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2018-07-23

犬や猫の日ごろのお手入れとしては、耳掃除、爪切り、肛門腺絞りや歯磨きなどがあげられます。

恥ずかしながら、ぼくは獣医師として診察を行うまで、肛門腺というものの存在を知りませんでした。

肛門腺は独特のにおいがする分泌腺ですが、獣医師になりたての頃はこれがうまく絞れず、先輩の獣医師や看護師さんに叱られていたのを今でも思い出します。

ところでこの肛門腺ですが、たまに炎症を起こしたり、膿んだりすることがあります。

やけにお尻をよく舐めているなと思ってみたら、お尻のわきが赤く腫れあがっていることに気づき、急いで病院にやってくる飼い主様も多くらっしゃいます。

今回はよく見かける肛門腺の病気、肛門嚢炎・肛門周囲瘻についてご説明したいと思います。

そもそも肛門腺って何?

昔のぼくも含めてなのですが、動物を飼いたてもしくはあまり病院に連れて行ったことがない飼い主様にはあまりなじみのない言葉かもしれません。

一般的は肛門腺というのは、肛門嚢と呼ばれる肛門のわきにある分泌腺とそれをためている嚢上のものだと言われています。

物の名前はあまり重要でないのかもしれませんが、肛門腺というとあたかも肛門の分泌腺の様に思えますが、基本的には消化器官とは全く関係なく、獣医学的には肛門の脇のくぼみという位置づけになります。

正式名称は肛門傍洞と言うそうです。

人でも肛門傍洞は存在するのですが、動物ほど窪んではいません。

犬や猫の場合は窪みが袋状になっており、そこに独特の匂いが出る分泌物が溜まっていきます。

この肛門傍洞がもっとも発達した動物がスカンクで、よく敵を撃退するためのにおいをおならとして出すと言われていますが、おならではなく肛門傍洞にたまった分泌腺をおならのように出しているのです。

肛門嚢炎の症状

肛門嚢が炎症をおこすと、肛門嚢そのものが腫れあがり、その炎症が外側の皮膚にも波及して、赤みがかかったものになります。

動物はひどい掻痒感か、まれに疼痛を感じることもあり、食欲不振を引き起こすケースもあります。

腫れはそのうちに皮下に膿瘍を形成し、皮膚が赤黒く変色したあと自壊して中から膿が出てきます。

このあたりの時点で異変に気付く飼い主様がほとんどです。

中には夜気づき、慌てて救急病院に駆け込む飼い主様もいらっしゃいますが、命に影響することはありません。

排膿はしばらくすると落ち着きますが、動物は触られるのをひどく嫌がることが多く、自宅で消毒はなかなか困難かもしれませんので、翌朝にでもご来院してもらえれば構いません。

原因は?

よくあるのが肛門腺を定期的にしぼらないと起こると言われていますが、あまり関係はありません。

人間の場合でも犬や猫と同じ症状を起こすことがあり、痔瘻と呼ばれています。

ぼくは経験がないのですが、痔瘻は激しい痛みが伴うようで、最初は痔だと思い肛門科に行く方が多いそうです。

医学的には痔瘻は何かしらの免疫不全と考えられるケースもあり、クローン病などの膠原病の前駆症状である場合があるため、そういった検査を行う専門科を紹介されることもあります。

犬や猫では詳しくはわかっていないのですが、自己免疫が絡んでいると考えられており、炎症産物が持続的に肛門嚢内に発生していることで起こると推測されています。

犬では年齢を問わず発生し、特に多いのが普段から軟便が多いタイプや、もともとアレルギー性の疾患を持っているような犬がよく発生します。

ネコの場合はほとんどの場合、高齢になってから発症します。

肛門嚢炎の治療法

治療法は内科的な治療法と外科手術を用いる方法とがあります。

内科的な方法とは、主として消毒と抗生剤や消炎剤を注射または内服で使用して行います。

気づいたときには犬や猫がほとんど膿を舐め切ってしまっている場合もあるのですが、お尻の脇にできた穴は意外と深く、内部までしっかりと消毒しないとだめなケースもあります。

また膨らんで赤くなってい入るものの、皮膚に穴が開いていない場合には、針などで切開して排膿させる必要があります。

排膿が終われば、空いた穴は自然とふさがります。

順調であれば1週間から2週間ほどで治癒することがほとんどです。

肛門腺のトラブルで厄介なケースとして、肛門傍洞には炎症が強く起きているのにかかわらず、肛門嚢自体がしっかりと残っている場合は症状が持続的に続きます。

抗生剤をいくら使用しても内部をしっかりと洗浄できないため、血膿が肛門から出続け、強い臭いが常に出てくるので、飼い主様にとってかなりの大問題になります。

以前はこのようなケースはまめに分泌腺を搾り取り、とにかく消毒するしかありませんでした。

最近では本来外耳炎で使用する外用薬ですが、こういった症状をしっかりとおさえてくれる薬剤が出てきており、簡単に鎮静化させることが出来るようになりました

外科的な方法を用いるときは、たびたび再発するケースなどがあげられます。

全身麻酔を用いて行うため、動物の状況次第では手術が行えない場合もありますし、特に犬で多いのですが、肛門のしまりが悪くなる動物もいるため、初発から望まれる飼い主様はあまり多くはありません。

ですが、頻繁に再発を繰り返すようであれば、唯一の根治治療となるため、選択肢の一つにはいれておいても良いと思います。

まとめ

肛門嚢炎は命にかかわることはありませんが、意外と厄介な病気です。

特に高齢の猫などではかなり痛がる猫もいるので、見るのもつらいと訴える飼い主様も多くいらっしゃいます。

飼ってらっしゃるペットのお尻をふと見たとき、腫れてるかも!?と思ったら、いつでもお気軽にご相談ください。

2018-07-18

生き物の血液の中には血球細胞成分以外にもいろいろな成分が含まれています。

細胞のエネルギー源になるブドウ糖やナトリウムやカリウムといった電解質、他にもミネラルやコレステロール、細胞からでる老廃物など様々な物質が血液を介して細胞間を行き交っています。

そんな物質の中で重要な役割を担っているもの一つとしてあげられるのが、たんぱく質です。

たんぱく質は体の筋肉などを構成する重要な役割を担っているほか、免疫物質やホルモンなど、様々に形を変えて血液中に存在しています。

血液中にあるたんぱく質の役割の一つとして、血液の濃度を一定に保つということがあげられます。

低たんぱく血症に陥った動物はしばしば血液内の液体成分が血管以外に漏出し、腹水やむくみなどを引き起こします。

これは体にとってかなり致命的な症状となりるので、特定の病気以外で自然発生的に血液のたんぱく質の濃度が下がることはありません。

今回はそんな低たんぱく血症を引き起こす病気の中の一つ、たんぱく漏出性腸炎についてご説明したいと思います。

たんぱく漏出性腸炎は病名ではない!?

たんぱく漏出性腸炎は腸管内にタンパク質が漏出する腸炎の総称です。

特にアルブミンと言われる栄養タンパクが重度に喪失される症状の名前であり、その原因となる基礎疾患が存在しています。

たんぱくが腸管内に漏出する原因は大きく分けて2つあります。

1つ目は非常に強い炎症が腸内に持続的に発生している場合です。

血管にはもともと小さいな穴が開いており、ある程度の質量の小さな物質はある程度自由に移動することが出来ます。

炎症が起こるとこの小さな血管の穴は広がり、比較的質量の大きな物質も通れるようになります。

アルブミンタンパクはもともと質量の大きい物質で、普段は血管の穴を通過することはできません。

炎症がひどくなり、血管の穴が持続的に拡大することによりアルブミンが血管内から腸内に漏出していきます。

この場合は腸粘膜に重度の炎症を起こす疾患、アレルギー性の疾患や自己免疫不全からくるような疾患が原因となります。

もう一つの原因はリンパ管が拡張していることによっておこります。

腸内のリンパ管はおもに脂肪の吸収などを担っているのですが、リンパ管内にも多くのタンパク質を含んでいます。

リンパ管の開口部が何らかの原因で拡張するとリンパ管内からたんぱく質が腸内に漏出します。

これをリンパ管開存症といい、多くの場合リンパ腫などの腫瘍の存在が原因となります。

症状は?

