ

セカンドセレクトでは飼い主様がどのような治療を望まれてもご対応することは可能です。

それが普通の町の動物病院では行えないような専門的な治療でもほぼ対応はできますし、そいういった治療の経験もあります。

ただ個人的には、もう余命を迎えたような高齢なペットの状態が悪化した時、そしてその予後もあまりよさそうでない時には、飼い主様が動物たちと一緒にいれる時間が少なくなるような治療を避けた方がいいと思っています。

ご自宅以外のところで動物が長時間滞在しないといけないような治療はあまりお勧めしていません。

ぼくが以前に診させていただいた高齢の猫を飼っていた飼い主様の一言が今でも記憶に残っています。

「一日でも長く穏やかに過ごせるような治療をしてほしい。」

文章にするとたわいのない文章になりますが、こういった悩みの多い場面に遭遇した時には、飼い主様からの切実な希望であり、それを実現してあげることこそが本来の医療従事者の役割なのだと思います。

積極的に色々な治療を行うことが決して悪いことではないのですが、こと高齢のペットに関して言えば、穏やかに過ごせる方法をいつでも考えてあげたいなといつも思っています。

2018-12-27

血友病という病気を聞いたことがある飼い主様も多いと思います。

血液は血管の外に出ると速やかに凝固しかさぶたを作ります。

この一連の反応には数十の因子が関与しています。

血友病は遺伝的にこの因子が一部欠損しているため、正常な凝固反応が起こらず、一度出血があると止まりにくくなる病気です。

犬や猫でも全く同じではないのですが、同様に血液が止まりにくくなる病気がいくつかあります。

今回はそういった止血異常を起こす疾患の中で、もっともよくみられる病気、「免疫介在性血小板減少症」についてご説明したいと思います。

血小板とは?

ご存知の飼い主様も多いと思いますが、血小板は血液中にある細胞で、血管が破損し出血が起きたときに、自身が血を止める壁の役割をすると同時に、様々な凝固因子を分泌して、効率よく止血をすることが出来ます。

血小板自体は骨髄で生成され血中に放出されるのですが、自身には核を持たないため、血液中で増殖することはできません。

寿命はおおよそ10日程度と言われており、どこかで出血個所がない限り、血小板の数はおおよそ安定して存在しています。

血小板が出血以外で大きく減少する理由は大きく分けると2つあり、骨髄で血小板が作られなくなったか、過剰に血液中で壊されてしまっているかのいずれかになります。

免疫介在性血小板減少症は、自分の免疫をつかさどる細胞が自分の血小板を攻撃しはじめ、血小板の数が大きく減少する病気です。

血小板減少症の検査方法

血小板が血液中で過剰に壊される理由はいくつかあります。

感染症や腫瘍などから2次的に血小板が壊されることもあるのですが、犬の場合はほとんどのケースが特発性と言って、これといった原因がないのにもかかわらず、血小板が自分の免疫システムによって過剰に壊されてしまいます。

したがって免疫介在性血小板減少症を確定する診断方法は実際のところはないため、血小板の数が低下し、出血傾向が顕著に見られる症例に対し、そのほかの原因を排除していく除去診断という方法をとっていきます。

免疫介在性血小板減少症の症状は割と特徴的で、目や口の粘膜に内出血が起こったり、耳や内股の皮膚のところに紫斑と言った内出血の跡が見られるようになります。

飼い主様がみても容易に判断はつくと思います。

また、純粋な血小板減少症はその他の症状には乏しく、食欲や活動性などにはほとんど影響を与えません。

便に血が混じるとか、鼻出血などもそれほど多く起こりません。

除去診断には血液検査、レントゲン、エコー検査などにより、あらゆる可能性を客観的に排除していきますが、血小板が減少する根本たる原因が免疫以外にあった場合は、それが顕著に反映されているため、診断は割と容易に行えます。

治療法と予後について

基本的には免疫抑制作用のあるステロイドを主軸に投薬を行っていきます。

免疫介在性血小板減少症はたいていの場合、ステロイドによく反応するため、内出血なども1週間程度で治まっていくと思います。

免疫介在性血小板減少症により急変をすることはかなり稀だと思います。

飼い主様の中には、目に見えて内出血が広がっていくことも多いので、かなり慌ててしまうことあると思いますが、それほど焦って治療をすすめていく必要はありません。

ステロイドのによる効果が弱い、もしくは副作用がでる容量でしか病状がコントロールできない場合には、そのほかの免疫抑制剤を使用します。

当然、ステロイドも免疫抑制剤もそれぞれに副作用はあります。

こういった病気の時のコントロールの仕方の大前提としては、一つの薬を使用し大きな副作用を招くのではなく、多種類の薬を可能な限り少量ずつ使用し、大きな副作用を防ぐというのが一般的な方法です。

したがって、犬によっては数種類の薬を飲み続ける場合もあります。

その一方で寛解といって、一時的に薬を使用しなくても症状が現れなくなることもあります。

どちらにせよ、定期的に血小板の数を測定しながら、必要に応じて投薬の計画を練っていくのですが、基本的には予後はそれほど悪い病気ではなく、通常通りの生活を通常通り営むことは可能です。

まとめ

セカンドセレクトではこういった慢性的な疾患に関して多くの経験があります。

特に投薬などが長期的になった場合は、治療費の問題も出てくることもあります。

そうした場合はジェネリックや個人輸入などの利用していただくなど、飼い主様のご負担を少しでも軽減できるようにご協力いたします。

もし不幸にもこういった病気に出会ってしまったら、いつでもお気兼ねなくご相談ください。

2018-12-23

目は口程に物を言うとよく言いますが、人間だけではなく、犬や猫も目はとても目立つ器官だと思います。

特に犬や猫の目は大きく、時に垂れ眼だったり、時に真ん丸だったりと、非常に愛くるしい表情をします。

そんな目立つ場所にあるからこそ、ちょっとした異変でも目の病気はすぐに気づくことが出来ます。

今回は色々ある目の病気の中でも、あまり人間では見られませんが、犬や猫ではかなり有名な病気、「チェリーアイ」についてご説明したいと思います。

 

第3眼瞼・瞬膜って?

第3眼瞼とは別名、瞬膜とも言って、文字通り目を守るための第3のまぶたのことです。

普通の人間で言われている眼瞼はいわゆるまぶたのことで、上まぶたと下まぶたが重なり瞳を閉じます。

第3眼瞼、瞬膜は通常時は閉じることなく目頭の奥の位置にあり、何かしら異物や刺激物があるときに水平方向にとじるまぶたのことです。

魚類や鳥類ではよく発達しており、人間ではほとんど退化しています。

動物病院によく来る犬や猫、うさぎにも鳥や魚ほどではありませんが、瞬膜はしっかりと残っており、何らかの目の病気によって炎症が目にある時には瞬膜が露出する幅が非常に大きくなります。

また猫ではよくみられるのですが、体調ががっくり落ちているときにも瞬膜が大きく露出します。

なぜにチェリーアイになる?

瞬膜にはいろいろな分泌腺が含まれているのですが、そのうちの瞬膜腺と呼ばれる場所には多くの涙や目の表面の油膜を分泌する場所があります。

この場所に感染などを起こすと、大きく腫れ上がり、まぶたの中に入り込まなくなってしまいます。

まぶたの中に入り込まず大きく、赤く腫れ上がった様をサクランボに例えてチェリーアイと呼んでいます。

実際のところ感染だけでチェリーアイになるのかどうかはよくわかっていません。

片側にチェリーアイが発生した犬や猫は高確率で逆側にも起こるので、眼瞼周囲の神経や靭帯など色々な構造上の問題などが絡んでいるのではなかろうかと考えられています。

また発生には犬種的、年齢的な偏りもあるので、何かしらの特別な条件があるのだと思われています。

手術しなくても治ることがある?

実際のところ、チェリーアイになったところで自覚症状はあまりありません。

慢性的になると、角膜潰瘍やその他にもドライアイなどの色々な目の病気を引き起こすとは言われていますが、管理がしきれないほどの目の状態になることは個人的には見たことがありません。

実際のところ、目の病気が多い犬種にはよくみられる病気なので、チェリーアイになっているから不具合があるのか、もとから目は少し不調なのかよくわからないこともよくあります。

実際に、しばらく点眼や眼軟膏である日突然腫れあがった瞬膜が元に戻ることも事実です。

もうダメかな・・と思って手術の予定を組んだとたんに引っ込むこともたびたびありました。

もちろん再発はよくみられるのですが、少なくとも緊急に手術をする必要はないと思います。

割と若い犬や猫で起こることが多いので、避妊手術や去勢手術前に起こった場合は、手術と一緒に行うぐらいの気持ちでもいいと思います。

術後の様子

手術は飛び出た部分を、瞬膜の中に内半させながら埋め込むのが一般的です。

とても細い溶ける糸を使用し、縫合しながら埋め込んでいきます。

手術はそれほど時間もかからず、とても簡易的に行われます。

めったなことでは術後の弊害が起こることはないのですが、術後は結膜が大きく腫れがってしまうことがあります。

写真は手術直後の写真なのですが、見た目は手術をする前よりも瞬膜が飛び出てしまっているように見えるので、よく心配される飼い主様もいらっしゃいます。

この腫れは早ければ2,3日もあればかなり引いてくることが通常で、2週間ほどあればほとんど目立たないレベルまで腫れはなくなります。

また術後には多くの症例で目やにが多く出るので、しばらくは点眼が必要になります。

基本的に術後の経過は早い段階から回復していくので、もし回復が遅い、目が閉じたままのなのが1週間も続くなどの問題があるのであれば、大抵は瞬膜を縫っている縫合糸が目の表面に当たっているので、それを抜糸する必要があります。

術後の不具合はたいてい縫合糸の問題ぐらいになるので、そういった意味では積極的に手術を検討してもいいと思います。

まとめ

チェリーアイは飼い始めてすぐなることもあるので、まだ慣れていない飼い主様にとってはかなり深刻な病気になると思います。

この病気に関しては急いで対応をしないといけないというわけではありませんが、目がおかしいなと感じたらお気兼ねなくセカンドセレクトまでご連絡ください。

2018-12-21

オス犬やオス猫を飼われている飼い主様の中で、去勢手術をするかどうか悩まれた飼い主様も多くいらっしゃると思います。

ネットではよくしつけがしやすくなるという点と、将来的な病気のリスクを抑えるというメリットがのべられている一方で、体重のコントロールが難しくなったり、毛質が変化したりなど色々なデメリットがあると言われています。

去勢手術をする・しないの問題は飼い主様にとっては時に大問題になるのだとは思いますが、個人的な意見としては、病気のことでということよりは一緒に生活する上で、去勢手術をした方が生活しやすいのでは?と思っています。

さてそんな去勢についてですが、たまに睾丸が正常な位置にない場合があり、手術を行う時にいつもとちょっと違う過程になることがあります。

陰睾丸とか停留睾丸などと言われ、発育過程における一種の奇形です。

奇形と言っても、本人に与える影響はあまりなく、正常な位置にないのですが通常の睾丸と同じようにホルモンの分泌はするので、発情行動などは通常通り起こります。

ただよく言われるのですが、そのままにしておくと将来的な腫瘍化のリスクが通常の睾丸よりも高くなるとされています。

今回はそんな陰睾丸についてご説明したいと思います。

陰睾丸はなぜ起こる?

睾丸は通常、陰茎の根元の陰嚢内にあります。

睾丸のようなデリケートな臓器が、なぜあんな目立つところにあるのか、個人的にはたまに不思議に思うのですが、精子を作る際には、体温が1から2度ほど低くないと良好な精子を作れないからだそうです。

もともと睾丸は、胎児のときには腹腔内にありそれがだんだんと所定の位置に移動していきます。

睾丸は精索とよばれる硬いロープのようなもので体とつながれているのですが、この精索が段々と伸びていくことで、おなかの中から陰嚢の位置まで移動していきます。

陰睾丸はこの精索が成長とともに伸びないために、陰嚢まで睾丸がたどり着かずになってしまっている状態です。

なぜ精索が伸びないかはよくわかっていませんが、遺伝的な背景があるといわれています。

陰睾丸は通常、内股の鼠径部と呼ばれる場所か腹腔内にあるのですが、陰嚢よりも暖かい場所にあり、正常な体温下での発育が出来ないため腫瘍化を起こしやすいと言われています。

正常の位置に戻すことはできない?

人間の場合、精索をのばして、睾丸を陰嚢内に固定するという手術方法があります。

犬や猫の場合はあまり一般的でなく、睾丸を摘出することがほとんどです。

まれに両側が陰睾丸の犬で、かつ子孫を残したいという目的があった場合は固定手術を行うこともあるそうですが、精巣が正常に発育しないこともあったり、固定してもまた睾丸が体内に入ってしまうこともあります。

手術は大変?