たんぱく漏出性腸炎の症状は慢性的な下痢が主症状です。

最初は下痢が続く程度ですが、症状が長期化するにつれて食欲不振と体重減少が目立つようになります。

また出血が伴うような下痢も起こっている場合には、貧血を起こすこともあります。

強い炎症なのか腫瘍性のものなのか、その原因によって症状の重さは少し異なりますが、長期的な低たんぱく血症が続くと腹水がたまり始めることもあります。

たんぱく漏出性腸炎の検査

たんぱく漏出性腸炎は慢性的な下痢に加え、血液検査にて低アルブミンタンパクが特徴的にみられるため、診断は割と簡単につけることが出来ます。

加えて、エコー検査にて腸の粘膜層に特徴的な像が得られるかどうかで、炎症性のものか腫瘍性のものか仮診断をつけることが可能です。

ただし原因の特定、確定診断を行うためには腸粘膜を一部採取し、病理検査を行うことが必要です。

治療法と内視鏡の必要性

病理検査を行うにあたり、最も一般的な方法は内視鏡になります。

一番正確な診断を行うには開腹し腸の全層検査が必要ですが、腸自体を切除する必要があるため、リスクが高い検査となり、あまり積極的には行いません。

内視鏡での検査は腸の粘膜面のみしか採取できないため、たまに腫瘍の存在を明らかにしきることができないこともありますが、動物に与える影響はかなり低く抑えることが出来ます。

獣医師として悩みどころなのは、この内視鏡の検査をいつの時期に行うべきかということです。

内視鏡検査は影響が少ないと言いつつも全身麻酔を使用します。

低たんぱく血症を起こし、一般的な状態が低下している中で全身麻酔を使用することは思わぬリスクを招くこともあります。

獣医師によっては内視鏡による病理検査のタイミングは非常に異なります。

個人的な意見では、まず症状が軽い症例であれば、簡単な整腸剤を低脂肪食を主体とした食事療法を2か月程度行います。

それでも症状の改善がなければ、第一選択薬としてステロイド剤を使用します。

ステロイドを1週間から2週間しようしても症状の改善がない、もしくはステロイドの使用量が重大な副作用を引き起こす可能性がある量でしか維持が出来ない場合に、内視鏡検査を行うようお勧めしています。

たんぱく漏出性腸炎が炎症性であっても腫瘍性であっても、どちらにせよ最初の段階ではステロイドが一般的な治療薬であり、初期治療はあまり変わらないからです。

ただしステロイドによる治療が破たんし、次の治療に移行する場合はできれば原因が判明していた方がいいと思います。

炎症性であれば免疫抑制剤を、腫瘍性であれば抗がん剤を使用するなどの選択に差が出てるからです。

まとめ

どちらにせよ、たんぱく漏出性腸炎は生涯にわたる投薬が必要なのと、場合によっては予後がとても悪いケースもあります。

セカンドセレクトでは内視鏡検査は2次診療の動物病院を利用していますが、多くのタンパク漏出性腸炎をわずらった動物たちが通院しています。

もし長期的な下痢が見られた場合、オヤッと思ったらいつでもお気兼ねなくご相談ください。

2018-07-16

僕の実家は目黒区にあるので、子供のころからずっと東京に住んでいます。

小学校の頃は、夏でも扇風機なしでぐっすり寝れる程度の温度だったと思います。

学校にも冷房は職員室にしかなく、自宅の自分の部屋にクーラーがついたのは大学受験の時だったと記憶しています。

それから20年以上たった近年の気候の変化はすさまじく、クーラーなしでの生活は考えられないようになりました。

毎年熱中症のニュースが流れる中、国によっては真夏の炎天下で犬を散歩させていると動物を虐待しているような非難の目を受けるようなこともあると聞いたことがあります。

日本ではそのようなことはないにしろ、獣医師からの目線でも猛暑日の中、たとえ通院とはいえ動物病院に連れてくるよう飼い主様にお話しするのは少し躊躇することもあります。

そういったときに考えてもらいたいのは往診での通院です。

今回は夏は特に往診の方が適しているペットの例をご説明したいと思います。

定期的な皮下補液を行っている

主に多いのが慢性腎不全を患っている老猫だとは思いますが、定期的に皮下補液を行っているような動物たちは慢性的に脱水気味であることが多いと思います。

また検査もそれほど頻回に必要というわけでもなく、また緊急性もないのでどちらかと言えば、往診で皮下補液を行った方がメリットが高いと思います。

皮下補液を往診で依頼するメリット。定期的な皮下補液がペットに必要になったら。

短頭種

フレンチブルドッグのような人気の犬種を筆頭に、パグ、ボストンテリアなどの短頭種は呼吸器系が非常に弱く、体温調整能力がほかの犬種に比べて著しく低いと言われています。

特に暑さにはめっぽう弱く、動物病院に連れてきただけで熱中症になった・・なんて犬を何回か見たことがあります。

お手入れやワクチンをしたい、けれど外の気温が気になるという方はぜひともお勧めです。

自宅で耳爪肛門腺のグルーミング。往診を使って飼い犬のお手入れをしてみた!【往診動物病院の実際】

高齢もしくは若齢のペット

高齢や若齢の動物たちにとっても、高熱の環境はあまり好ましくありません。

人間と同様に体温の調節能力は若齢の動物はかなり弱く、また成体でも年をとればとるほど衰えていくのが普通です。

そのうえ、動物病院の待合室内も混雑しており、なくなく外で待たないといけないなどの状況もありえます。

病院から帰ったらいきなり下痢をした・・・なんて事もよく聞く話なのでやはり往診の活用を考えていただければと思います。

特にワクチン接種などは、炎天下の環境がワクチン後の体調不良の引き金にもなります。

【実際の往診風景】初年度のワクチン接種こそ往診でうけよう!セカンドセレクトからペットを飼い始めた飼い主様へ提案。

こういった体力的に不安が残る動物たちの処置は、できれば夏の間だけでも往診で行ってあげたいところです。

動物病院には連れていけないけれど、飼い主様の体調がすぐれない

動物たちは1人で病院に言ってはくれません。

当然ですが飼い主様が連れて行くことになりますので、飼い主様の体調も通院には重要な要因になります。

動物病院には連れてはいきたいのだけれど、炎天下の中外に出ると、ますます自分の体調が悪化するようなときには、せめてご自宅での治療を行った方が得策だと思います。

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まとめ

異常気象とはよく言いますが、この異常な猛暑は年々ひどくなる傾向にあります。

もちろん根本的に皆が努力してこの問題を解決しないといけないとは思いますが、とりあえずは目先のことも重要です。

数年前と異なり、この炎天下に動物を外に連れ出すことがだんだんと避けるべきと考えられる時代になってきました。

だからこういう時にこそ、ぜひとも往診を活用していただければと思います。

2018-07-13

日本人の死亡率のランキングとして必ず入ってくるのが、ガンと心臓疾患、それと近年では肺炎が第3位になりましたが、いまでも高い死亡率を保っているのが脳血管疾患です。

心臓疾患や脳血管疾患の大部分は心筋梗塞や脳梗塞に由来するもの。

血栓や脂肪の結晶化したものなどが多いと言われていますが、こういった異物が小血管につまり、その近辺の血液循環を阻害し、組織不全が起こることを梗塞と言います。

脳に起これば脳梗塞、心筋に起これば心筋梗塞です。

ペットにおいては脳梗塞や心筋梗塞はあまりみられる病気ではありません。

心臓と脳との位置関係や血管の走行が人間とはかなり異なるからだと言われています。

その代わりに、ちょくちょくみられるのが脊髄梗塞と言われる病気です。

その名の通り、背骨の中を通る脊髄にある血管が何らかの原因によっておこる梗塞により循環障害がおこり出てくる症状です。

人間における脳梗塞や心筋梗塞と同様、なんの予兆もなく突然起こり四肢のマヒが起こる病気です。

今回は聞いたことがあるようで、聞き覚えがない病気、脊髄梗塞についてご説明したいと思います。

脊髄梗塞の原因

脳梗塞や心筋梗塞はその多くの場合、生活習慣病にかかわっているといわれています。

一方、動物の場合、脊髄梗塞の原因は多くの場合は遺伝的な要素が大きく、猫ではまれで、犬では比較的犬種によって発生頻度が異なります。

ほぼすべての犬種で起こるのですが、比較的多いとされているのがシュナウザー系とシェルティーなどの犬種です。

梗塞する物質はあまりよく分かっておらず、頚椎や腰椎を支持している軟骨が何らかの原因で血管内に侵入して起こるといわれています。

シュナウザー系やシェルティーなどは遺伝的に脂肪の代謝障害があるとされているので、このあたりに原因があると考えている先生もいらっしゃいますが、詳しい病態はわかっていません。

そういった意味では、同じ梗塞という病名を用いますが、脳梗塞や心筋梗塞とは異なった病気になると思います。

脊髄梗塞の症状

一般的によくみられるのは後肢の麻痺ですが、椎間板ヘルニアと異なるのは麻痺が片方の足のみでみられることがほとんどであるということです。

また椎間板ヘルニアのように疼痛を示すことはまれで、ある程度時間がたつと症状の悪化が見られなくなるのが普通です。

ただ僕も何回か経験したことがあるのですが、脊髄梗塞が頚椎の神経に発生した場合は四肢すべてがマヒをすることが多いと言われています。

この場合はまれに死の危険もあると言われているのですが、僕は今のところ遭遇したことはありません。

検査方法

ほとんどの場合、その特徴的な所見からある程度は容易に診断できることが多いと思います。

ただ椎間板ヘルニアやその他の神経疾患との区別を完全につけるのは見た目だけでは不可能なので、検査を進めていきます。

一般的な血液検査とレントゲン検査を行い、心臓疾患の可能性がある場合はエコー検査と心電図検査を行います。

そのうえでMRIを実施し、他の神経疾患との区別を行うのですが、注意しなければいけないのがMRIでも確定診断は行うことができないというところです。

MRIで血管が梗塞しているという画像は得ることが出来ないので、他の神経疾患が存在せず、脊髄神経に炎症所見のみが残っているというところから推測していきます。

現在のところ梗塞させている物質さえ特定はできていないので仕方がないと言えば仕方がありません。

したがって、ある程度時間がたち、回復期に行ったとしてもその炎症の所見すら得ることもできないこともあるため、仮診断として治療を進めていくことも多くあります。

治療法は?手術は必要?