陰睾丸を摘出する手術は基本的には難しくありません。

陰睾丸は通常、内股の鼠径部もしくは腹腔内になりますが、どちらの場合でもあまり難しい手術ではありません。

どちらの場合でも普通の睾丸と同様に血管と精管を結紮して切除するだけです。

ただ僕も経験したことがあるのですが、陰睾丸と思っていたら、精巣自体がなかったことが何回かあります。

物事はなんでもそうなのですが、ないことを確かめるというのは意外と大変で、ありとあらゆる場所を探していくのでともて大変だった記憶があります。

また、猫の陰睾丸はほとんどの場合で鼠経部にあるのですが、猫の内股は脂肪が厚く、睾丸を探すのはたまに大変な時があります。

過去にどうしても見つからず、CT撮影を行って場所を特定したこともありました。

とはいいつつも、こういったことはまれなケースですので、手術を受ける際にはそれほど心配はしなくてもいいと思います。

まとめ

100人獣医師がいたら99人は去勢はした方がいいと言うと思います。

陰睾丸だった場合はなおさらです。

セカンドセレクトでは陰睾丸が鼠経の部分であれば通常の去勢料金に加えて5000円程度のご費用になります。

陰睾丸が腹腔内にあった場合は、通常の料金に加えて2万円程度かかります。

手術自体はいつでも行えますので、気になることがあったらいつでもご連絡ください。

2018-12-19

犬や猫の耳は人間の耳と違い、種類によっていろいろな形があります。

立ち耳だったり大きな耳が垂れていたり、巻いているような特徴的な耳の形もあります。

ただし、耳自体は軟骨と皮膚、それとその中にある血管のみで構成されており、どんな耳の形をしていても耳自体は平べったい形をしています。

こういったいわゆる皮下組織や筋肉組織があまりないところに脱毛や湿疹が起こると治癒する時間は他の体の部位よりも長くかかることが一般的です。

特に、外傷ではなくなにかしらの内因的な問題で起こった病変部は、薬の効果も薄いので、とても治すのに苦労します。

今回はそんな内因的に起こる耳の病気の中で、寒冷凝集素症というものについてご説明したいと思います。

そもそも寒冷凝集素って何?

寒冷凝集素とは血液の中にある赤血球が低温にさらされるとお互いがくっついて固まる反応(凝集反応)のことを言います。

この凝集反応はもともと誰でも持っている抗体や補体と呼ばれる物質が赤血球と結合する反応です。

色々な原因によって凝集反応が過剰になることによって病状が発現されるものを寒冷凝集素症と呼びます。

人間では感染やある種の腫瘍を起こした場合、寒冷い地域でみられる症状です。

犬の場合は原因があまりよく分かっておらず、犬種によっての差もおそらくあるのだとは個人的には思いますが、今のところはそういった研究もされてはいません。

寒冷凝集素症の症状は?

血管内の赤血球が凝集する際に現れる抗体や補体は様々な免疫反応を起こします。

隣接している血管の壁に炎症をもたらし血管炎を起こしたり、血液自身が溶血したり、また凝集した血液そのものが血管につまり抹消の血管の循環不全を起こしたりもします。

こういった一連の凝集反応により、末端の血管が多くある指先や耳の皮膚の循環障害を起こし皮膚炎もしくは皮膚の脱落を起こしていきます。

犬では特耳に症状が多くみられ、強いかゆみとともに脱毛や耳の辺縁に厚いかさぶたがよく見られます。

辺縁のかさぶたの下では血管が破損し出血が多くみられます。

耳の出血は中々止まらないため、自宅での管理もままならないこともよくあります。

また重度の血流障害を起こしている個所では、耳がどんどん壊死していき、部分的に欠損するようなことも見られます。

この病気を起こした犬は夏場でも症状が発生しますし、保温をしっかり行っていても進行を止めることが出来ないので、一度症状がみられるとその治療は非常に困難です。

治療法は?

一般的な治療法は、患部にステロイドを含んだ軟膏を塗りこみよくマッサージしてもらうことが多いと思います。

また、内服としてステロイドや免疫抑制剤などを服用するケースもあります。

ですが、一度欠けてしまった犬の耳は再生することはありません。

基本的には進行を抑え、出血がない状況を維持するのが治療の目的となります。

また、最近ではコラーゲン療法もいい成績が出ているといわれています。

加水分解など特殊な加工をしたコラーゲンを摂取することにより、副作用なく病状を管理することが出来るようになったと報告されているため、ぼく個人としてはよく使用しています。

予防法などはないため、とにかくミニチュアダックスなどの好発犬種を飼われていたら、特に冬場などは耳の先端などたまに観察しておいた方がいいと思います。

先ほど書いた通り、耳は再生しませんので、早期発見、早期治療が一番の対応法だと思います。

まとめ

セカンドセレクトではこういった免疫疾患の治療にも多くの経験があります。

もしご自宅の犬に何か気になることがあったらいつでもご相談ください。

飼っている犬の耳の先が欠けた!出血が止まらない!壊死した!!往診動物病院で対応します。

2018-12-18

腫瘍と一口に言っても色々な腫瘍があります。

良性の腫瘍から悪性度の高いもの、またできた場所によって良性だったとしても非常に厄介なものまでいろいろあります。

特に口の中の腫瘍については、よく目立つうえに、悪性度の高い腫瘍ばかりなので、獣医師としても非常に気を遣う場面に遭遇することも多くあります。

そんな口の中の腫瘍でも、一番飼い主様からご質問が多い腫瘍と言えば「エプリース」というものです。

良性の腫瘍なのですが、見た目が非常に悪性のよう見えるため、飼い主様の不安もかなりなものだと思います。

今回はそんなエプリースについてご説明したいと思います。

エプリースっていったい何?

エプリースとは歯茎にできる良性の腫瘍です。

歯茎に色々な場所に発生するので、歯茎の奥の方にできているときには、飼い主様も気づかないこともよくあります。

エプリースは良性の腫瘍と言いつつも、歯肉炎やかみ合わせによって歯が当たるようなところにできやすいので、炎症性の肉芽のような存在です。

色は通常他の歯茎の色と変わらず、また表面もつるっと滑らかで硬いことが多いと思います。

大型犬では割と大きくなることもあり、エプリースによっては自体が完全に隠れてしまうほど大きくなることもあります。

またできた場所によっては出血もしやすく、たまにシーツやタオルなどに薄く出血の跡がつくこともあります。

基本的には病理検査によって診断がつくのですが、経験のある獣医師であれば、見た目で何となく判断がつくものだと思います。

エプリースの治療法は?放っておいてもいい?

エプリースの治療法は基本的に外科的な切除になります。

良性の腫瘍と言いつつも、口の中の腫瘍は外科的な切除がかなり大変です。

膨らんでいる腫瘍の部分だけでなく正常な歯茎もある程度えぐらないといけません。

問題なのは歯茎は伸縮性のない組織なので、えぐったらえぐったままで再生を待つしかありません。

また歯茎ではなく歯槽骨と呼ばれる歯の根から発生している場合もあるので、抜歯も必要なことも多くあります。

これは個人的な意見になるのですが、エプリースは良性の腫瘍の中でも切除がとても大変で、その割には切除後に得られる恩恵があまりないように思えるので、いつもお勧めはしていません。

そのまま温存して様子を見ていても、とうのペットたちの様子はいたって変わりませんので、基本的には手術をしなくてもいいと思います。

赤く血が出ていても、あまり投薬も必要ありませんので、それほど心配する必要もありません。

まとめ

口の中の腫瘍というのは、本当によくないものが多いと思います。

エプリースのような良性の腫瘍を含めてですが、それを治療しようとするとかなり大変だと思います。

その分、何か口の中にできたときには、飼い主様のご心配も非常に大きいものになるのも当然です。

もし飼っているペットの口の中に何かできもが見つかったら・・・いつでもお気兼ねなくご相談下さい。

2018-12-15

ぼくが中学生のころには「エイズ」という病気が初めて聞かれるようになりました。

今では知らない人はいないだろうと思われるぐらい認知度の高い病気になりました。

治ることのない病気であること、進行が緩やかですがその末期の姿が非常に衝撃的な姿になるため、よりその知名度は高いものとなったのだと思います。

人間以外でもエイズを引き起こすウイルスはあり、よく知られているのが猫と猿のエイズです。

このうち動物病院では猫のエイズに関しては比較的よく遭遇する症例です。

今回は猫免疫不全ウイルスであるFIV、通称ネコエイズについてご説明したいと思います。

猫のエイズってどんな病気?

猫のエイズは人のエイズと同様、ウイルスにかかった猫の免疫力が著しく低下し、衰弱していく病気です。

ぼくは他の記事でも書いたことがありますが、猫のエイズワクチンの治験に参加していたこともあり、多くのエイズに感染した猫と出会ったことがあります。

20年ぐらい前には猿や猫のエイズの研究は人間のエイズの研究に役に立つだろうということで、色々な研究機関で調査が進められていました。

今ではあまり行われていないと聞いています。

理由としては人間のエイズに比べると、猿のエイズは非常に進行が速く、猫のエイズは非常に進行が遅いため、あまり人間のモデルにならないというのがその理由の一つです。

そういうわけで、猫のエイズはあまり発症せず、一生を全うすることが多いと思います。

外見上では普通の猫とエイズに感染した猫の見分けをすることはできません。

感染する経路は猫同士の喧嘩などと言われていますが、猫のエイズウイルスはもともとウイルス自体の抵抗力も弱く、伝搬力もあまりないため、咬傷による感染はあまり起こらないとされています。

ほとんどの場合、猫のエイズは母子感染によるものが多く、たいてい仔猫の時期からエイズのキャリアとなっています。

若い時にエイズの最終段階になることはなく、たいていは10歳を超えたあたりで何らかの兆候が出てきます。

多くの場合は難治性の鼻炎、口内炎を患い、食欲が低下していきます。

猫のエイズは人間のエイズを参考にしたステージに分かれていますが、ステージは一方方向でなく、体調がすぐれない時には何らかの支持療法を行うと持ち直すことも多くあります。

そうやって段々と年を取って行って、老衰かエイズの発症なのか区別がつかない感じで天命を全うしていけることが多いと思います。

なぜ治らない?

エイズは治らないというのは大体の皆様がご存知のことだと思います。

その理由は?と言われれば正確に説明できることができないと思います。

エイズが治らない理由は、猫の細胞のの中遺伝子の中にエイズウイルスの遺伝子が組み込まれてしまうからです。

こういったウイルスはその他にも白血病ウイルスが有名であり、白血病ウイルスも一度感染が成立すると治癒が見込めない病気の一つになります。

エイズウイルスは猫の遺伝子の中に組み込まれた後、感染した猫の色々な免疫の仕組みを使って数年以上の間、休眠状態になります。

この休眠状態のときに何かの方法を使ってウイルスの遺伝子が入り込んでしまった細胞を消滅させることができるのであれば、治癒は可能だと思いますが、現時点では休眠状態をいかに長くするかという治療法がメインの方法です。

そして休眠状態であったとしても、感染した細胞が分裂をして増えていくときには、ウイルスの遺伝子も一緒に複写され増加していくので、症状は緩慢に進行していきます。

休眠状態から覚めると急激に感染が拡大します。

この感染が拡大しているときに症状が出ることが多く、いかに感染の拡大を防いでいくのかが次の治療の目的になります。

どちらにせよ、こういったエイズウイルスの増殖を完全に抑える方法はないため、人間でも様々な国で問題になっているというわけです。

自宅の猫がエイズだったら・・・

かなり雑な言い方にはなりますが、自宅の猫にエイズという診断が下ったとしても、それほど悲観することはないと思います。

進行は非常に緩やかに進み、いずれ口内炎や鼻炎で悩むことになるかもしれませんが、それはエイズに感染していない猫でもよくみられる病気です。

エイズという病気が存在しようがなかろうが、難治性であることが多く、治療の方法はあまり変わりません。

また多頭飼育の場合でもそれほど悲観的になることはないと思います。

数年普通に生活させていても、他の猫に感染する可能性はかなり低いからです。

最近では猫のエイズのワクチンが(やっと)市販に流通し始めたので、そういったワクチンを接種することによって予防するといいと思います。

まとめ

最近では人間のエイズでもニュースでもあまり見ることがなくなりました。

猫ではほぼ地域猫にしか感染が見られないとされていますが、ある統計では地域猫の約3%の感染率だと言われています。

基本的に外猫でなければあまり感染に関しては気にしなくてもいい病気です。

ただ、この記事ではあまりエイズは怖くない病気のようには書いてありますが、実際には感染したエイズの種類(株)によって症状の進行は異なります。

どんな病気であっても病気は病気です。

ご自宅にエイズに感染した猫のいる飼い主にとっては心配の種は尽きないと思います。

もしこの記事を読んで、このあたりどうなんだろう・・・ということがあったら是非セカンドセレクトにご相談ください。

ぼく自身は、猫のエイズに関してはマニアに近い知識と経験がありますので、何かしらのご相談には乗らせていただくことができると思います。

2018-12-09

ぼくはもともと大学の時にはいわいる動物のお医者さんには興味がなく、研究職を目指して基礎系の研究室で勉強をしていました。

ぼくが通っていた研究室は主にウイルス性の疾患を主に研究しているところです。

ぼく自身は猫エイズのワクチンの治験に参加しながら、猫のエイズや免疫学についての勉強を行っていたのですが、他にも猫伝染性腹膜炎のワクチン研究が同じ研究室で行われていました。

猫の3大ウイルス疾患といって、猫の白血病、猫のエイズ、そして猫伝染性腹膜炎は治癒させれることができない病気として知られており、そのうち猫伝染性腹膜炎はもっとも厄介なウイルス疾患と言われています。

研究室に通っていたころは猫伝染性腹膜炎が臨床現場においてもそれほど厄介なものとは思っていなかったのですが、いざ動物病院で診察をしているとかなり深刻な状況だということを強く感じています。

今回の記事ではこの猫伝染性腹膜炎についてご説明したいと思います。

猫伝染性腹膜炎とは?