原因が特定できないことがあるというとかなり不安が残りますが、脊髄梗塞はおおよそ2週間から2か月程度でほぼ元に戻ることがほとんどで、後遺症も残らないか、残ったとしてもかなり軽いものになることが多いと思います。

外科手術は基本的には不要です。

獣医師によっては脊髄梗塞と判断された場合、治療すらせず経過観察する獣医師も中にはいます。

セカンドセレクトの場合は、平均2週間程度はステロイド剤を投薬することをお勧めしています。

基本的には内服薬を処方し、ご自宅での管理になるのですが、重症例には特殊なステロイドを使用するため、入院管理で経過を見ることもあります。

また、サプリメントを併用することも非常に効果的です。

セカンドセレクトではほかの疾患でもお勧めしているサプリメントですので試してみる価値はあると思います。

まとめ

脊髄梗塞は初期段階の症状は、歩行不全などが起こるために見た目はかなり激しいのですが、予後は良いものとされています。

だからといって麻痺がおこるというのは飼い主様にとっては非常に驚かれるものだと思います。

セカンドセレクトでは何らかの後遺症が残るケースでもリハビリを含めた治療も継続して行うことが出来ます。

もし治療の経過などに何らかの不安を感じることがあれば、いつでもお気兼ねなくご連絡ください。

2018-07-11

ミニチュアダックスの病気と言って一番すぐに思いつくのは椎間板ヘルニアではないでしょうか?

ミニチュアダックスだけでなくトイプードルや多くの犬種で起こりうるこの病気は、突然発症し、症状の重症度によっては手術が必要になることもあります。

ミニチュアダックスの流行とともに椎間板ヘルニアの手術も一般的なものとなり、以前は大学病院や大手の動物病院でしか行えたなかった手術が、比較的色々な動物病院でも行えるようになりました。

もちろん病院によって、その診療方針には特色がありますから、何がいいというわけではないのですが、椎間板ヘルニアのような病気は術後のケア、リハビリもしっかり行わないと、有意な効果が得られないことも多くあります。

たまに相談を受けるのですが、手術はもうすでに済んでいるのですが、そのあとのリハビリの仕方がよくわからないという飼い主様が多くいらっしゃいます。

今回はセカンドセレクトで行った、かかりつけで手術したが、その後のリハビリを往診で行っている飼い主様とその愛犬の診察風景をご紹介したいと思います。

以前の記事

【実際の往診治療風景】椎間板ヘルニアになってしまったMダックス。手術ではなく往診で治療するとなるとこんな感じ。

椎間板ヘルニアは手術後どれくらいで回復するもの?

椎間板へニアの回復期はその重症度によって変わってきます。

たとえば何とか支えれば立つことはできる、少し足を動すことはできる程度の状態から手術を行った場合、個人的な意見では術後10日から3週間程度で十分な歩行が可能になることが多いと思います。

一方で、痛覚がマヒを起こしているような一番深刻な状態の場合、2か月程度はかかることも多いと思います。

以前であった症例は1年半後にやっと歩くところまでたどり着けた犬もいます。

また犬種によってもやや歩行の改善具合は異なります。

ミニチュアダックスは椎間板ヘルニアにはなりやすいのですが、胴長短足で重心が取りやすいので比較的歩行は楽にできますが、トイプードルやフレンチブルドッグなどは重心が取りにくいため、比較的歩行が可能になるまでの時間は長くかかると思います。

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動物のリハビリを専門に行っている有名な獣医師の先生の言葉を借りるのであれば、「どんな動物でも最初の2か月は目に見えた回復が見られる」とのことです。

初めの状態がかなり悪かったとしても、最低でも2か月は何かしらトライしていただけるといいと思います。

往診では何ができる?

セカンドセレクトで行える往診リハビリ治療では、まず鍼治療がメインになります。

鍼を経穴に刺入したあと、針治療用の電極をつなげ医療な電気を流して経穴を刺激します。

セカンドセレクトではおおよそ9本から21本の鍼を使用し、うち4対を微量な電気で刺激を行います。

時間としては約15分程度で1回3000円になります。

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また、看護師は動物のアロマテラピーの資格を持っているので、こういった動物の専門的なリンパマッサージを含めたリハビリ運動を行うことが出来ます。

5分から10分ほどで施術は終わり、1回500円から1000円程度です。

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僕自身も椎間板ヘルニアの多数の執刀経験があるので、手術直後からからその後の停滞期まで細かな診察ができますので、何かあればお気兼ねなくご質問ください。

自宅で行えるリハビリ

先ほど述べたリンパマッサージやリハビリマッサージは飼い主様でも行うことができます。

何回かご指導すると上手にできるようになるので、それを軸に行っていただくとよいかと思います。

https://www.secondselect.vet/1024

また、このブログでもたびたび紹介していますが、こういった神経症状にかなり効能があるサプリメントもあるので、そういったものを積極的に取り入れるのもいいと思います。

まとめ

手術を終えて帰ってきた動物は心身ともに疲れているものです。

リハビリは早い段階から積極的に行うことが推奨されますが、まずはその疲れをいやしてあげることも重要です。

セカンドセレクトでもいきなりいろいろなことを行わず、動物の状態に合わせ診療を進めていきます。

術後の不安を少し感じることがあれば、いつでもご相談ください!

2018-07-06

目は口ほどにものを言うとよく言いますが、物言わぬ動物であったとしても、目に何かしらの異常があった場合は、ご自宅でもすぐにわかることが多いと思います。

目をしょぼつかせている、涙が多い、目が赤いなど、診察をしていると飼い主様から頂ける目に関する情報は、他の症状よりも詳しく伝えていただけることが多くあります。

そんな目の病気の中でも、しばしば獣医師を悩ませるのがブドウ膜炎という病気。

原因が特定できないことが多いうえ、緑内障などの失明を起こす疾患を併発することもあるので、常に慎重に対応する必要があります。

もし目が赤くなっているのに気づいて動物病院に連れて行ったときに、「ブドウ膜炎です。」と診断を受けたら・・?

今回は獣医の中では有名、でもそれほど聞きなじみのない「ブドウ膜炎」についてご説明をしたいと思います。

そもそもブドウ膜って何?

目を包む膜は、瞼から外に出ている部分(日常的に瞳と言っている部分)と、瞳の裏側の部分とでは異なる構造そしています。

瞳は外からの光の情報を目の奥の神経に届けないといけません。

したがって厚くて光を遮断するような強靭な外層ではなく、透明なフィルムのような構造をしています。

瞳の部分は一番表層は角膜によって守られていますがその視界はさえぎられることはありません。

そして、その周りに結膜があって眼瞼につながります。

一方で視界には関係のない、瞼の裏側の部分は三層に分かれており、神経が走る網膜が一番内部にあり、その外側には血管が豊富な脈絡膜があります。

そして最外層は強膜という硬い膜につつまれ眼球を守っています。

脈絡膜はその豊富な血管で眼球の様々な細胞に栄養を送る役目をしているほか光を遮断し、より瞳から届く光の情報を鮮明化させる役目もしています。

脈絡膜は瞳孔に近づいてくとレンズの厚さを調節する毛様体と、瞳孔の大きさを決める虹彩に形が分かれます。

ブドウ膜とは脈絡膜と毛様体と虹彩を総称する名称で、この3つの異なった名前の部位はそれぞれ連続して連なっているので、一つの場所に炎症が起こると連続して起こります。

一般的には虹彩と毛様体から起こる炎症と脈絡膜から起こる炎症とに分かれますが、これらを総じてブドウ膜炎と言います。

ブドウ膜炎の症状

飼い主様が思う目に起こる炎症と言えば結膜炎だと思いますが、ブドウ膜炎はよくある結膜炎とは少し違う症状を引き起こします。

ざっくり見た目で言えば、結膜炎よりも全体的に赤く、そして痛そうな表情をします。

白目のところは表層が強膜で覆われているのですが、そこに血走ったような血管の太い線が何本も見えるようになり、目の表面の角膜もたまに濁って白く見えるようになります。

片目のみの場合もあれば両目ともそうなるケースもあります。

とにかく目を痛そうにしていたら、すぐに受診するのがいいと思います。

ブドウ膜炎が起こる原因

アレルギーや異物が目の中に混入した時、もしくは感染症などが原因と言われることがあります。

特にブドウ膜炎のような目の病気は、目の病気というよりは体のどこかに病気があり、それが原因となって引き起こされることも多いため、全身的なスクリーニング検査が必要な場合もあります。

ただ、残念ながらブドウ膜炎が起こる原因はほとんどの場合不明なことが多いと思います。

突発的に起こりなかなか治癒しないことも多く、漫然と治療だけが進むこともあるので、獣医師としても気を付けないといけない病気の一つだと思います。

治療法は?

一般的な目薬に反応することはあまりなく、主にステロイド剤を内服のような形で服用することが多いと思います。

反応が悪い場合はほかの免疫抑制剤を使用することもあり、治療は生涯続くケースもあります。

また白内障に続発して起こるケースなどは、白内障自体を治療しないと治癒に至らないため、まれに外科的な対応が必要なケースもあります。

またブドウ膜炎は緑内障と言って、目の中の眼圧が上がる病気を併発することも多く、失明を引き起こすこともあるため、眼圧などを測定しつつ経過を見る必要もあります。

まとめ

眼科というのは意外と厄介なもので、特殊な器具や検査機器が必要なケースが多くあります。

当院でもそれなりの設備を備えて日々対応はしておりますが、場合によっては専門病院を紹介することもあります。

そうはいっても目が赤くて痛そうと思ったら、とりあえず相談してください。

目の痛みは本当に痛いものです。

2018-07-04

ペットを飼っている方であればご存知の方も多いと思いますが、犬や猫も人間と同じような病気をします。

そういった病気の中の代表格と言えば腫瘍ではないでしょうか。

統計学的にはペットのできる悪性の腫瘍の中でも一番多いのは乳腺腫瘍、次に多いのが悪性リンパ腫だと言われています。

以前も記事に書いたのですが、高齢になってからの乳腺腫瘍は意外と厄介なもの。

基本は外科的な対応が唯一の治療になります。

乳腺腫瘍ができたと言われたがどうしよう・・・手術ができない老齢のメス猫・犬

一方リンパ腫は手術でなく抗がん剤治療が一般的な治療法です。

リンパ腫における抗癌治療の奏効率は他の腫瘍よりも比較的に高いため、リンパ腫が発見された場合、多くの獣医師が積極的な治療を進めてくるとは思います。

ただ、もしその時のペットの年齢が非常に高齢だったら・・・。

今回はそんな高齢になったペットにリンパ腫が発見されたときの選択肢についてご説明したいと思います。

リンパ腫の治療をするときに考慮に入れた方がいい年齢とは?

かなり古い表現だと思いますが、もしリンパ腫と診断をされたときの平均余命は、何もしなければ1か月、ステロイド治療なら3か月、抗癌治療であれば1年と言われています。

したがって単純に考えるのであれば、元気であった時の余命が1年以上残されているのであれば、リンパ腫の場合は積極的な治療を考えてもいいと思います。

一般的な平均余命とはネコ、小型犬であれば13歳、中型犬であれば11歳、大型犬で9歳と言われていますので、リンパ腫に対し、抗がん剤の治療を検討したほうがいいだろうと考えられるのはそこからマイナス1歳ということになります。

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ただし犬種によっても、またそのペットの置かれている状況によっても変わってくるので、必ずしも上記の余命とはなりませんが、抗がん剤の治療の際には平均余命は頭の中に置いておくべき事項だと思います。

高齢なペットに抗がん剤治療を行う際のデメリット

これも一般的な話にはなりますが、抗がん剤の副作用は人の場合は70~100%の確率でみられるのに対し、犬や猫の場合は30~50%と言われています。

抗癌治療を行う際の副作用は多岐にわたりますが、実際に重大な副作用が出るケースは、獣医医療では確かにまれだと思います。

ただ個人的な経験上、抗がん剤投与後の食欲不振や活動量の低下は、高齢なペットの方が若い個体よりも頻発すると思います。

また、抗がん剤の投与前には血液検査などで抗がん剤の副作用を観察するのですが、高齢な場合、一度見られた副作用が元に戻るまでは少々時間がかかるため、当初のスケジュール通りにはいかないこともあります。

ただ、高齢だからより深刻な状況になりやすいかと言われると、それほどの違いはないと思います。

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抗がん剤治療を選ばなかったら?

そうは言いつつも、抗がん剤の治療を提示されたときに、年齢というのは飼い主様にとって非常に強い要因にはなると思います。

実際、抗がん剤治療を望まれる飼い主様は年齢とともに反比例するのは事実としてあり、そのほかの代替治療を望まれるケースは比例して多くなります。

また、年齢だけでなく、明らかにリンパ腫のステージが進んでいた時や、リンパ腫の中でも極めて悪性度の高いものであった時などは、やはり抗がん剤の治療を選択しないケースもあります。

こういった治療を往診で行うケースも多くあり、極力ペットの負担を軽減できるような方法で治療を進めていくことが多いと思います。

【積極的な治療】VS【緩和治療】もしくは【延命?】もしペットが難病にかかったら?動物カウンセラーの勧め。

まとめ

何を選択するのがよかったのかを、選択するときにわかっていればいいのですが、そうではないところがとても悩むところです。

何が正解というわけではないので、結局のところやってよかったかどうかは、担当した獣医師の導き方次第となると個人的には思います。

ペットが高齢になってリンパ腫と診断されたら・・・当然色々なお悩みがあると思いますので、そういった時にはお気兼ねなくご連絡ください。

2018-06-29

病気の中には緊急対応をしないといけないものはたくさんあります。

ただ、獣医師にとっては緊急な病気だと容易に判断できるものでも、飼い主様にとって何が緊急を要するものなのか、そうでないのかということを判断するのは非常に難しいことだと思います。

特に犬や猫が嘔吐した時などは、もともと人間以上に嘔吐を頻繁に行う動物にとって、それが生理的なのか、病的なのかを飼い主様が判断するのは非常に難しいところだと思います。

今回の記事でご説明したい胆管閉塞は、何の前兆もなく突然激しい嘔吐が起こることが多いため、飼い主様にとっても訳が分からず治療だけがどんどん進んでいくこともあります。

今回の記事ではそんな胆管閉塞についてご説明したいと思います。

胆管閉塞はなぜ起こる?

食べ物を効率よく消化させるために、消化管の中では様々な臓器から消化液が消化管内に分泌されます。

飼い主様の中でも聞いたことはあるとは思いますが、その消化液の中に胆汁と呼ばれるものがあります。

胆汁は肝臓で合成され、肝臓の細い管を通って胆嚢に運ばれます。

胆嚢は肝臓に隣接している袋状の臓器で、胆汁を濃縮し貯蔵する役目を担っています。

最終的に胆汁は、食物が胃から十二指腸を通過する際に、胆嚢と十二指腸を結ぶやや太めの胆管を通り、消化管内に分泌されます。

この胆汁は消化酵素を含んではないのですが、脂肪の分解、吸収を助ける役目を担っており、腸内の環境を整える重要な役目を担っています。

胆汁は合成、濃縮する過程で様々な影響を受けやすいため、その性状が変わりやすく、本来は粘調度の低い液体ですが、時折ゲル状のものに変化したり、石のように固くなってしまうことがあります。

こういった流動性を失った胆汁は突如として、胆嚢と十二指腸を結ぶ胆管を塞いでしまうため、胆管閉塞が発生するのです。

【胆嚢粘液嚢腫・胆泥症・胆石】調べると意外と多い胆道系の疾患。無症状でも治療は必要?

胆管閉塞の症状

一般的な胆管が閉塞した場合の症状は急速で激烈です。

激しい嘔吐と腹部の疼痛が出てくることがほとんどです。

胆汁がうっ滞し、肝臓と胆嚢での胆汁の流通が阻害されるうえ、胆汁に含まれている色素は肝毒性があるため、肝障害と黄疸が重度に見られことが多くあります。

ただ、胆管が閉塞しても意外と症状がはっきりとしないことも多いので、しばしば診断に迷いが出ることもあります。

胆管が完全に閉塞し、胆嚢内の胆汁のうっ滞が限界に達すると胆嚢自体が破裂します。

破裂して腹腔内に漏れ出した胆汁は、毒性が強くまた細菌感染を起こすことがあるため、胆汁性の腹膜炎を併発します。

胆嚢破裂を起こした動物は、激しい疼痛と発熱を引き起こし、状態は一気に悪化します。

場合によっては敗血症によってなくなるケースもあるため、予断が許さない状況が続きます。

温存療法で何とかなるもの?

胆管閉塞が見られた場合は早急な対応が必要です。

状況は刻一刻と悪化していくことがほとんどですが、まれに胆管に詰まった何かが腸管内に流れ落ちたりするケースもあります。

特に胆嚢と膵臓は割と近い位置にあるため、膵炎が起こった後に胆管閉塞が起こった場合は、膵炎の治癒とともに症状が改善していくこともあります。

また胆嚢が破裂した場合、胆嚢内の胆汁やつまりの原因になっていたそのものが腹腔内で死亡と癒着を起こして破裂部分が修復され、かつ動物が腹膜炎を乗り越えると症状は一時的に改善していきます。

こういった判断はエコー検査などの画像診断のみでは判断が難しいことが多く、治癒経過は良くないものの、血液検査、特に黄疸の指数であるビリルビンと炎症反応の値も見た目だけは安定していくこともあります。

少数例ですが、これらの値が正常値に近づいていくようであれば、症状は終息し始めていると推測できるため、投薬で様子を見ることも可能です。

過去に胆嚢が破裂しのですが幸いにも症状が手術をせずに改善した犬を、後日別の手術で開腹したことがあります。

破裂した胆嚢は再生し、破裂した時に起こったであろう組織の損傷はすべて腹腔内の脂肪で包まれ温存されていました。

まれな症例だったとは思いますが、うまく体の治癒能力がうまく働いたのだと思って、感心したのを覚えています。

外科的治療の介入の判断は?