猫伝染性腹膜炎は猫伝染性腹膜炎ウイルス、略してFIPウイルスの感染によって引き起こされる一連の疾患です。

症状から、腹水や胸水が溜まるウエットタイプと胸水などが見られないドライタイプに分けられるなどと言われていますが、個人的にはこれはあまり正しくないと思っています。

(ぼくの大学時代は動物実験に対してのリテラシーが今とだいぶと違っていたので、それがいいのか悪いのかは別にして・・)研究室の中で実験的に感染させられた多くの猫たちを見てきた経験と、長い間に臨床の現場で猫伝染性腹膜炎を引き起こした猫たちを見ていると、多くの場合はウエットタイプとドライタイプの混合タイプと、純粋なドライタイプに分かれるというのがぼくの意見です。

猫伝染性腹膜炎ウイルスは猫の免疫系統を狂わせる特徴があり、その結果として様々な症状がみられるようになります。

どちらのタイプの猫でも発熱が見られ、食欲不振、元気はありません。

腹膜炎を起こすことが多いのですが、感染性ではないので痛みはなく、下痢はそれほど頻発というわけでもなく、ただただだるそうにしているのが共通して言える症状だと思います。

特徴的な症状は腹水が見られるということなのですが、見られないか、もしくはごく少量の場合もあり、かなり末期にならないと猫伝染性腹膜炎だと断定できないこともあります。

大学時代からの長きにわたる経験則から、セカンドセレクトでは以下のような症状が見られたら、猫伝染性腹膜炎を強く疑っています。

元気や食欲がなく、体重の減少が見られ、血液検査上では腎臓や肝臓などに特に原因と思われるような異常が見られない猫の中で・・・

  • 濃い黄色のとろみのある腹水や胸水が見られる。
  • くしゃみや鼻水も見られないが、持続的な発熱が見られる。
  • 血液検査総蛋白の値が非常に高い
  • 肝臓の血液検査の値は正常なのにもかかわらず、黄疸が軽度に出始めている
  • 発熱が貧血とともにみられる
  • コロナウイルスの抗体価がそれなりに高い

またまれにはなるのですが、腹水は全く見られないのですが、後肢麻痺や攻撃的な性格にかわってしまうという神経症状もみられることがあります。

もちろんそれ以外にも当てはまる項目はあるのですが、こういった症状があった場合は慎重に対応していきます。

なぜ厄介なのか・・

猫伝染性腹膜炎が厄介なところは、今のところ診断方法、予防法、治療法がないということです。

予防法や治療法がない病気は世の中にいっぱいあるのですが、診断方法もないというのは病気の中でもまれなものだと思います。

診断方法がないということをもう少し具体的に言うのであれば、FIPウイルスとFIPウイルスの兄弟関係にある病原性の非常に弱い猫コロナウイルスと区別がつかないというところです。

この2つのウイルスは動物病院で行える抗体検査では区別は全くつかないうえ、遺伝子レベルの違いもまたく区別がつきません。

一方で猫伝染性腹膜炎にかかっていたであろう猫から分離したFIPウイルスを他の猫に感染させても、猫伝染性腹膜炎を発症しないこともあります。

さらに仔猫のころから飼い始め、一度も他の猫との接触はないのにもかかわらず、4,5歳になっていきなり発症したというケースもあります。

したがって、猫伝染性腹膜炎を発症するのがウイルス側の特性なのか、猫の体質の問題なのかすらもよくわかっていなのです。

臨床現場で一番難しいことは、猫伝染性腹膜炎の検査は血液の抗体価を計測して行うのですが、8割の猫がもともと病原性の弱い猫コロナウイルスに対しての抗体を持っているため、検査をするとほとんどの猫に陽性もしくは擬陽性の判定が出てくることです。

その時点で猫伝染性腹膜炎の特徴的な症状があれば診断はしやすいのですが、自覚症状に乏しい場合、診断がつかないとため、飼い主様に不要な不安を長く抱かせないといけないということです。

飼い主様によっては数年の間、ずっと検査を定期的に行っていた方もいらっしゃいました。

一般的な余命としては発症が見つかってから60日から90日程度であることが多いので、もし抗体価が高かったとしても3か月以上無症状であれば、後は経過観察でいいと思っています。

セカンドセレクトでの治療法

よく飼い主様に「腹水を抜いた方がいいですか?」と聞かれることがあります。

基本的には腹水を抜く必要はあまりないと思います。

ただ、腹水の量が多くなると少し便が緩くなる傾向があるのと、体力が弱ってきた猫はお腹が重いので極端に動きが悪くなります。

こういった時には腹水を抜くことを提案します。

また腹水が溜まっていると、補液などを敬遠する飼い主様もいらっしゃいますが、状況に応じては皮下補液は有効な治療になると思います。

猫伝染性腹膜炎の腹水は感染や循環不全を起こして溜まるわけではなく、免疫異常からくるものです。

心臓や腎臓などの循環器は全く問題がないことがほとんどなので、皮下補液はむしろ頻回に行った方が、脱水の抑制にはなると思います。

猫伝染性腹膜炎にて起こる免疫異常を鎮めるためのステロイドを使用すると幾分体調は整いやすくなります。

ウイルス性の疾患だとインターフェロンを使用するのがセオリーなのですが、個人的には効果はあまり感じられず、値段も高いのであまり使用はしません。

いずれにしても完全治癒することはなく、緩やかに状態は低下していくので、猫の状況を見て負担がならないような治療を検討するのが猫にとっても誠実な治療になると思います。

ちなみにコロナウイルスは消毒薬などの耐性が弱いため、水洗いだけでもウイルスは失活してしまいます。

まとめ

そこにそういった病気が確実にあるのにもかかわらず、あることを証明できないというのはかなり奇妙な話ですが、多くの飼い主様、そして当の猫たちがこの病気によって苦しんでいることは事実です。