色々な意見はあるとは思いますが、個人的には胆管閉塞を疑う症例でも、すぐその場で手術というのはあまりお勧めはしません。

特に破裂をしていなければ点滴などで状態を落ち着かせることをまずは考えます。

多くの獣医師は胆管閉塞が起こると、いづれかの時点では破裂をするリスクがあるため、状態が安定している時点で手術を検討してきます。

もちろんビリルビンの値が時間とともに上昇していくようであれば外科的な介入をすぐに検討せざる得ませんが、抗ビリルビン血症がみられる中での胆嚢摘出の予後はかなり悪いとされています。

胆嚢切除はもともと動物の医療現場ではリスクが高い手術の一つとされており、手術から術後数日までの間の死亡率は約3割と言われています。

術者の経験値にもよりますが、手術自体はそれほど複雑なものではありません。

胆嚢は肝臓と隣接しているのですが、どの大部分は肝臓とほぼくっついています。

それを丁寧に剥離し、胆管のつまりをとってから胆管の途中で切除します。

もちろん細かな結果やほかの臓器も隣接しているので、それらを傷つけないように細心の注意が必要ですが、切除自体はそれほど時間はかかりません。

手術のリスクの高さは、状態が悪い中での全身麻酔を使用すること、また肝臓と胆嚢を結ぶ管まで閉塞している場合は致死的な肝障害に陥るため予後は悪いとされています。

こういった不確実なリスクがあるからこそ、外科手術のタイミングは冷静に判断しないといけないと思います。

予後は?

胆嚢を切除し、胆管の閉塞を解除したとしても、肝臓に重大なダメージが残る場合もあります。

この場合では予後は極めて悪く、術後急速に状態が悪化していきます。

肝臓のダメージが軽微でかつ肝臓内にある細い胆管にも大きな閉塞が見られない場合は、術後の状態は日に日に改善していきます。

ただし、胆嚢自体は不要とまではいいませんが、なくてもいいような臓器ではありません。

胆嚢が切除された後、肝臓で合成された胆汁は残っている胆管を通って十二指腸にたえず分泌されます。

胆汁自体は胃に逆流すると嘔吐を引き起こすため、嘔吐の回数がやや頻繁になります。

また食物に含まれている脂肪の分解がうまくいかないこともあり、下痢が頻発することもあります。

ただし、本人の健康に甚大な被害を与えることはあまりないので、低脂肪を主体とした食事療法で穏やかに過ごすことが可能だと思います。

まとめ

突然激しい症状が出たら飼い主様だけでなく、獣医師もひどく慌てることはあります。

ただ原因がしっかり判明していれば、対応法は自ずと決まります。

特に今回のような胆管の閉塞は症状から簡単に推測が出来るため、状況も把握はしやすいと思います。

やるべきことを適切なタイミングで適切な処置を行えるよう日々診察しておりますので、もしかしたら今回の記事のような胆管が閉塞した症状がでたかも!?と思ったら、いつでもご来院下さい。

2018-06-28

生き物の消化管というのは非常に芸術的にできていると思います。

食べ物をただ消化するといっても、その過程の中には様々な臓器や酵素、ホルモンや化学物質などが関与しています。

そのため、消化器官は非常に複雑な構造をもち、お互いに連絡を取り合いながら日々体のために栄養を吸収しています。

そんな消化器臓器の中で、たまに不要?と言われる臓器があります。

人間では虫垂というのはその代表格になっていますが、胆嚢と呼ばれる臓器もたまに不要なのですか?とご質問を受けることがあります。

胆嚢という臓器は飼い主様の皆様も聞いたことはあると思いますが、実際にどんな役割をしているのか、どんな病気をするのかはあまりよく知らない方もいらっしゃると思います。

今回の記事ではそんな胆嚢のよくみられる病気についてご説明したいと思います。

そもそも胆嚢とは?

胆嚢は肝臓に隣接している袋状の臓器で、胆汁を濃縮し貯留しています。

胆汁自体は肝臓で合成され細い管を通って胆嚢に運ばれたあと、胆嚢と十二指腸をつなぐやや太めの管を通って消化管内に分泌されます。

胆汁自身には消化酵素を含んでいるわけではありませんが、胃の中で強烈な酸によって分解された食物を中和させ、膵臓から出る消化酵素がうまく働けるような環境に整えます。

胆嚢自体は胆汁を合成することはなく、ただただ貯蔵する臓器に過ぎないのですが、肝臓から送られてくる胆汁を濃縮し、効率よく分泌させることで食べ物の消化吸収を助ける重要な役割を担っています。

ただし、胆汁はその性状がやや安定しずらく、また色々な影響を受けやすいため、本来は液体である胆汁が胆嚢内でほかのものに変化するため様々な疾患をおこしやすい臓器です。

胆嚢粘液嚢腫

胆嚢粘液嚢腫は胆汁が「スライム」のようなゲル状のものに性状が変わったものをいいます。

なぜそのように変化するかは今のところわかってはいませんが、胆嚢粘液嚢腫は一般的な診療でもよくみられる症状で、エコー検査などで簡単に診断することができます。

胆嚢粘液嚢腫が胆嚢内にあったとしても、ほとんどの場合は無症状であることが多く、たいていの場合は健康診断の一環として行ったエコー検査で発見されることが多いと思います。

先ほども書きましたが、胆嚢は胆汁を貯留している袋でしかないので、胆嚢内に発生したゲル状の物質が体に影響を与えることはあまりありません。

ただし、このゲル状の物質は流動性に乏しいために、胆嚢と十二指腸を結ぶ胆管を詰まらせてしまうことがあります。

胆管が閉塞してしまうと、急性に症状が出始め、嘔吐や腹部疼痛が激しく、また肝機能の低下と黄疸が頻発します。

点滴などの内科治療に反応することもありますが、完全に閉塞してしまうと胆嚢破裂や胆管破裂などの症状を引き起こすため、獣医医療の中でも緊急対応が必要な疾患の一つになるため、獣医師によっては、発見次第手術を進める先生もいます。

ただ個人的な意見で言えば、症状としてあらわれないことも多く、また現在の獣医医療では手術もしくは術後の安全性が完全に担保されている状況ではないので、そこまで積極的な予防的手術はお勧めしていません。

胆石症

胆石症は人間の場合あよく聞く言葉ですが、犬の場合はほかの胆嚢疾患に比べればそれほど多くないように思えます。

胆石は胆汁の成分が結晶化して石のように固まるのですが、胆嚢粘液嚢腫同様、胆石が胆嚢内にとどまっている限りは症状はありません。

胆嚢内にできた無数の胆石が胆嚢と十二指腸を結ぶ胆管内に入り込み、胆管を閉塞した場合に症状が出始めます。

胆管が閉塞した場合の症状はつまったものが何であっても症状は酷似しており、激烈で状況の悪化もはやいために緊急対応が必要です。

また胆石が肝臓の中にできることもあり、これら胆嚢外にできた胆石は通常摘出すら困難ですが症状にはあまりでません。

胆泥症

胆泥症は胆嚢内にみられる以上の中で最も一般的にみられる異常です。

統計上はシニアの世代に入った犬の50%の胆嚢内には胆泥があるとされる報告もあります。

胆石のように胆汁が結晶化することにより細かい砂のような正常になりますが、胆管を閉塞させることはほとんどないため、あまり治療をしないことがほとんどです。

僕自身も診察で発見してもあまり治療しないことが多く、利胆剤を実際に使用しても何の変化も見られないことが多いと思います。

何かしらの大きな病気に発展する可能性はほとんどないので、経過のみ見るだけでもいいと思います。

胆嚢内の疾患を予防するためには?