セカンドセレクトではそういった不治の病を患った動物たちの治療を今後ともできる限りサポートしていきたいと思っています。

往診などできる限り負担のならないような治療も可能ですので、なにか気になることがあればいつでもご連絡ください。

2018-12-07

飽食の時代と言われて久しい日本社会。

ペットの食事も栄養価に富み、嗜好性も非常に向上したため、今の日本人と同じような問題が色々出ています。

高脂血症、塩分過多・・・結果として出てくる病気も、人間のものとほとんど変わりません。

そんな病気の中でもあまり自覚症状がなく、また簡易的な検査で判明する病気としては尿路結石があげられます。

年齢、品種を問わず、犬や猫、ウサギになどにもよくみられる疾患です。

犬や猫の尿路結石の場合、一般的な治療法としては食事療法などがあげられますが、どの食事を与えればいいのか?本当にその効果があるのか?など不安に思われる飼い主様も多くいらっしゃいます。

今回の記事ではこういった食事の説明も含めた尿路結石についてご説明したいと思います。

尿路結石はなぜできる?

一般的に尿路結石の主成分は食事由来のものになります。

尿路結石の種類によって結石の核となる成分は異なるのですが、代表的なものはマグネシウムやリン、カルシウムと言ったミネラル成分になります。

これらの成分は体にとって不必要なのかと言われればそうではなく、体を構成するための大切な栄養源です。

こういった成分が過剰に入っているような食事、もしくは必要以上に食事の量を与えていると尿路結石が見られやすくなると考えられているのですが、適切な食事の内容、量を与えていたとしても尿路結石が見つかってしまったという場合がほとんどです。

同じ家で飼われている犬や猫でも、同じ食事、同じ量を与えていたとしても結石が見つかる仔と、見つからない仔がいることはよくあります。

結局のところはよくわかっていないのですが、食べた食事を代謝していく過程で、おそらくは完全な状態まで分解できず、途中段階で排泄されてしまうため尿路結石ができやすいのではと考えられています。

こういった体質を測定する方法は今のところありません。

まれに病的な原因で尿路結石が出てくる場合もあるのですが、そのほとんどは病的なものではなく、いわば太りやすいのか太りにくいかというものと同じレベルの体質の問題だと思います。

したがってどのペットが尿路結石になりやすいのかということを事前に知るすべはないので、心配な方は定期的に尿検査を行って観察していくほか今のところありません。

尿路結石の症状

尿検査を行うと、意外と多くのペットに尿路結石が見られます。

ペットの尿検査は大概の場合、膀胱炎など何かしらの尿の異常が見られたときに行うか、健康診断の一環として行うことがほとんどで、尿路結石が見つかるのはほとんどの場合「たまたま」見つかります。

尿路結石があったとしても自覚症状はほとんどない場合が多く、尿路結石が原因で何かしらの症状が出る場合は、膀胱結石として膀胱内に大きな結石ができるか、もしくはオス犬やオス猫の陰茎に尿道閉塞を起こすかどちらかです。

尿路結石があると雑菌が繁殖しやすくなるので膀胱炎にはなりやすいとは言われますが、尿路結石がない犬や猫でも膀胱炎はよく見られます。

個人的には膀胱内の環境がもともとよくない犬や猫は膀胱炎にもなりやすいし、結果として尿路結石も見つかりやすいのだと思います。

食事療法は必要?

基本的には必要だと思います。

尿路結石の原因はほぼ体質です。

残念ながら体質を治すことはできません。

したがって尿路結石に核となりやすいミネラル成分を可能な限り抑えた療法食を食べさせるのが、結果としては一番無難な方法だと思います。

ただ療法食にした時の問題点もいくつかあります。

一つ目は嗜好性の問題です。

特に猫で多いのですが、尿路結石用の療法食をなかなか食べてくれないという飼い主様も多くいらっしゃいます。

特に多頭飼育している猫の場合は処方食を特定の仔に与えるのは確かに非常に困難だと思います。

今では各メーカーから色々な種類の味が出ているので、幸運にもどれか食べてくれればいいのですが、必ずしもそうだとは限りません。

そういった場合は、セカンドセレクトではサプリメントで代用をしていただくケースもありますのでご相談ください。

またほかの問題点としては、併発疾患があった場合、尿路結石用の食事を与えにくい時もあります。

ここ数年でアレルギー体質をもった犬や体重管理も同時に行えるような尿路結石用の食事も出ているのですが、腎不全を起こしている場合や、脂質を必要以上になくしたい場合などは尿路結石用の食事は選択しにくくなります。

このような場合、セカンドセレクトでは尿路結石による健康のリスクがどれくらいあるのかを検討し、どの処方食を与えるか、場合によっては手作りの食事を検討するべきかなどをご相談させていただいています。

また、尿路結石もその時々によって見つかるときもあれば、見つからない時もあります。

個人的には1回の検査で尿路結石が見つかったとしても、すぐに尿路結石用の食事に切り替える必要はあまりないと思っています。

食事の問題はたかが食事と思われますが、されど食事です。

特に毎日のことですので、そのコストも考え、もっとも効率がよく、かつぺっとも喜んで食べてくれる食事をを選んでいただきたいと思っています。

健康第一に考えるのももちろん理想ですが、がつがつとよく食べてくれる姿を見るのも飼い主い様の幸せの一つだとぼく自身は考えています。

大きな結石になったら・・・

動物の中には厳密に食事療法をおこなっても結石がなくならないこともよくあります。

こういった動物たちではしらべるといきなり膀胱内に大きな結石が出来ているケースもあります。

このような膀胱結石が見られた場合、セカンドセレクトではオスとメスで対応が若干異なります。

オスの場合は手術を最初からお勧めしています。

理由としてはある程度の大きさになった膀胱結石は突然尿道につまり尿道閉塞を起こす可能性があるからです。

一度尿道閉塞を起こすと、たびたび尿道閉塞を起こすようになり、腎臓に与える影響は非常に大きいものとなります。

一方でメスの場合は尿道が太くて短いので尿道閉塞を起こすリスクはほとんどありません。

したがって、動物の状況にもよるのですが、自覚症状があまりなければいきなり手術ではなく、ある程度長期的なスパンで食事療法を行い、自然に排泄されるのを待つもの一つの選択であることはいつも飼い主様にはお伝えしています。

手術をしても結局また膀胱内に結石が出来てしまうケースがよくあるというのもその理由の一つです。

ただし、結石の種類によっては食事療法によって結石が縮小することはないので、尿検査によって見られた結石の種類によっては手術をせざる得ない場合もあります。

手術の方法は基本的には膀胱切開を行い、膀胱内の結成を摘出するというものです。

たまに飼い主様によっては、人間で使用するような超音波粉砕機を希望される方もいらっしゃいますが、基本的には適応症例外となります。

膀胱内の結石は微小なものまで根こそぎとれる膀胱切開の手術と異なり、粉砕機では粉砕した結石を吸引して摘出します。

開腹せずに行える利点がある反面、細かな結石が残ってしまうこともあるため、また短期間で結石が見られることが多くあるからです。

超音波粉砕機は基本的にはオス犬で、かつ尿道内に結石があり、尿道閉塞を越しているようなケースが適応症例だと一般的には言われています。

まとめ

実際のところ、動物病院で取り扱っている処方食の中では尿路結石用の処方食がダントツで多いと思います。

したがって動物病院としても尿路結石用の食事はお勧めしやすい食事の一つであり、それはセカンドセレクトでも同様です。

ただ、最近では処方食は動物病院以外でも簡単に購入できますし、処方食と名を打っていなくても尿石を抑えてくれる食事も多数あります。

ぼくとしてはどこでどんな処方食を使用しても結果的に尿路結石が予防できているのであればいいと思いっているので、食事の内容についてご不安な方はいつでもご相談ください。

最後にちょっと宣伝をいれるのであれば、セカンドセレクトではたまに処方食30%OFFで販売していますので、当院のHPをたまにチェックしていただくと幸いです。

2018-12-03

ものを言わないペットの健康状態をチェックするのには、毎日の観察が必要だと思います。

食欲や元気の有り無しはもちろんなのですが、できれば定期的に体重と飲水量はしっかり見ておいた方がいいと思います。

その他、排泄の状態も重要なチェック項目になります。

特に尿の異常は割と多くの犬や猫でみられることが多く、尿量や尿の回数の異常が見られた場合、何かしらの病気にかかっていることも多くあります。

今回は尿の異常が見られる病気の中でもっともよく動物病院でみられる病気、「膀胱炎」についてご説明したいと思います。

膀胱炎の原因って?

膀胱炎の原因は様々ありますが、実際の直接的な原因を調べることはかなり難しいと思います。

特にメス犬やメス猫は尿道が太くて短く、そして直線的であるため、外界からの影響を受けやすく、ちょっとしたことでも膀胱炎になりやすいと思います。

もちろん、膀胱内に尿結石や尿結晶があると、それが核となり細菌が繁殖しやすくなり、より膀胱炎は起こりやすくなります。

また、ストレスや排泄を我慢させてしまったなどの環境的な要因も原因になる可能性はあります。

高齢な犬や猫ではたまに見られるのですが、膀胱内に腫瘍が出来ていることも多く、難治性の膀胱炎を繰り返すこともあります。

とにかく膀胱炎にはありとあらゆる可能性が考えられ、その根幹の原因が解明することはあまりなく、個人的には体質!?としか言いようがない犬や猫がほとんどではないかと思っています。

膀胱炎の症状

基本的には頻回の少量の尿になります。

膀胱炎になった動物は何度もトイレに入り、長時間かけて排尿をする割には、実際の尿量は数滴適度であることがほとんどです。

また血尿が混じることも多く、トイレのシーツに赤いしみが残ることもあります。

単純な膀胱炎であれば、排尿以外に症状が出てくることはあまりなく、食欲などは通常通りみられることがほとんどです。

もし食欲不振や吐き気など、膀胱炎のような症状とともに一緒に見られる症状があれば、単純な膀胱炎でない可能性が高いので、より慎重な対応が必要になります。

また、よくメス猫でみられるのですが、血尿だけみられ、頻尿感がまったくないこともあります。

こういった血液が混じるだけの症状の猫は、治療しても根治することがあまりなく、見た目は問題がなくても検査をすると血球が常に混じっています。

こういった場合でも、突発的に赤い尿が見られる以外はいたって健康なことが多く、たまに治療を悩まれる飼い主様や獣医師もいます。

検査はどんなことをするの?

尿の異常が見られた場合、まずは尿検査は必須となります。

尿検査のための尿は、ペットシーツなどにしみてしまうと検査はできなくなります。

犬やトイレにペットシーツを使用しているような猫の場合は採尿はそれほど難しくはありません。

一般的な尿検査であれば、一度地面についた尿でも問題なく実施できるので、散歩中に道路に排泄した尿でも構いませんし、ペットシーツを裏にしてビニール面を上にし、その上に溜まった尿を採取しても構いません。

問題は猫でトイレの砂にしか排尿をしないような場合や、多頭飼育している場合は採尿がより困難になります。

こういった場合は病院内でカテーテル採尿にて採取します。

また尿を細菌培養の検査に出す場合もカテーテルにての採尿となります。

ちなみに、メス猫の場合、カテーテルでは採尿できないと言われることがあります。

実際、今までお付き合いのあった獣医師の中でもメス猫のカテーテル採尿が出来なかった先生も割といらっしゃいました。

セカンドセレクトではオス、メス問わず採尿できますので、もし尿検査を行いたいけれど自宅では採尿できない飼い主様は、いつでもご連絡ください。

尿検査にて何かしらの異常が見つかった場合、レントゲンやエコー検査を用いて画像診断を行います。

画像診断ではより膀胱炎をおこしやすい状況なのかどうか、また症状が慢性的に続くのかどうかを推測するために行います。

また尿結晶が見られた場合も実施したほうがいいと思います。

膀胱内に大きな結石があった場合は外科的に摘出する必要があるからです。

治療は?

膀胱炎の治療は基本的にはどこの病院もあまり変わりません。

雑菌が多く含まれているようであれば抗生剤を使用し、出血が見られれば止血剤を、頻尿感が多いようであればステロイド系の薬を使用します。

特に猫の場合に多いのですが、自宅での投薬が非常に困難なケースがよく見られます。

特に抗生剤が内服に混じると、飲ませたとたんに泡をブクブクとふいてしまい、かえって元気もなくなってしまうこともあります。

数年前に膀胱炎で汎用する抗生剤で2週間持続型の注射が販売されるようになっているので、投薬の負担はかなり減らすことはできるようになりました。

また投薬時に使用する嗜好性の高いペーストも販売されるようになったため、投薬が困難な場合にはこういったものを利用するといいと思います。

ただ、治療に反応がないような難治性の膀胱炎の場合には、投薬の種類や量が多くなるため、残念ながら飼い主様の負担はまだまだ無くなることはありません。

治療してもなかなか症状が改善しない場合で、その原因が細菌性によるものであれば、尿を培養したのちに特定の抗生剤を使用します。

ある手特定の薬剤については、内服だけでなく膀胱内に直接注入することもあるので、薬の種類によって投薬の仕方は変わってきます。

また、雑菌に対する抗生剤の効能を高めるための薬剤も使用することがあります。

やや副作用があるため、それをさけたい飼い主様には、同様の効果があるサプリメントをお勧めすることもあります。

一方で雑菌があまり見られないタイプの膀胱炎の場合はステロイドの長期投与を行うこともあり、その際はステロイドの副作用を見るために、血液検査などを行いながら治療が進んでいきます。