一つは腸内環境を整えることが予防になるとされており、良質な繊維を含んだ食事を与えることだと思います。

また低脂肪食もこういった疾患の予防になるとされているので、極力脂肪分を抑えた食事を選ぶのがいいと思います。

また、ある種のサプリメントが良いということが以前言われていました。

僕自身の処方した感想は、正直、効果の判定はしにくかったので何とも言い難いですが、獣医師や薬を販売している業者さんたちの評判はかなり高いものでしたので、試してみる価値はあると思います。

まとめ

今回ご説明させていただいた、胆嚢粘液嚢腫、胆石症、胆泥症など胆嚢内に異物を形成する疾患は日常的によくみられる疾患です。

よく言われるのですが、こういった異物が胆嚢内にできている時点で胆嚢はその役目を全うすることができない不要な臓器になってしまうと考えられています。

ですが、だからと言ってすぐに積極的に対応する必要は個人的にはあまりないかなと思います。

それでも異常が見つかったら心配になってしまうのが人の常。

ご心配事、ご相談事がありましたら、お気兼ねなくご連絡ください。

2018-06-27

人間の口でうまく説明することができないような年齢の子供と同様、ペットも調子が悪くても自分で説明が出来ません。

具体的に下痢をしたり、吐いたり、またはどこかの足をびっこ引いていたりなど、明らかな症状が出ているのであれば対応がしやすいのですが、なんか元気がないとか、動きが悪い、いつもと違うなど、これと言って症状はないのだけど確かに変な感じがするというときにはその対応に困ることもあります。

実際に飼い主様からの問い合わせも多いのですが、「食欲はあるのに元気がない、触ろうとすると怒る」と言った症状の場合、はたして受診したほうがいいのかどうかさえ迷ってしまうことがあると思います。

今回は飼っている犬に「パッとしない」症状が出たときの対応法をご説明したいと思います。

とりあえず食欲があるので様子を見る

犬が触ろうとすると「キャン」と鳴くときは、体のどこかに痛みを感じていることが多いと思います。

ただ、こういった場合、犬自身もいつもよりもおとなしくしていることが多いので、食欲が落ちなければそのまま安静にしているのも一つの手だと思います。

動物病院に連れて行っても興奮してしまい、ご自宅でみられるような症状が一見なくなってしまうようなことも多いので、獣医師にも異常が判断することができないことも多くあるからです。

とりあえず、一晩様子を見て、次の日も改善されなければ受診してもいいと思います。

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痛み止めなどを使用してみる

痛み止め、解熱鎮痛剤など色々な言い方がありますが、その種の薬を使用してみるのもいいかもしれません。

ただし、ロキソニン、イブプロフェンやアスピリンなどの人間でよく使用する薬は犬にとっては毒性が強くお勧めできません。

もともと犬は人間と異なった薬の代謝経路を持っているので、成分によっては少量でも中毒量に到達する恐れがあるからです。

最近では犬でも安全に使用できる解熱鎮痛剤がありますので、使用する際はしっかりと獣医師に処方してもらった方がいいと思います。

ここだけの話、ネットでも簡単に購入できるのですが、鎮痛剤は人間でもしばしば問題になる薬の中の一つですので、一人の判断で与えることだけはしないようにしましょう。

心配だから検査をしてみる

やはり物言わぬ動物だからこそ、早期発見早期治療は大切なことです。

個人的にはこの段階で検査をお勧めすることはあまりないのですが、万が一の以上に備えて検査をするメリットは大きいと思います。

ただ、原因が推測される中での検査ではないので、たいていの場合はレントゲンと血液検査を全体的に行い異常があるかどうかを見ていきます。

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これといった異常が見られないことも多いのですが、異常値がなければないで安心材料にはなると思います。

その後の処置は様子を見るか、軽めの痛み止めを使用するなどの対応で経過を見ていきます。

食欲がなくなったら・・・?

もし痛みなどがあり、それが原因で食欲が落ちるようなことがあれば、その痛みを作っている原因が全身に影響するような炎症個所を持っている疑いが強いと思います。

発熱などを起こしているケースも多いので、できるだけ早めに受診し適切な処置を行う必要があります。

中には重大な疾患がみつかるケースもあるので、慎重に対応したほうがいいと思います。

まとめ

見た目は元気なのに何かが・・・こんな時に動物病院に行ってもうまく説明が出来ないので行くのを躊躇してしまうことも多いと思います。

外に出るとなおさら、犬はテンションが上がることが多いので、見た目の異常が目立たなくなってしまうことも多いと思います。

こんな時には往診を活用してみるのも1つ。

獣医師が自宅にお伺いし診察するので、より本来の症状が観察しやすくなるので、説明がしにくいような症状でも異常が見つかることも多いと思います。

もしあれ?っと思うようなことがあったら、お気兼ねなくご連絡ください。

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2018-06-21

動物病院セカンドセレクトの記事で何度も書いているフレーズですが、ペットも高齢化に伴い人間と同じような病気をするという言葉は、ペットを飼っていれば日常的に聞く話です。

その代表的な病気と言えば、癌が代表格だと思います。

犬でよくみられる癌と言えば、乳腺の腫瘍、リンパ系や肥満細胞と言った血液のがんがよく発生します。

これらは臨床症状や検査の簡易性から容易に診断できるため、積極的に治療を行うケースも非常に多く、多くの治療法が日々更新されています。

一方で、検査から診断も困難で、かつ治療方法もかなり限られてしまう癌もたくさんあります。

特に頭蓋内に腫瘍の疑いがあった場合は、診断はMRIを実施し診断するしかないのですが、ペットのMRIは麻酔が必要となるため最初から検査を実施することは多くないかもしれません。

この記事ではそう言った頭蓋内の腫瘍の中で、グリオーマ(神経膠腫)についてご説明したいと思います。

グリオーマとは?

脳内の中には無数の神経細胞が存在し、それぞれがネットワークを形成し、複雑な思考や行動を行うための中心的な役割を担っています。

もちろん脳内にある細胞は神経細胞だけではなく、その役割を補助する細胞も多く存在します。

これらの細胞はいくつか種類があるのですが、総称してグリア細胞とか神経膠細胞と呼ばれます。

ある細胞は神経細胞に栄養を供給したり、その強度を保ったりもしますし、脳内の免疫の調整や神経細胞と近い役割をもつものもあります。

グリオーマとはこれらのグリア細胞が癌化して起こる悪性腫瘍で、医学的には発生する細胞によっても悪性度の度合いを決めることができるのですが、獣医医療の範疇ではまだまだそこまでには至っていません。

特に短頭種では頻発する脳内腫瘍で、しばしば異常な行動や徘徊、痙攣発作などを引き起こす、悪性度の高い腫瘍です。

診断方法

腫瘍の確定診断は基本的には細胞そのものを採取し、病理検査を行うことです。

ただし、グリオーマは脳内にできる腫瘍のため直接採取するのは難しく、血液検査などでも判断することはできません。

診断はMRIを利用することがほとんどです。

画像診断だけでは確定診断を行うことはできませんが、特徴的な画像が得られるので、おおよその診断までは行うことが出来ます。

治療法は?

人間の領域では手術にて縮小手術を行うのが一般的です。

ただしグリオーマは脳内にしみこむように浸潤するため、癌細胞を完全に取り切るのは不可能です。

したがって、術後に抗癌治療と放射線治療を行い、できる限りの再発を防ぎます。

ペットの場合は基本的に手術は対応不可で、また抗癌治療を行うことも稀で、唯一効果があるといわれているのが放射線治療となります。

ただし、実際には積極的な治療自体行うことは困難であることが多く、抗痙攣薬やステロイドなどの消炎剤、脳圧降下剤などを使用しできる限りの症状を抑えながら経過を見るのが一般的な治療となります。

放射線治療の実際

ご存知の飼い主様も多いとは思いますが、放射線治療とは腫瘍に対し集中的に放射線を照射し、腫瘍を攻撃する治療法です。

獣医医療では地域格差が大きく、首都圏では以前に比べると放射線治療ができる施設が増えていますが、地方では放射線治療はまだまだ一般的ではありません。

毎回の治療には全身麻酔が必要であり、一般的な方法は2日から3日に1回ほど放射線を分割して照射していきます。

1クールはおおよそ4週間かかるのですが、費用は施設によってまちまちで、治療費だけで50万円から80万円程度かかります。

また一般的にガンマナイフと呼ばれる方法を実施できる施設もあります。

高濃度の放射線を高容量でかつ集中的に照射することができるので、一般的な放射線治療よりも短期間で終了することが出来ます。

現在では唯一北海道にある大学で行うことが出来ますが、有効性については完全には証明されていないようです。

いずれにせよ、その後もMRIにて腫瘍の再発性を確認していかないといけないため、動物への負担や経済的な負担も多く、一般的な治療になるのにはまだ多くの時間が必要だと思います。

まとめ

脳内の腫瘍は一時診療の動物病院内での診断が難しく、また飼い主様のお話を聞きながらそれを異常なものととらえるかどうかも判断しにくいこともあります。

過去にも、飼い主い様のお話を聞いてそれを普通の行動と判断し、診断を大幅に遅らせてしまったつらい経験もあります。

犬全体でみればそれほど発生率は高い腫瘍ではありませんが、いつもと違って行動が何か変かな?と思ったら、お気軽にご相談ください。

2018-06-20

いきなりの話にはなりますが、ぼくはかなり重度の花粉症で、1年の1/3ぐらいは鼻水と鼻づまりに悩まされています。

それでも人間の大人であれば、鼻水で鼻がつまった時には鼻をかめば一時的には鼻の通りがよくなり、しばらくは楽になります。

一方で人間の子供や、ましてや犬や猫は上手く鼻をかむことができないため、鼻水が絶えまなく鼻から垂れ、見た目からとても辛そうな感じがします。

飼い主様からもそんなご相談を受けることがよくありますが、意外と難治性のことも多く、治療に手を焼くことが多くあります。

今回は意外と大変な犬の鼻水、鼻づまり、くしゃみについてご説明したいと思います。

子犬、子猫の場合

子犬や子猫の場合はほとんどが感染によるものと考えられます。

あまり言いたくはないのですが、以前であれば割と環境の整っていないペットショップやブリーダーもいたので、鼻水だけでなく呼吸器系に重度の感染を起こしているケースもよくありました。