血尿だけがなかなか治まらない場合・・・

少し前にもご説明しましたが、特にメス猫でみられる症状で、症状が血尿のみというケースがあります。

この場合、見た目の血尿は治まるのですが、持続的に出血が見られることが多く、ほとんどの場合、治療に反応せず完治に至りません。

セカンドセレクトでは、基本的に症状が強いときのみ投薬をお勧めしますが、あまり継続した治療は行わないようにしています。

もちろん、食事療法程度は行いますが、その症状で動物の生活の質が落ちることはほとんどないため、持続的に症状が見られたとしても、あまり心配することはないと個人的には思います。

まとめ

動物と一緒に生活するうえで、尿の異常は飼い主様の生活にも直接関係してくることが多いと思います。

もちろん動物たちの病気を治すことが獣医師の役目ではあるのですが、それに伴う飼い主様の生活の質を向上させることも獣医師の役目だと思っています。

もしご自宅にいるペットの排尿の様子がいつもと違うぞと感じたら・・・いつでもお気兼ねなくご連絡ください。

2018-11-27

人間の子供もそうですが、幼い個体は大人の個体よりワクチンの重要性がより高いものになります。

ただ免疫力が低く、か弱い個体を色々な病原菌のいる病院に連れて行ってワクチンを接種するというのも、少し考えてみるとかなり相反するものになります。

仔犬の飼い始めに気を付けるひとつのアドバイスとして、散歩はワクチン接種が終わってからというのはよく聞かれることなのですが、散歩はだめで動物病院に行くのはいいの?なんて、獣医師という立場にいながら少し矛盾を感じてしまいます。

今回はそんな矛盾を解決する方法として、仔犬のワクチン接種はぜひ往診でというのが今回の記事のテーマになります。

実際にご自宅にお伺いしたお宅での流れを例に、セカンドセレクトのワクチンプログラムをご紹介したいと思います。

【実際の往診風景】初年度のワクチン接種こそ往診でうけよう!セカンドセレクトからペットを飼い始めた飼い主様へ提案。

結局混合ワクチンは何種がいいの?

一般的な犬の混合ワクチンの場合、コアワクチンと言われる3種ワクチンが必須のワクチンと言われています。

コアワクチンに他の病原体のワクチンも混合したものを使用するのが一般的な動物病院で、5種、6種、8種、9種など混合されているワクチンの種類は各ワクチンメーカーから色々出ています。

どのワクチンを使用するのかというのは、飼育されている地域によっても異なるのですが、セカンドセレクトがある関東近郊で話すのであれば、5種で基本的には十分だと考えています。

ぼくが獣医師になりたての頃は、5種ではなくコロナウイルスも予防できる6種が主流だったのですが、ワクチンの予防効果が実証されなかったため、数年前からコロナウイルスのワクチンを抜いたものが推奨されています。

8種や9種の混合ワクチンに入っているレプトスピラという病気については、関東近郊ではまず感染する可能性はほぼないため、地方に出かける前、特にレプトスピラの発生が報告されているような都道府県でキャンプなどをする前に、レプトスピラのみのワクチンを接種することをお勧めしています。

診察の流れとご料金について

セカンドセレクトで往診をご依頼される場合は、まずメールかお電話にてご予約をいただくことから始まります。

基本的には12:30~15:30、もしくは18:30~が往診のご対応時間となります。

特にワクチン接種の場合はお昼の時間帯に摂取することをお勧めしていますので、12:30~15:30の時間帯で候補日をいくつか伝えていただくととても助かります。

自宅に到着後、体重測定と検温、そして検診をさせていただいたのちにワクチンを接種します。

所要時間はおおよそ5分ぐらいです。

ちなみに往診料は練馬区東大泉から車で30分程度までは無料となります。

初診登録料は3000円になります。

5種のワクチン接種は5000円、レプトスピラ単味のワクチンは3000円になります。

詳しくは当院の料金表のページをご参考にしてください。

診療料金

ワクチンプログラムの実際

初年度のワクチン接種は2回がいいのか、3回がいいのか、これもいろいろ悩まれるところだと思います。

ぼく自身は実際に動物用ワクチンの臨床試験にもかかわっていたこともあり、わりとこのあたりの知識は普通の獣医師よりも長けて、個人的な意見も多々あります。

話すと長くなるので結論だけのせておくと、初回のワクチンが生後2か月で摂取した場合は3回、生後3か月以降で初回のワクチンを接種するのであれば2回で十分だと思います。

またその後は、獣医師によって1年に1回とは言う人もいれば、3年に1回でもいいと言う人もいます。

確かにワクチンの使用説明書には1年とも3年とも明記されておらず、実際には獣医師に判断ということになります。

一言だけ言えるのは、ワクチンの有効期間は3年というのは保証されているものではなく、通常はワクチンの抗体価がしっかりあるかどうかを検査してワクチンの接種時期を決めるのが理想です。

以前に比べるとワクチンの抗体価を調べる検査はかなり簡易的にできるのですが、それでもやや時間がかかることもあるので、結局のところ慣例通り1年に1回ワクチンを接種する飼い主様が最も多いと思います。

ワクチン接種ぐらいでそれほど煩雑にしたくないというのが大多数の意見だと思います。

セカンドセレクトでは何かしらの疾患を患っていたり、高齢でかなり食欲も減退し、あまり外にも連れていかなくなったような場合にはワクチン接種を積極的にはお勧めしていません。

もしそれでもワクチン接種をせざる得ない状況の場合は、上記のワクチンの抗体価を調べることをお勧めしています。

ご自宅でワクチン接種をするべきかどうかお悩みの時にはぜひご相談ください。

まとめ

大げさな話かもしれませんが、初年度のワクチン接種はその犬の健康状態を大きく左右するものだと思います。

逆に言えば最も感染を引き起こしやすい状況でもあるので、ご自宅にてワクチンを接種することが最も理にかなった方法だと思います。

今回の記事を読んでいただいた飼い主様の中で、ちょっと興味がわいたという方は、いつでもお気軽にご連絡ください。