ここ最近では、このあたりのリテラシーはしっかりしているので、感染と言っても重度のものではなく、どちらかと言えば、幼い免疫力がしっかりしていない個体が、環境が変化したせいで出る一過性の体調不良であることがほとんどです。

しっかり栄養がとれれば、点鼻薬程度で改善することも多いのですが、もともと外にいた子猫を保護し、同様の症状が出た場合などには注意が必要です。

野外で感染する病原菌は、子猫にとっては重篤な症状を起こすことも多いので、保護した猫がくしゃみや鼻水を流していたらすぐ受診することをお勧めします。

猫を保護したら目ヤニと鼻水。どうしよう?往診獣医師が答えます。

高齢犬の場合

高齢犬の場合、鼻水の原因として1番高いものは歯の根が感染を起こし、それが鼻腔内に影響を及ぼしていることが多いと思います。

特に犬歯の根は鼻腔の粘膜に接するぐらい近くにあるため、犬歯の根が感染を起こすと最初は透明な鼻水が膿性のものに変わり、時には血まじりの鼻水がくしゃみと一緒に出てくることもあります。

根本的な治療は原因となっている歯を抜歯するのですが、そのためには全身麻酔が必要なため、老犬の場合は麻酔のリスクが高い時もあるため、抜歯をすることを躊躇することも多くあります。

そういった場合は根治治療とはならないのですが、抗生剤を主体とした投薬を継続しながら経過を見ていきます。

高齢猫や特殊な状況下の猫の場合

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高齢な猫の場合、獣医師としてまず考えなくてはいけないのが、原因が慢性的な鼻炎からくるものなのか、腫瘍の存在があるのかというところだと思います。

実際にこの2つは判別が難しく、また検査方法もあまりないために有効な治療が見つけられないこともしばしばあります。

積極的に調べていくためにはCTやMRIが必要ですが、全身麻酔が必要となります。

たいていの場合、年齢とその時点での体調が問題で検査も実施することができないため、結局のところ抗生剤やステロイドのような内服もしくは点鼻薬で維持していくことがほとんどです。

パグやフレンチブルドッグなどの短頭種の場合

これらの犬種はもともと鼻の構造が特殊であり、若いころから鼻水やくしゃみを飛ばすことはよくあります。

たいていの場合は短頭種特有の生理現象であり、鼻水も透明な場合は治療の必要性はあまりありません。

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ただシニアの年齢になり、その鼻水が膿性のものになったり、血液を含んだもののようになった場合は注意が必要です。

短頭種は鼻腔内腫瘍が発生する好発犬種で、その上、鼻腔内の腫瘍は周りの組織に対し攻撃性の高いものがほとんどで、場合によっては眼球や脳を圧迫し痙攣などの発作を引き起こすこともあります。

検査はMRIとCTを実施しますが、有効な治療法はあまりないために、予後は思わしくないケースがほとんどです。

ミニチュアダックスの場合

ミニチュアダックスの場合、構造上、マズルが長く副鼻腔とよばれる空洞が非常に大きいのが特徴です。

したがっていろいろな理由で感染を起こした場合、その副鼻腔に脳が貯留して副鼻腔炎=蓄膿症になることが多くみられます。

副鼻腔炎を患ったミニチュアダックスは鼻水が咽頭の方に流れ込み、痰がつまったような咳を頻発します。

特に老犬になったミニチュアダックスが副鼻腔炎を患うと、食欲などの一般状態も低下することも多く、時には肺炎を引き起こすケースもあります。

構造上の問題もあるため、治療は難航するケースも多く、大概の場合は抗生剤などを長期的に投薬し、ある程度の症状の改善にとどまることがほとんどです。

まとめ

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犬や猫の鼻水、くしゃみは診察の中ではよくみられる症状なのですが、割と慢性化しているケースも多いので、獣医師にとっても厄介なものの一つです。

特に高齢犬や高齢猫がこういった症状を起こすと病院に連れて行くのもかなりの負担がかかります。

往診でもこういった疾患は十分対応が可能なので、ペットの鼻を見たときに、あれ?と思ったらお気兼ねなくご相談ください。

2018-06-15

てんかんという病気の名前は誰もが知っているのではないかと思います。

意識の欠落や痙攣など、日常生活に影響が出る重大な病気です。

ペットの世界では、てんかんは結構ありふれた病気であまり珍しい症状ではありません。

統計的には、人間以上にてんかん発作を起こすペットの数がいるといわれています。

ぼく自身も日常の診察で、程度の違いはあるにせよ、週に数回はてんかんの診察、ご相談を受けます。

てんかんによる発作は見た目の症状がはっきりとしており、いつ起こるかもわからないので多くの飼い主様が心配されています。

特にてんかんの発作が起こった時に何をすればいいのか?というご相談を非常に多く受けます。

今回の記事では犬、猫のてんかんについて、その付き合い方などをご説明したいと思います。

てんかんはなんで起こる?

脳内のの神経細胞は各細胞が発生させる電気的刺激を次の神経細胞に伝えることにより、各細胞の神経伝達が行われます。

その神経伝達の情報を大雑把に分けると、他の神経をさらに活動的にさせる情報を伝える神経と、他の神経の活動を抑える情報を伝える神経の2種類があります。

てんかんは、このうち活動を抑える情報を伝える神経が一時的に機能しなくなることにより起こるとされています。

したがって何かの刺激やタイミング、場合によっては何もなくても結果として脳内の神経全体が過剰に活動的になり、運動の統制がとれず、痙攣発作が起こってしまうのです。

てんかんの症状

てんかんという病気の厄介なところは、日常生活では全く問題がないのにもかかわらず、何の前触れもなく症状がおこるというところにあります。

てんかんは前発作、本発作、後発作に分かれます。

全発作は動物の情緒がやや不安定になり、異常行動をとることがあります。

人を呼ぶようなか細い声で鳴いたり、うろうろ落ち着きのないような動きをしたりします。

軽いものであれば前発作だけで終わるのですが、たいていの場合はそういった異常行動の後、痙攣を主症状とする本発作が始まります。

部分的な手足を硬直さるような痙攣をおこしたり、横に寝たまま手足をくるくると回し続けたりと、意識はない状態での動きが激しく起こります。

その後数分で症状がおさまることがほとんどですが、発作がおさまった後も、意識があるのかどうなのかわからないような状態が続いたり、顔の筋肉の一部がぴくぴく動いたりしながら収束していきます。

この段階を後発作と言います。

後発作は場合によっては半日以上続くこともあり、後発作の後、さらに本発作が起こることもあるので、だんだんと収束していくかどうかは注意して観察しないといけません。

てんかんの検査・治療法

獣医医療では、てんかんそのものを検査する方法はありません。

したがって、検査の方法は除去診断といって、何かほかの臓器などに根本的な問題があって2次的にてんかんの症状が出ていいないのかどうかを調べるのが検査の方法となります。

血液検査、レントゲン、心電図がその検査法になります。

脳の病変を診るのであれば、MRIを実施したいところなのですが、全身麻酔を必要とするため、MRIまで望まれる飼い主様は、それほど多くないというのが実情です。

治療に関しては、ある程度のガイドラインがあるのですが、治療しないケースの方が圧倒的に多いと思います。

え!?と思うかもしれませんが、てんかんの発作の大部分は、動物の健康を脅かすものではないことがほどんどだからです。

それではどいうときにてんかんは治療するのでしょうか?

けいれんは通常、短いときにはほ数十秒で治まるのですが、まれに数分から数十分、また一度治まったと思ったらすぐに次の発作が起こることもあります。

これはてんかんの重責状態とか群発性のてんかんと言われるもので、この痙攣の起こり方は重大な後遺症を残す可能性もあり、時には命の危険が出てくる発作です。

てんかんの治療とはこれらの重度の痙攣を抑えることが目的となります。

ただし治療と言っても、てんかんそのものを治す方法はないため、てんかんを予防する薬を毎日を飲ませるのが基本的な治療法になります。

抗痙攣薬にはいくつか種類はあるのですが、どの薬にも少ないながらも副作用が発生する可能性があるため、定期的な検査などを行い、適切な薬の量を考えていきます。

薬を毎日服用しても発作が出ことは多くいのですが、結局のところ、重責の状態にならなければ追加の投薬や治療は行わないことが通常です。

てんかんが起こったら

まず慌てないことが一番です。

先ほども述べましたが、発作自体で命を落とすことはほぼありません。

逆に何かをしようとして刺激をさせるとさらに発作が止まりにくくなるので、けがをさせないように周りのものをどかして静観するべきです。

発作がない状態では治療は基本的にはする必要がありませんので、発作が落ち着いていれば動物病院に行く必要もありません。

てんかんの重積状態が起こり、断続的に痙攣が起きている状況では、座薬の抗痙攣薬もあるのですが、それではほとんど痙攣は止まりません。

痙攣が長時間おこるようであれば、できるだけ早めに動物病院に連れていき、直接痙攣を抑える薬を血管から投予して、痙攣を強制的に停止させるのが理想です。

とにかく、まずはてんかんの発作が起こったら、長く続くのかどうかを落ち着いて見守るのがよいと思います。

まとめ

てんかんのようないわば「激しい」症状は、飼い主様にとってもかなりストレスになると思います。

獣医師としての経験論として、飼い主様が過度にストレスを感じていたり、過剰な心配をしていると、飼っていらっしゃるペットの発作が不思議と出やすくなります。

できるだけ飼い主様の心配事が取り除けるように、ご協力したいと常々考えておりますので、ご自宅のペットにてんかんが起こったら、お気兼ねなくご連絡ください。

2018-06-07

命には係わることはないけれど、ペットを飼う上では重要な問題というのは意外とあるものだと思います。

トリミングはその代表的なもので、診察をしている中でも多くの飼い主様からよくご相談を受けます。

ちょっとしたシニアの年齢では問題がなかったとしても、さらに年齢を重ね、後ろ足がふらついていたり、明らかに食欲や元気が落ちていたなどの問題があった場合、通常のトリミングサロンでは断られるケースもあります。

ましてや、何かしらに疾患、たとえば心臓などの病気を患っていた場合は、トリミング自体の負担も非常に心配だという飼い主様も多くいらっしゃいます。

今回はそんな超高齢な老齢犬をトリミングしたいときについてご説明したいと思います。

超高齢犬のトリミングの注意点

人間でもそうですが、意外とお風呂に入るのは体力を使うものです。

元気な個体であれば全く問題はないのですが、トリミング後に体調を崩すことはよくあります。

トリミング中はずっと立っていないといけないので、トリミング後は半日以上疲れて寝てしまうことはよくあります。

こういった場合は安静にしておくしかないと思いますので、静かに寝せておくのがいいと思います。

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そのほかにも、トリミング後に食欲がなくなる、下痢をするなどの症状はたまにある症状です。

また、高齢犬の場合は、割と目の表面に傷があったり、ドライアイの傾向があったりするので、トリミング後に充血したり、目を痛そうにすることもあります。

これらの場合は基本的に起こった後に対応するしかないので、こういった症状が見られた場合は速やかに受診した方がいいでしょう。

こうしたこともあるので、高齢犬の場合、トリミング後に調子を崩すことが比較的多いので、トリミングサロンによっては年齢制限を設けているところもあります。

ですので、超高齢犬の飼い主様がトリミングを行おうとした場合には、意外とハードルが高くなることもあります。

動物病院でトリミングを頼んでみる

トリミングサロンでトリミングが難しいと判断された場合、一番無難な方法は動物病院でトリミングを行うという方法です。

かかりつけの動物病院であれば、おおよその状態も把握していますし、もし調子を崩したとしても対応も適切に行えると思います。

動物病院によってはそれでも断られるケースもありますが、一度ご相談してみるのがいいと思います。

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自宅で部分洗いをしてみる

高齢犬によっては動物病院に連れて行くのはより負担がかかるという犬もいるかもしれません。

そういった飼い主様の中には、ご自宅で犬を洗っている方も大勢いると思います。

老犬が特に汚れやすい、肛門周囲、陰茎や陰部周囲の部分洗いを頻繁に行うことが多いと思いますが、大変なのは洗うことよりも、どちらかと言えば乾かす方が手がかかるのが普通です。

特に日本犬のような毛質の犬は乾かすのにとても時間がかかるため、半乾きで放置してしまうため、より汚れが取りにくくなることもあります。

家庭用のドライヤーでは限界はあると思うので、風乾で乾かすのではなく、タオルで水分をよくとることを試みた方がいいと思います。

お勧めの方法は、バスタオルではなく、車の車体を拭くためのクロスなどで水分を拭きとりながらブラシをしながらドライヤーをあてるのがいいと思います。

往診でトリミングを頼んでみる

部分的な洗いだったとしても、飼い主様ご自身でトリミングを行なうというのはなかなか難しいと思います。

そういった場合、往診の診療でトリミングを依頼するという手段もあります。

もちろん獣医師や看護師はトリマーではないので、カットなどの細かい内容は受けることはできませんが、人手がかけられる分、より丁寧に、そして負担をかけずに体を洗うことができると思います。

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往診専門の動物病院でも対応できるところとできない動物病院があると思いますので、一度ご相談してみてはいかがでしょうか?

まとめ

トリミングというのは、治療行為ではないため、獣医医療の中ではしばしば軽視されがちです。

ただ一緒に生活する飼い主様のことを思うのであれば、ペットの体を清潔にするのはとても重要な行為あだと思います。

トリミングにかかわらず、こんなことも頼んでいいのかな?と思ったことでも、お気軽にご相談ください。

2018-05-31

ある調査では動物病院に来院される理由の中で、皮膚病はその理由の中でダントツに多いものだという結果があります。

実際、1日を通して診察をしていても、ワクチンなどのついでに皮膚の調子を見てほしいなどという飼い主様も含めれば、かなりの件数に上ると思います。

皮膚病の厄介なところは、原因の特定、根本からの治療が極めて困難である上に、命にかかわることはないにせよ、それを管理する飼い主様の負担は非常に大きいものになります。

そんな皮膚病の原因の中でも、一番多いものはアレルギー性、アトピー性のものだと思います。

今回は飼っている犬や猫がアレルギー性の皮膚炎を起こしたら何をするべきかをご説明したいと思います。

犬のアレルギー性皮膚炎

犬のアレルギー性皮膚炎は、全身的な掻痒感とともに起こることが一般的です。

特にわきの下や内股は好発部位で、それに加え四肢やその先端などをよく舐めだします。

最初は発赤から始まるのですが、時間がたつと皮膚は黒ずみ始め、さらにそこに雑菌が絡むと茶黄色のベトっとしたカスが皮膚に多量に付着するようになります。

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犬のアレルギー性の皮膚炎では、たいていの場合は背中側に単独の皮膚炎が見られることはあまりありません。

背中側の皮膚炎にはアレルギー性の問題があったとしても、そのほかの問題も絡んでいることもあるので、より慎重に経過を見ていく必要があります。

猫のアレルギー

猫のアレルギーはほとんどの場合、顔の周りに出ることが多くあります。

特に耳の根元と目の上、それとあごの下はかなりよくかきむしる場所で、気づくいたときには皮膚が血だらけなんてこともよくあります。

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また下腹や前腕にかゆみの場所がでることもあり、その場所をひたすら舐めるようになります。。

犬と違い猫の舌は凹凸に富み、またざらつきが強いため、皮膚炎が赤くただれるような感じで起こります。

また、猫のアレルギー性皮膚炎は真菌症と併発して起こるケースもあるので、犬よりも病態の把握が難しいことがあります。

アレルギー検査は必要?

超個人的な意見ですが、アレルギー検査は特別必要でないと考えています。

アレルギー検査を行い、完全に原因を追究することは不可能であることがほとんどなのと、原因が判明したところでそれを除去することは非常に困難だからです。

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また食事性のアレルギーの場合は、一般的なアレルギー検査の正誤性もあまり高くありません。

アレルギー性皮膚炎の治療においてアレルギー検査が必要なケースはまれで、たいていの場合は減感作療法を治療に取り入れる時ぐらいだと思います。

アレルギー用の食事は必要?

これも超個人的な意見ですが、アレルギー用の処方食はそれほど重要ではないと思います。

中には、食事のみで改善するケースもあるのですが、かなりまれなケースだと思います。

2,3か月は一度試してみてもいいとは思いますが、大きな変化がなければやめてしまっても構わないと思います。

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逆に食事の保管方法にはこだわった方がいいと思います。

劣化したドッグフードは非常に皮膚にダメージを与えるので、特に小型犬や猫を飼われている方は、要注意が必要だと思います。

治療は?

以前はアレルギー性皮膚炎の治療はステロイドを主体とした内服薬が主流でした。

効能も強く、効果も即効性があるのですが、特に犬でよく副作用が出やすく、定期的な検査を行いながら投薬を続けるのが一般的でした。

最近では分子標的薬という新しい薬が販売されるようになりました。

副作用も少なく、かゆみを抑える効果も非常に強いため、この薬の登場でがらりと皮膚病の治療が変化しました。

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あまりいいことではないのですが、「とりあえずこれ飲んでみて」みたいな軽い使用ができるため、今やどのような獣医師にとっても必需品となりました。

難点としては値段が高く、治療コストが従来の治療よりも高額になりやすいところだと思います。

ただし、たいていの場合、しばらくすると値段は少しづつ落ち着いていくと思うので、今よりもずっと価格は下がると思います。

まとめ

これらの治療は往診でも受診が可能です。

病院に連れいていくのに何かしらストレスを感じていそう・・・などと思った時には、お気兼ねなくご連絡ください。